2016年 年間 株 コメント

2016年 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別売買状況2016年

2016年 大手証券 先物売買手口概算
先物手口2016年間

2016年 日経平均株価 日中足チャート
週足株価2016年間ログ用

時系列データ
 投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
 株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
 大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ


2016年の日経平均株価は前年末比81円高の19114円で終えた。ただし、TOPIXは少し値下がりのまま年を終えた。

2016年の最大の買い手は自己であった。現先合計で3.8兆円の買い越し。うち現物で2.4兆円の買い越し。先物で1.4兆円の買い越し。

2016年は日銀ETFによる買いが4.6兆円入っている。従って、日銀ETF以外の自己は0.8兆円前後の売り越しであったことになる。一方、2015年は日銀ETF以外の自己は0.6兆円の買い越しであった。2年間では0.2兆円だけの売り越しになる。自己の中にはいろいろと複雑な取引があるが、2年というスパンで見ると売越額又は買越額は大きくはなかったことになる。

なお、2016年の年間では東証発表の実質裁定残(買残-売残)は7.9億株の減少、現物の裁定売買は2.9億株の裁定形成であった。裁定形成売買が入っているにもかかわらず、裁定残は大きく減少。裁定残をETFに替えて日銀に売っているからという説もある。しかし、その動きは夏頃までである。日銀が7月末にETF購入額を年間6兆円に増やした少し後あたりから、裁定形成売買の株数以上に裁定残の株数が増えている。2016年前半は日銀ETFの買いで説明できたが、後半は日銀ETFの買いとは動きが正反対である。理由はよくわからない。裁定残の統計自体がいいかげんで信用のできない統計であることが理由の1つであろう。ただ、自己の先物は年間で1.4兆円の買い越しなので、裁定売買は形成ではなく解消である。2.9億株の裁定形成は間違いであり、7.9億株の裁定解消の方が正確な数字により近かった。

信託は現先合計で2.7兆円の買い越し。うち現物で3.3兆円の買い越し。先物で0.6兆円の売り越し。このうち年間ではなく、1-9月の期間での現物は3.6兆円の買い越し。日銀は資金循環統計で同期間の公的年金の買越額を3.2兆円と推計している。この推計値は少し過大推計であり、実際の買越額はもう少し小さかったと見ているが、それほど実体から大きく離れた数字でもないとも考えている。またトヨタの自社株買いが信託方式で入っており、1-9月で0.7兆円の買い越しになる。すなわち、日銀推計の公的年金とトヨタによる信託方式の自社株買いの2種類の買いの合計が3.9兆円であり、その他もろもろの信託は1-9月に0.3兆円の売り越しであったことになる。2016年の前半は、株価が下落した結果、公的年金を中心に株を大幅に買い越した。しかし、10-12月は、海外主導で株価が大きく上昇したので、信託全体で現物株を0.3兆円売り越していたことになる。

事法は現先合計で2.2兆円の買い越し。大半が自社株買い。

その他法人は0.5兆円の買い越し。従業員持株会が買いの中心。

その他金融は0.3兆円の買い越し。信託や私募投信を通じて株を買っている金融機関はあるが、直接、株を買っている金融機関は大手では思い浮かばない。日銀の資金循環統計では農林水産金融機関、中小企業金融機関等といったところが買い越しになっている。この部門に含まれる大手以外の中小金融機関の小口の買いが積もって0.3兆円の買い越しになったとしか考えられない。

証券会社は0.1兆円の売り越し。東証に会員権を持っていない中小証券の売りである。実際の売りの大半は、中小証券を通じて売買をする個人の売りである。

銀行は0.5兆円の売り越し。取引所内取引では銀行の売り越しは続く。

保険は0.6兆円の売り越し。保険の売り越しは続いている。ただ日銀の資金循環統計を見ると、信託勘定では年の前半は買い越していたと思われる。後半は信託勘定でも売り越しの可能性が高い。

海外は現先合計で2.2兆円の売り越し。うち現物で3.7兆円の売り越し。先物で1.5兆円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で0.7兆円の買い越し。日経平均ミニ先物で0.2兆円の買い越し。TOPIXラージ先物で0.7兆円の買い越し。

海外は2016年の株価下落、低迷時すなわち9月以前は大幅な売り越しであった。それが10月以降の株価上昇時には大幅な買い越しになっている。景気敏感で順バリという運用方針は変わっていない。9月以前の売りは現物の割合が高く、10月以降の買いは先物の割合が現物より少しだけ高かった。

9月以前の売りは、従来の下落時よりも現物売りの金額が大きかった。この売りの何割かはオイルマネーの売りであった可能性が高い。売り切りであり、買い戻しはほとんどなかったと思われる。そのため、海外現物は年間でも大幅な売り越しになった。

