2017年5月第3週 株 コメント

5月第3週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170519


Twittter週間先物手口20160519

5月第3週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170519

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年5月第3週の日経平均株価は前週末比293円安の19591円で引けた。この週の下げの原因はトランプ・スキャンダルの拡大であった。第2週の金曜日からその気配は現れていた。それでも16日火曜日までは日本のファンダメンタルズ面の改善を材料にして株価は上昇していた。それが17日水曜日から少しおかしくなりかけていた。この悪材料が一挙に顕在化したのが17日水曜日のNY株価の急落である。円高も進行した。日本株も18日は急落した。日経平均株価は5週ぶりに下げて終わることになった。

5月第3週の最大の買い手は自己であった。現先合計で2007億円の買い越し。うち現物で550億円の買い越し。先物で1457億円の買い越し。

この週の日銀ETFは2241億円の買い越しであった。従って、日銀ETF以外の自己は現先総合で200億円前後の売り越しになる。200億円ならディーラーがポジション調整の売買として許される金額の範囲内であろう。

この週の東証発表の金額では裁定解消売買が253億円、裁定残はそれほど減ってはいないので、その減少株数から計算するとネットの裁定解消売買は150億円前後であったことになる。第3週の裁定売買の規模は小さく、差はあるが無視してよいと思う。東証発表の裁定売買は、裁定解消でみずほ650億円、裁定形成で三菱UFJ250億円、野村100億円、ソシエテ100億円が上位である。みずほは先物全体で600億円の買い越しであり、その大部分は裁定解消の買いであった。

事法は現先合計で629億円の買い越し。うち現物で621億円の買い越し。直近で大型の自社株買い完了の発表は見当たらなかった。自社株買いの予定としては三菱UFJが1か月半の期間に1000億円の買いと発表している。持株会社なので事法に含まれる。三菱UFJを始めとして後日まとめて実施完了の公表があるであろう。第3週は少しばかりの大口と多数の小口を合計すると621億円前後の買いになったわけである。

個人は現先合計で399億円の買い越し。うち現物現金で839億円の売り越し。信用で1006億円の買い越し。先物で232億円の買い越し。個人は今年に入ってから20週中18週で逆張りである。特に信用と先物とが買い越しであった。スイングトレーダーは比較的多めの押し目買いを入れたようだ。基本は売り一辺倒の高年齢富裕者層は現物現金を売り続けている。

海外は現先合計で1081億円の売り越し。うち現物で302億円の買い越し。先物で1382億円の売り越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。
ブログ外資系と海外の比較20170519

先に書いた通り、ソシエテの自己には裁定形成の売りが100億円ある。

その次がドイツである。5月24日の日経QUICKニュースにドイツが日銀にETFを売り、先物を買い戻しているという記事が掲載された。以前からドイツには謎の自己らしき売買が多いことまでは気づいていた。過去を遡ってみると、ドイツの謎の売買と思われたものうち、何割かはETF絡みの売買と考えれば説明ができた。そして本日の手口を見ると、日経平均型はだいたい合うが、TOPIX型は差が大きい。そこでドイツの買いをETF絡みの買いと仮定すると、上記2者の差が少なくなる。こうなると、ドイツは第3週にETFを日銀に売却し、TOPIXラージ先物を買戻していたと考えるのが妥当になる。日銀ETFは日系大手の独占かと思っていたがそうではなかった。金額は確かなことはわからないが、17日と19日のドイツのTOPIXラージ先物買いをETF絡みの裁定解消買いと仮定し、その金額を500億円前後と置いてみた。それでも450億円の差が残るが、他にも外からは区別の付かない自己の買いが存在しているためこの程度の差の発生は不自然ではない。

先物手口概算は、第2週と第3週を比較するため、ツイッターで示した表と同じもの上から2番目に掲載した。

4月第4週の海外による買いは日経平均ラージ先物を中心とする投機筋によるショートカバーの比率が高かった。5月第1週はショートカバーの比率が少し低下し、TOPIXラージ先物中心に持たざるリスクを避けるための買いの比率が高くなった。5月第2週はショートカバーも増えたが、ゴールドマン、UBS、バークレーズ、JPモルガンの4社が大量に買い始めた。この4社は昨年秋以降に大量に買った証券会社でもある。その対象はTOPIXラージ先物が中心である。

UBS以外の3社は年金等の長期性の資金を運用する投資家である。そのうち、情勢が変われば売るつもりの分についてはTOPIXラージ先物を買っていた。この4社は5月8日に日経平均株価が年初来高値を更新した日から大量に買い始めた。持たざるリスクを感じて買う典型的な順バリ手法の買いである。今年に入ってUBSが大量に利食っていたが、ゴールドマンは買い越しており、残りの2社は静観に近かった。

