2017年7月第1週 株 コメント

7月第1週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170707

7月第1週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170707

7月第1週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170707


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年7月第1週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 19929円 前週末比-104円

この週は日曜の東京都議会選挙で自民党が大敗し、株式市場への悪影響が懸念されていた。しかし、月曜寄り前に発表された日銀短観の内容が良く、株価はやや強含みであった。火曜はNYダウ高を受けて高く始まったが、北朝鮮がミサイルを発射したことを嫌気して下落に転じた。この地政学リスクは週後半まで警戒要因とされていた。火曜はNYが休日で、株価は為替レートに左右される動きであった。金曜はNY株安で安く始まったが、日銀が国債指し値オペを通告したことから円安が進行し、寄り後は上昇した。週を通して見ると、小幅の下落で週を終えた。


買い主体
(2)信託
現先総合 1550億円の買い越し
現物   2124億円の買い越し
先物    574億円の売り越し

信託はTOPIXラージ先物を374億円売り越している。先週説明した通り、この大部分は先物から現物への乗り換えである。それでも現先合計で見ると1550億円もの買い越しになった。

現先合計は6月第2週から4週連続で買い越しであり、週ごとに買越額が増加している。先週の金曜日に公的年金の決算が発表された。今年の1-3月期はGPIF売り越し、3共済買い越しで公的年金全体では買い越しだが、3共済の中には株式組入比率が25%を超えるところも出てきている。もはや以前のクジラのように買うことができる状況ではない。そのため、公的年金以外ではかんぽ生命(簡保)くらいしか思いつかない。簡保は特金勘定で内外の株や外国の債券を買い続けている。簡保なら週1560億円の買い越しは少し大きいが考えられない金額でもない。

(訂正文)
読者の方から信託の買いはGPIFのESG投資ではないかという意見をいただきました。株式組入比率が上昇しているので、ESGの1兆円買いは国内株式資産内部のリバランスと考えていました。しかし、純粋な買い増しがないとは言い切れません。簡保をはじめとして他の信託は今買う積極的な理由がありません。GPIFのESG投資は3日月曜が開始日なのでタイミングがぴったりであり、理由としては説得力がありそうです。「信託の買いで一番可能性が高いのは、GPIFによるESG投資用の買いであろう」と訂正いたします。(訂正文終了)

(2)事法
現先総合  367億円の買い越し
現物    376億円の買い越し
先物      8億円の売り越し

買いの大半は自社株買い。7月第1週に実施を公表した自社株買いには大口のものはなく、小口の集積であった。


売り方
(1)海外
現先総合 1962億円の売り越し
現物     15億円の売り越し
先物   1947億円の売り越し

先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。


ブログ外資系と海外の比較20170707

日経平均ミニ先物は中心限月である9月限の証券会社別建玉が公表されていないので、9月限で海外が204億円の売り越しと仮定した。ドイツには裁定の買いがあることを後で示す。日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物にはどこかの外資系の自己が500億円ずつ、合計1000億円買っていると考えてみた。そうすると外資系と海外の売買に差が生ずるが、568億円なら起こりうる誤差の範囲内である。特にこの週は日系の機関投資家の先物売りが多いので、その何割かが外資系に流れた可能性が考えられる。


7月第1週は日銀ETF以外の自己が1000億円の買い越しである。これを外資系の自己の買いと仮定してみた。先物手口概算の買い方上位のソシエテ、パリバ、クレディ・スイス、ドイツ、ゴールドマンは過去に先物売買の中で東京自己が大きく動いたことが時々確認できる証券会社ばかりなのである。

中でも最も東京自己がよく動くソシエテとドイツが500億円ずつ、合計1000億円の買いがあると考えてみた。

この1000億円の買いはSGXとの裁定かもしれない。あるいはエクイティ・スワップをショートしたカバリングの買いかもしれない。どちらにせよ、ソシエテとドイツの背後には日本株をデリバティブで1000億円買い越した海外投資家がいると考えている(SGXとの裁定であるならば、SGXで大量に日経平均先物を買った海外投資家がいるはず)。

この週の海外は現物15億円、先物1947億円でいずれも売り越しだが、あまりにも先物に偏りすぎている。そこで別の種類のデリバティブで1000億円の買い越しがあると考えてみたわけである。そう考えると、この週の海外の実質的な売買は先物1000億円の売り越しと同じことになる。理由は北朝鮮かどうかわからないが、海外は売り買いが交錯する中で、(15億円だけの)現物、先物とそれ以外のデリバティブの合計で1000億円の売り越しであったことになる。

これは私の勘であり、正しいという証拠はない。ただ投資部門別売買状況と先物手口概算を見ていると一番ありえそうなシナリオになる。確度は50%と受け止めてもらいたい。


売り主体
(2)個人
現先総合  947億円の売り越し
現物現金 1247億円の売り越し
信用    537億円の買い越し
先物    236億円の売り越し

この週も下げ相場で売り越しという順張りになった。6月第3週に先物を大量に売り越し、第4週に大量に買い越したスイングトレーダーは、7月第1週の先物は小幅の売り越しになった。2週連続で1000億円近い売買をしたので、7月第1週は少しお休みなのであろう。信用については買残の水準がまだ低く、5週連続の買い越しを維持している。

現物現金は相変わらずの売り越しである。基本は売り一辺倒の高年齢富裕者層の売りが中心と思われる。現在金融資産を大量に保有している高年齢富裕者層は、自分か親世代がバブル崩壊時に株で大損をした記憶がまだ鮮明に残っているはずである。こうした強烈な体験を持つ人たちはそう簡単に株を買い越すようにはなりにくい。