海外先物は、2016年秋からの上昇局面ではUBS、ゴールドマン、JPモルガン、バークレーズという4社の買いが特に目立った。しかし、年を通して見ると、最も大幅に買い越したのはJPモルガンの1.2兆円の買いであった。JPモルガンは年の後半に買い越しであっただけではなく、前半も買い越しであったため、年を通してなら最大の買い手になった。他の3社は年の前半に大きく売り越していた。UBSはUBS本体運用部の売買が多くを占める。しかし、年間では売り越しであり、日経平均ラージ先物買い・TOPIXラージ先物売りになっている。秋以降のUBSは両先物を買い越しながら、日経平均ラージ先物の買いの比率が高かった。これはUBS本体運用部が日経平均ラージ先物の割合を増やしたのか、全く別の顧客が買ったのか、現時点では区別がつかない。UBS以外の3社は年金などの長期性の資金が中期的観点からTOPIXラージ先物を中心に売買をしていると考える。

ニューエッジは2016年2月にTOPIXラージ先物で0.5兆円前後の超大口買いがあったことが大きい。メリルリンチは10月にTOPIXラージ先物を0.2兆円前後買ったことが一番寄与している。HSBCは12月だけで先物を0.6兆円売り越しており、外資系証券の中では一番異質の売買行動をとっていた。

投信は現先合計で2.4兆円の売り越し。うち現物で0.4兆円の売り越し。野村総研によると、日本株型公募投信からの資金純流出額は0.5兆円であった。私募投信が少しだけ買い越していた可能性が高い。

投信は先物で2兆円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1.6兆円の売り越し。TOPIXラージ先物で0.4兆円の売り越し。2016年年間の大口投信による日経平均ラージ先物の売買は下記のようになる。

野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」 0.7兆円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」0.2兆円前後の売り越し。
大和投信 「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」 0.1兆円前後の売り越し。

上記3種のファンドだけで合計1兆円の売り越し。他の同種のブルベア型ETFも小幅の売り越しであるが、それを加えたとしても1兆円強くらいであろう。残りの0.6兆円弱の日経平均ラージ先物の売り越しとTOPOXラージ先物の0.4兆円売り越しは、公募投信の売りも一部は含まれているとは思う。ただ金額としては私募投信による売り越しの割合が高かったと思われる。

2016年の最大の売り手は個人であった。現先合計で3.3兆円の売り越し。うち現物現金で3.8兆円の売り越し。信用で0.7兆円の買い越し。先物で0.2兆円の売り越し。

東証の数字は発行市場分を含まない。発行市場は買いしかなく、個人の比率が高い。発行市場も含めた売買金額推定値を日証協が2016年1-9月期までの数字を公表している。この間、発行市場を含まない東証統計では個人現物(含む信用)は0.3兆円の買い越しであった。これに対して発行市場も含めた場合、日証協の推計では0.7兆円の買い越し。それでも10-12月期には東証統計での個人の現物(含む信用)の売越額は3.5兆円。10-12月の戻り相場では個人は大量に売り越した。発行市場を含まない東証統計での個人の現物(含む信用)の売越額は年間3.2兆円である。発行市場を含めても年間2.8兆円弱の売り越しであった可能性が高い。

2016年の個人は週レベルで見た場合、52週中46週で逆バリであった。同時に下げ局面では小幅の買い越し、上げ局面では大幅な売り越し。年間で日経平均株価は小幅の上昇であるが、往って来いの相場では大幅な売り越しになっている。バブル崩壊後の個人は発行市場で買った分を取引所で売り越すというのが基本形であり、発行市場をも含めた売越額はそれほど大きな金額ではなかった。しかし、アベノミクス相場が始まってからは、個人の取引所での売越額は発行市場での購入分を大きく上回る金額になっている。デイトレーダーは売買金額は大きいが、買越額はそれほど大きなものではない。一方、高年齢富裕者層は、下げ局面での買いは少なく、上げ局面では大量に売ってくる。アベノミクス相場が始まって以降、個人の株式離れが本格化している。

2016年年間では「自己3.8兆円、信託2.7兆円、事法2.2兆円の買い越しvs個人3.3兆円、投信2.4兆円、海外2.2兆円の売り越し」であった。

個人は大幅な売り越しである。投信も一部に法人が売買する私募投信が含まれているが、過半は個人が中心に売買をする公募投信の売りである。すなわち、個人マネーは投信を含めても大幅な売り越しであった。個人を中心とする国内投資家が株を大量に売り越す中、買い方の多くは日銀と公的年金であった。これだけ国内投資家が株を売り越したのにもかかわらず株価が下がらなかった理由は、完全な官製相場であったことを意味する。公的資金の買いが入っていなければ、株価は大きく下落していたことは間違いない。その場合、負の資産効果で景気後退が発生していた可能性が高い。