ところが第3週に懸念していたトランプリスクが実際に顕在化してきた。そこで4社のとった戦略は買いポジション縮小のゴールドマン、UBSと、継続買いのバークレーズ、JPモルガンの2手に分かれた。トランプリスク拡大の程度がよくわからない時点では、相場観が分かれるのも当然であろう。

UBSは第3週も少し変わっている。今回もTOPIXラージ先物の一部をモルガンMUFGで売ってUBS証券へと移管(またはギブ・アップ)している。しかし日経平均ラージ先物はフローの売りは多かったが、建玉変化を見るともっと少なかった。UBS証券で売った顧客が他社に建玉移管したのである。この週もUBS本体運用部がTOPIXラージ先物を売ったことはほぼ間違いない。しかし、日経平均ラージ先物の方はUBS本体ではない別の大手顧客が売った可能性が高い。

第3週は株価が下がったためショートカバーも急減した。そのため大口の売買をするゴールドマンとUBSの売りの影響が大きく、海外全体では売り越しになった。

5月第3週の最大の売り手は投信であった。現先合計で1882億円の売り越し。うち現物で1775億円の売り越し。野村総研によると、5月第3週の公募型株式投信は685億円の資金純流出であった。それ以外が1100億円近く売り越している。第2週はそれ以外が800億円近く買い越していた。私募投信が第2週に1000億円前後買い越し、第3週に1000億円前後売り越したと考えるのが一番妥当ではないか。先物ではこれに似た売買を何度か見たことがある。しかし、現物では見た記憶はない。先物で短期の回転売買をするヘッジファンド型の私募投信が、理由はわからないが第2週-第3週は現物で実施したと考えるしかない。投機的売買の損切りの売りである。

投信先物は108億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で65億円の買い越し。TOPIXラージ先物で170億円の売り越し。この週に行われた投信による日経平均ラージ先物の大口売買は下記のようになる。

野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」100億円前後の売り越し。
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」100億円前後の売り越し。

上記の2本で200億円の売り越しである。同種のブルベア型投信で資産規模が大きい野村の1本、大和の2本、シンプレックスの2本を加えると、7本合計で230億円前後の売り越しであった。この7本のブルベア型投信以外の公募、私募投信が合計して日経平均ラージ先物を300億円ほど買い越し、TOPIXラージ先物を170億円売り越していたことになる。特にTOPIXラージ先物は第2週が177億円の買い越しであったので、その反対売買が第3週に出た可能性が高い。このように、先物なら短期の回転売買は時々見られるのである。

合計すると、5月第3週は「自己、事法、個人の買い越しvs投信、海外の売り越し」であった。投信現物も海外先物も第2週に上抜けしたところで大量に買った分があった。それが第3週は雰囲気が怪しくなり、投信現物も海外先物も早めのロスカットと思われる売りが出た。この海外の先物売りはゴールドマンとUBSを通じて大量に出され、海外全体でも売り越しになった。それに対して買い向かったのはスイングトレーダー中心の個人と自社株買いの事法がいた。しかし、この週の株価の下落幅を少なくするのに一番貢献したのは17日-19日に連続して買いを入れた日銀ETFであった。日銀ETF買いがなければ、この週の株価はかなり大幅の下げになっていたに違いない。5月第3週も日銀ETFに支えられて日経平均株価は293円下落と比較的小幅な下げで終えることができた。

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2017年5月第2週 株 コメント

5月第2週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170512

5月第2週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170512

5月第2週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170512
時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年5月第2週の日経平均株価は前週末比438円高の19884円で引けた。連休中の円安進行に加え、7日のフランス大統領選挙でマクロン候補が当選したことを好感して、株価は大きく上昇して始まった。この日に日経平均株価は年初来高値を更新した。その後もアメリカの長期金利が上昇し、円安進行とともに株価も上昇した。週後半は9日にアメリカでコミーFBI長官が突如解任された事件の波紋が広がり、NY株安と円高を引き起こした。12日金曜日はこうした材料を嫌気して下落した。週間では株価は大きく上昇し、4週連続の値上がりで週を終えることになった。

5月第2週の最大の買い手は海外であった。現先合計で1兆3182億円の買い越し。うち現物で5602億円の買い越し。先物で7580億円の買い越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170512

後で示すが、ドイツには自己による裁定の売りが1600億円、ソシエテには自己による裁定の買いが1050億円存在する。この分を修正すると2者の差は520億円。SQのある週は自己の複雑な売買が増えるので、この差が拡大するケースが多い。SQ週で520億円なら差は小さい。

