2017年1-3月期 日銀統計 株 コメント

日銀資金循環統計による株式投資部門別売買・保有残高
資金循環統計株コメント201703


(日銀・資金循環統計と東証・投資部門売買状況の比較)
2017年1-3月期の日銀の資金循環統計から、株式投資部門別売買・保有残高の直近分を取り上げ、重要な箇所に色をつけて示した。日銀統計は、東証が公表している投資部門別売買状況という統計ではカバーしていない取引所外取引や株の発行、償却をも含んだ大変貴重な統計である。他方、その推計方法には問題点も数多く存在する。今回も日銀統計の数字をその問題点と合わせて説明することにする。

(ETFによる売買金額の推計方法の変更)
今回から投信と自己の売買の算出方法に大きな変更があった。従来は「資金循環統計の投信の売買」=「東証の投資部門別売買状況における投信の売買」であった。以前、日銀に対して日銀ETFによる買いが投信ではなく、自己に含まれていると伝えた時、それをある程度は認めながらも現体制では算出方法の変更が不可能との理由で変更は行われなかった。それが昨年10-12月期の確報から「資金循環統計の投信の売買=「東証の投資部門別売買状況における投信の売買+投資信託協会のETF設定解約の金額」に変更された。

日銀ETF以外のETFの売り越し買い越し金額を求めたい時、最初に思いつくのが投資信託協会が公表しているETFの設定解約の数字である。ETF関係の売買統計はこれ1種類しか存在しないので、参考にするのは当然であろう。私も何年も前に同じことを考えた。その時の結論は「デタラメすぎて使えない」であった。

投資信託協会は投信による株の売り越し買い越し金額を月次で公表している。これが東証統計による投信の株の売り越し買い越し金額とは大きな乖離がある。東証の数字は全部門の合計がゼロにはならないが、ゼロに比較的近い数字になるので、誤差は大きくない。従って、投資信託協会の投信による株の売り越し買い越し金額がデタラメということになる。ETFの設定解約についても同様にデタラメである可能性が高い。

ただ私のように投資信託協会と東証の株式売買動向を比較したり、毎週ETFの売買をウォッチしていたらデタラメであるというのがすぐにわかる。しかし、こうした特殊な作業をしない大半の人たちにはデタラメさなど見えない。同時にデタラメの可能性が高いという証拠を示すことはできるが、100%デタラメと証明できる証拠は示せない。

今回の投資信託協会の数字を元にした日銀統計の数字によると、日銀ETF以外のETFは昨年10-12月期に1兆円の売り、今年1-3月期に1.4兆円の買いになる。日銀ETFによる買いは昨年10-12月期に1兆4511億円、今年1-3月期に1兆6351億円である。今年1-3月期の日銀ETF以外のETFによる1.4兆円の買いは日銀ETFの買いを少し下回るだけであり、毎週投資部門別売買状況を見ていればありえない数字なのである。

私としては、従来通りに日銀以外に現物を売買するETFの設定解約の合計はゼロという仮定で進めたい。これも間違った推計方法であるが、投資信託協会の統計数字を使う日銀統計よりは多少はベターであると考える。従って、投信の買いは日銀ETF以外のETFが1兆4031億円買って合計で2兆3797億円の買いという日銀統計の数字は否定する。東証統計+日銀ETFの合計値である9765億円をよりマシな数字として提示する。同様に全ETFの買いに等しい金額が証券会社(東証統計の自己)から差し引かれている。日銀統計の証券会社9000億円の売りは間違いで、証券会社-日銀ETF以外のETFの売り(=マイナス1兆4031億円)に等しい5031億円の買いをより正確性の高い数字として提示する。

(家計)
いつも指摘している家計(=個人)の数字を修正したい。日銀統計の家計による買い推計は精度が低く、日証協が算出している「東証統計+公募、売り出し等による購入金額」を推計した値の方が精度が高い。家計は日銀統計の484億円の買いから日証協の数字に等しい3771億円の買いに修正する。

(国内銀行)
今回も国内銀行とそのすぐ下にある農林水産金融機関の数字を修正したい。農林系は売りと買いが交互であるが、株の評価損益に近い調整勘定がTOPIXと連動していない。銀行の連動率も少し低い。農林系は全くのデタラメ、銀行は実態との乖離が大きいことを示す。2017年1-3月期の数字はどちらも信用できない。農林系はデタラメの続きすぎで、信頼できそうな数字が全くない。銀行は1-3月期の4694億円の売りは信用できないが、東証統計の銀行が1647億円の売りであるので、取引所外取引を含めた売りの数字は両者の中間である3000億円前後の売りが一つの目安だと考える。

(年金計)
薄赤色の年金基金は1552億円の売り、公的年金は3466億円の売りである。このうち、公的年金の売り金額は間違いである。7月7日にGPIFと3共済の決算が発表されたが、1500億円前後の買いであった。日銀は今回の速報ではこの決算を見ていないので、確報で修正がある。また、この期間の東証統計の信託の売りが4109億円である。これを考えると年金基金の売りの1552億円は少なすぎであり、倍の3000億円以上はあった可能性が高い。

(保険)
保険は2793億円の売り。東証の保険は1512億円の売りだが、取引所外取引での売りがおそらくあり、この分を加えなければならない。日銀統計の数字が東証統計よりベターな数字として受け入れることにする。

(非金融法人企業)
非金融法人企業は179億円の売り。これに相当する東証の事法とその他法人の合計は3824億円の買い。ただ東証の数字には自社株買いの多くは含まれているが、自社株消却の金額が含まれていない。自社株消却の数字は全くわからないので、日銀の数字がある程度は正確性の高い数字であると信用するしかない。

(海外投資家)
海外は日銀統計では1兆1728億円の売り。東証統計では1兆2386億円の売り。これは発行等や取引所外取引の分をも含めて直接報告を受けている日銀統計の数字が東証統計よりも正確性が高い数字である。

(売買の合計)
以上のことを頭に入れておく必要がある。その上で日銀の資金循環統計に基づく2017年1-3月期における投資部門別売買状況は「投信2兆3797億円(修正後9765億円)の買い越し、家計(個人)484億円(修正後3771億円)の買い越しvs海外1兆1728億円の売り越し、証券会社(=自己)9000億円の売り越し(修正後5031億円の買い越し)」であった。日経平均株価は205円下落して18909円で終えた。この期の投信買いの実体は日銀ETFであるので「日銀ETF買い越しvs海外売り越し」で小幅に下落した期であった。


参照 日銀資金循環統計 株式部門の長期時系列をグラフ化
 日銀 資金循環統計に基づく投資部門別売買状況と保有残高グラフ

参照 株式売買関連の統計は他にもあります
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次)
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ
 株式分布状況調査 年度末と時系列グラフ


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テーマ : 経済
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