日銀ETF買いについては反対意見が多い。自由な株式市場に対する冒涜という人もいる。しかし、日銀ETFの買いは現在のような環境下では必要なのである。これだけ日銀が買い支えながらも、国内投資家の資金は株式市場から続々と逃げ出している。これはバブルとは正反対の逆バブル現象であり、バブル崩壊の継続と言ってもよい。そして株価が戻れば売りという株式市場のヒステリシスの重病が定着してしまっている。その結果、日本の株価は長期で見た場合、諸外国との比較で極端に下がったままの状態が続いている。こうした重要な事実をまず理解する必要がある。

日本の株式市場が陥っている重い病気は、日銀ETF買いという対症療法だけでは治らない。ヒステリシスという恐ろしい病気が定着してしまった以上、その治療をするためには極端な政策を採用しないと治らない。日銀の金融緩和は規模が小さすぎるのである。

この病気を治す方法は、株価を緩やかでよいから右肩上がりの状況をできるだけ長期間維持することしかない。日本以外の国では株価を高値掴みしても、何年か塩漬けにしておけば元に戻る。日本では高値で株を買ってしまうと損をする可能性が非常に高い。損切りのうまい人しか株で儲けることができない。あるいは高値では必ず売り、底値を買うことに徹するしか儲かる方法はない。この20数年間続いた「勝利の方程式」を、株価の長期の右肩上がりを復活させることにより「敗北の方程式」に変えさせる必要がある。

国内投資家の資金をブラックホールのように吸い込む国債という資産がまだ数百兆円規模で日銀の外に残っている。金余りの機関投資家は、金利が非常に低いこの国債の購入に殺到する。そして機関投資家は、この資金運用難こそが日銀の金融緩和の大きな副作用だと主張した。

政府・日銀は、資金の運用先がないと抗議する機関投資家がいた場合、株を売らずに、株を大量に買えと言わなければならなかったのである。これこそが量的緩和のもたらすポートフォリオ・リバランス効果という大変重要な波及ルートでもあった。ところが日本ではあまりにも株価の値下がりが長続きしてきたため、量的緩和がもたらした株式市場に対するポートフォリオ・リバランス効果はプラスではなく、巨大なマイナスが続いたのである。日銀と公的年金以外の国内機関投資家は、アベノミクス相場が開始されてからも株を売り越し続けてきた。もう一つの重要な買い手は、日銀の量的緩和によって資金運用難に陥れることが不可能である海外投資家だけであった。政府・日銀は自分たちが行っている政策がどのようにして効果が発現するのかという一番重要な部分を理解できていなかったのである。

その結果、政府・日銀は資金運用難と主張する機関投資家の意見を聞き入れてしまった。そして機関投資家は株を売り続けた。これは政府・日銀が実施すべき政策とは正反対の政策を採用するという自爆戦略であった。採用すべき政策は、日銀が国債をもっと大量に購入し、機関投資家がしがみつく国債から無理矢理にでもその資金を引き剥がし、株を買わざるをえない状況に追い込まなければならなかったのである。超金余りの機関投資家の資金が継続的に株へと向かい続けるようになれば、株価は右肩上がりが続かざるをえない。そうなってから、ようやく株式市場のヒステリシスは克服され、普通の国へと戻ることができる。そして、この政策を長く続ければ、いずれ必ず株式市場はバブルへと進行して行く。このバブルに近づいた時こそ、日銀はETFを売却し、バブル化を防がなければならない。財政再建にも貢献する。このETF買いの出口戦略こそが大変重要なのである。

日銀は国債もETFも出口戦略なしに大量購入を続けてきた。国債購入の出口戦略がないからこそ9月にはイールドカーブコントロール付き量的・質的緩和というテーパリング色の強い政策に移行せざるをえなかった。日銀「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する代替案というものを提案したのは、出口戦略を明確に示した上で、株式市場をバブル崩壊から救いたかったからである。出口戦略なしに金融緩和を長期間続けることはできない。出口戦略なき日銀ETF買いは、たとえ株価が下がったとしてもいずれはテーパリングに向かわざるをえなくなる。そして株価が上がったとしても、現状では株の主な買い手は海外投資家になる可能性が高い。それでは2015年に実際に起こったように、株価が上昇するほど日本の国富は減少するばかりになる(アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失)。

欧米で研究の進んでいる「物価水準の財政理論」という学説は、ゼロ金利に近い国債の大量発行が株式市場から資金を奪い取り、株価上昇を抑制するという効果が全く考慮されていない。日本では第2次世界大戦終了直後のハイパーインフレ期にも株価上昇率は物価上昇率に遠く及ばず、大半の株主は大損をした。インフレ税は国債や預貯金に課するべきものであり、株にまで課してしまうと経済に対するマイナス効果が非常に大きくなる。日本以外の国で、最近はそのようなマイナス効果は発生していない。「物価水準の財政理論」が日本では全く適用できないとは言わないが、日本経済の異質性が考慮されていない。少なくとも株式市場のヒステリシスの克服をも目指した欧米とは異なる「日本バージョンの物価水準の財政理論」でなければならない。「欧米バージョンの物価水準の財政理論」をそのまま日本に適用してはいけない。