(3)銀行
現先総合  845億円の売り越し
現物    132億円の売り越し
先物    713億円の売り越し

銀行は現物で持ち合い解消売りが五月雨的に出ている。先物は投機的ヘッジの売りである。先物713億円売りというのは金額としては少し大きめであるが、銀行は過去にこれくらいの金額のヘッジ売りを何度も行っている。


(*)自己という特殊な部門
6月第4週は買い主体の(1)になった
現先総合 1779億円の買い越し
現物   2160億円の売り越し
先物   3939億円の買い越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 767億円の買い越し
日銀ETF以外の自己
 1000億円前後の買い越し(現先合計)

先に書いた通り、この自己による1000億円の買いをソシエテとドイツの自己の買いであり、海外の買いの代理と考えてみた。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 1160億円の裁定解消(現物売り・先物買い)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定解消売買の上位の証券会社
  みずほ500億円、野村400億円、ドイツ250億円
 
東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定解消売買の推計値
 3000億円前後の裁定解消(現物売り・先物買い)

投資部門別売買状況の自己の現物と先物を見る限り、両者の中間、すなわち2000億円強が一番ありえそうな感じがする。自己による先物の買い3939億円のうち、日銀ETF向け767億円、ソシエテとドイツの自己1000億円、自己の裁定解消が2200億円の買いあたりがだいたい近い数字と考える。裁定解消の追加分は野村の買い600億円、大和の買い600億円あたりが有力と考える。

(7月第1週合計)
合計すると、「自己、信託、事法の買い越しvs海外、個人、銀行の売り越し」であった。

自己の買いのうち日銀ETFが767億円。今回は先物で入っている。加えて海外の代理としての買いが自己で1000億円入ったと考えている。海外の売りは自己が代理として買った1000億円分を差し引くと、実質的には1000億円前後の売りであった。個人は現物中心の売りだが、海外と銀行などが先物を売り、日銀ETFが先物を買ったが足りず、自己の裁定解消売りを2000億円前後引き起こした。この裁定解消売りに立ち向かったのが信託と事法の自社株買いを中心とした現物買いであった。結果として日経平均株価は週間で104円安となった。


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2016年 年間 株 コメント

2016年 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別売買状況2016年

2016年 大手証券 先物売買手口概算
先物手口2016年間

2016年 日経平均株価 日中足チャート
週足株価2016年間ログ用

時系列データ
 投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
 株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
 大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ


2016年の日経平均株価は前年末比81円高の19114円で終えた。ただし、TOPIXは少し値下がりのまま年を終えた。

2016年の最大の買い手は自己であった。現先合計で3.8兆円の買い越し。うち現物で2.4兆円の買い越し。先物で1.4兆円の買い越し。

2016年は日銀ETFによる買いが4.6兆円入っている。従って、日銀ETF以外の自己は0.8兆円前後の売り越しであったことになる。一方、2015年は日銀ETF以外の自己は0.6兆円の買い越しであった。2年間では0.2兆円だけの売り越しになる。自己の中にはいろいろと複雑な取引があるが、2年というスパンで見ると売越額又は買越額は大きくはなかったことになる。

なお、2016年の年間では東証発表の実質裁定残(買残-売残)は7.9億株の減少、現物の裁定売買は2.9億株の裁定形成であった。裁定形成売買が入っているにもかかわらず、裁定残は大きく減少。裁定残をETFに替えて日銀に売っているからという説もある。しかし、その動きは夏頃までである。日銀が7月末にETF購入額を年間6兆円に増やした少し後あたりから、裁定形成売買の株数以上に裁定残の株数が増えている。2016年前半は日銀ETFの買いで説明できたが、後半は日銀ETFの買いとは動きが正反対である。理由はよくわからない。裁定残の統計自体がいいかげんで信用のできない統計であることが理由の1つであろう。ただ、自己の先物は年間で1.4兆円の買い越しなので、裁定売買は形成ではなく解消である。2.9億株の裁定形成は間違いであり、7.9億株の裁定解消の方が正確な数字により近かった。

信託は現先合計で2.7兆円の買い越し。うち現物で3.3兆円の買い越し。先物で0.6兆円の売り越し。このうち年間ではなく、1-9月の期間での現物は3.6兆円の買い越し。日銀は資金循環統計で同期間の公的年金の買越額を3.2兆円と推計している。この推計値は少し過大推計であり、実際の買越額はもう少し小さかったと見ているが、それほど実体から大きく離れた数字でもないとも考えている。またトヨタの自社株買いが信託方式で入っており、1-9月で0.7兆円の買い越しになる。すなわち、日銀推計の公的年金とトヨタによる信託方式の自社株買いの2種類の買いの合計が3.9兆円であり、その他もろもろの信託は1-9月に0.3兆円の売り越しであったことになる。2016年の前半は、株価が下落した結果、公的年金を中心に株を大幅に買い越した。しかし、10-12月は、海外主導で株価が大きく上昇したので、信託全体で現物株を0.3兆円売り越していたことになる。