この週の海外によるTOPIXラージ先物の買越額は日経平均ラージ先物の買越額よりも小さい。しかし、パリバが900億円前後の日経平均ラージ先物買い・TOPIXラージ先物売りを実施している。この分を調整すると、実質的な海外による買越額はTOPIXラージ先物の方が大きくなる。

5月第2週の外資系の手口には大きな特徴が見られる。4月第4週の海外による買いは日経平均ラージ先物を中心とする投機筋によるショートカバーの比率が高かった。5月第1週はショートカバーの比率が少し低下し、TOPIXラージ先物中心に持たざるリスクを避けるための買いの比率が高くなった。5月第2週はショートカバーも増えたが、持たざるリスクを避けるための買いが第2週から大幅に増えた。それは買い方に昨年秋以降に大量に買った後、しばらく休んでいた海外顧客による買いがこの週から復活したからだ。薄緑色で塗ったゴールドマン、UBS、バークレーズ、JPモルガン、モルガンMUFGの5社が合計すれば5月第2週になって大挙して買い始めた。この5社は昨年秋以降に大量に買った証券会社である。以前はモルガンMUFGを除く4社を上げることが多かった。4社はもっと前から先物を大量に買っていたことがあるからだ。モルガンMUFGは昨年秋から本格的に買い始めた。その対象はTOPIXラージ先物である。

UBS以外の4社は年金等の長期性の資金を運用する投資家である。核になるポートフォリオ部分は現物で持っている。第2週にも現物を買い越している可能性が高い。情勢が変われば売るつもりの分についてはTOPIXラージ先物を買っている。この4社は5月8日に日経平均株価が年初来高値を更新した日から大量に買い始めた。持たざるリスクを感じて買う典型的な順バリ手法の買いである。ゴールドマンの日経平均ラージ先物買いは全く別の種類の顧客であり、HSBCの買いと同様にショートカバーである。

少し変わっているのはUBSである。今回も一部をモルガンMUFGとバークレーズで買ってUBS証券へと移管している。そして日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物を両方買っている。従って、UBS本体運用部が買っていることは間違いない。ただUBS証券での買いの比率が高かった。そのため、一部にUBS本体以外の顧客の買いも混ざっているかもしれない。UBS本体は他の4社とは異なり昨年秋に買った分の多くを一旦利食って利益を確定させている。他の4社も利食いはあったがほんの一部であった。にもかかわらずUBS本体はより高い値段で再び買い始めた。順バリで買って利食いというのが基本戦略のようだ。

繰り返すが、3週連続で海外が大量に買い越した最大の原因は日経平均株価の上昇自体である。インデックスに連動させることができないことを恐れるという持たざるリスクを感じての買いが増えつつある。フランス大統領にマクロン当選という材料はきっかけにすぎない。それでも企業決算が警戒していたほど悪くはなかった、あるいは良かったという環境は忘れてはならない重要な背景である。東芝のような企業が多数存在していたならば、この大量買いはなかった。

信託は現先合計で1043億円の売り越し。うち現物で1288億円の売り越し。先物で245億円の買い越し。クジラの買いがなくなった信託は上がれば売り越す。

自己は現先合計で1722億円の売り越し。うち現物で3836億円の買い越し。先物で5558億円の売り越し。

この週の日銀ETFは787億円の買い越しであった。従って、日銀ETF以外の自己は現先総合で2500億円前後の売り越しになる。

この週の東証発表の金額では裁定形成売買が705億円、裁定残はそれ以上増えているので、その増加株数から計算するとネットの裁定形成売買は3200億円程度であったことになる。東証発表の裁定売買は、裁定形成でドイツ1600億円、野村150億円、裁定解消ではソシエテ1050億円が上位である。

この週の現物と先物の投資部門別売買状況の自己を見ると、裁定売買は3200億円に近かったはずである。この週に先物を売り越しているのは大半が自己と投信である。そして、投信の売り手口は後で示すがだいたいは推測できる。日系大手5社は合計して3種の先物を6500億円も売り越している。従って、投信の先物3308億円売りを除く3200億円売りの大半は自己の売りということになる。そして投信先物の売りの手口は後で記すようにだいたいはわかる。先物は野村、日興、大和の順に売りが多い。野村と大和の何割かは投信の売りである。その分を除く大半は自己の売りであることは間違いない。そしてそのうちの何割かは現物株を買っている。裁定売買としてはほんのわずかしか報告されていないが、裁定残としては東証に報告されているようだ。