私の日銀「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する代替案という提案がベストの提案であるとは言わない。日銀ETF買いに反対するのは構わない。しかし、代替案なしに反対ばかりで何もしなければ、株価は下落し続け、日本経済もマイナス成長が続いてしまう。この負のスパイラルを容認するわけにはいかない。物価水準の財政理論を安易に採用することもできない。株式市場に深く通じている者であるなら、日本の株式市場を、そして日本経済を救い出すことのできる新しい具体案を競って提案しあうべきである。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

海外投資家による日本株買い越し金額 長期推移 グラフ

日銀 資金循環統計ベース(発行市場も含む) 
海外投資家 日銀資金循環統計201702

財務省 国際収支統計ベース(発行市場も含む) 
海外投資家 国際収支統計201704


東証 投資部門別売買状況ベース(発行市場等は含まない)

海外投資家 投資部門別売買状況201704

2017年6月10日更新


参照 株式売買関連の統計は他にもあります
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次)
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ
 日銀資金循環統計に基づく株式投資部門別売買状況と保有残高グラフ
 日本株 株式分布状況調査 2015年度


テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

2017年5月第2週 株 コメント

5月第2週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170512

5月第2週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170512

5月第2週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170512
時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年5月第2週の日経平均株価は前週末比438円高の19884円で引けた。連休中の円安進行に加え、7日のフランス大統領選挙でマクロン候補が当選したことを好感して、株価は大きく上昇して始まった。この日に日経平均株価は年初来高値を更新した。その後もアメリカの長期金利が上昇し、円安進行とともに株価も上昇した。週後半は9日にアメリカでコミーFBI長官が突如解任された事件の波紋が広がり、NY株安と円高を引き起こした。12日金曜日はこうした材料を嫌気して下落した。週間では株価は大きく上昇し、4週連続の値上がりで週を終えることになった。

5月第2週の最大の買い手は海外であった。現先合計で1兆3182億円の買い越し。うち現物で5602億円の買い越し。先物で7580億円の買い越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170512

後で示すが、ドイツには自己による裁定の売りが1600億円、ソシエテには自己による裁定の買いが1050億円存在する。この分を修正すると2者の差は520億円。SQのある週は自己の複雑な売買が増えるので、この差が拡大するケースが多い。SQ週で520億円なら差は小さい。

この週の海外によるTOPIXラージ先物の買越額は日経平均ラージ先物の買越額よりも小さい。しかし、パリバが900億円前後の日経平均ラージ先物買い・TOPIXラージ先物売りを実施している。この分を調整すると、実質的な海外による買越額はTOPIXラージ先物の方が大きくなる。

5月第2週の外資系の手口には大きな特徴が見られる。4月第4週の海外による買いは日経平均ラージ先物を中心とする投機筋によるショートカバーの比率が高かった。5月第1週はショートカバーの比率が少し低下し、TOPIXラージ先物中心に持たざるリスクを避けるための買いの比率が高くなった。5月第2週はショートカバーも増えたが、持たざるリスクを避けるための買いが第2週から大幅に増えた。それは買い方に昨年秋以降に大量に買った後、しばらく休んでいた海外顧客による買いがこの週から復活したからだ。薄緑色で塗ったゴールドマン、UBS、バークレーズ、JPモルガン、モルガンMUFGの5社が合計すれば5月第2週になって大挙して買い始めた。この5社は昨年秋以降に大量に買った証券会社である。以前はモルガンMUFGを除く4社を上げることが多かった。4社はもっと前から先物を大量に買っていたことがあるからだ。モルガンMUFGは昨年秋から本格的に買い始めた。その対象はTOPIXラージ先物である。

UBS以外の4社は年金等の長期性の資金を運用する投資家である。核になるポートフォリオ部分は現物で持っている。第2週にも現物を買い越している可能性が高い。情勢が変われば売るつもりの分についてはTOPIXラージ先物を買っている。この4社は5月8日に日経平均株価が年初来高値を更新した日から大量に買い始めた。持たざるリスクを感じて買う典型的な順バリ手法の買いである。ゴールドマンの日経平均ラージ先物買いは全く別の種類の顧客であり、HSBCの買いと同様にショートカバーである。

少し変わっているのはUBSである。今回も一部をモルガンMUFGとバークレーズで買ってUBS証券へと移管している。そして日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物を両方買っている。従って、UBS本体運用部が買っていることは間違いない。ただUBS証券での買いの比率が高かった。そのため、一部にUBS本体以外の顧客の買いも混ざっているかもしれない。UBS本体は他の4社とは異なり昨年秋に買った分の多くを一旦利食って利益を確定させている。他の4社も利食いはあったがほんの一部であった。にもかかわらずUBS本体はより高い値段で再び買い始めた。順バリで買って利食いというのが基本戦略のようだ。