事法は現先合計で2.2兆円の買い越し。大半が自社株買い。

その他法人は0.5兆円の買い越し。従業員持株会が買いの中心。

その他金融は0.3兆円の買い越し。信託や私募投信を通じて株を買っている金融機関はあるが、直接、株を買っている金融機関は大手では思い浮かばない。日銀の資金循環統計では農林水産金融機関、中小企業金融機関等といったところが買い越しになっている。この部門に含まれる大手以外の中小金融機関の小口の買いが積もって0.3兆円の買い越しになったとしか考えられない。

証券会社は0.1兆円の売り越し。東証に会員権を持っていない中小証券の売りである。実際の売りの大半は、中小証券を通じて売買をする個人の売りである。

銀行は0.5兆円の売り越し。取引所内取引では銀行の売り越しは続く。

保険は0.6兆円の売り越し。保険の売り越しは続いている。ただ日銀の資金循環統計を見ると、信託勘定では年の前半は買い越していたと思われる。後半は信託勘定でも売り越しの可能性が高い。

海外は現先合計で2.2兆円の売り越し。うち現物で3.7兆円の売り越し。先物で1.5兆円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で0.7兆円の買い越し。日経平均ミニ先物で0.2兆円の買い越し。TOPIXラージ先物で0.7兆円の買い越し。

海外は2016年の株価下落、低迷時すなわち9月以前は大幅な売り越しであった。それが10月以降の株価上昇時には大幅な買い越しになっている。景気敏感で順バリという運用方針は変わっていない。9月以前の売りは現物の割合が高く、10月以降の買いは先物の割合が現物より少しだけ高かった。

9月以前の売りは、従来の下落時よりも現物売りの金額が大きかった。この売りの何割かはオイルマネーの売りであった可能性が高い。売り切りであり、買い戻しはほとんどなかったと思われる。そのため、海外現物は年間でも大幅な売り越しになった。

海外先物は、2016年秋からの上昇局面ではUBS、ゴールドマン、JPモルガン、バークレーズという4社の買いが特に目立った。しかし、年を通して見ると、最も大幅に買い越したのはJPモルガンの1.2兆円の買いであった。JPモルガンは年の後半に買い越しであっただけではなく、前半も買い越しであったため、年を通してなら最大の買い手になった。他の3社は年の前半に大きく売り越していた。UBSはUBS本体運用部の売買が多くを占める。しかし、年間では売り越しであり、日経平均ラージ先物買い・TOPIXラージ先物売りになっている。秋以降のUBSは両先物を買い越しながら、日経平均ラージ先物の買いの比率が高かった。これはUBS本体運用部が日経平均ラージ先物の割合を増やしたのか、全く別の顧客が買ったのか、現時点では区別がつかない。UBS以外の3社は年金などの長期性の資金が中期的観点からTOPIXラージ先物を中心に売買をしていると考える。

ニューエッジは2016年2月にTOPIXラージ先物で0.5兆円前後の超大口買いがあったことが大きい。メリルリンチは10月にTOPIXラージ先物を0.2兆円前後買ったことが一番寄与している。HSBCは12月だけで先物を0.6兆円売り越しており、外資系証券の中では一番異質の売買行動をとっていた。

投信は現先合計で2.4兆円の売り越し。うち現物で0.4兆円の売り越し。野村総研によると、日本株型公募投信からの資金純流出額は0.5兆円であった。私募投信が少しだけ買い越していた可能性が高い。

投信は先物で2兆円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1.6兆円の売り越し。TOPIXラージ先物で0.4兆円の売り越し。2016年年間の大口投信による日経平均ラージ先物の売買は下記のようになる。

野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」 0.7兆円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」0.2兆円前後の売り越し。
大和投信 「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」 0.1兆円前後の売り越し。

上記3種のファンドだけで合計1兆円の売り越し。他の同種のブルベア型ETFも小幅の売り越しであるが、それを加えたとしても1兆円強くらいであろう。残りの0.6兆円弱の日経平均ラージ先物の売り越しとTOPOXラージ先物の0.4兆円売り越しは、公募投信の売りも一部は含まれているとは思う。ただ金額としては私募投信による売り越しの割合が高かったと思われる。

2016年の最大の売り手は個人であった。現先合計で3.3兆円の売り越し。うち現物現金で3.8兆円の売り越し。信用で0.7兆円の買い越し。先物で0.2兆円の売り越し。

東証の数字は発行市場分を含まない。発行市場は買いしかなく、個人の比率が高い。発行市場も含めた売買金額推定値を日証協が2016年1-9月期までの数字を公表している。この間、発行市場を含まない東証統計では個人現物(含む信用)は0.3兆円の買い越しであった。これに対して発行市場も含めた場合、日証協の推計では0.7兆円の買い越し。それでも10-12月期には東証統計での個人の現物(含む信用)の売越額は3.5兆円。10-12月の戻り相場では個人は大量に売り越した。発行市場を含まない東証統計での個人の現物(含む信用)の売越額は年間3.2兆円である。発行市場を含めても年間2.8兆円弱の売り越しであった可能性が高い。

2016年の個人は週レベルで見た場合、52週中46週で逆バリであった。同時に下げ局面では小幅の買い越し、上げ局面では大幅な売り越し。年間で日経平均株価は小幅の上昇であるが、往って来いの相場では大幅な売り越しになっている。バブル崩壊後の個人は発行市場で買った分を取引所で売り越すというのが基本形であり、発行市場をも含めた売越額はそれほど大きな金額ではなかった。しかし、アベノミクス相場が始まってからは、個人の取引所での売越額は発行市場での購入分を大きく上回る金額になっている。デイトレーダーは売買金額は大きいが、買越額はそれほど大きなものではない。一方、高年齢富裕者層は、下げ局面での買いは少なく、上げ局面では大量に売ってくる。アベノミクス相場が始まって以降、個人の株式離れが本格化している。

