2016年11月第5週 株 コメント

11月第5週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20161202

11月第5週 大手証券 先物売買手口概算
ブログ週間先物手口20161202

11月第5週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20161202

時系列データ
 投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
 株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
 大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ


2016年11月第5週の日経平均株価は前週末比45円高の18426円で引けた。11月10日から始まったトランプラリーも4週目となり、連騰の疲れが出た週であった。アメリカの長期金利の上昇、円安、NY株高は続いたが、一直線の上昇が続いた日本株の反応はかなり鈍くなった。12月1日だけはOPECによる減産合意が成立したこともあり原油価格が急上昇し、円安とともに日本株も大幅高で始まった。その後は勢いが止まり、週末の日経平均株価は少しだけ上昇して週を終えた。

11月第5週の最大の買い手は海外であった。現先合計で6172億円の買い越し。うち現物で4148億円の買い越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物売買手口概算の外資系14社を比較すると下記のようになる。

先物の投資部門別売買状況の海外 vs 先物売買手口概算の外資系14社
日経平均ラージ先物・・・346億円の売り越し  400億円の売り越し
日経平均ミニ先物・・・・606億円の売り越し  500億円の売り越し
TOPIXラージ先物・2759億円の買い越し 2350億円の買い越し
合計・・・・・・・・・2023億円の買い越し 1450億円の買い越し

3種類とも比較的近い。合計では600億円ほどの乖離が発生している。どこかの外資系の先物売りが海外ではなく、自己であるからだ。普通ならドイツかソシエテのTOPIXラージ先物に自己の売りが含まれていると説明する。しかし、この週は2社ともTOPIXラージ先物が買い越しなので、確かなことはわからない。先物手口からは、TOPIXラージ先物にゴールドマンが2週連続で1000億円以上の大口の買いを入れていることがわかる。

現在の局面を理解するためには、11月第5週に関しては先物手口よりも、海外による先物の投資部門別売買状況における累積買越枚数のグラフを見る方がよい。そのグラフを下記に示す。

海外先物 投資部門別売買状況 201601202

黒の日経平均株価と青の海外による日経平均ラージ先物の累積買越枚数とはあまり連動していない。日経平均ラージ先物を売買する海外は、インデックスをあまり気にしてはいない。一方、黒の日経平均株価と赤の海外によるTOPIXラージ先物の累積買越枚数とは連動性が高い。これはTOPIXラージ先物を売買する海外は、インデックス、すなわち(日経平均株価よりも)MSCIジャパンやTOPIXといった指数をベンチマークとした投資家の売買が多いからである。そして直近は特に赤のTOPIXラージ先物の累積買越枚数が増えつつある。これと似た局面は過去に最低でも2度は見られる。2012年11月第2週、すなわちアベノミクス相場開始の直後と2014年10月第5週、すなわち黒田バズーカ砲第2弾が発射された直後である。

海外の中には、現在の状況を株価が急上昇し始めた上記の2局面と似ていると考えている投資家が多いのである。そのため、インデックスをベンチマークとする海外はTOPIXラージ先物を中心に大量の買いを入れている。この際、同じ投資家はTOPIXラージ先物だけではなく、現物にも一部は買いを入れているはずである。インデックスをベンチマークとする海外投資家とは、ヘッジファンドなどの投機家よりも、年金や投信といった中長期性の資金を運用する投資家の比率が高い。

確かに現在の日本は円安などによりファンダメンタルズが改善しようとしており、過去2度の海外が大量に買い越した局面と共通点はある。トランプ次期政権による具体的な経済政策は一部しか見えていない。その一部は財政刺激策であるが、これは同時に円安ドル高を引き起こし、日本のファンダメンタルズ改善にも結びつく。もちろん、トランプ次期政権が円安を非難したり、保護貿易政策をとったりして日本経済の改善を阻害する政策を打ち出す可能性はある。しかし、そうした政策を打ち出さない可能性もある。インデックスをベンチマークとする海外は、トランプ次期政権が日本経済の改善を阻害する政策を打ち出さない可能性があるから、現在日本株を買い越しているのである。確実なことなどわからないが、可能性があることは間違いないので買っているわけである。海外は、トランプ次期政権が日本経済の改善を阻害する政策を打ち出す可能性が高くなるまでは、日本株を買い越し続けるであろう。

保険は現先合計で417億円の買い越し。先物で471億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で479億円の買い越し。株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフの上から5番目が保険である。海外のように指数に打ち勝つことを目指している買いではない。日経平均ラージ先物の単なるショートカバー、踏み上げである可能性が高い。

自己は現先合計で345億円の買い越し。うち現物で1045億円の売り越し。先物で1391億円の買い越し。

この週の日銀ETFは1508億円の買いであった。従って、日銀ETF以外の自己は1200億円前後の売り越しになる。この分については、自己が取引所外取引で現物かデリバを1200億円前後買い越している可能性が高い。第4週は取引所外の自己は売り越しであったが、第5週は再び買い越しに戻った。