繰り返すが、3週連続で海外が大量に買い越した最大の原因は日経平均株価の上昇自体である。インデックスに連動させることができないことを恐れるという持たざるリスクを感じての買いが増えつつある。フランス大統領にマクロン当選という材料はきっかけにすぎない。それでも企業決算が警戒していたほど悪くはなかった、あるいは良かったという環境は忘れてはならない重要な背景である。東芝のような企業が多数存在していたならば、この大量買いはなかった。

信託は現先合計で1043億円の売り越し。うち現物で1288億円の売り越し。先物で245億円の買い越し。クジラの買いがなくなった信託は上がれば売り越す。

自己は現先合計で1722億円の売り越し。うち現物で3836億円の買い越し。先物で5558億円の売り越し。

この週の日銀ETFは787億円の買い越しであった。従って、日銀ETF以外の自己は現先総合で2500億円前後の売り越しになる。

この週の東証発表の金額では裁定形成売買が705億円、裁定残はそれ以上増えているので、その増加株数から計算するとネットの裁定形成売買は3200億円程度であったことになる。東証発表の裁定売買は、裁定形成でドイツ1600億円、野村150億円、裁定解消ではソシエテ1050億円が上位である。

この週の現物と先物の投資部門別売買状況の自己を見ると、裁定売買は3200億円に近かったはずである。この週に先物を売り越しているのは大半が自己と投信である。そして、投信の売り手口は後で示すがだいたいは推測できる。日系大手5社は合計して3種の先物を6500億円も売り越している。従って、投信の先物3308億円売りを除く3200億円売りの大半は自己の売りということになる。そして投信先物の売りの手口は後で記すようにだいたいはわかる。先物は野村、日興、大和の順に売りが多い。野村と大和の何割かは投信の売りである。その分を除く大半は自己の売りであることは間違いない。そしてそのうちの何割かは現物株を買っている。裁定売買としてはほんのわずかしか報告されていないが、裁定残としては東証に報告されているようだ。

先に書いた通り、日銀ETF以外の自己は2500億円の売り越しである。自己の場合、この売り越しに相当する買い越しがあるはずである。具体的には現物の取引所外取引、SGX先物、CME先物、エクイティ・スワップ、上場または非上場のオプション、日経平均リンク債、ETF、ワラント、新規公開株、公募・売出し株などが考えられる。それ以外にディーラーのポジションの一時的な売り越しまたは買い越しということも考えられる。しかし、最近の日銀ETF以外の自己は、週次で見れば売り越し買い越しのどちらか一方に大きく傾くことがある。しかし、少し長い期間を取るとだいたいはゼロに近くなる。すなわち、最近の自己による現先合計での売り越し買い越しの累計はほとんど日銀ETFの買いの累計に一致する。それを示すグラフを下記に掲載する。

日銀ETF以外の自己の累計

2015年に入った頃から緑の線はほぼ横ばいになっている。これは「日銀ETF以外の自己」による現先合計売買をこの頃から累計すればゼロになることを示す。

日本経済新聞では日経平均リンク債絡みの売りやオプションのヘッジ売りが取り上げられている。こうした売買は毎週存在するに違いない。そして5月第2週に関しては自己のリンク債絡みの売り越しが2500億円あったかもしれない。しかし、近い将来2500億円近い買いが間違いなく入る。リンク債にしろオプションにしろ、売りだけが短期間に1兆円も出ることは100%ありえない。仮にリンク債絡みで1週間に1兆円の売りが出たとしても、同じ週にロールオーバーのような買いが1兆円近く入り、差し引きは多くても2500億円の売り越しである。そして近い将来に2500億円の追加の買いが入る。

以上のことは過去2年強の期間なら事実であり、リンク債などの売りに怯える必要は全く存在しない。先に例示したように、自己が取り扱っている商品はリンク債以外にも多数存在し、その売り越し買い越し合計の金額を見る必要がある。その金額にほぼ等しい日銀ETF以外の自己による現先合計の買越額累計が過去2年強ではゼロに近かったのである(リンク債のデルタヘッジを海外自己が行うことがあるが、これは海外の売買に属するので別次元の話になる)。

個人は現先合計で4555億円の売り越し。うち現物現金で5027億円の売り越し。信用で73億円の売り越し。先物で545億円の買い越し。個人は今年に入ってから19週中17週で逆張りである。ただ先物は買い越しであり、信用の売越額も小さい。スイングトレーダーは全体として売り買いトントンに近かったと思われる。現物現金で大幅に売り越しているのは、基本は売り一辺倒の高年齢富裕者層による売りが中心であろう。

