2017年5月第2週 株 コメント

5月第2週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170512

5月第2週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170512

5月第2週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170512
時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年5月第2週の日経平均株価は前週末比438円高の19884円で引けた。連休中の円安進行に加え、7日のフランス大統領選挙でマクロン候補が当選したことを好感して、株価は大きく上昇して始まった。この日に日経平均株価は年初来高値を更新した。その後もアメリカの長期金利が上昇し、円安進行とともに株価も上昇した。週後半は9日にアメリカでコミーFBI長官が突如解任された事件の波紋が広がり、NY株安と円高を引き起こした。12日金曜日はこうした材料を嫌気して下落した。週間では株価は大きく上昇し、4週連続の値上がりで週を終えることになった。

5月第2週の最大の買い手は海外であった。現先合計で1兆3182億円の買い越し。うち現物で5602億円の買い越し。先物で7580億円の買い越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170512

後で示すが、ドイツには自己による裁定の売りが1600億円、ソシエテには自己による裁定の買いが1050億円存在する。この分を修正すると2者の差は520億円。SQのある週は自己の複雑な売買が増えるので、この差が拡大するケースが多い。SQ週で520億円なら差は小さい。

この週の海外によるTOPIXラージ先物の買越額は日経平均ラージ先物の買越額よりも小さい。しかし、パリバが900億円前後の日経平均ラージ先物買い・TOPIXラージ先物売りを実施している。この分を調整すると、実質的な海外による買越額はTOPIXラージ先物の方が大きくなる。

5月第2週の外資系の手口には大きな特徴が見られる。4月第4週の海外による買いは日経平均ラージ先物を中心とする投機筋によるショートカバーの比率が高かった。5月第1週はショートカバーの比率が少し低下し、TOPIXラージ先物中心に持たざるリスクを避けるための買いの比率が高くなった。5月第2週はショートカバーも増えたが、持たざるリスクを避けるための買いが第2週から大幅に増えた。それは買い方に昨年秋以降に大量に買った後、しばらく休んでいた海外顧客による買いがこの週から復活したからだ。薄緑色で塗ったゴールドマン、UBS、バークレーズ、JPモルガン、モルガンMUFGの5社が合計すれば5月第2週になって大挙して買い始めた。この5社は昨年秋以降に大量に買った証券会社である。以前はモルガンMUFGを除く4社を上げることが多かった。4社はもっと前から先物を大量に買っていたことがあるからだ。モルガンMUFGは昨年秋から本格的に買い始めた。その対象はTOPIXラージ先物である。

UBS以外の4社は年金等の長期性の資金を運用する投資家である。核になるポートフォリオ部分は現物で持っている。第2週にも現物を買い越している可能性が高い。情勢が変われば売るつもりの分についてはTOPIXラージ先物を買っている。この4社は5月8日に日経平均株価が年初来高値を更新した日から大量に買い始めた。持たざるリスクを感じて買う典型的な順バリ手法の買いである。ゴールドマンの日経平均ラージ先物買いは全く別の種類の顧客であり、HSBCの買いと同様にショートカバーである。

少し変わっているのはUBSである。今回も一部をモルガンMUFGとバークレーズで買ってUBS証券へと移管している。そして日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物を両方買っている。従って、UBS本体運用部が買っていることは間違いない。ただUBS証券での買いの比率が高かった。そのため、一部にUBS本体以外の顧客の買いも混ざっているかもしれない。UBS本体は他の4社とは異なり昨年秋に買った分の多くを一旦利食って利益を確定させている。他の4社も利食いはあったがほんの一部であった。にもかかわらずUBS本体はより高い値段で再び買い始めた。順バリで買って利食いというのが基本戦略のようだ。

繰り返すが、3週連続で海外が大量に買い越した最大の原因は日経平均株価の上昇自体である。インデックスに連動させることができないことを恐れるという持たざるリスクを感じての買いが増えつつある。フランス大統領にマクロン当選という材料はきっかけにすぎない。それでも企業決算が警戒していたほど悪くはなかった、あるいは良かったという環境は忘れてはならない重要な背景である。東芝のような企業が多数存在していたならば、この大量買いはなかった。

信託は現先合計で1043億円の売り越し。うち現物で1288億円の売り越し。先物で245億円の買い越し。クジラの買いがなくなった信託は上がれば売り越す。

自己は現先合計で1722億円の売り越し。うち現物で3836億円の買い越し。先物で5558億円の売り越し。

この週の日銀ETFは787億円の買い越しであった。従って、日銀ETF以外の自己は現先総合で2500億円前後の売り越しになる。

この週の東証発表の金額では裁定形成売買が705億円、裁定残はそれ以上増えているので、その増加株数から計算するとネットの裁定形成売買は3200億円程度であったことになる。東証発表の裁定売買は、裁定形成でドイツ1600億円、野村150億円、裁定解消ではソシエテ1050億円が上位である。

