2016年12月第2週 株 コメント

12月第2週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20161216

12月第2週 大手証券 先物売買手口概算
ブログ週間先物手口20161216

12月第2週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20161216

時系列データ
 投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
 株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
 大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ


2016年12月第2週の日経平均株価は前週末比405円高の19401円で引けた。この週もアメリカの長期金利の上昇、NY株高、円安が日本の株価を押し上げる要因となった。アメリカ現地時間の14日にFRBによる政策金利の引き上げが発表された。利上げは予想通りであったが、同時にFOMCメンバーによる来年の利上げ回数見通しの平均が2回から3回へと増えた。そのためアメリカの長期金利が上昇した。それに引きずられて円安が進行し、15日の寄りは高く始まった。ただ11月10日から始まったトランプラリーは6週目に入り、いくぶん力強さに欠ける展開ではあった。それでもこの週の日経平均株価は5日連続して上昇を維持したまま週を終えることになった。

12月第2週の最大の買い手は自己であった。現先合計で6218億円の買い越し。うち現物で6441億円の買い越し。先物で223億円の売り越し。

この週の日銀ETFは1544億円の買いであった。従って、日銀ETF以外の自己は4700億円前後の買い越しになる。

この週の売買にはあまり例のない売買が2つ見られた。1つはこの日銀ETF以外の自己による現先総合での4700億円前後の買い越しである。自己のアウトライトの買越額としては大きすぎる。もう1つは、12月14-16日にJ-NETで日経平均ラージ先物をゴールドマンが1日約1万枚、3日間合計で約3万枚のクロス取引を行ったことである。

ゴールドマンのクロスは金額に直すと6000億円近くになる。ただ他の様々な顧客の取引も含まれているかもしれないので、切り捨てで5000億円と置いてみる。この5000億円ものクロスの内容についての一つの考え方が下記のようになる。

     GSのクロス売買

ゴールドマンはOTCデリバで5000億円の日本株を買いたい顧客と、5000億円の日経平均ラージ先物を売りたい顧客を両方見つけてきた。そのデリバと先物のニーズの差を埋めたのがゴールドマンの東京自己による日経平均ラージ先物5000億円の買い、OTCデリバの5000億円の売りという取引である。

この考え方を採用した場合、ゴールドマンによる3万枚の先物クロスと自己による4700億円の買い越しの両方をだいたいは説明することができる。これが正しいと言うつもりはないが、1つの有力な考え方として提示することはできると思う。5000億円もの売りと買いのマッチングが簡単にできるのかというと、可能であると答えたい。たまには見られる金額の取引であるからだ。ただ5000億円というのは数社が共同作業で行うレベルの金額である。ゴールドマンなら1社だけで可能な金額とは言わないが、ゴールドマンなら1社だけでも可能かもしれない金額ではある。

この場合、ゴールドマンは日本株の売り手と買い手を仲介しているだけであり、海外の買越額はゼロである。しかし、日経平均ラージ先物の投資部門別売買状況では自己5000億円買い越し、海外5000億円売り越しと計上されることになる。日銀ETFと合計すれば、自己は6218億円に近い買越金になる。

この週の裁定売買は、東証発表の金額では1513億円の裁定形成。裁定残はそれ以上に増えているため、その増加株数から計算すると、4800億円前後の裁定形成売買が入っていたことになる。ゴールドマンの先物取引を上記のように解釈すれば、自己には4800億円前後の裁定形成売買が入っていた可能性が高い。

東証発表の裁定形成売買は、三菱UFJ900億円、みずほ700億円、ドイツ400億円が売り裁定解消も含む現物買い・先物売りである。先物売買手口概算とつきあわせると、実際の裁定形成売買は、三菱UFJ900億円~1000億円、みずほ700億円~1800億円、ドイツ400億円~650億円ということになる。東証発表の裁定解消売買はソシエテが500億円。ソシエテの実際の裁定解消売買は500億円~1350億円の範囲内で存在していたことになる。

海外は現先合計で2548億円の買い越し。うち現物で822億円の買い越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物売買手口概算の外資系14社を比較すると下記のようになる。

先物の投資部門別売買状況の海外 vs 先物売買手口概算の外資系14社
日経平均ラージ先物・・1216億円の売り越し 3200億円の買い越し
日経平均ミニ先物・・・・356億円の買い越し   50億円の売り越し
TOPIXラージ先物・2481億円の買い越し 2600億円の買い越し
合計・・・・・・・・・1725億円の買い越し 5750億円の買い越し

日経平均ラージ先物のうちゴールドマンに自己の5000億円の買いが混じっている。これを除くと、日経平均ラージ先物の外資系14社での海外は1800億円の売り越しになり、実際の海外による1216億円の売り越しに近くなる。ゴールドマンだけでは外資系と海外の差は十分には埋まらない。ソシエテを始めとする自己による広義をも含む裁定売買の分をも加えると差は小さくなるはずである。

いずれにせよ、海外による実質的な日本株の買越額は、ゴールドマンを通じる自己の分も加えると7500億円前後であった。

先物売買手口概算の買い方のトップはUBS。これはUBS本体運用部の買い。第2週はTOPIXラージ先物で「バークレーズで買い→UBSへの建玉移管」といういつもの売買手法を使っているので、UBS本体運用部の買いであることに間違いはない。12月第1週のUBSは売り越しであった。この売りはUBS本体運用部の売りかもしれないし、UBS本体運用部以外の大口顧客の売りかもしれない。UBSの建玉のかなり多くの割合をUBS本体運用部が占めていると思われるが、100%ではない。UBS本体運用部以外の大口顧客は全UBSの建玉の中では50%以下だとは思うが、その範囲内で必ず存在し、UBS本体運用部の売買を見えにくくする。

