2017年3月第4週 株 コメント

3月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170310

3月第4週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170324

3月第4週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170324


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ


2017年3月第4週の日経平均株価は前週末比259円安の19263円で引けた。この週の株価下落の最も大きな原因はNY株安であった。大元はトランプ政権が提案したオバマケア廃止のためのヘルスケア法案が議会で採決できなかったことである。後につながるより重要な減税法案やインフラ投資のための法案の成立も危ぶまれるようになった。この影響が一番大きく現れたのが21日のNY市場であり、日本株も22日は急落となった。その下げ分を取り戻すことができず、日経平均株価は下落したまま週を終えた。

3月第4週の最大の買い手は個人であった。現先合計で4241億円の買い越し。うち現物現金で2238億円の買い越し。信用で1029億円の買い越し。先物で975億円の買い越し。個人は今年に入ってから12週連続で逆バリである。日経平均株価が259円という小幅な下げにもかかわらず、買越額は多かった。

こうした個人の大幅な買い越しを見ると、日銀の金融緩和の効果が十分ではないにしろ、ある程度は顕れていると強く感じる。個人が週間に4241億円以上買い越したことは過去にも何度かあった。しかしその時の環境は、株価が急落した週か、株価の水準がもっと低い週であった。19000円台でかつ259円程度の下げで個人がこれほど大量に買い越したことはかつてなかった。量的・質的緩和を強化すれば押し目買い、戻り売りの位置はより上昇するのである。しかし、日銀は景気後退につながりやすい株価下落を避けたいという以上の考えがない。株式市場については絶望的なほどの無理解、誤認識の塊である。ETF買いの出口戦略の準備さえも全くしていない。ETF年間6兆円買いが続いている間に、戻れば売りという株式市場のヒステリシスがもっと弱くなるかどうかはわからない。

自己は現先合計で3797億円の買い越し。うち現物で996億円の買い越し。先物で2801億円の買い越し。

この週の日銀ETFは1496億円の買い越しであった。従って、日銀ETF以外の自己は現先総合で2300億円前後の買い越しになる。22日にゴールドマンが日経平均ラージ先物に1万枚、2000億円のクロスを振っていた。第3週と同じとすると、下記の形態になる。

GS先物20170324


コールドマンの東京自己が2000億円の日経平均ラージ先物売り・OTCデリバ買いのマッチングをしたという考え方である。この説の難点は、2000億円もの売りと買いが同時に現れることがよくあるかという点である。過去においても年に1~2回程度は1万枚レベルのマッチングと思われるクロスがあったことは間違いない。問題は100日あまりの期間に同様のクロスが5回も起こることがありえるかという点である。この点は自信がない。可能性としては、例えばゴールドマンの海外自己売り、東京自己買いもあり得る。ただこの場合、何が目的か、外からは見えない部分に何らかのポジションがあるのか、などの疑問が残る。

後で示す投資部門別売買状況の海外と外資系証券14社の先物売買の差を考えると、ゴールドマンのクロスが自己買い・海外売りである可能性だけは非常に高いと言うことができる。日銀ETFとゴールドマン自己の買いを除くと自己は300億円程度の買い越しであり、ディーラーのポジション調整の売買として許される範囲内の金額であった。

この週の東証発表の金額では裁定解消売買が181億円、裁定残はそれ以上減っているので、その減少株数から計算すると800億円前後の裁定解消売買が入っていたことになる。東証発表の裁定売買は、裁定解消の買いがソシエテ300億円、みずほ300億円、裁定形成の売りがドイツ200億円、野村200億円などが上位である。ここではソシエテ自己の先物300億円買い、ドイツ自己の先物200億円売りについては後で使うので強調しておきたい。裁定にかかわる売り越し・買い越しの金額だけなら、絶対値が小さいので重要性は低い。

投信は現先合計で908億円の買い越し。うち現物で489億円の売り越し。野村総研によると、3月第3週の国内株式型の公募投信は216億円の資金純流入であった。この週は現物に数百億円の私募投信の売りを仮定しないとうまく説明できない。

投信先物は1396億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1644億円の買い越し。この週に行われた投信による日経平均ラージ先物の大口売買は下記のようになる。

野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」1250億円前後の買い越し。
野村アセット「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」150億円前後の買い越し。

上記の2本で1400億円の買い越しになる。同種のブルベア型投信で資産規模が大きい野村のもう1本、大和の2本とシンプレックスの2本を加えると、7本合計で1600億円前後の買い越しであった。この7本のブルベア型投信以外の公募、私募投信が合計して日経平均ラージ先物を50億円ほど買い越し、TOPIXラージ先物を236億円売り越していたことになる。