5月第2週の最大の売り手は投信であった。現先合計で5026億円の売り越し。うち現物で1718億円の売り越し。野村総研によると、5月第2週の公募型株式投信は2492億円の資金純流出であった。それ以外が800億円近く買い越している。私募投信が買い越したことにしておく。この買いを加えても、年初来合計では私募投信と思われる投信の現物売買の累計は売り越しである。

投信先物は3308億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で3478億円の売り越し。TOPIXラージ先物で177億円の買い越し。この週に行われた投信による日経平均ラージ先物の大口売買は下記のようになる。

野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」1600億円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」400億円前後の売り越し。
大和投信 「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」450億円前後の売り越し。

上記の3本で2450億円の売り越しである。同種のブルベア型投信で資産規模が大きい野村の1本、大和の1本、シンプレックスの2本を加えると、7本合計で2800億円前後の売り越しであった。この7本のブルベア型投信以外の公募、私募投信が合計して日経平均ラージ先物を700億円ほど売り越し、TOPIXラージ先物を177億円買い越していたことになる。日経平均ラージ先物の売りには純資産の小さなブルベア型投信の売りがいくらか混ざっている可能性が高い。

合計すると、5月第2週は「海外の買い越しvs個人、投信、自己、信託の売り越し」であった。海外の買いの多くは持たざるリスクを感じての買いであり、ショートカバーも一部にはあった。株価が上がったことが最大の理由ではあるが、ファンダメンタルズの改善も忘れてはならない買いの背景である。国内はほとんど総売りに近い状況であった。何度も繰り返し書いているが、戻れば売りというのはヒステリシスである。28年間右肩上がりでない相場が続いている。こうした環境下では、株価が上昇した時に持たざるリスクを恐れて買うような投資家は、とっくの昔に大損して株式市場から退出ないしは追放されている。国内投資家はごく一部の特殊な投資家を除けば、戻れば売るしか生き残る方法が存在しなかったのである。5月第2週も過去と同じパターンで週間の日経平均株価は438円上昇して終えた。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

2017年5月第1週 株 コメント

5月第1週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170502

5月第1週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170502

5月第1週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170502

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年5月第1週の日経平均株価は前週末比249円高の19446円で引けた。連休中の谷間の2営業日で大きな材料は出なかった。相場を動かした材料としては1日の前場に出たアメリカ暫定予算成立のニュースくらいであろう。通常なら無視される材料であるが、この週はこの程度の材料でも円安株高が進行した。そのまま強含みの相場が続き、3週連続の値上がりで週を終えることになった。

5月第1週の最大の買い手は海外であった。現先合計で3355億円の買い越し。うち現物で1583億円の買い越し。先物で1772億円の買い越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170502

後で示すが、ドイツには自己による裁定の売りが100億円存在する。この分を修正すると2種類の数字が第1週はかなり近い。この2種類の数字は近い週と遠い週がある。遠い週では外資系の東京自己が先物とセットで取引所外を通じて大口の売買を実施しているケースが多い。近い週はそうした大口売買は少なく、外資系の手口に近い形で海外が売買をしていることになる。

海外の買越額は3355億円であるが、2営業日なので5営業日に直すと8400億円になる。金額としては4月第4週の8546億円を少し下回るだけである。海外は2週連続でかなり大幅に日本株を買い越していた。

しかし買いの中身には少し変化が見られる。4月第4週の海外による買越額の約半分は日経平均型であった。5月第1週は日経平均型が約4分の1にまで低下した。一般論ではあるが、日経平均型の先物はヘッジファンドなどの投機的資金の比率が高い。現物とTOPIXラージ先物には中長期性の投資的式の比率が高い。投機から投資へ、そしてショートカバーから新規の買いへと少しずつ移りつつあるようだ。新規の買いというのは、年金などの中長期性の資金を運用する投資家が持たざるリスクを感じたための買いが中心であろう。

どちらにせよ海外が買った理由は、新しい材料が出たというよりは、株価が上がったこと自体が呼びこんだ買いが多い。それでもファンダメンタルズ面が悪化することなく、改善が続いていたことがその前提条件として存在していた。

2営業日なので金額が少なく、先物手口概算から読み取れる内容は少ない。ただ、昨年の秋にゴールドマンを中心に買い上がった少数の海外顧客は5月第1週に大きくは買っていない。なお、UBSはその多くをUBS証券で買っている。大半を他社で買って建玉移管ではないので、UBS本体運用部の買いではないと思う。

自己は現先合計で431億円の売り越し。うち現物で731億円の買い越し。先物で1162億円の売り越し。

この週の日銀ETFは24億円の買い越しであった。従って、日銀ETF以外の自己は現先総合で450億円前後の売り越しになる。2営業日なのでよくわからないが、いつもの通りにディーラーのポジション調整の売買として許される範囲内の金額ということにしておく。