2016年年間では「自己3.8兆円、信託2.7兆円、事法2.2兆円の買い越しvs個人3.3兆円、投信2.4兆円、海外2.2兆円の売り越し」であった。

個人は大幅な売り越しである。投信も一部に法人が売買する私募投信が含まれているが、過半は個人が中心に売買をする公募投信の売りである。すなわち、個人マネーは投信を含めても大幅な売り越しであった。個人を中心とする国内投資家が株を大量に売り越す中、買い方の多くは日銀と公的年金であった。これだけ国内投資家が株を売り越したのにもかかわらず株価が下がらなかった理由は、完全な官製相場であったことを意味する。公的資金の買いが入っていなければ、株価は大きく下落していたことは間違いない。その場合、負の資産効果で景気後退が発生していた可能性が高い。

日銀ETF買いについては反対意見が多い。自由な株式市場に対する冒涜という人もいる。しかし、日銀ETFの買いは現在のような環境下では必要なのである。これだけ日銀が買い支えながらも、国内投資家の資金は株式市場から続々と逃げ出している。これはバブルとは正反対の逆バブル現象であり、バブル崩壊の継続と言ってもよい。そして株価が戻れば売りという株式市場のヒステリシスの重病が定着してしまっている。その結果、日本の株価は長期で見た場合、諸外国との比較で極端に下がったままの状態が続いている。こうした重要な事実をまず理解する必要がある。

日本の株式市場が陥っている重い病気は、日銀ETF買いという対症療法だけでは治らない。ヒステリシスという恐ろしい病気が定着してしまった以上、その治療をするためには極端な政策を採用しないと治らない。日銀の金融緩和は規模が小さすぎるのである。

この病気を治す方法は、株価を緩やかでよいから右肩上がりの状況をできるだけ長期間維持することしかない。日本以外の国では株価を高値掴みしても、何年か塩漬けにしておけば元に戻る。日本では高値で株を買ってしまうと損をする可能性が非常に高い。損切りのうまい人しか株で儲けることができない。あるいは高値では必ず売り、底値を買うことに徹するしか儲かる方法はない。この20数年間続いた「勝利の方程式」を、株価の長期の右肩上がりを復活させることにより「敗北の方程式」に変えさせる必要がある。

国内投資家の資金をブラックホールのように吸い込む国債という資産がまだ数百兆円規模で日銀の外に残っている。金余りの機関投資家は、金利が非常に低いこの国債の購入に殺到する。そして機関投資家は、この資金運用難こそが日銀の金融緩和の大きな副作用だと主張した。

政府・日銀は、資金の運用先がないと抗議する機関投資家がいた場合、株を売らずに、株を大量に買えと言わなければならなかったのである。これこそが量的緩和のもたらすポートフォリオ・リバランス効果という大変重要な波及ルートでもあった。ところが日本ではあまりにも株価の値下がりが長続きしてきたため、量的緩和がもたらした株式市場に対するポートフォリオ・リバランス効果はプラスではなく、巨大なマイナスが続いたのである。日銀と公的年金以外の国内機関投資家は、アベノミクス相場が開始されてからも株を売り越し続けてきた。もう一つの重要な買い手は、日銀の量的緩和によって資金運用難に陥れることが不可能である海外投資家だけであった。政府・日銀は自分たちが行っている政策がどのようにして効果が発現するのかという一番重要な部分を理解できていなかったのである。

その結果、政府・日銀は資金運用難と主張する機関投資家の意見を聞き入れてしまった。そして機関投資家は株を売り続けた。これは政府・日銀が実施すべき政策とは正反対の政策を採用するという自爆戦略であった。採用すべき政策は、日銀が国債をもっと大量に購入し、機関投資家がしがみつく国債から無理矢理にでもその資金を引き剥がし、株を買わざるをえない状況に追い込まなければならなかったのである。超金余りの機関投資家の資金が継続的に株へと向かい続けるようになれば、株価は右肩上がりが続かざるをえない。そうなってから、ようやく株式市場のヒステリシスは克服され、普通の国へと戻ることができる。そして、この政策を長く続ければ、いずれ必ず株式市場はバブルへと進行して行く。このバブルに近づいた時こそ、日銀はETFを売却し、バブル化を防がなければならない。財政再建にも貢献する。このETF買いの出口戦略こそが大変重要なのである。

日銀は国債もETFも出口戦略なしに大量購入を続けてきた。国債購入の出口戦略がないからこそ9月にはイールドカーブコントロール付き量的・質的緩和というテーパリング色の強い政策に移行せざるをえなかった。日銀「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する代替案というものを提案したのは、出口戦略を明確に示した上で、株式市場をバブル崩壊から救いたかったからである。出口戦略なしに金融緩和を長期間続けることはできない。出口戦略なき日銀ETF買いは、たとえ株価が下がったとしてもいずれはテーパリングに向かわざるをえなくなる。そして株価が上がったとしても、現状では株の主な買い手は海外投資家になる可能性が高い。それでは2015年に実際に起こったように、株価が上昇するほど日本の国富は減少するばかりになる(アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失)。

