2017年6月第1週 株 コメント

6月第1週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170609

6月第1週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170609

6月第1週 日経平均株価 日中足チャート

週足株価ブログ用20170609

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



2017年6月第1週の株式市場の概況
日経平均株価 20013円 前週末比-158円

前週末のアメリカ雇用統計の結果が少し弱く、円高が進行。月曜は日本でも円高で始まったが、その割には株価の下げは小幅。火曜はNYが下げ、円高も進行したことから下落。それからは木曜のコミーFBI前長官の議会証言、イギリスの総選挙を控えて小動き。コミー証言は予想以上の新たな悪材料は出ず。イギリス総選挙は保守党が過半数割れ、ハングパーラメントという悪い結果。ただこうした悪材料は昨年のブレグジットの経験から織り込み済みで、金曜の株価は上昇。週間の日経平均株価は小幅安。

買い主体
(2)個人
現先総合 1206億円の買い越し
現物現金  865億円の売り越し
信用    821億円の買い越し
先物   1250億円の買い越し
個人は今年に入ってから23週中21週で逆張り。

少し下がると、スイングトレーダーがどっと押し目買いを入れてきた。特に大きく買い越したのが先物であり1250億円の買い越し。これは5月第5週に1154億円の売り越しがあったためであり、ドテン買い越しになった。

後でも触れるが、この週は大口ブルベア型投信7本が1400億円の売り越しであった。先物を売買する個人とブルベア型投信を売買する個人とは重なる場合も多い。6月第1週に関しては重なり、すなわち先物と信用を買って、ブルベア型投信を売った個人は少なかったと考えている。荒っぽく要約すると、先物と信用は短期志向であり、中期志向もあるがやや少なめ。ブルベア型投信は短期もあるが、中期の方がやや多め。この週の個人は短期志向の個人の買いであり、それが信用と先物の買いに現れた。中期志向の個人はブルベア型投信に現れたようにまだ売り向かっていた。現物現金は短中長期志向の全ての投資家が参加。その中で一番影響力が大きいのは原則として売り一辺倒の高年齢富裕者層。そのため個人の現物現金は売り越しになっている。

(3)事法
現先総合 718億円の買い越し
現物   656億円の買い越し
先物    62億円の買い越し
大半が自社株買い。6月に入ってからの6月分の自社株買い終了の発表は数も少なく小口ばかり。7月上旬に6月分をまとめて公表されることになるであろう。

自己という特殊な部門
6月第1週は買い主体の(1)になった
現先総合 1845億円の買い越し
現物   1963億円の買い越し
先物    118億円の売り越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF 1516円の買い越し
日銀ETF以外の自己 300億円前後の買い越し(現先合計)
300億円ならディーラーのポジション調整の売買として許される範囲内の金額。

裁定売買
東証発表の裁定売買は123億円の裁定解消(現物売り・先物買い)
裁定売買を実施した主な証券会社
  裁定解消の上位の証券会社 三菱UFJ1500億円
  裁定形成の上位の証券会社 みずほ1250億円、ドイツ250億円
東証発表の裁定残株数変化から計算した裁定解消売買の推計値
 30億円前後の裁定解消(現物売り・先物買い)
どちらにしろ東証に報告されている狭義の裁定売買は、売り買い合計の差額は小さかった。

メジャーSQのあった週なので、先物売買に占める自己のシェアが25%強と通常の週の2~3倍になっている。その中で自己は裁定売買だけではなく、取引所の内外で様々な種類の売買を実施するので、日銀ETF以外の自己による取引所内取引のポジションは売り買いのどちらかに大きく傾くケースが多い。この週も取引所外で様々な種類の売買があり、それに対応する形で取引所内での売買も増えたはずである。しかし、その売り買い合計の差額がたまたま小さい週になった。メジャーSQがあった週にしては珍しい。後に海外の所でも触れる。

売り主体
(1)投信
現先総合 2764億円の売り越し
現物   1644億円の売り越し
先物   1100億円の売り越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 1511億円の純流出

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買
野村アセットの「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 800億円前後の売り越し
野村アセットの「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 300億円前後の売り越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 200億円前後の売り越し
この3本を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で1400億円前後の売り越し。

上記以外の投信による売買
現物         130億円前後の売り越し
日経平均ラージ先物  500億円前後の買い越し
TOPIXラージ先物 234億円の売り越し
合計         140億円前後の買い越し
日経平均ラージ先物の買い越しの多くはブルベア型投信以外に私募投信と思われる売りが大量にあるので、その一部の買い戻しである可能性が高い。残りは金額が小さく、公募、私募の両方の投信による通常の売買の合計。

売り主体
(2)信託
現先総合 983億円の売り越し
現物   558億円の売り越し
先物   425億円の売り越し
信託方式の自社株買いが少しは入っているはずなので、それ以外の通常の信託は売り越し金額はもっと大きくなる。19700円前後の水準の5月第4週は買い越しであったが、それ以外の週は最近では売り越しの週が多い。次の19700円はどうなるかはわからない。基本は株価が大きく下がると、大きく買い越す主体。