先に書いた通り、日銀ETF以外の自己は2500億円の売り越しである。自己の場合、この売り越しに相当する買い越しがあるはずである。具体的には現物の取引所外取引、SGX先物、CME先物、エクイティ・スワップ、上場または非上場のオプション、日経平均リンク債、ETF、ワラント、新規公開株、公募・売出し株などが考えられる。それ以外にディーラーのポジションの一時的な売り越しまたは買い越しということも考えられる。しかし、最近の日銀ETF以外の自己は、週次で見れば売り越し買い越しのどちらか一方に大きく傾くことがある。しかし、少し長い期間を取るとだいたいはゼロに近くなる。すなわち、最近の自己による現先合計での売り越し買い越しの累計はほとんど日銀ETFの買いの累計に一致する。それを示すグラフを下記に掲載する。

日銀ETF以外の自己の累計

2015年に入った頃から緑の線はほぼ横ばいになっている。これは「日銀ETF以外の自己」による現先合計売買をこの頃から累計すればゼロになることを示す。

日本経済新聞では日経平均リンク債絡みの売りやオプションのヘッジ売りが取り上げられている。こうした売買は毎週存在するに違いない。そして5月第2週に関しては自己のリンク債絡みの売り越しが2500億円あったかもしれない。しかし、近い将来2500億円近い買いが間違いなく入る。リンク債にしろオプションにしろ、売りだけが短期間に1兆円も出ることは100%ありえない。仮にリンク債絡みで1週間に1兆円の売りが出たとしても、同じ週にロールオーバーのような買いが1兆円近く入り、差し引きは多くても2500億円の売り越しである。そして近い将来に2500億円の追加の買いが入る。

以上のことは過去2年強の期間なら事実であり、リンク債などの売りに怯える必要は全く存在しない。先に例示したように、自己が取り扱っている商品はリンク債以外にも多数存在し、その売り越し買い越し合計の金額を見る必要がある。その金額にほぼ等しい日銀ETF以外の自己による現先合計の買越額累計が過去2年強ではゼロに近かったのである(リンク債のデルタヘッジを海外自己が行うことがあるが、これは海外の売買に属するので別次元の話になる)。

個人は現先合計で4555億円の売り越し。うち現物現金で5027億円の売り越し。信用で73億円の売り越し。先物で545億円の買い越し。個人は今年に入ってから19週中17週で逆張りである。ただ先物は買い越しであり、信用の売越額も小さい。スイングトレーダーは全体として売り買いトントンに近かったと思われる。現物現金で大幅に売り越しているのは、基本は売り一辺倒の高年齢富裕者層による売りが中心であろう。

5月第2週の最大の売り手は投信であった。現先合計で5026億円の売り越し。うち現物で1718億円の売り越し。野村総研によると、5月第2週の公募型株式投信は2492億円の資金純流出であった。それ以外が800億円近く買い越している。私募投信が買い越したことにしておく。この買いを加えても、年初来合計では私募投信と思われる投信の現物売買の累計は売り越しである。

投信先物は3308億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で3478億円の売り越し。TOPIXラージ先物で177億円の買い越し。この週に行われた投信による日経平均ラージ先物の大口売買は下記のようになる。

野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」1600億円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」400億円前後の売り越し。
大和投信 「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」450億円前後の売り越し。

上記の3本で2450億円の売り越しである。同種のブルベア型投信で資産規模が大きい野村の1本、大和の1本、シンプレックスの2本を加えると、7本合計で2800億円前後の売り越しであった。この7本のブルベア型投信以外の公募、私募投信が合計して日経平均ラージ先物を700億円ほど売り越し、TOPIXラージ先物を177億円買い越していたことになる。日経平均ラージ先物の売りには純資産の小さなブルベア型投信の売りがいくらか混ざっている可能性が高い。

合計すると、5月第2週は「海外の買い越しvs個人、投信、自己、信託の売り越し」であった。海外の買いの多くは持たざるリスクを感じての買いであり、ショートカバーも一部にはあった。株価が上がったことが最大の理由ではあるが、ファンダメンタルズの改善も忘れてはならない買いの背景である。国内はほとんど総売りに近い状況であった。何度も繰り返し書いているが、戻れば売りというのはヒステリシスである。28年間右肩上がりでない相場が続いている。こうした環境下では、株価が上昇した時に持たざるリスクを恐れて買うような投資家は、とっくの昔に大損して株式市場から退出ないしは追放されている。国内投資家はごく一部の特殊な投資家を除けば、戻れば売るしか生き残る方法が存在しなかったのである。5月第2週も過去と同じパターンで週間の日経平均株価は438円上昇して終えた。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

2017年5月第1週 株 コメント

5月第1週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170502

5月第1週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170502

5月第1週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170502

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年5月第1週の日経平均株価は前週末比249円高の19446円で引けた。連休中の谷間の2営業日で大きな材料は出なかった。相場を動かした材料としては1日の前場に出たアメリカ暫定予算成立のニュースくらいであろう。通常なら無視される材料であるが、この週はこの程度の材料でも円安株高が進行した。そのまま強含みの相場が続き、3週連続の値上がりで週を終えることになった。