欧米で研究の進んでいる「物価水準の財政理論」という学説は、ゼロ金利に近い国債の大量発行が株式市場から資金を奪い取り、株価上昇を抑制するという効果が全く考慮されていない。日本では第2次世界大戦終了直後のハイパーインフレ期にも株価上昇率は物価上昇率に遠く及ばず、大半の株主は大損をした。インフレ税は国債や預貯金に課するべきものであり、株にまで課してしまうと経済に対するマイナス効果が非常に大きくなる。日本以外の国で、最近はそのようなマイナス効果は発生していない。「物価水準の財政理論」が日本では全く適用できないとは言わないが、日本経済の異質性が考慮されていない。少なくとも株式市場のヒステリシスの克服をも目指した欧米とは異なる「日本バージョンの物価水準の財政理論」でなければならない。「欧米バージョンの物価水準の財政理論」をそのまま日本に適用してはいけない。

私の日銀「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する代替案という提案がベストの提案であるとは言わない。日銀ETF買いに反対するのは構わない。しかし、代替案なしに反対ばかりで何もしなければ、株価は下落し続け、日本経済もマイナス成長が続いてしまう。この負のスパイラルを容認するわけにはいかない。物価水準の財政理論を安易に採用することもできない。株式市場に深く通じている者であるなら、日本の株式市場を、そして日本経済を救い出すことのできる新しい具体案を競って提案しあうべきである。

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2017年6月第4週 株 コメント

6月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170630

6月第4週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170630

6月第4週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170630


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年6月第4週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 20033円 前週末比-99円

この週はイエレンFRB議長、ドラギECB総裁、カーニーBOE総裁が従来よりもタカ派的、あるいはタカ派的と受け止められるような発言があり、欧米ではヨーロッパの債券市場を中心に大荒れの週であった。日本の株式市場はあまり大きな影響はなかったが、水曜の下げは欧米発の下落であった。もう一つの海外要因として木曜日にNASDAQでFANG株を中心とした急落がまた発生し、金曜の日本株の下げの原因となった。それ以外は円安傾向のため、少しばかり上昇の期間が長かった。日経平均株価は週を通して見ると小幅の下げにとどまった。なお、ここではベンチマークとしては使用していないTOPIXは小幅高で週を終えている。

買い主体
(2)信託
現先総合  518億円の買い越し
現物   1616億円の買い越し
先物   1097億円の売り越し

信託はポートフォリオを配当込みTOPIXに連動させるため、年度の初めにTOPIXラージ先物を買う。そして配当金を受け取ると先物を売って現物に乗り換える。信託はこの週にTOPIXラージ先物を966億円売り越しているので、その大部分はこの乗り換えであった。現先合計で見ると、信託の買越額は518億円にすぎなかった。

518億円の買い越しとなると、まずは信託方式の自社株買いを疑う。しかし、トヨタ、野村証券という大口の信託方式の自社株買いを決定している会社は6月の買いはゼロと発表している。それ以外のどこかの自社株買いかもしれない。あるいは、クジラの一部が買ったのかもしれない。

(3)その他法人
現先総合  332億円の買い越し
現物    307億円の買い越し
先物     25億円の買い越し

その他法人の買いの大部分は従業員持株会の買いである。ボーナスの時期なので、通常の週よりも買越額が多くなる。

(4)海外
現先総合   22億円の買い越し
現物    115億円の売り越し
先物     93億円の売り越し

先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。


ブログ外資系と海外の比較20170630

日経平均ミニ先物は中心限月である9月限の証券会社別建玉が公表されていない。9月限で海外が1479億円の売り越しと仮定すると、日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物はいずれも両者が非常に近い金額になる。

第4週の海外の売買の大半は日経平均ミニ先物売り、TOPIXラージ先物買いであった。日経平均ミニ先物の日々の売買を合計するとABNアムロクリアリングの売りが多く、TOPIXラージ先物の買いは建玉変化からメリルの買いが一番多い。どちらもHFTを始めとするヘッジファンドの売買が多い証券会社である。よくわからないが、あるヘッジファンドが日経平均ミニ先物を大量に売り、別のヘッジファンドがTOPIXラージ先物を大量に買い、その金額がたまたま近かったと考えることにする。

投機、投資などの目的を持った海外投資家が現物や先物を売買するのであるが、その合計が22億円の買い越しとゼロに近い金額になった。これは間違いなくたまたまなのであるが、非常に珍しい。

売り主体
(1)投信
現先総合  688億円の売り越し
現物    235億円の売り越し
先物    453億円の売り越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 393億円の純流出(この中の多くの部分が現物株の解約売りになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 250億円前後の売り越し
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 50億円前後の売り越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 50億円前後の売り越し

この3本を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で410億円前後の売り越し。

上記以外の投信による売買
現物         160億円前後の買い越し
日経平均ラージ先物   40億円前後の売り越し
TOPIXラージ先物  76億円の売り越し
合計          40億円前後の買い越し

公募、私募の両方の投信による通常売買の合計金額なのであるが、珍しいほど小幅の買い越し。

(2)銀行
現先総合  243億円の売り越し
現物    315億円の売り越し
先物     71億円の買い越し

銀行は現物で持ち合い解消が中心と思われる小口の売りが多くの週で出ている。第3週も同種の売りが出ただけであろう。

(3)個人
現先総合  235億円の売り越し
現物現金 1765億円の売り越し
信用    249億円の買い越し
先物   1281億円の買い越し

この週は小幅の下げなので、久々に順張りの売りになった。基本は売り一辺倒の高年齢富裕者層の売りが現物現金中心に出たのであろう。第3週に先物を大量に売り越したスイングトレーダーは、日経平均株価が下がるとすかさず逆張りの買いを大量に入れた。ただ株価が下落した日経平均型の先物の買い越しであった。株価が小幅に上昇したTOPIXラージ先物は小幅ながら逆張りの売り越しになっている。

