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賃金低下の原因 その2 労働分配率の低下

賃金低下の原因 その1で記したように日本の賃金は1997年以降、低下が続いている。その最大の原因は、超円高・アジア通貨安である。

2番目の原因として上げたいのが、労働分配率の低下である。

通貨価値を引き下げ、低賃金を維持したアジア諸国に対して、日本企業は賃金引き下げで対抗した。ただ賃金をあまりにも引き下げ過ぎた面がある。それが労働分配率の低下として現れた。



労働分配率


これは21世紀に入ってから、欧米流ROE重視への経営変更の影響が大きい。

欧米はアジアとの輸送コスト障壁があり、アジア通貨安の悪影響が少ない。賃金上昇にも硬直性があり、毎年賃上げがある。

そうした経済においては、ROE重視は意義があった。日本の場合、賃金上昇に硬直性がないのにもかかわらず、ROEが重視された。

バブル崩壊後の長引く不況で、労働組合や雇用者の交渉力は大きく低下した。そこにROE重視経営が加わり、労働分配率はさらに低下することになった。

超円高・アジア通貨安と、それに対抗する企業の行き過ぎた賃金引き下げの結果、日本は低欲望、低消費社会へと移行した。経済成長に必要な需要が慢性的に不足するようになった。低欲望化は少子高齢化も一因だが、慢性的な賃下げがその流れを加速させた。

日本企業は、低消費、低売上に苦しめられ、ますます賃金を上げることができなくなった。低賃金、低消費、低成長の悪循環が続いた。

円高・アジア通貨安の是正がなされた場合、そのメリットを幅広く国民に還元させる必要もある。2013年以降は円安が進行し、コロナショックの少し前までは賃金も上昇した。しかし上昇率は低すぎた。円安のメリットは一部しか雇用者に還元されなかった。そのため、円安はデメリットと考える人が非常に多い。

様々な悪循環を断ち切り、賃金を引き上げる必要がある。現在のような環境下では、ROE以上に労働分配率引き上げへと企業の経営目標を変える方がベターである。

長い目で見れば、賃金上昇は企業の成長と利益拡大へと還元される。可能な限りの労働分配率の引き上げ=賃上げは、企業にとっても、雇用者にとっても、日本全体にとっても、利益になる経営目標である。


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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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