この週の現物と先物の投資部門別売買状況の自己を見ると、裁定売買は3200億円に近かったはずである。この週に先物を売り越しているのは大半が自己と投信である。そして、投信の売り手口は後で示すがだいたいは推測できる。日系大手5社は合計して3種の先物を6500億円も売り越している。従って、投信の先物3308億円売りを除く3200億円売りの大半は自己の売りということになる。そして投信先物の売りの手口は後で記すようにだいたいはわかる。先物は野村、日興、大和の順に売りが多い。野村と大和の何割かは投信の売りである。その分を除く大半は自己の売りであることは間違いない。そしてそのうちの何割かは現物株を買っている。裁定売買としてはほんのわずかしか報告されていないが、裁定残としては東証に報告されているようだ。

先に書いた通り、日銀ETF以外の自己は2500億円の売り越しである。自己の場合、この売り越しに相当する買い越しがあるはずである。具体的には現物の取引所外取引、SGX先物、CME先物、エクイティ・スワップ、上場または非上場のオプション、日経平均リンク債、ETF、ワラント、新規公開株、公募・売出し株などが考えられる。それ以外にディーラーのポジションの一時的な売り越しまたは買い越しということも考えられる。しかし、最近の日銀ETF以外の自己は、週次で見れば売り越し買い越しのどちらか一方に大きく傾くことがある。しかし、少し長い期間を取るとだいたいはゼロに近くなる。すなわち、最近の自己による現先合計での売り越し買い越しの累計はほとんど日銀ETFの買いの累計に一致する。それを示すグラフを下記に掲載する。

日銀ETF以外の自己の累計

2015年に入った頃から緑の線はほぼ横ばいになっている。これは「日銀ETF以外の自己」による現先合計売買をこの頃から累計すればゼロになることを示す。

日本経済新聞では日経平均リンク債絡みの売りやオプションのヘッジ売りが取り上げられている。こうした売買は毎週存在するに違いない。そして5月第2週に関しては自己のリンク債絡みの売り越しが2500億円あったかもしれない。しかし、近い将来2500億円近い買いが間違いなく入る。リンク債にしろオプションにしろ、売りだけが短期間に1兆円も出ることは100%ありえない。仮にリンク債絡みで1週間に1兆円の売りが出たとしても、同じ週にロールオーバーのような買いが1兆円近く入り、差し引きは多くても2500億円の売り越しである。そして近い将来に2500億円の追加の買いが入る。

以上のことは過去2年強の期間なら事実であり、リンク債などの売りに怯える必要は全く存在しない。先に例示したように、自己が取り扱っている商品はリンク債以外にも多数存在し、その売り越し買い越し合計の金額を見る必要がある。その金額にほぼ等しい日銀ETF以外の自己による現先合計の買越額累計が過去2年強ではゼロに近かったのである(リンク債のデルタヘッジを海外自己が行うことがあるが、これは海外の売買に属するので別次元の話になる)。

個人は現先合計で4555億円の売り越し。うち現物現金で5027億円の売り越し。信用で73億円の売り越し。先物で545億円の買い越し。個人は今年に入ってから19週中17週で逆張りである。ただ先物は買い越しであり、信用の売越額も小さい。スイングトレーダーは全体として売り買いトントンに近かったと思われる。現物現金で大幅に売り越しているのは、基本は売り一辺倒の高年齢富裕者層による売りが中心であろう。

5月第2週の最大の売り手は投信であった。現先合計で5026億円の売り越し。うち現物で1718億円の売り越し。野村総研によると、5月第2週の公募型株式投信は2492億円の資金純流出であった。それ以外が800億円近く買い越している。私募投信が買い越したことにしておく。この買いを加えても、年初来合計では私募投信と思われる投信の現物売買の累計は売り越しである。

投信先物は3308億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で3478億円の売り越し。TOPIXラージ先物で177億円の買い越し。この週に行われた投信による日経平均ラージ先物の大口売買は下記のようになる。

野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」1600億円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」400億円前後の売り越し。
大和投信 「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」450億円前後の売り越し。

上記の3本で2450億円の売り越しである。同種のブルベア型投信で資産規模が大きい野村の1本、大和の1本、シンプレックスの2本を加えると、7本合計で2800億円前後の売り越しであった。この7本のブルベア型投信以外の公募、私募投信が合計して日経平均ラージ先物を700億円ほど売り越し、TOPIXラージ先物を177億円買い越していたことになる。日経平均ラージ先物の売りには純資産の小さなブルベア型投信の売りがいくらか混ざっている可能性が高い。

合計すると、5月第2週は「海外の買い越しvs個人、投信、自己、信託の売り越し」であった。海外の買いの多くは持たざるリスクを感じての買いであり、ショートカバーも一部にはあった。株価が上がったことが最大の理由ではあるが、ファンダメンタルズの改善も忘れてはならない買いの背景である。国内はほとんど総売りに近い状況であった。何度も繰り返し書いているが、戻れば売りというのはヒステリシスである。28年間右肩上がりでない相場が続いている。こうした環境下では、株価が上昇した時に持たざるリスクを恐れて買うような投資家は、とっくの昔に大損して株式市場から退出ないしは追放されている。国内投資家はごく一部の特殊な投資家を除けば、戻れば売るしか生き残る方法が存在しなかったのである。5月第2週も過去と同じパターンで週間の日経平均株価は438円上昇して終えた。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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