(*)自己という特殊な部門
6月第4週は買い主体の(1)になった
現先総合 718億円の買い越し
現物   369億円の買い越し
先物   359億円の買い越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 788億円の買い越し
日銀ETF以外の自己
 70億円前後の売り越し(現先合計)

小幅の売り越しなので、ディーラーのポジション調整の売買として認められる範囲内の金額である。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 588億円の裁定形成(現物買い・先物売り)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定形成売買の上位の証券会社
  三菱UFJ800億円
 裁定解消売買の上位の証券会社
  みずほ300億円

東証発表の裁定残株数変化から計算した裁定形成売買の推計値
 600億円前後の裁定形成(現物買い・先物売り)

この推計値はめずらしく東証発表の裁定売買の金額とほぼ一致。


(6月第4週合計)
合計すると、「自己、信託、その他法人の買い越しvs投信、銀行、個人の売り越し」であった。

多少は目立ったのは、投信が中心に売り越して下がると、自己を通して日銀ETFの買いが入ったくらいであった。1つの部門内部では大口の売り買いはあったが、異なる部門間では大口の売り越し、買い越しは少なかった。この週の日経平均株価は99円の下落、TOPIXは1ポイントの上昇。株価もほとんど変わらずであった。


6月月間


投資部門別コメント月次20170630

記録にとどめておくべき事項、数字

(1)投信現物
野村総研によると、6月の公募型日本株投信は2842億円の資金純流出

(2)投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 1600億円前後の売り越し
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 350億円前後の売り越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 300億円前後の売り越し

上記を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計では2300億円前後の売り越し。

(3)事法部門での自社株買い
キャノンよる500億円の買いが一番大口

(4)自己
日銀ETFが3880億円の買い

(5)裁定売買(大部分が自己、一部は海外)
東証発表 裁定形成売買の金額合計
 1110億円(現物買い・先物売り)
東証発表 裁定残株数変化からの裁定形成売買推計値
 2000億円前後(現物買い・先物売り)

(6)特殊な売買
6月第2週にゴールドマンで4000億円前後の海外売りvs自己買いのクロスがあったと推測
自己買いの背後には海外がいて、事実上は海外同士のクロス

(7)TOPIX型の現物バスケット買い
毎日160億円ずつ、月間で3000億円のTOPIX型のバスケット買いが入ったと日本経済新聞などで報道。金額が一定ではないバスケット買いなら、信託のTOPIXラージ先物買いの現物買いへの乗り換えで説明できる。ただ本当に毎日160億円ずつななら、常識的には乗り換えではない。8月の現物が買い越しで他にバスケット買いをしそうな部門は日銀ETFを含む自己だけだが、常識的には自己でもない。海外か信託がバスケットで3000億円買い、分割して3000億円売ったリバランスの片方の買いくらいしか説明のしようがない。

(8)合計
6月月間では

「自己8463億円の買い越し、事法2140億円の買い越しvs投信5538億円の売り越し、海外2876億円の売り越し」

であった。

日経平均株価は144円下落して月を終えた。

(9)合計の修正
ここからゴールドマンの約4000億円の自己買いvs海外売りのクロスを海外同士のクロスと考えて修正すると

「自己4400億円の買い越し、事法2140億円の買い越しvs投信5538億円の売り越し、個人1637億円の売り越し」

であった。

自己の買い越しのうち、3880億円は日銀ETFの買いであった。

投信と個人の売り越しを日銀ETFと自社株買いが支え、小幅の下落で月を終えた。


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2017年6月第3週 株 コメント

6月第3週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170623

6月第3週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170623

6月第3週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170623

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



2017年6月第3週の株式市場の概況
日経平均株価終値 20133円 前週末比+189円

この週の株価は小動きの為替レートに左右される形で株価も小動きの時間が長かった。週初は小高く始まった後、円安進行で少し上昇。大きく動いたのは火曜の寄り付き。月曜のNY時間にタドリーNY連銀総裁がタカ派的な発言。結果はアメリカの長期金利が上昇し、円安ドル高が進行。NY株価も上昇したため火曜の寄り付きは大幅な株高で始まった。それ以外はほぼ横ばいで、週間の日経平均株価は小幅の上昇で週を終えた。

買い主体
(1)海外
現先総合 3231億円の買い越し
現物     92億円の売り越し
先物   3323億円の買い越し
先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。


ブログ外資系と海外の比較20170623

上記の大元の表を4つの仮定を置いて修正したのが2番目の表である。このうち(1)、(2)は後ほど記すように裁定に伴う自己の売りは存在する。(3)に示した通り、日経平均ミニ先物の中心限月は9月限であるが、建玉は7月限、8月限しか公表されないので、今の時期は合わなくてもおかしくない。そのために(3)という仮定を置いてみた。(4)が一番恣意的な仮定である。自己による広義の裁定の売りが外資系にいくらか存在する可能性までは高いが、ソシエテに500億円の売りというのは1つの例にすぎない。