5月第1週の最大の買い手は海外であった。現先合計で3355億円の買い越し。うち現物で1583億円の買い越し。先物で1772億円の買い越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170502

後で示すが、ドイツには自己による裁定の売りが100億円存在する。この分を修正すると2種類の数字が第1週はかなり近い。この2種類の数字は近い週と遠い週がある。遠い週では外資系の東京自己が先物とセットで取引所外を通じて大口の売買を実施しているケースが多い。近い週はそうした大口売買は少なく、外資系の手口に近い形で海外が売買をしていることになる。

海外の買越額は3355億円であるが、2営業日なので5営業日に直すと8400億円になる。金額としては4月第4週の8546億円を少し下回るだけである。海外は2週連続でかなり大幅に日本株を買い越していた。

しかし買いの中身には少し変化が見られる。4月第4週の海外による買越額の約半分は日経平均型であった。5月第1週は日経平均型が約4分の1にまで低下した。一般論ではあるが、日経平均型の先物はヘッジファンドなどの投機的資金の比率が高い。現物とTOPIXラージ先物には中長期性の投資的式の比率が高い。投機から投資へ、そしてショートカバーから新規の買いへと少しずつ移りつつあるようだ。新規の買いというのは、年金などの中長期性の資金を運用する投資家が持たざるリスクを感じたための買いが中心であろう。

どちらにせよ海外が買った理由は、新しい材料が出たというよりは、株価が上がったこと自体が呼びこんだ買いが多い。それでもファンダメンタルズ面が悪化することなく、改善が続いていたことがその前提条件として存在していた。

2営業日なので金額が少なく、先物手口概算から読み取れる内容は少ない。ただ、昨年の秋にゴールドマンを中心に買い上がった少数の海外顧客は5月第1週に大きくは買っていない。なお、UBSはその多くをUBS証券で買っている。大半を他社で買って建玉移管ではないので、UBS本体運用部の買いではないと思う。

自己は現先合計で431億円の売り越し。うち現物で731億円の買い越し。先物で1162億円の売り越し。

この週の日銀ETFは24億円の買い越しであった。従って、日銀ETF以外の自己は現先総合で450億円前後の売り越しになる。2営業日なのでよくわからないが、いつもの通りにディーラーのポジション調整の売買として許される範囲内の金額ということにしておく。

この週の東証発表の金額では裁定形成売買が457億円、裁定残はそれ以上増えているので、その増加株数から計算するとネットの裁定形成売買は1000億円程度であったことになる。東証発表の裁定売買は、裁定形成でみずほ250億円、野村100億円、ドイツ100億円が上位である。投資部門別売買状況の現物と先物の自己を見る限りでは、裁定形成売買は457億円よりは1000億円の方が近い。みずほのTOPIXラージ先物に650億円の売りが見えるが、国内機関投資家によるTOPIXラージ先物の売りは銀行に少しあるだけである。おそらく650億円の売りの大半は自己の裁定の売りであったと思われる。東証発表の数字との400億円の差は、時間差などがあって裁定売買とは報告しなかったのであろう。

投信は現先合計で490億円の売り越し。うち現物で169億円の売り越し。野村総研によると、5月第1週の公募型株式投信は131億円の資金純流出であった。この週は売りの大半が解約に伴う売りであった。

投信先物は321億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で477億円の売り越し。TOPIXラージ先物で150億円の買い越し。この週に行われた投信による日経平均ラージ先物の大口売買は下記のようになる。

野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」350億円前後の売り越し。

同種のブルベア型投信で資産規模が大きい野村の2本、大和の2本、シンプレックスの2本を加えると、7本合計で400億円前後の売り越しであった。この7本のブルベア型投信以外の公募、私募投信が合計して日経平均ラージ先物を80億円ほど売り越し、TOPIXラージ先物を150億円買い越していたことになる。

4月第4週の最大の売り手は個人であった。現先合計で2063億円の売り越し。うち現物現金で707億円の売り越し。信用で176億円の売り越し。先物で186億円の売り越し。個人は今年に入ってから18週中16週で逆張りである。

合計すると、5月第1週は「海外の買い越しvs個人、投信の売り越し」であった。この週は大きな材料が出ていないので、海外の買いの多くは株価が上がったことを理由とする買いであろう。4月第4週はショートカバーの比率が高かった。5月第1週はその比率が減少し、代わりに持たざるリスクを感じての買いの比率が高まった。国内勢は個人を中心に引き続き売り向かった。いつも書いているように、戻れば売りというのはヒステリシスである。28年間右肩上がりでない相場が続いている。そうした環境下では、戻れば売るしか生き残る方法が存在しない。5月第1週も過去と同じパターンで週間の日経平均株価は249円上昇することになった。