売り主体
(3)海外
現先総合 408億円の売り越し
現物   354億円の売り越し
先物    53億円の売り越し
先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170609

外資系の売りと買いを整理して、海外の売買とを比較したが、差は463億円になった。9限月の手口が未公表の日経平均ミニ先物に差が残るが、日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物の差は非常に小さい。自己の所にも書いたが、メジャーSQのある週は外資系の売買の中でも自己の売買の比率が高まる。従って、海外と外資系の売買の間に数千億円レベルの差が発生するのが普通である。今回のSQは特殊であった。外資系も日系大手も自己が大きな売買をしているはずだが、売り買い合計の差額が偶然にも小さい金額であった。

先物手口概算を見て目立つことは、日経平均ラージ先物でのメリル3800億円買いvsゴールドマン3900億円の売りである。今回ほど金額は近くないが、昨年3月のメジャーSQ時から5回連続して現れているパターンである。その内容は次のように推測している。大手の海外顧客が日経平均型で次のSQ時を期限とするエクイティ・スワップをメリルとゴールドマンで正反対の売買をし、少しばかりの裁定の利益を獲得しているのではないか。スワップを受けたメリルとゴールドマンの自己が日経平均ラージ先物でヘッジし、そのポジションをSQ時に閉じている。その金額はSQ時におけるメリルとゴールドマンのポジションから見ると2千数百億程度はあった可能性が高い。

この週の日銀ETFを除く自己の現先総合のポジションに傾きが小さい理由は、これよりももっと複雑な形式が含まれているとは思うが、取引所内だけを合計すると両建ての形成、解消が多かった可能性が高い。そして海外もまた売り買いの両方がある中で、取引所内だけの売り買い合計の差額は408億円の売り越しという絶対値が小さい金額の週となった。自己とは異なり、海外の場合はSQとは無関係であり、全ての週の中でも非常に小さい方である。

6月第1週総合
合計すると、6月第1週は「自己、個人、事法の買い越しvs投信、信託、海外の売り越し」となった。日銀ETFを除く自己による売り買い合計の差額はメジャーSQのある週にしては小さかった。同時に海外の売り越しの金額も小さかった。スイングトレーダーを中心とする個人が買い越したが、投信、信託、個人現物が買い越すにはまだ株価が高すぎた。そして押し目を浅くしたのは、自己に含まれる日銀ETFの買い支えであり、日経平均株価は週間で164円の下落で済むことになった。




(6月23日追記)
6月9日にゴールドマンによる日経平均ラージ先物約1万枚のクロスが存在していた。ゴールドマンのクロスは通常は東京自己買い、海外顧客売りなのであるが、この週に関しては海外自己買い、海外顧客売りと考えるしかない。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

2016年 年間 株 コメント

2016年 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別売買状況2016年

2016年 大手証券 先物売買手口概算
先物手口2016年間

2016年 日経平均株価 日中足チャート
週足株価2016年間ログ用

時系列データ
 投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
 株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
 大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ


2016年の日経平均株価は前年末比81円高の19114円で終えた。ただし、TOPIXは少し値下がりのまま年を終えた。

2016年の最大の買い手は自己であった。現先合計で3.8兆円の買い越し。うち現物で2.4兆円の買い越し。先物で1.4兆円の買い越し。

2016年は日銀ETFによる買いが4.6兆円入っている。従って、日銀ETF以外の自己は0.8兆円前後の売り越しであったことになる。一方、2015年は日銀ETF以外の自己は0.6兆円の買い越しであった。2年間では0.2兆円だけの売り越しになる。自己の中にはいろいろと複雑な取引があるが、2年というスパンで見ると売越額又は買越額は大きくはなかったことになる。

なお、2016年の年間では東証発表の実質裁定残(買残-売残)は7.9億株の減少、現物の裁定売買は2.9億株の裁定形成であった。裁定形成売買が入っているにもかかわらず、裁定残は大きく減少。裁定残をETFに替えて日銀に売っているからという説もある。しかし、その動きは夏頃までである。日銀が7月末にETF購入額を年間6兆円に増やした少し後あたりから、裁定形成売買の株数以上に裁定残の株数が増えている。2016年前半は日銀ETFの買いで説明できたが、後半は日銀ETFの買いとは動きが正反対である。理由はよくわからない。裁定残の統計自体がいいかげんで信用のできない統計であることが理由の1つであろう。ただ、自己の先物は年間で1.4兆円の買い越しなので、裁定売買は形成ではなく解消である。2.9億株の裁定形成は間違いであり、7.9億株の裁定解消の方が正確な数字により近かった。