6月第3週に最も大きく先物を買い越したのはUBS。今回も1350億円買い越しの半分以上をメリルなどの他の証券会社で買ってUBS証券に建玉移管している。このUBS証券への建玉移管という手法をしばしば使う大口顧客は、USB本体運用部1社しか考えられない。1350億円買い越しの大半はUBS本体運用部の買い越しであり、順バリ的な運用手法を使い続けている。

6月第3週の海外は現物を小幅に売り越しながら、日経平均型の先物を中心に大量に買い越している。大部分の手口がわかる日経平均ラージ先物においては、ソシエテが500億円売りと仮定していた。しかし実際には、日経平均ラージ先物を多く売り越しているソシエテ、パリバ、ドイツの売り越し分はすべて自己の広義の裁定である可能性がありうる。この3社は自己の広義の裁定売買を過去に実施したことがある証券会社であるからだ。

UBS本体運用部以外の海外による日経平均型の先物は、多くの証券会社に分かれて入った中口小口の買いの集積であった。日経平均型なので、どちらかというと投機的資金の割合が高いと思われる。投機的資金が中心になって少しずつ幅広く日経平均型の先物に買いを入れていた可能性が高い。買いを入れた材料は、好調なファンダメンタルズの中で少しばかり進行する円安、または円高が進行しなかったことであると推測する。

売り主体
(1)個人
現先総合 3111億円の売り越し
現物現金 2231億円の売り越し
信用    141億円の買い越し
先物    922億円の売り越し
個人は今年に入ってから25週中23週で逆張り。スイングトレーダーは信用で少し買い越しているが、先物は大きく売り越していた。2万円台になると深追いせずに利食ったのであろう。現物現金には売り一辺倒の高年齢富裕者層を中心に、上値で大量に売り指値を置いていたようである。

売り主体
(2)投信
現先総合 2046億円の売り越し
現物    851億円の売り越し
先物   1194億円の売り越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 807億円の純流出(この中の多くの部分が現物株の解約売りになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買
野村アセットの「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 650億円前後の売り越し
野村アセットの「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 100億円前後の売り越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 100億円前後の売り越し
この3本を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で900億円前後の売り越し。

上記以外の投信による売買
現物          40億円前後の売り越し
日経平均ラージ先物  100億円前後の売り越し
TOPIXラージ先物 175億円の売り越し
合計         320億円前後の売り越し
この程度の売り越しは、公募、私募の両方の投信による通常売買の合計金額の範囲内であろう。

(*)自己という特殊な部門
6月第3週は買い主体の(2)になった
現先総合 1731億円の買い越し
現物   1986億円の買い越し
先物    255億円の売り越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF 788億円の買い越し
日銀ETF以外の自己 950億円前後の買い越し(現先合計)
950億円という金額は少し大きいので、自己は取引所外で950億円に近い現物かOTCデリバの売りがあった可能性が高い。

裁定売買
東証発表の裁定売買は155億円の裁定形成(現物買い・先物売り)
裁定形成売買を実施した主な証券会社
 裁定形成売買の上位の証券会社
  三菱UFJ400億円、ソシエテ150億円
  ドイツ150億円、野村150億円
 裁定解消売買の上位の証券会社
  みずほ650億円
東証発表の裁定残株数変化から計算した裁定形成売買の推計値
 1100億円前後の裁定形成(現物買い・先物売り)
投資部門別売買状況の現物の自己は1986億円の買い越しである。実際の裁定売買は155億円よりも1100億円に近かった可能性が高い。

6月第3週総合
合計すると、6月第3週は「海外、自己の買い越しvs個人、投信の売り越し」であった。

海外の買い越しは先物での買い越しであり、最も大量に買い越したのは基本は順バリ運用であるUBS本体運用部であった。それ以外では中小口の投機性の強い資金が円安などに反応して日経平均型の先物を中心に買いを入れていた。

売り方は個人と投信。第2週の下げ局面では2部門合計なら買い越しであった。2万円を抜けて上昇した第3週は大量の売り越しになった。下げ局面では日銀ETFも買い支えた。上値では海外が買い越す中、個人と投信が大量の売り指し値をぶつけ、週間の日経平均株価は189円の上昇になった。


株高による損失を減らす政策の必要性
日銀の量的質的金融緩和策には効果がある。第2週の2万円を少し下回ったところでは個人を中心に買い越しを維持していた。しかし、2万円台を抜けて上昇すると個人と投信の現先合計で週間5000億円以上の売り越しになってしまう。これは、金融緩和に効果はあるが、不足しているから起こる現象である。

アベノミクスが始まってから、株高によって100兆円前後というとてつもない国富の損失が発生している。しかし、その損失はほとんど認識すらされていない。ここでテーパリングではなく思い切った金融緩和の強化を実施すれば、国内投資家が上値でも買い越しになる可能性が高まる。海外投資家に安く売った株を高値で買い戻す。実に馬鹿馬鹿しい買いである。しかし、株価上昇による損失拡大とデフレ不況の両方を避けるためには、国内投資家は今からでも買うしか方法がないのである。

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2017年6月第2週 株 コメント

6月第2週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170616

6月第2週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170616

6月第2週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170616

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年6月第2週の株式市場の概況
日経平均株価 19943円 前週末比-70円

前週末金曜にアメリカのNASDAQが大きく下げたことを嫌気して、日本も月曜はハイテク株中心に安く始まる。その後は水曜のアメリカFOMCに対する思惑で上下する展開。FOMCで利上が決定され、声明文もややタカ派傾向であったが、その前に発表されたアメリカの経済指標が弱かったことから円高が進行。株価は乱高下しながら小幅の下げ。木曜のイギリスMPCで利上げ派が増えたことからポンド高、円安が進行。この円安を好感する形で金曜の株価は上昇。週間の日経平均株価は小幅安(TOPIXは4ポイントの上昇だがここでは日経平均株価をベンチマークとする)。