買い方の上から3番目はゴールドマン。第2週はTOPIXラージ先物だけの買い手としてはトップである。ゴールドマンの大口顧客は1社かもしれないし、数社かもしれない。UBSと異なって、ゴールドマンは客層が広い。先に示した5000億円もの売買をする海外顧客が日経平均ラージ先物だけで2社も存在する。日経平均ラージ先物を大量売買する2顧客とTOPIXラージ先物を売買する顧客はまた別である。このうちTOPIXラージ先物を売買する顧客だけを取り上げることにする。

ゴールドマンのTOPIXラージ先物の建玉枚数とUBSの「日経平均ラージ先物+日経平均ミニ先物の10分の1+TOPIXラージ先物」の建玉枚数を計算して比較することにする。そのグラフを下記に示す。

UBSGS建玉推移20161216

UBSとゴールドマンは一昨年秋の黒田バズーカ砲第2弾発射の直後から先物を大量に買い、結果としてその後も株価は上昇した。その1年後の昨年秋には、UBSは再び買いで勝負に出てきた。しかしこの時は戻り相場の後半から高値を買い上がり、高値掴みの大失敗であった。この時、ゴールドマンはほとんど動いていなかった。そしてこの秋から、まずUBSが両先物を買い始め、買いを増やしつつある。そしてゴールドマンもUBSに少し遅れる形でTOPIXラージ先物に大量の買いを入れ始めている。

UBS証券の日本株のストラテジストは、日本株のストラテジストの中では弱気派の代表だと思う。しかし、2兆ドルの運用資産を持つUBSの運用資産が一元的に運用されているはずがない。グループ内には日本株だけでも弱気派もいれば強気派もいるはずだ。そして今年1月以前のUBSによる運用戦略は、ポートフォリオ・インシュアランスに近いシステム運用のようであった。現在のUBSの運用戦略は、システムかアクティブかの区別もまだつけられない。

UBSは直近においては再びゴールドマンとともに買い上がりつつある。この2社の共同での買い上がりが一昨年と同様に行われていることまでは間違いない。しかし一昨年と同様に成功するかどうかまではわからない。

先物売買手口概算の買い方の第2位はABNアムロクリアリング。これは投機の買いであり、近い将来売りが出てくる。第4位はソシエテ。ソシエテは1350億円の買い越しであるが、先に書いた通り、自己の裁定の買いが500億円以上存在する。海外の買いも存在するはずであるが、それ以上のことはよくわからない。

この週の海外による現物買いは822億円とかなり少額であった。年金などの長期性の資金は現物を買うケースが一番多い。この週は、短期~中期性の資金が先物を中心に大量に入ったが、現物買いで勝負にくる長期性の資金の買いは少なかったようである。

手口を細かく見たところで、今後、株価が上がるか下がるかまではわからない。ただ、12月第2週まで日本の株価がどのようなメカニズムで上昇したのか、その内容をかなり深い部分まで理解することならできる。

信託は現先合計で630億円の売り越し。うち現物で539億円の買い越し。先週示した半年度の始めに配当込みTOPIXに連動させる目的で買ったTOPIXラージ先物の現物株への乗り換え売買は第1週で終了。株価が上昇するかぎり、信託はどうしても買えず、売り越しになってしまう。

投信は現先合計で2979億円の売り越し。うち現物で1734億円の売り越し。野村総研によると、12月第2週の国内株式型の公募投信は1670億円の資金純流出になっている。現物売りの大半は解約に伴う売りであった。

投信先物は1245億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1546億円の売り越し。この週に行われた2本の大口投信による日経平均ラージ先物の売買は下記のようになる。

野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」 950億円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」 50億円前後の売り越し。

この週は上記以外の同種のブルベア型ETFで資産規模が大きいものは、小幅の売り越しのものが多かった。従って、ブルベア型ETF以外の投信は小幅のTOPIXラージ先物買い越し、日経平均ラージ先物売り越しである。金額としては小さく、ETF以外の投信の先物売買を合計するとそれくらいの金額になるわけである。

12月第2週の最大の売り手は個人であった。現先合計で4706億円の売り越し。うち現物現金で4834億円の売り越し。信用で21億円の買い越し、先物で107億円の買い越し。信用と先物を駆使するスイングトレーダーは、小幅の買い越しのようである。しかし、高年齢富裕者層による現物現金での換金売りが止まらない。個人は今年に入ってから50週中45週で逆バリである。年が明ければNISA資金の流入で買い越し転換も期待できる。

合計すると、12月第2週は「海外の買い越しvs個人、投信、信託の売り越し」であった。最大の買い手は自己であったが、その買いの大半は実質的には海外の買いであり、海外は7500億円前後の買い越しであった。日銀ETFの1544億円買いも自己には含まれていた。トランプ次期政権の財政刺激策に対する期待や円安を理由にして海外は6週連続の買い越しであった。

トランプ次期政権がどのような経済政策を採用するのか、円安を非難してくるのか、あるいは保護貿易政策を打ち出すのか、現時点では不透明のことが多すぎる。海外だって先がよく見えて買っているわけではない。日本以外の国では長期なら株価の右肩上がりが当然であるので、海外は持たざるリスクを感じて買っているのである。長期で横ばいないしは右肩下がりの相場が続く日本において、持たざるリスクを感じて買うような投資家は、もう何年も前に市場から退出を強いられている。今残っているのは、個人の短期売買を除けば、持つリスクを感じる投資家だけである。その結果、どうしても「海外買いvs国内売り」の構図になってしまう。国内投資家の戻れば売るの株式市場のヒステリシスという重い病気は治っていない。


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テーマ : 経済
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