信託は現先合計で2.7兆円の買い越し。うち現物で3.3兆円の買い越し。先物で0.6兆円の売り越し。このうち年間ではなく、1-9月の期間での現物は3.6兆円の買い越し。日銀は資金循環統計で同期間の公的年金の買越額を3.2兆円と推計している。この推計値は少し過大推計であり、実際の買越額はもう少し小さかったと見ているが、それほど実体から大きく離れた数字でもないとも考えている。またトヨタの自社株買いが信託方式で入っており、1-9月で0.7兆円の買い越しになる。すなわち、日銀推計の公的年金とトヨタによる信託方式の自社株買いの2種類の買いの合計が3.9兆円であり、その他もろもろの信託は1-9月に0.3兆円の売り越しであったことになる。2016年の前半は、株価が下落した結果、公的年金を中心に株を大幅に買い越した。しかし、10-12月は、海外主導で株価が大きく上昇したので、信託全体で現物株を0.3兆円売り越していたことになる。

事法は現先合計で2.2兆円の買い越し。大半が自社株買い。

その他法人は0.5兆円の買い越し。従業員持株会が買いの中心。

その他金融は0.3兆円の買い越し。信託や私募投信を通じて株を買っている金融機関はあるが、直接、株を買っている金融機関は大手では思い浮かばない。日銀の資金循環統計では農林水産金融機関、中小企業金融機関等といったところが買い越しになっている。この部門に含まれる大手以外の中小金融機関の小口の買いが積もって0.3兆円の買い越しになったとしか考えられない。

証券会社は0.1兆円の売り越し。東証に会員権を持っていない中小証券の売りである。実際の売りの大半は、中小証券を通じて売買をする個人の売りである。

銀行は0.5兆円の売り越し。取引所内取引では銀行の売り越しは続く。

保険は0.6兆円の売り越し。保険の売り越しは続いている。ただ日銀の資金循環統計を見ると、信託勘定では年の前半は買い越していたと思われる。後半は信託勘定でも売り越しの可能性が高い。

海外は現先合計で2.2兆円の売り越し。うち現物で3.7兆円の売り越し。先物で1.5兆円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で0.7兆円の買い越し。日経平均ミニ先物で0.2兆円の買い越し。TOPIXラージ先物で0.7兆円の買い越し。

海外は2016年の株価下落、低迷時すなわち9月以前は大幅な売り越しであった。それが10月以降の株価上昇時には大幅な買い越しになっている。景気敏感で順バリという運用方針は変わっていない。9月以前の売りは現物の割合が高く、10月以降の買いは先物の割合が現物より少しだけ高かった。

9月以前の売りは、従来の下落時よりも現物売りの金額が大きかった。この売りの何割かはオイルマネーの売りであった可能性が高い。売り切りであり、買い戻しはほとんどなかったと思われる。そのため、海外現物は年間でも大幅な売り越しになった。

海外先物は、2016年秋からの上昇局面ではUBS、ゴールドマン、JPモルガン、バークレーズという4社の買いが特に目立った。しかし、年を通して見ると、最も大幅に買い越したのはJPモルガンの1.2兆円の買いであった。JPモルガンは年の後半に買い越しであっただけではなく、前半も買い越しであったため、年を通してなら最大の買い手になった。他の3社は年の前半に大きく売り越していた。UBSはUBS本体運用部の売買が多くを占める。しかし、年間では売り越しであり、日経平均ラージ先物買い・TOPIXラージ先物売りになっている。秋以降のUBSは両先物を買い越しながら、日経平均ラージ先物の買いの比率が高かった。これはUBS本体運用部が日経平均ラージ先物の割合を増やしたのか、全く別の顧客が買ったのか、現時点では区別がつかない。UBS以外の3社は年金などの長期性の資金が中期的観点からTOPIXラージ先物を中心に売買をしていると考える。

ニューエッジは2016年2月にTOPIXラージ先物で0.5兆円前後の超大口買いがあったことが大きい。メリルリンチは10月にTOPIXラージ先物を0.2兆円前後買ったことが一番寄与している。HSBCは12月だけで先物を0.6兆円売り越しており、外資系証券の中では一番異質の売買行動をとっていた。

投信は現先合計で2.4兆円の売り越し。うち現物で0.4兆円の売り越し。野村総研によると、日本株型公募投信からの資金純流出額は0.5兆円であった。私募投信が少しだけ買い越していた可能性が高い。

投信は先物で2兆円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1.6兆円の売り越し。TOPIXラージ先物で0.4兆円の売り越し。2016年年間の大口投信による日経平均ラージ先物の売買は下記のようになる。

野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」 0.7兆円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」0.2兆円前後の売り越し。
大和投信 「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」 0.1兆円前後の売り越し。

上記3種のファンドだけで合計1兆円の売り越し。他の同種のブルベア型ETFも小幅の売り越しであるが、それを加えたとしても1兆円強くらいであろう。残りの0.6兆円弱の日経平均ラージ先物の売り越しとTOPOXラージ先物の0.4兆円売り越しは、公募投信の売りも一部は含まれているとは思う。ただ金額としては私募投信による売り越しの割合が高かったと思われる。

2016年の最大の売り手は個人であった。現先合計で3.3兆円の売り越し。うち現物現金で3.8兆円の売り越し。信用で0.7兆円の買い越し。先物で0.2兆円の売り越し。

