日銀ウォッチャー報告(2013年3月号)

2013年2月の季節調整後のマネタリーベース平残は、2013年1月比で4兆円増加し、過去最高の132.8兆円になった。  
                                        (日銀HPより)

マネタリーベース平残の推移

昨年3月から今年2月までの季節調整後のマネタリーベース平残の推移を見ると、日銀は、ほぼ順調にマネタリーベースを積み上げている。

2月については、市中資金が8.7兆円の不足のところに、長期国債買いオペと資産買入等の基金の8.9兆円の資産購入により、金融調節後の市中資金は、0.1兆円の資金余剰になった。この資金余剰のため、当座預金残高は、1月末の43.7兆円から、2月末の43.9兆円と、0.2兆円増加した。この当座預金残高の増加を反映して、2月の季節調整後のマネタリーベース平残は、前月比4兆円増加の132.8兆円となった。当座預金残高増加額と季節調整後のマネタリーベース平残の増加額に大きな差がある理由は、2月は季節的にマネタリーベースが大きく減りやすい月であるのにもかかわらず、当座預金残高は少額ながらも増加したからである。

3月の市中資金は、6.4兆円の余剰となる。3月の資金調節では、資産買入等の基金で3.9兆円の資産購入を実施し、資産買入等の基金の国債、短期国債の償還分に当たる3.7兆円をロールオーバーし、資産買入等の基金以外で長期国債を1.8兆円購入し、合計9.4兆円の資産購入と予想する。マネタリーベースの3月末残を2月末残と比較すると、15.8兆円の大幅増加になりそうだ。3月の季節調整後のマネタリーベース平残も、2月比で大幅に増加し、過去最高を更新すると予想する。

4月の市中資金は、季節的には小幅の不足となる。4月のマネタリーベースの末残は、3月の末残より増加と予想する。4月の季節調整後のマネタリーベース平残も、3月から増加となり、過去最高を更新すると予想する。

2月の季節調整後のマネタリーベース平残が過去最高を更新したとはいえ、2月の日銀の資金供給には、疑問を抱かせる点があった。  
                                        (日銀HPより)

資産買入等の基金 月次購入資産の内訳

資産買入等の基金の1月の純増額は、0.3兆円と非常に少なかった。しかしこれは、貸出金の供給で札割れが続発し、資金供給ができなかったことが原因である。それに対して2月の基金の月間の純増額は、2.6兆円である。前月号(*1)で予想した基金の残高の純増額は3.6兆円であった。毎月3.6兆円の純増が5ヶ月間続けば、6月末の基金の残高は、予定の85.5兆円になるという計算であった。その予想より、実際の純増額は1兆円少なかった。内訳でいうと、国債の購入金額が1兆円少なかった。2月の場合は、1月と違って、購入可能である国債を、わざと購入しなかったのである。その結果、基金の保有する国債の前月比の純増額は0.6兆円と、2011年12月以来の低水準となった。

日銀保有の国債の純増額は既に頭打ちになっている。上記の表は前月比の純増額であるが、今度は、やや長い目で見た日銀保有国債の前年比での純増額のグラフを下記に示す。


日銀保有国債 前年比純増額

日銀保有国債の2月の前年比純増額は、22.9兆円、うち資産買入等の基金で22.1兆円、基金以外で0.8兆円となっている。基金以外で毎年21.6兆円の国債を購入しているのであるが、償還が過去1年間に20.8兆円にまで増加したため、基金以外の国債の前年比純増額は1兆円を下回る金額にまで減少してしまった。そうした環境下で、基金で購入する国債の金額も減らしているのである。日銀保有国債の純増額がプラスを維持するかぎり、金融緩和が続いているのであるが、金融緩和の強化は頭打ちになっている。

こうした資金供給のやり方を見ると、白川総裁の本心は、国債の購入額を増やしたくないと考えていると、勘ぐらざるをえない。デフレ脱却に向けての決意が乏しく、制御不能なインフレなどを極度に恐れているとしか考えられない。次期日銀総裁に、白川総裁に近い考え方を持った人物が就任するならば、マネタリーベースはだらだらと増えるかもしれないが、デフレはあと5年以上続き、量的緩和は無意味と結論付けられることになるかもしれない。

市場は、消化試合の局面に入った白川総裁のやり方を完全に無視するようになっている。関心は、次期日銀総裁に就任するであろうと思われる黒田氏の発言のみに注意を向けている。本日の黒田氏の国会での所信聴取では、「総裁に選任されたならば、市場とのコミュニケーションを通じてデフレ脱却に向けてやれることは何でもやる姿勢を明確に打ち出したい。」と発言している。白川総裁は昨年の4月21日に、「中央銀行は国債担保の流動性供給、あるいは国債買い入れを通じて、最終的に際限のない流動性供給に追い込まれる可能性があります。それによる膨大な通貨供給の帰結は、歴史の教えにしたがえば制御不能なインフレです。」と発言している。まさに、レジームチェンジである。

先に3月の季節調整後のマネタリーベースが、2月比で大幅に増加することを示した。しかし、白川総裁の任期である3月19日まではほとんど増加せず、その後、月末にかけて急激に増加するのである。3月21日から3月末にかけて10兆円以上の資金が、国債の償還などを通して政府から市中に資金が流れ込むためである。当座預金残高で見ると、3月19日までの残高は40兆円台の半ばであるが、月末にかけて過去最高の残高を突き抜け、そのまま50兆円台の後半にまで跳ね上がることが、ほぼ間違いなく決まっている。加えて、4月の3日、4日の最初の金融政策決定会合で追加緩和策を打ち出せば、市場にかなりのインパクトを与えることが期待できる。次期総裁の就任時の環境は、大変恵まれたものとなっている。市場との対話を繰り返しながら、2%の物価上昇を是非実現してもらいたい。次期総裁が正式に黒田氏に決定され、黒田氏が日銀内部を掌握するならば、そうした期待を十分に抱くことができるであろう。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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