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ジャンル : 政治・経済

2017年4月第4週 株 コメント

4月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170428

4月第4週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170428

4月第4週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170428


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年4月第4週の日経平均株価は前週末比576円高の19197円で引けた。この週の最大の材料は23日日曜日に実施されたフランス大統領選挙の結果であった。マクロントップ、メランション落選という結果のため、フランスEU脱退の可能性が大きく低下した。ドイツではDAX指数が上昇し、過去最高値を更新した。NY株価も上昇した。ユーロ高が進行したことから円レートは対ユーロのみならず対ドルでも下落した。この材料を好感する形で日経平均株価は24日月曜日、25日火曜日に大きく上昇した。この上昇を維持し、大きく値上がりしたまま週を終えることになった。

4月第4週の最大の買い手は海外であった。現先合計で8546億円の買い越し。うち現物で2850億円の買い越し。先物で5697億円の買い越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170428

後で示すが、ドイツには自己による裁定の売りが400億円存在する。この分を修正すると2つの数字が第4週はかなり近い。外資系による裁定以外の自己の売買、日系大手に流れた海外の売買、外資系が国内機関投資家から受けた売買、この3種類の売り合計と買い合計の差が少ないと必然的に近くなる。

この週の海外による買いは現物よりも先物の割合が高く、中でも日経平均ラージ、ミニ先物の買い越しが多い。海外が現物とTOPIXラージ先物を中心にして買い上がった昨年秋とは明らかに異なるメンバーが買っている。昨年秋はゴールドマンのTOPIXラージ先物買いに見られるように、年金などの長期性の資金が現物を買い、その上で中短期的には売ることをも想定してTOPIXラージ先物を買っていた。

4月第4週はゴールドマンが最大の先物の買い手とはいえ、買っているのは日経平均ラージ先物が中心である。大手証券先物手口概算の上位5社のうち、ゴールドマン、HSBC、クレディ・スイスは証券会社合計で日経平均ラージ先物の売り建玉を持っていた。JPモルガンとソシエテは合計では買い建玉を持っているが、両社とも客層は広く、中には売り建玉を持っていた投資家もいたはずである。第4週の買いは、中短期性の投機性の強い資金の買いであり、多くは買い戻しであったと思われる。現物とTOPIXラージ先物については、日経平均型の先物ほどではないと思うが、投機的資金が一定程度含まれていた可能性が高い。フランス大統領選挙で3度目のまさかが発生する可能性が大きく低下した。この材料をきっかけにして海外の投機筋が買い戻しにきたのであろう。すると買いが買いを呼ぶ形で、株価の上昇が続いた。

自己は現先合計で763億円の買い越し。うち現物で1942億円の買い越し。先物で1180億円の売り越し。

この週の日銀ETFは60億円の買い越しであった。従って、日銀ETF以外の自己は現先総合で700億円前後の買い越しになる。日銀ETF以外の自己というのは、後で示すが4月月間では売り越しである。それでももう少し長い期間で見るとプラスマイナスはゼロに近い。一方、週次では大幅な買い越し、売り越しがよくある。4月第1週、第2週と日銀ETF以外の自己は大きく売り越していた。その一部が第3週と第4週に買い戻してきた可能性が高い。

この週の東証発表の金額では裁定形成売買が872億円、裁定残はそれほど増えていないので、その増加株数から計算するとネットの裁定売買は600億円程度であったことになる。東証発表の裁定売買は、裁定形成で三菱UFJ550億円、ドイツ400億円、野村100億円、裁定解消ではみずほ200億円が上位である。投資部門別売買状況の現物と先物の自己を見る限り、裁定売買は600億円よりも872億円に近い。広義裁定まで含めるともっと多くの現物買い、先物売りがあった可能性が高い。

信託は現先合計で1145億円の売り越し。うち現物で6億円の売り越し。先物で1138億円の売り越し。クジラという特殊な投資家が買わなくなった以上、信託は株価が戻ればどうしても売ってしまう。

投信は現先合計で1901億円の売り越し。うち現物で556億円の買い越し。野村総研によると、4月第4週の国内株式型の公募投信は415億円の資金純流出であった。この週は私募投信が970億円ほど買い越していた可能性が高い。普段より金額がかなり大きい。他に根拠はないが、こう考えるしか説明のしようがない。

投信先物は2457億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で2311億円の売り越し。TOPIXラージ先物で136億円の売り越し。この週に行われた投信による日経平均ラージ先物の大口売買は下記のようになる。