東証の数字は発行市場分を含まない。発行市場は買いしかなく、個人の比率が高い。発行市場も含めた売買金額推定値を日証協が2016年1-9月期までの数字を公表している。この間、発行市場を含まない東証統計では個人現物(含む信用)は0.3兆円の買い越しであった。これに対して発行市場も含めた場合、日証協の推計では0.7兆円の買い越し。それでも10-12月期には東証統計での個人の現物(含む信用)の売越額は3.5兆円。10-12月の戻り相場では個人は大量に売り越した。発行市場を含まない東証統計での個人の現物(含む信用)の売越額は年間3.2兆円である。発行市場を含めても年間2.8兆円弱の売り越しであった可能性が高い。

2016年の個人は週レベルで見た場合、52週中46週で逆バリであった。同時に下げ局面では小幅の買い越し、上げ局面では大幅な売り越し。年間で日経平均株価は小幅の上昇であるが、往って来いの相場では大幅な売り越しになっている。バブル崩壊後の個人は発行市場で買った分を取引所で売り越すというのが基本形であり、発行市場をも含めた売越額はそれほど大きな金額ではなかった。しかし、アベノミクス相場が始まってからは、個人の取引所での売越額は発行市場での購入分を大きく上回る金額になっている。デイトレーダーは売買金額は大きいが、買越額はそれほど大きなものではない。一方、高年齢富裕者層は、下げ局面での買いは少なく、上げ局面では大量に売ってくる。アベノミクス相場が始まって以降、個人の株式離れが本格化している。

2016年年間では「自己3.8兆円、信託2.7兆円、事法2.2兆円の買い越しvs個人3.3兆円、投信2.4兆円、海外2.2兆円の売り越し」であった。

個人は大幅な売り越しである。投信も一部に法人が売買する私募投信が含まれているが、過半は個人が中心に売買をする公募投信の売りである。すなわち、個人マネーは投信を含めても大幅な売り越しであった。個人を中心とする国内投資家が株を大量に売り越す中、買い方の多くは日銀と公的年金であった。これだけ国内投資家が株を売り越したのにもかかわらず株価が下がらなかった理由は、完全な官製相場であったことを意味する。公的資金の買いが入っていなければ、株価は大きく下落していたことは間違いない。その場合、負の資産効果で景気後退が発生していた可能性が高い。

日銀ETF買いについては反対意見が多い。自由な株式市場に対する冒涜という人もいる。しかし、日銀ETFの買いは現在のような環境下では必要なのである。これだけ日銀が買い支えながらも、国内投資家の資金は株式市場から続々と逃げ出している。これはバブルとは正反対の逆バブル現象であり、バブル崩壊の継続と言ってもよい。そして株価が戻れば売りという株式市場のヒステリシスの重病が定着してしまっている。その結果、日本の株価は長期で見た場合、諸外国との比較で極端に下がったままの状態が続いている。こうした重要な事実をまず理解する必要がある。

日本の株式市場が陥っている重い病気は、日銀ETF買いという対症療法だけでは治らない。ヒステリシスという恐ろしい病気が定着してしまった以上、その治療をするためには極端な政策を採用しないと治らない。日銀の金融緩和は規模が小さすぎるのである。

この病気を治す方法は、株価を緩やかでよいから右肩上がりの状況をできるだけ長期間維持することしかない。日本以外の国では株価を高値掴みしても、何年か塩漬けにしておけば元に戻る。日本では高値で株を買ってしまうと損をする可能性が非常に高い。損切りのうまい人しか株で儲けることができない。あるいは高値では必ず売り、底値を買うことに徹するしか儲かる方法はない。この20数年間続いた「勝利の方程式」を、株価の長期の右肩上がりを復活させることにより「敗北の方程式」に変えさせる必要がある。

国内投資家の資金をブラックホールのように吸い込む国債という資産がまだ数百兆円規模で日銀の外に残っている。金余りの機関投資家は、金利が非常に低いこの国債の購入に殺到する。そして機関投資家は、この資金運用難こそが日銀の金融緩和の大きな副作用だと主張した。

政府・日銀は、資金の運用先がないと抗議する機関投資家がいた場合、株を売らずに、株を大量に買えと言わなければならなかったのである。これこそが量的緩和のもたらすポートフォリオ・リバランス効果という大変重要な波及ルートでもあった。ところが日本ではあまりにも株価の値下がりが長続きしてきたため、量的緩和がもたらした株式市場に対するポートフォリオ・リバランス効果はプラスではなく、巨大なマイナスが続いたのである。日銀と公的年金以外の国内機関投資家は、アベノミクス相場が開始されてからも株を売り越し続けてきた。もう一つの重要な買い手は、日銀の量的緩和によって資金運用難に陥れることが不可能である海外投資家だけであった。政府・日銀は自分たちが行っている政策がどのようにして効果が発現するのかという一番重要な部分を理解できていなかったのである。