この週の東証発表の金額では裁定形成売買が457億円、裁定残はそれ以上増えているので、その増加株数から計算するとネットの裁定形成売買は1000億円程度であったことになる。東証発表の裁定売買は、裁定形成でみずほ250億円、野村100億円、ドイツ100億円が上位である。投資部門別売買状況の現物と先物の自己を見る限りでは、裁定形成売買は457億円よりは1000億円の方が近い。みずほのTOPIXラージ先物に650億円の売りが見えるが、国内機関投資家によるTOPIXラージ先物の売りは銀行に少しあるだけである。おそらく650億円の売りの大半は自己の裁定の売りであったと思われる。東証発表の数字との400億円の差は、時間差などがあって裁定売買とは報告しなかったのであろう。

投信は現先合計で490億円の売り越し。うち現物で169億円の売り越し。野村総研によると、5月第1週の公募型株式投信は131億円の資金純流出であった。この週は売りの大半が解約に伴う売りであった。

投信先物は321億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で477億円の売り越し。TOPIXラージ先物で150億円の買い越し。この週に行われた投信による日経平均ラージ先物の大口売買は下記のようになる。

野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」350億円前後の売り越し。

同種のブルベア型投信で資産規模が大きい野村の2本、大和の2本、シンプレックスの2本を加えると、7本合計で400億円前後の売り越しであった。この7本のブルベア型投信以外の公募、私募投信が合計して日経平均ラージ先物を80億円ほど売り越し、TOPIXラージ先物を150億円買い越していたことになる。

4月第4週の最大の売り手は個人であった。現先合計で2063億円の売り越し。うち現物現金で707億円の売り越し。信用で176億円の売り越し。先物で186億円の売り越し。個人は今年に入ってから18週中16週で逆張りである。

合計すると、5月第1週は「海外の買い越しvs個人、投信の売り越し」であった。この週は大きな材料が出ていないので、海外の買いの多くは株価が上がったことを理由とする買いであろう。4月第4週はショートカバーの比率が高かった。5月第1週はその比率が減少し、代わりに持たざるリスクを感じての買いの比率が高まった。国内勢は個人を中心に引き続き売り向かった。いつも書いているように、戻れば売りというのはヒステリシスである。28年間右肩上がりでない相場が続いている。そうした環境下では、戻れば売るしか生き残る方法が存在しない。5月第1週も過去と同じパターンで週間の日経平均株価は249円上昇することになった。

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2017年4月第4週 株 コメント

4月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170428

4月第4週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170428

4月第4週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170428


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年4月第4週の日経平均株価は前週末比576円高の19197円で引けた。この週の最大の材料は23日日曜日に実施されたフランス大統領選挙の結果であった。マクロントップ、メランション落選という結果のため、フランスEU脱退の可能性が大きく低下した。ドイツではDAX指数が上昇し、過去最高値を更新した。NY株価も上昇した。ユーロ高が進行したことから円レートは対ユーロのみならず対ドルでも下落した。この材料を好感する形で日経平均株価は24日月曜日、25日火曜日に大きく上昇した。この上昇を維持し、大きく値上がりしたまま週を終えることになった。

4月第4週の最大の買い手は海外であった。現先合計で8546億円の買い越し。うち現物で2850億円の買い越し。先物で5697億円の買い越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170428

後で示すが、ドイツには自己による裁定の売りが400億円存在する。この分を修正すると2つの数字が第4週はかなり近い。外資系による裁定以外の自己の売買、日系大手に流れた海外の売買、外資系が国内機関投資家から受けた売買、この3種類の売り合計と買い合計の差が少ないと必然的に近くなる。

この週の海外による買いは現物よりも先物の割合が高く、中でも日経平均ラージ、ミニ先物の買い越しが多い。海外が現物とTOPIXラージ先物を中心にして買い上がった昨年秋とは明らかに異なるメンバーが買っている。昨年秋はゴールドマンのTOPIXラージ先物買いに見られるように、年金などの長期性の資金が現物を買い、その上で中短期的には売ることをも想定してTOPIXラージ先物を買っていた。

4月第4週はゴールドマンが最大の先物の買い手とはいえ、買っているのは日経平均ラージ先物が中心である。大手証券先物手口概算の上位5社のうち、ゴールドマン、HSBC、クレディ・スイスは証券会社合計で日経平均ラージ先物の売り建玉を持っていた。JPモルガンとソシエテは合計では買い建玉を持っているが、両社とも客層は広く、中には売り建玉を持っていた投資家もいたはずである。第4週の買いは、中短期性の投機性の強い資金の買いであり、多くは買い戻しであったと思われる。現物とTOPIXラージ先物については、日経平均型の先物ほどではないと思うが、投機的資金が一定程度含まれていた可能性が高い。フランス大統領選挙で3度目のまさかが発生する可能性が大きく低下した。この材料をきっかけにして海外の投機筋が買い戻しにきたのであろう。すると買いが買いを呼ぶ形で、株価の上昇が続いた。