売り主体
(1)海外
現先総合 5721億円の売り越し
現物   2066億円の売り越し
先物   3656億円の売り越し
この週の特徴は、ゴールドマンによる日経平均ラージ先物(6月12日と6月16日)とTOPIXラージ先物(6月12日が大口だが、6月13日-16日にも中口が存在)の大口クロスである。そのメカニズムを下記に説明する。


GS大口クロス20170612-16

これと類似の売買は12月第2週3月第3週,、第4週にもあった。特に3月第3週と共通点が多い。ゴールドマンの日経平均ラージ先物のクロスは1回当たり1万枚が多い。TOPIXラージ先物は必ずしもゴールドマンのクロスという証拠はないが、今回はゴールドマンのクロスと考えてみた。ゴールドマンの大口クロスはSQ週の翌週ないしは翌々週に3回連続で実施されている。

クロスの内容は海外大口顧客による4100億円にものぼる日経平均ラージ先物の売り、OTCデリバ(多分エクイティ・スワップ)の買いという2種類の売買をゴールドマンの東京自己がマッチングしていると考えている。そのような超大口の反対売買が同時に大量に発生するのか、なぜゴールドマンだけに集中しているかなどの疑問は当然起こる。しかし、現時点では海外顧客による先物とOTCデリバの超大口売買をゴールドマン自己がマッチングしたというのが一番説明しやすい。反対売買があれば確認も可能なのであるが、積み上がるばかりである。反対売買は小口で分割して実施済みである可能性も当然ある。ただ、現時点では積み上がりが続いており、将来反対売買がある可能性の方が高いと考えている。

上記の売買があったと仮定して、先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算の海外を比較してみる。


ブログ外資系と海外の比較20170616

上記2種類の差は474億円になった。この程度の差は通常の週でも生じる。ゴールドマンのクロスの買い方が自己でなければ4374億円より少し少ない差があったが、ゴールドマンによるクロスの先物の買い方を自己と考えることによって差は大きく減少した。

ゴールドマンのクロスを除く海外は先物が少し買い越しであるが、買い方の指し値は高かった可能性が高い。後で示すが自己で裁定形成売買が週間で4百数十億円入っているが、その多くは金曜に入っている。円安を材料にして海外が先物を買い、現物の裁定形成買いを引きおこして株価を引き上げた。週間で2066億円の海外の現物売りは大半が月曜-木曜の株価低迷時に出ていた可能性が高い。

買い主体
(2)事法
現先総合 1287億円の買い越し
現物   1359億円の買い越し
先物     72億円の売り越し
大半が自社株買い。大口の自社株買いとしては、キャノン、6月1日-21日、500億円、三菱UFJ(持株会社なので事法に分類)、6月1日-21日、487億円などがあげられる。

(3)個人
現先総合 504億円の買い越し
現物現金 388億円の売り越し
信用   939億円の買い越し
先物    46億円の売り越し
個人は今年に入ってから24週中22週で逆張り。スイングトレーダーを中心に第1週は先物を大幅に買い越していたので、第2週の先物は小幅の売り越し。買残がまだ少なく建て余力のある信用は買い越し。売り一辺倒の高年齢富裕者層が売り続けている現物現金は小幅の売り越し。

自己という特殊な部門
6月第2週は買い主体の(1)になった
現先総合 4169億円の買い越し
現物    683億円の買い越し
先物   3486億円の買い越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF 788億円の買い越し
日銀ETF以外の自己 3400億円前後の買い越し(現先合計)
日銀ETFとゴールドマンの東京自己の先物買いを除く自己 700億円前後の売り越し(現先合計)
最後の700億円前後の売り越しはゴールドマン以外に取引所外で現物やOTCデリバの売買があり、その合計が700億円前後の買い越しであったと推測。

裁定売買
東証発表の裁定売買は489億円の裁定形成(現物買い・先物売り)
裁定形成売買を実施した主な証券会社
裁定形成売買の上位の証券会社
 ソシエテ200億円、三菱UFJ200億円、野村150億円
東証発表の裁定残株数変化から計算した裁定形成売買の推計値
 400億円前後の裁定形成(現物買い・先物売り)
両者の差は小さい。

6月第2週総合
合計すると、6月第2週は「自己、事法、個人の買い越しvs海外の売り越し」であった。

海外は現物では2066億円の売り越しであり、NASDAQの下げや円高を嫌気して売りを出した可能性が高い。しかし株価は日銀ETF、自社株買い、個人信用の買いなどに支えられ、下げ幅は小さかった。金曜に円安が進行したため海外が先物を買い上がり、裁定買いで株価は上昇した。

海外はこれ以外に先物の取引所内とOTCデリバの間でゴールドマンを通して4100億円前後のクロスがあったが、投資部門別売買状況では4100億円前後の自己買い、海外売りと計上されている。これは売り買い均衡で相場に対しては中立であった。

最大の売り越し主体は海外であるが、クロスや先物買いもあり、相場の下げを主導した中心とは言えなかった。相場を上下ともに大きく主導する主体がなく、週間で日経平均株価は70円の下落。小幅というか、ほとんど変わらずで週を終えることになった。

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