その結果、政府・日銀は資金運用難と主張する機関投資家の意見を聞き入れてしまった。そして機関投資家は株を売り続けた。これは政府・日銀が実施すべき政策とは正反対の政策を採用するという自爆戦略であった。採用すべき政策は、日銀が国債をもっと大量に購入し、機関投資家がしがみつく国債から無理矢理にでもその資金を引き剥がし、株を買わざるをえない状況に追い込まなければならなかったのである。超金余りの機関投資家の資金が継続的に株へと向かい続けるようになれば、株価は右肩上がりが続かざるをえない。そうなってから、ようやく株式市場のヒステリシスは克服され、普通の国へと戻ることができる。そして、この政策を長く続ければ、いずれ必ず株式市場はバブルへと進行して行く。このバブルに近づいた時こそ、日銀はETFを売却し、バブル化を防がなければならない。財政再建にも貢献する。このETF買いの出口戦略こそが大変重要なのである。

日銀は国債もETFも出口戦略なしに大量購入を続けてきた。国債購入の出口戦略がないからこそ9月にはイールドカーブコントロール付き量的・質的緩和というテーパリング色の強い政策に移行せざるをえなかった。日銀「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する代替案というものを提案したのは、出口戦略を明確に示した上で、株式市場をバブル崩壊から救いたかったからである。出口戦略なしに金融緩和を長期間続けることはできない。出口戦略なき日銀ETF買いは、たとえ株価が下がったとしてもいずれはテーパリングに向かわざるをえなくなる。そして株価が上がったとしても、現状では株の主な買い手は海外投資家になる可能性が高い。それでは2015年に実際に起こったように、株価が上昇するほど日本の国富は減少するばかりになる(アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失)。

欧米で研究の進んでいる「物価水準の財政理論」という学説は、ゼロ金利に近い国債の大量発行が株式市場から資金を奪い取り、株価上昇を抑制するという効果が全く考慮されていない。日本では第2次世界大戦終了直後のハイパーインフレ期にも株価上昇率は物価上昇率に遠く及ばず、大半の株主は大損をした。インフレ税は国債や預貯金に課するべきものであり、株にまで課してしまうと経済に対するマイナス効果が非常に大きくなる。日本以外の国で、最近はそのようなマイナス効果は発生していない。「物価水準の財政理論」が日本では全く適用できないとは言わないが、日本経済の異質性が考慮されていない。少なくとも株式市場のヒステリシスの克服をも目指した欧米とは異なる「日本バージョンの物価水準の財政理論」でなければならない。「欧米バージョンの物価水準の財政理論」をそのまま日本に適用してはいけない。

私の日銀「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する代替案という提案がベストの提案であるとは言わない。日銀ETF買いに反対するのは構わない。しかし、代替案なしに反対ばかりで何もしなければ、株価は下落し続け、日本経済もマイナス成長が続いてしまう。この負のスパイラルを容認するわけにはいかない。物価水準の財政理論を安易に採用することもできない。株式市場に深く通じている者であるなら、日本の株式市場を、そして日本経済を救い出すことのできる新しい具体案を競って提案しあうべきである。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

海外投資家による日本株買い越し金額 長期推移 グラフ

日銀 資金循環統計ベース(発行市場も含む) 
海外投資家 日銀資金循環統計201703

財務省 国際収支統計ベース(発行市場も含む) 
海外投資家 国際収支統計201704

東証 投資部門別売買状況ベース(発行市場等は含まない)

海外投資家 投資部門別売買状況201706

2017年7月9日更新


参照 株式売買関連の統計は他にもあります
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次)
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ
 日銀資金循環統計に基づく株式投資部門別売買状況と保有残高グラフ
 株式分布状況調査 年度末と時系列グラフ

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

2017年5月第5週 株 コメント

5月第5週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170602

5月第5週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170602

5月第5週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170602


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



2017年5月第5週の株式市場の概況
日経平均株価 20177円 前週比末比+490円
月曜はアメリカがメモリアルデーで休日のため、週初は薄商い小動き。水曜までは膠着状態。木曜の寄り付き直後から急上昇開始。法人企業統計が良かったからと説明されるが、普通なら株価を動かすほどの大きな材料ではない。しかし木曜からアメリカのNASDAQだけではなく出遅れていたNYダウも過去最高値を更新。世界的な株高となり金曜は大幅上昇で引けた。

買い主体
(1)海外
現先総合 4736億円の買い越し
現物   4282億円の買い越し
先物    453億円の買い越し
先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170602

外資系の売りと買いを整理して、海外の売買とを比較したが、数百億円程度の差は残る。だがこの程度は種々の要因から発生する通常レベルの差の範囲内である。

先物手口概算の売り方の上から2番目はUBS。この日経平均ラージ先物はメリルで売ってUBS証券に建玉移管(またはギブ・アップ)されている。この手法を使うのはUBS本体運用部である可能性が高い。UBS本体運用部は第4週は先物を3000億円以上売り越したが、第5週は800億円前後の売り越しにまで減少した。このUBS本体運用部による売りの減少は、株価が上昇した原因の1つである。