3月第4週の最大の売り手は海外であった。現先合計で9533億円の売り越し。うち現物で3742億円の売り越し。先物で5792億円の売り越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170324

ゴールドマンの2000億円とそれ以外の細かな項目の修正をすると両者はかなり近い金額になる。日経平均ラージ先物と日経平均ミニ先物の差が大きいが、これは日経平均ミニ先物の中心限月である6限月分の証券会社別の建玉残高が公表されていないからだと思われる。日経平均ラージ、ミニ先物の6限月同士でなら自己による裁定売買がもっとたくさんある可能性は十分に考えられる。いずれにせよ、ゴールドマンの1万枚、2000億円のクロスは、自己買い・海外売りである可能性が非常に高い。

ゴールドマン以外で大きく動いたのはUBSである。これはUBS本体運用部の売りである。理由はUBS証券の日々の売買を合計すると、第4週は買い越しであったからだ。UBSの大口顧客はバークレーズ、ドイツ、モルガンMUFGなどの他社で全部売ってUBS証券へと移管(またはギブ・アップ)している。こういうステルス売買をするのが最近のUBS本体運用部の戦術なので、UBS本体運用部の売りであることは間違いない。UBS本体運用部は1850億円以上、おそらく2千数百億円レベルで両先物を売り越していた可能性が高い。絶対収益追求型の運用ならば、トランプ政権の政策に不安が出たりするとリスク回避の売りになるのであろう。

UBSとゴールドマンのクロス以外は売買ともに小口でバラバラである。そして中長期の投資性の資金の比率が高い現物から、短期の投機性資金の比率が高い日経平均ラージ先物まで幅広く売り越している。第3週のような中長期の投資性の資金だけではなく、投資から投機にいたるまで様々な種類の資金が多数に分かれて売り越していた可能性が高い。UBS本体運用部とゴールドマンで大口クロスを振った客以外では、トランプ相場の終焉を感じ取って大量に売り越した大口顧客はいなかったようである。その代わり、様々な種類の多数の投資家が少しずつ、しかし合計すれば大量に売り越していた。

合計すると、3月第4週は「個人、自己、投信の買い越しvs海外の売り越し」であった。このうち、自己は日銀ETFの買いとゴールドマン自己による海外の代理の形での買いであった。すなわち、「個人、日銀ETF、投信先物の買いvs海外の売り」であった。ゴールドマンのクロスを除くと、海外の売りはUBS本体運用部が大きく売り越したが、それ以外は中小口の売りの集積であった。ヘルスケア法案の成立に失敗したトランプ政権の政策に対する楽観度合いが減少し、海外中心に売りが出て、日経平均株価は259円下落することになった。


【いつもクリックで応援していただき、大変感謝しております】      
  

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

コメントの投稿

非公開コメント

 株式関連 株 コメント一覧

  • 投資部門別 現物先物 時系列表

  • 投資部門別売買状況 時系列グラフ

  • 9月第2週 株 コメント

  • 9月第1週 株 コメント

  • 8月第5週 株 コメント

  • 8月第4週 株 コメント

  • 8月第3週 株 コメント

  • 8月第2週 株 コメント

  • 8月第1週 株 コメント

  • 7月第4週 株 コメント

  • 7月第3週 株 コメント

  • 7月第2週 株 コメント

  • 7月第1週 株 コメント

  • 6月第4週 株 コメント

  • 6月第3週 株 コメント

  • 6月第2週 株 コメント

  • 6月第1週 株 コメント

  • 5月第5週 株 コメント

  • 5月第4週 株 コメント

  • 2016年 年間 株 コメント

  • 投資部門別売買状況アノマリー

  • 日本株 株式分布状況調査

  • 日銀資金循環統計 株 長期グラフ

  • 日銀資金循環統計 株 コメント

  • 株式先物投資部門別売買状況

  • 大手証券 先物建玉推移 グラフ

  • 海外投資家の株式買い越し金額

  • 世界の株価 国別 長期推移

  • 世界の住宅用不動産価格

  • 長期の実質実質為替レート

  • 最新記事
    カテゴリ
    全記事表示リンク
    目次のページを表示

    最新コメント
    Twitterを表示
    経済指標が意味するところを解説
    FC2カウンター
    最新トラックバック
    検索フォーム
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR
    RSSリンクの表示
    Web Analytics