自己は現先合計で763億円の買い越し。うち現物で1942億円の買い越し。先物で1180億円の売り越し。

この週の日銀ETFは60億円の買い越しであった。従って、日銀ETF以外の自己は現先総合で700億円前後の買い越しになる。日銀ETF以外の自己というのは、後で示すが4月月間では売り越しである。それでももう少し長い期間で見るとプラスマイナスはゼロに近い。一方、週次では大幅な買い越し、売り越しがよくある。4月第1週、第2週と日銀ETF以外の自己は大きく売り越していた。その一部が第3週と第4週に買い戻してきた可能性が高い。

この週の東証発表の金額では裁定形成売買が872億円、裁定残はそれほど増えていないので、その増加株数から計算するとネットの裁定売買は600億円程度であったことになる。東証発表の裁定売買は、裁定形成で三菱UFJ550億円、ドイツ400億円、野村100億円、裁定解消ではみずほ200億円が上位である。投資部門別売買状況の現物と先物の自己を見る限り、裁定売買は600億円よりも872億円に近い。広義裁定まで含めるともっと多くの現物買い、先物売りがあった可能性が高い。

信託は現先合計で1145億円の売り越し。うち現物で6億円の売り越し。先物で1138億円の売り越し。クジラという特殊な投資家が買わなくなった以上、信託は株価が戻ればどうしても売ってしまう。

投信は現先合計で1901億円の売り越し。うち現物で556億円の買い越し。野村総研によると、4月第4週の国内株式型の公募投信は415億円の資金純流出であった。この週は私募投信が970億円ほど買い越していた可能性が高い。普段より金額がかなり大きい。他に根拠はないが、こう考えるしか説明のしようがない。

投信先物は2457億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で2311億円の売り越し。TOPIXラージ先物で136億円の売り越し。この週に行われた投信による日経平均ラージ先物の大口売買は下記のようになる。

野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」1500億円前後の売り越し。
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」150億円前後の売り越し。
大和投信「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」200億円前後の売り越し。

上記の3本で1850億円の売り越しになる。同種のブルベア型投信で資産規模が大きい野村の1本、大和の1本とシンプレックスの2本を加えると、7本合計で2000億円前後の売り越しであった。この7本のブルベア型投信以外の公募、私募投信が合計して日経平均ラージ先物を300億円ほど売り越し、TOPIXラージ先物を136億円売り越していたことになる。

4月第4週の最大の売り手は個人であった。現先合計で5348億円の売り越し。うち現物現金で3470億円の売り越し。信用で979億円の売り越し。先物で899億円の売り越し。個人は今年に入ってから17週中15週で逆張りである。

合計すると、4月第4週は「海外の買い越しvs個人、投信、信託の売り越し」であった。フランス大統領選挙の結果を見て、海外が投機筋を中心に一気に買い戻しを始めた。国内は個人を中心に売り向かった。バブル崩壊後28年間に頻繁に起こったパターンと同じであった。ここまで長く続くと国内投資家の戻れば売りは強固なヒステリシスとなり、行動パターンを変えるのが難しくなる。株価が右肩上がりではない相場が続く限り、生き残るためには戻れば売るしか方法は存在しないのである。4月第4週は、過去と同じパターンで週間の日経平均株価は576円上昇することになった。


4月月間

投資部門別コメント月次20170428

記録にとどめておくべき事項、数字。

投信現物
野村総研によると、4月の公募型日本株投信は350億円の資金純流出。

投信による日経平均ラージ先物売買
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」100億円前後の売り越し。
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信(野村インバースETF)」1100億円前後の買い越し(ダブルではなくシングルの方。機関投資家の解約に伴う買い)。
大和投信「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」100億円前後の売り越し。
上記を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で1050億円の買い越し。

事法部門での自社株買い
NTTによる432億円の買いが一番大口。

自己
日銀ETFが5315億円の買い。

裁定売買(大部分が自己、一部は海外)
東証発表 裁定形成売買の金額合計 263億円(現物買い・先物売り)。
東証発表 裁定残株数変化からの裁定解消売買推計値 2200億円前後(現物売り・先物買い)。

4月月間では、「海外6055億円、自己2118億円(うち日銀ETF5315億円)の買い越しvs個人8254億円、信託1699億円の売り越し」で、日経平均株価は287円上昇して引けた。

投資部門別売買状況のアノマリー
では、現物株売買の長期平均をとると4月は「海外買い越しvs個人売り越し」で株価上昇であった。平均値でしかないことから、過去においてはそうした傾向が強かっただけであり、将来を確実に予想できるものではない。2017年4月は過去においては比較的よく起こったパターンと同じことが実際に起こった。

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