第5週の海外は先物を453億円しか買い越しておらず、現物を4282億円も買い越している。昨年秋以降と5月第1週にゴールドマンのTOPIXラージ先物を中心に大量に買い越してきたグループは、少なくとも第5週に関しては買いの中心ではなかった。別のグループが日本の現物株を大量に買っていた。木曜金曜は世界の多くの国で株価が上昇している。このグループは日本株だけを買ったわけではない。アメリカを中心に世界の株を大量に買い越していた。その中に日本株も必然的に何割か含まれていたというわけであろう。

買い主体
(2)事法
現先総合 748億円の買い越し
現物   763億円の買い越し
先物    15億円の売り越し
大半が自社株買い。6月に入って多数の5月分の自社株買い完了の発表が続く。第4週にも示した三菱UFJの513億円買いが一番大口。それ以外は中小口の買いの集積。

買い主体
(3)銀行
現先総合 413億円の買い越し
現物   155億円の売り越し
先物   567億円の買い越し
現物は小口の持合解消の売りが継続。先物は売りヘッジの買い戻しが中心。中短期の投機的ヘッジの手仕舞い。

特殊部門=自己
現先総合 262億円の売り越し
現物  1087億円の売り越し
先物   825億円の買い越し

日銀ETF 
自己に含まれる日銀ETF 87億円の買い越し
日銀ETF以外の自己 1050億円前後の売り越し(現先合計)
日銀ETF以外の自己は5週連続の売り越し。後に月間で自己による日銀ETF買いが3899億円入っていることを記しているが、月間の自己の現先合計は874億円の売り越し。月間で4773億円の乖離が生じている。しかし、年初来の乖離の合計は1342億円の売り越しでしかない。長い目で見れば、依然としてフラットに近い。自己による様々な複雑な売買の集積の合計としか言いようがない。

裁定売買
東証発表の裁定売買は274億円の裁定解消(現物売り・先物買い)
裁定売買を実施した主な証券会社
  裁定解消の上位の証券会社 三菱UFJ450億円
  裁定形成の上位の証券会社 ドイツ200億円
東証発表の裁定残株数変化からの裁定解消売買の推計値
 1300億円前後(現物売り・先物買い)
2種類の裁定売買の差は毎週ある。自己の現物と先物の投資部門別売買状況の数字を見ても、実際の裁定解消売買は274億円と1300億円の中間の数字としか言いようがない。後で記す月間でもかなりの差がある。東証発表の数字がいいかげんな集計値であることが原因である可能性が一番高い。

売り主体
(1)個人
現先総合 4372億円の売り越し
現物現金 3162億円の売り越し
信用     56億円の売り越し
先物   1154億円の売り越し
個人は今年に入ってから22週中20週で逆張り。第3週、第4週に買い越しと思われたスイングトレーダーも売り越し。基本は売り一辺倒の高年齢富裕者層の現物現金の大量売りは続く。

売り主体
(2)信託
現先総合 678億円の売り越し
現物   522億円の売り越し
先物   156億円の売り越し
信託方式の自社株買いが少しは入っているはずなので、それ以外の通常の信託は売り越し。大きく戻ると売り越しというのは昔からの信託のパターン。

5月第5週総合
合計すると、5月第5週は「海外、事法の買い越しvs個人、信託の売り越し」。第4週に大幅に売り越したUBS本体運用部の売り越し金額が減少する中、木曜日から別の海外が現物株を中心に大量に買い越し始めた。個人と信託は逆バリの売りに徹した。海外が買い越す中、個人と信託を中心とする国内勢が上値の売り指値で売ったため株価は上昇。日経平均株価は週間で490円上昇した。


5月月間

投資部門別コメント月次20170602

記録にとどめておくべき事項、数字

投信現物
野村総研によると、5月の公募型日本株投信は3714億円の資金純流出

投信による日経平均ラージ先物の大口売買
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」
 1800億円前後の売り越し
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信(野村インバースETF)」
 200億円前後の売り越し
大和投信「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 450億円前後の売り越し
上記を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計では2800億円前後の売り越し。

事法部門での自社株買い
三菱UFJによる513億円の買いが一番大口

自己
日銀ETFが3899億円の買い

裁定売買(大部分が自己、一部は海外)
東証発表 裁定形成売買の金額合計 21億円(現物買い・先物売り)
東証発表 裁定残株数変化からの裁定解消売買推計値 1700億円前後(現物売り・先物買い)

5月月間では、「海外1兆9169億円の買い越しvs個人1兆0865億円の売り越し、投信6941億円の売り越し」で、日経平均株価は981円上昇して引けた。


国内投資家による異常な長期大量売り
株価上昇時における現物株の海外の買い越し、個人を中心とする国内投資家の売り越しは1991年以降継続。

株価が大きく戻れば大きく売るというのは国内投資家の非常に強固なヒステリシス。20数年間、右肩上がりではない株式相場が続いている。そうした環境下で株で儲けようとすれば、戻りを売る投資家しか生き残れなかった。例外は事法の自社株買いを始めとしていくつかあるが、戻り売りの金額の方が圧倒的に大きかった。