野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」1500億円前後の売り越し。
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」150億円前後の売り越し。
大和投信「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」200億円前後の売り越し。

上記の3本で1850億円の売り越しになる。同種のブルベア型投信で資産規模が大きい野村の1本、大和の1本とシンプレックスの2本を加えると、7本合計で2000億円前後の売り越しであった。この7本のブルベア型投信以外の公募、私募投信が合計して日経平均ラージ先物を300億円ほど売り越し、TOPIXラージ先物を136億円売り越していたことになる。

4月第4週の最大の売り手は個人であった。現先合計で5348億円の売り越し。うち現物現金で3470億円の売り越し。信用で979億円の売り越し。先物で899億円の売り越し。個人は今年に入ってから17週中15週で逆張りである。

合計すると、4月第4週は「海外の買い越しvs個人、投信、信託の売り越し」であった。フランス大統領選挙の結果を見て、海外が投機筋を中心に一気に買い戻しを始めた。国内は個人を中心に売り向かった。バブル崩壊後28年間に頻繁に起こったパターンと同じであった。ここまで長く続くと国内投資家の戻れば売りは強固なヒステリシスとなり、行動パターンを変えるのが難しくなる。株価が右肩上がりではない相場が続く限り、生き残るためには戻れば売るしか方法は存在しないのである。4月第4週は、過去と同じパターンで週間の日経平均株価は576円上昇することになった。


4月月間

投資部門別コメント月次20170428

記録にとどめておくべき事項、数字。

投信現物
野村総研によると、4月の公募型日本株投信は350億円の資金純流出。

投信による日経平均ラージ先物売買
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」100億円前後の売り越し。
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信(野村インバースETF)」1100億円前後の買い越し(ダブルではなくシングルの方。機関投資家の解約に伴う買い)。
大和投信「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」100億円前後の売り越し。
上記を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で1050億円の買い越し。

事法部門での自社株買い
NTTによる432億円の買いが一番大口。

自己
日銀ETFが5315億円の買い。

裁定売買(大部分が自己、一部は海外)
東証発表 裁定形成売買の金額合計 263億円(現物買い・先物売り)。
東証発表 裁定残株数変化からの裁定解消売買推計値 2200億円前後(現物売り・先物買い)。

4月月間では、「海外6055億円、自己2118億円(うち日銀ETF5315億円)の買い越しvs個人8254億円、信託1699億円の売り越し」で、日経平均株価は287円上昇して引けた。

投資部門別売買状況のアノマリー
では、現物株売買の長期平均をとると4月は「海外買い越しvs個人売り越し」で株価上昇であった。平均値でしかないことから、過去においてはそうした傾向が強かっただけであり、将来を確実に予想できるものではない。2017年4月は過去においては比較的よく起こったパターンと同じことが実際に起こった。

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ジャンル : 政治・経済

2017年4月第3週 株 コメント

4月第3週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170421

4月第3週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170421

週足株価ブログ用20170421

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年4月第3週の日経平均株価は前週末比285円高の18621円で引けた。この週のNY株は小幅高、為替レートは小幅の円高であった。株価に間接的には影響があったものの、直接的に影響を与えた材料とは言いにくかった。株価を直接に動かした材料としては、ムニューシン米財務長官の発言があった。18日の寄り前に「長期的に見て強いドルは良いこと」と発言。21日の寄り前にも「税制改革を発表する時期は近い。」と発言した。こうした発言を好感する形で日本の株価は上昇が続いた。日経平均株価は5週連続の下げを記録していたが、6週ぶりに上昇して週を終えることになった。

4月第3週の最大の買い手は投信であった。現先合計で1137億円の買い越し。うち現物で208億円の買い越し。野村総研によると4月第3週の国内株式型の公募投信は27億円の資金純流出であった。私募投信の少しばかりの買い越しを仮定するしかない。

投信先物は930億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1011億円の買い越し。TOPIXラージ先物で87億円の売り越し。この週に行われた投信による日経平均ラージ先物の大口売買は下記のようになる。

野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」500億円前後の買い越し。
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信」200億円前後の買い越し。

上記の2本で700億円の買い越しになる。同種のブルベア型投信で資産規模が大きい野村の1本、大和の2本とシンプレックスの2本を加えると、7本合計で900億円前後の買い越しであった。上記7本以外のブルベア型投信、それ以外の公募投信、私募投信が合計で日経平均ラージ先物を110億円ほど買い越し、TOPIXラージ先物を87億円売り越していたことになる。

自己は現先合計で961億円の買い越し。うち現物で1866億円の売り越し。先物で2827億円の買い越し。

この週の日銀ETFは785億円の買い越しであった。日銀ETF以外の自己は現先合計で200億円前後買い越していたことになる。これはディーラーのポジション調整の売買として許容される範囲内の金額である。