1991年以降、取引所内で海外は現物株を87兆円買い越し、日銀ETFは14兆円買い越し。これに対する売りを国内投資家の純粋な売り越しとみなすならば、国内投資家による1991年以降の取引所内での現物株の売り越し金額は101兆円になる。この巨額の売り越しの原因は先に書いた通りであるが、大元の原因は日銀による金融緩和の不足。国内投資家の買い指値は上昇しており、金融緩和は明らかに効果がある。しかし、常に不十分のためヒステリシスが長期継続。

現在は異常な金融緩和と言われているが、国内投資家の戻れば売りのヒステリシスと、バブル崩壊後の取引所内での101兆円もの巨額の現物株の売り越しの方がもっと異常。このヒステリシスを解消するためには日銀が量的質的緩和を拡大継続することが望ましい。しかし、海外が売り越すと大騒ぎになるが、国内が売り越しても当たり前すぎで何も言われない。国内投資家の売り越しは空気。国内投資家による巨額の売り越しが異常と感じられなくなっている現状こそが異常。

他方、海外投資家が日本株を買い続ける理由は、世界の中での日本株の極端な値下がり。日本株が世界の株価の中で突出して安い間、海外投資家は日本のファンダメンタルズが改善方向にある間は買い続ける。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

2017年5月第4週 株 コメント

5月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170526

ブログ週間先物手口20170526

5月第4週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170526

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年5月第4週の日経平均株価は前週末比96円高の19687円で引けた。この週も第3週に引き続いてロシアゲート事件と呼ばれることが多くなったトランプ・スキャンダルの影響を受けていた。特に23日火曜日には新たなスキャンダル材料発覚に加え、イギリスでテロ事件が発生したことが相場の重しになった。しかし、アメリカでは政治とは関係の薄い株、すなわちハイテク株を中心に株価が上昇し、NASDAQが過去最高値を更新した。為替レートはほぼ横ばいであった。日本ではトランプリスクとファンダメンタルズの回復の両方を見る形で、週を通しては小幅の上昇で引けた。

5月第4週の最大の買い手は投信であった。現先合計で527億円の買い越し。うち現物で462億円の買い越し。野村総研によると、5月第4週の日本株型の公募投信は260億円の資金純流出であった。

投信先物は64億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で285億円の買い越し。TOPIXラージ先物で214億円の売り越し。この週に行われた投信による日経平均ラージ先物の大口売買は下記のようになる。

野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」250億円前後の買い越し。
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」200億円前後の買い越し。

上記の2本で450億円の買い越しである。同種のブルベア型投信で資産規模が大きい野村の1本、大和の2本、シンプレックスの2本は少し売り越しであったのでこの分を加えると7本合計で400億円前後の売り越しであった。

5月第4週は日本株型の公募投信の設定解約絡みの売買と7本のブルベア型投信以外の公募、私募投信が合計して現物を720億円前後買い越し、日経平均ラージ先物を120億円前後売り越し、TOPIXラージ先物を214億円売り越していたことになる。合計すれば390億円前後の買い越しになる。通常より金額が大きく、正確なことははからない。ただ割合としては私募投信の売買が占める割合が高かったと思われる。

事法は現先合計で524億円の買い越し。うち現物で519億円の買い越し。最近発表された自社株買いで最も大口のものは、三菱UFJ、5月16-31日、513億円の買いである。持株会社なので事法に含まれる。

信託は現先合計で438億円の買い越し。うち現物で406億円の買い越し。トヨタの信託方式の自社株買いが週平均170億円前後入る予定である。それ以外にも信託方式の自社株買いは少しは入る。現物で406億円買い越しだと、信託方式の自社株買い以外だけなら買い越しかどうかもはっきりわからない。

個人は現先合計で274億円の売り越し。うち現物現金で1206億円の売り越し。信用で413億円の買い越し。先物で519億円の買い越し。個人は今年に入ってから21週中19週で逆張りである。スイングトレーダーは信用と先物を中心に買い越しであろう。基本は売り一辺倒の高年齢富裕者層は現物現金を大量に売り続けているので売り越しになった。

銀行は現先合計で320億円の売り越し。うち現物で107億円の売り越し。先物で213億円の売り越し。銀行の先物は投機的なヘッジ売りであり、近い将来に買い戻しが入る。しかし、現物は持ち合い株の縮小が続いており、基本的には小幅の売り越しが続く。

自己は現先合計で465億円の売り越し。うち現物で1186億円の売り越し。先物で721億円の買い越し。

この週の日銀ETFは60億円の買い越しであった。従って、日銀ETF以外の自己は現先合計で525億円前後の売り越しになる。この内容について正確なことはわからない。ここではドイツ証券がETFを500億円買い、先物を500億円売ったと仮定してみる。その内容は後ほど記す。

この週の東証発表の金額では裁定解消売買が657億円、裁定残はそれ以上に減少したので、その減少株数から計算するとネットの裁定解消売買は1100億円前後であったことになる。東証発表の裁定売買は、裁定解消でみずほ250億円、三菱UFJ200億円、野村200億円が上位である。自己の現物と先物の投資部門別売買状況を見る限り、裁定解消売買は657億円よりも1100億円に近い。ドイツの自己が先物を500億円売り越しと仮定しているので、それを除く自己は先物で1200億円前後の買い越し、現物で1186億円の売り越しとなるのでそう考えざるをえない。三菱UFJは日経平均ラージ先物を550億円買い越している。裁定売買との差は350億円。これは投信か信託の買いかもしれないが、自己の広義の裁定解消売買であった可能性の方が高いと考える。

海外は現先合計で1023億円の売り越し。うち現物で221億円の買い越し。先物で1243億円の売り越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170526

5月第3週に示したとおり、ドイツは日銀とETFの売買をする。第3週にETF売り・先物買いを実施した。そこで第4週は新規にETF500億円買い・日経平均ラージ先物250億円売り・TOPIXラージ先物250億円売りと仮定してみた。

第4週は外資系の手口と海外の手口の差が大きい。そこでドイツの売買を上記のように仮定すると、差は減少する。それでもSQ週以外の週にしては大きめの差が残る。理由はいくつか考えられるが、確たる理由はわからない。ドイツのETF裁定500億円というのは決め手となる証拠はない。しかし、現先総合の自己の売越額や裁定解消売買の差額をきれいに埋めてくれる金額であった。実際にあった可能性はそれなりに高いと思う。自己の複雑な売買が多数存在し、複雑な売買の売りと買いの差額が大きくなく、加えてドイツのETF裁定が数百億あったというのがより真実に近い感じがする。

最初の方に5月第2週-第4週の先物手口概算を掲載した。5月第2週は日経平均株価が年初来高値を更新した週でありゴールドマン、UBS、バークレーズ、JPモルガンの4社がTOPIXラージ先物を大量に買い越した。この4社は昨年秋以降にTOPIXラージ先物を大量に買い越した証券会社でもある。第3週は4社のうちゴールドマン、UBSは売り越しに転じたが、バークレーズとJPモルガンは買い越しを維持した。第4週はJPモルガンが売り越しに転じ、バークレーズだけが買い越しを維持した。

第4週の売りの中心はUBSである。UBS証券の売りはクレディ・スイスとメリルで売られた分がUBS証券へと建玉移管(またはギブ・アップ)されている。メリルは最近になって使われ始めたが、クレディ・スイスからUBSへ大量に建玉が移ったという記憶はない。クレディ・スイスは第4週に日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物を7000枚前後ずつ売って、UBS証券に移し替えている。このUBS証券への移管は間違いない。クレディ・スイスの移管枚数が中口小口であるなら、その移管先は必ずしもUBSとは限らず、他の証券会社へ移った可能性が残る。しかし、この週は他社から売り建玉を7000枚ずつ受け入れることが可能な証券会社はUBS1社しかありえないのである。数学的な組み合わせを考えると、クレディ・スイス→UBSの移管が唯一の解になる。だからこそ超大口というのは大変有り難い存在であり、分析する価値のある内容なのである。そしてこれだけ巨額の先物建玉をUBS証券に常時保有する超大口顧客というのはUBS本体運用部以外に考えられない。

UBS本体運用部は5月第2週に大量に買い越したが、第3週と第4週の売りを合計すると、それ以上に売り越している。昨年秋以降に買った分がまだ残っており、残りの何割かも売った。UBS本体運用部は主として順バリ戦略で絶対収益獲得を目指すという大まかな運用方針はあるようだ。この週は逆バリなので順バリという方針は大まかなものにすぎない。巨額の先物を売買しているので、個人運用かチーム運用かはわからない。チーム運用だとしてもそのチームのヘッドのファンドマネージヤーは失敗すると心が乱れてしまう、どこにでもいる普通の平均的なファンドマネージャーである。最近よく話題になるAIなどは参考にしているかもしれないが、巨額の先物売買の最終決定をしているのは人間味溢れる普通のファンドマネージャーである。

ゴールドマンの売りは何社かはわからないが複数の顧客である。大部分はUBSよりも冷静でありTOPIXラージ先物の買い建玉の大半はホールドにしている。しかし中にはUBSのような普通のファンドマネージャーがいて、UBSのようにあわてて短期で売買をする顧客が一部にいるようだ。JPモルガンは第4週に動いたのは日経平均ラージ先物の方が大きい。ここの売買もいくつかの特徴は掴んではいるが、具体的にどのような種類の顧客かまでは掴めていない。

5月第4週の海外は現先合計で1023億円の売り越しである。そのうちUBS本体運用部1社で3000億円強売り越している。第4週はUBS本体運用部が大量に売った週という理解で良いと思う。

合計すると、5月第4週は「投信、事法、信託の買い越しvs海外の売り越し」であった。買い方の投信はブルベア型投信に押し目買いが入ったことだけは確実である。事法は自社株買いが大半である。加えて信託もまた自社株買いの割合が高かったように思われる。国内勢が幅広く小幅な押し目買いを入れ、海外も多くの投資家は買い越しであった。しかし、UBS本体運用部1社だけは先物を3000億円強も売り越した。その結果、5月第4週の日経平均株価は96円の上昇で週を終えることになった。

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