この週の東証公表の統計では裁定解消売買が2148億円入っていた。裁定残はより大きく減少しているので、その減少株数から計算するとネットの裁定売買は2700億円前後の裁定解消売買になる。東証公表の大口裁定売買は、裁定解消がみずほ1100億円、三菱UFJ700億円、野村250億円、ソシエテ100億円、ドイツ50億円であった。この週は裁定以外のプログラム売買(25銘柄以上の同時売買)が1035億円の売り越しであった。従って、裁定解消売買は2700億円に近く、上記以外に550億円ほど広義をも含む裁定解消売りがあった可能性が高い。確かなことはわからない。しかしこの週は外資系の裁定売買が少ない。外資系にはもう少し多くの裁定売買があった可能性が高い。過去の例から1社を選ぶとしたらソシエテである。自己による550億円ほどの裁定解消と報告されていない広義の裁定解消売買があった可能性が高いと見ている。

銀行は現先合計で765億円の買い越し。うち現物で42億円の売り越し。先物で807億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で730億円の買い越し。銀行は4月第1週に日経平均ラージ先物を1214億円売り越していた。第2週の747億円買い、第3週の730億円買いの大部分はその反対売買である。この銀行は先物を1社だけで売買しているわけではない。しかし、その半分以上は野村証券で売買していたた可能性が高い。先物手口概算の日経平均ラージ先物における野村の1600億円の買いは、ETF3本が700億円の買いであり、残りの多くが銀行と裁定の買いである。ちなみに、みずほと三菱UFJの先物買いの多くも裁定解消買いであるが、それ以外に同じ銀行の買いも少し含まれていた可能性がある。

海外は現先合計で740億円の売り越し。うち現物で2770億円の買い越し。先物で3510億円の売り越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(2種の先物)の外資系14社を比較し、その中身を自己と海外に分けて考える。

ブログ外資系と海外の比較20170421

自己のところでソシエテに広義の裁定買いがあると考えたのは、上表を頭に入れていたからでもあった。ただし外資系の自己は、パリバ、ドイツ、クレディ・スイス、ゴールドマンなども大きく動くことがある。ソシエテの可能性が一番高いとは思うが、別の外資系の自己であるかもしれない。他の外資系であっても自己の買いなら全く問題はない。裁定とそれ以外の外資系自己の買いを700億円除外すると、上表の2種類の数字はある程度は近い金額になる。

先物手口概算を見ると、売り方のトップはABNアムロクリアリング。これはHFTを含むヘッジファンドの売買の割合が高い会社である。この週の売りはHFTではないが、ヘッジファンドなどの投機の売りの可能性が高い。売り方の2番目はUBS。この週のUBSの売りの多くはUBS証券で売られている。従って他社で売ってUBS証券に移管(またはギブアップ)することが多いUBS本体運用部の売りではない。おそらく、昨年秋の上昇相場時に、UBS本体運用部と共に買い上がった別の大手顧客の売りである可能性が高い。この売りは投機というよりは、中期志向の投資家の売りである。

海外は現物買い・先物売りなので、普通ならばアービトラージ型の売買が多いと推測する。しかし先にも書いたとおり、この週のプログラム売買は1035億円の売り越しである。従って、アービトラージ型の売買もあったとは思うが、多くはない。中心は株価指数ではなく、割安感を感じた個別の現物株を買った海外であり、その合計が最大で2770億円であったと考える。投機も投資もあまり関係なく、両方ともあったと思う。この海外による現物株の買い越し、買い上がりがこの週の日経平均株価を引き上げた最大の原動力であった。

個人は現先総合で2342億円の売り越し。うち現物現金で707億円の売り越し。信用で176億円の売り越し。先物で1459億円の売り越し。個人は今年に入ってから13週目までは連続で逆バリ、14週目から2週連続で順バリの後、16週目で再び逆バリに戻った。

合計すると、4月第3週は「投信、自己、銀行の買い越しvs個人、海外の売り越し」であった。この週は先物に海外と個人を中心に大量の売りが出た。ブルベア型投信と銀行は先物の買い方であった。しかし先物は買いよりも売りの金額の方が大きく、裁定解消売りが2千数百億円も出た。しかし、現物株の買いの力はそれ以上に強かった。17日月曜日の安い時点では日銀ETFが買っていた。その後、最も大量に現物株を買い上がったのは、海外による個別株物色の現物買いの集積であった。海外は現先総合では売り越しであり、普通なら株価を引き下げる主体である。しかしこの週は普通の週ではなかった。株価が上昇した最大の原動力は、裁定解消売りを上回る勢いで現物株の上値を買い上がった海外による買いの力であった。

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