この週の裁定売買は、東証の発表の金額では632億円の裁定形成。裁定残はそれ以上に増えているため、その増加株数から計算すると、700億円前後の裁定形成売買が入っていたことになる。めずらしく近い金額であり、ほぼ同額と考えてよいと思う。東証発表分ではみずほ600億円、三菱UFJ600億円が大口の裁定の先物売りである。反対にJPモルガン350億円、ソシエテ300億円が大口の裁定の先物買いである。しかし、投資部門別売買状況の自己は現物売り、先物買いの裁定解消の形である。

この週も自己が中心の裁定売買の実態はわからない。先に自己は取引所外取引では現物かデリバを1200億円前後買い越しと書いた。これは自己の全体を合計した金額である。その中は様々な現物やデリバの売買に分かれており、その個別の取引所外の現物、デリバと取引所内の現物、先物を1つの証券会社で合計した場合、スクウェアになっているはずである。従って、その複雑な中身を全部解明すれば、現物買い・先物売りの裁定売買の構造が見えてくる。しかし、その複雑な中身はわからないのが普通であり、わかるのはごくまれである。

投信は現先合計で1790億円の売り越し。うち現物で541億円の買い越し。野村総研によると、11月第5週の国内株式型の公募投信は785億円の資金純流出になっている。ということは私募投信が1300億円前後の買い越しであった可能性が高い。

投信先物は2331億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1819億円の売り越し。この週に行われた2本の大口ETFによる日経平均ラージ先物の売買は下記のようになる。

野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」 300億円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」 200億円前後の売り越し。

この週は野村以外の同種のブルベア型ETFで資産規模が大きいものは、小幅の売り越しであるものが多かった。

従って、ETF以外の投信の先物売買は、日経平均ラージ先物で1300億円前後の売り越しになる。先に私募投信は現物を1300億円前後の買い越しと書いた。日経平均ラージ先物にもよくわからない1300億円の売りがある。この1300億円前後の現物買い・先物売りは、私募投信によるアービトラージ型の売買である可能性が高い。先物売買手口概算を見る限り、その私募投信は野村アセットであると思われる。

信託は現先合計で1999億円の売り越し。うち現物で40億円の売り越し。先物で1959億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1034億円の売り越し。TOPIXラージ先物で885億円の売り越し。配当金が支払われたため、信託のTOPIXラージ先物には先物を売って、現物買いに乗りかえられた分が存在する。従って、信託による実質的な現物の売越額は40億円というよりも、900億円の方に近かった。株価が上昇するかぎり、信託はどうしても売り越しになってしまう。

11月第5週の最大の売り手は個人であった。現先合計で2434億円の売り越し。うち現物現金で3437億円の売り越し。信用で413億円の買い越し、先物で229億円の買い越し。個人は上がれば売り越し。今年に入ってから48週中43週で逆バリである。信用と先物を駆使するスイングトレーダーは売り越しが続いていたが、第5週は買い越しに転じた。しかし基本的に現物現金で売り一辺倒の高年齢富裕者層は大幅な売り越しが続いている。

合計すると、11月第5週は「海外の買い越しvs個人、信託、投信の売り越し」であった。トランプ次期政権の財政刺激策に対する期待や円安を理由にして海外の買いが4週連続で現物と先物の両方に入った。信託は6週連続、個人は4週連続、投信は3週連続で売り越しになった。結果として日経平均株価は小幅上昇で終わった。



11月 月間 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント月次20161202

記録にとどめておくべき事項、数字。

投信現物
野村総研によると、11月の公募型日本株投信は3364億円の資金純流出。

投信による日経平均ラージ先物売買
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」 1300億円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」 300億円前後の売り越し。
大和投信 「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」 50億円前後の売り越し。

事法
最大の自社株買いは11月15-30日に行われた三菱UFJによる476億円の買い。銀行の持株会社の買いは事法に属する。

自己
日銀ETFが5256億円の買い越し。

裁定売買(大部分が自己、一部は海外)
東証発表 裁定形成売買の金額合計 4302億円(現物買い・先物売り)。
東証発表 裁定残株数変化からの裁定形成売買推計値 7300億円前後(同上)。

11月の月間では、現先合計で「海外2兆5799億円の買い越しvs個人1兆4157億円の売り越し、投信7124億円の売り越し、信託5069億円の売り越し」で、日経平均株価は980円上昇した。



なぜ海外はこれほど大量に日本株を買い越すのか、そして国内投資家は株を大量に売り越すのか。先に示したグラフとともに、その理由がわかるグラフをもう一つ下記に示す。

TwittweFB世界株価2016011-1990

OECDのHPに掲載されており、1990年1月時点で株価の記録がある全30社を取り上げている。1990年1月=100とした場合、2016年11月の日次平均の株価は日本が最下位の48、下から2番目のギリシャが109である。最上位のブラジルは26,692,889,674である。日本以外の国は、長期で見れば皆上がっている。日本だけが半分以下になっている。

ファンダメンタルズの回復可能性が発生した場合、日本以外の国では買いが正解になる。たとえ高値掴みをしてしまったとしても、塩漬けにしておけばいずれ株価は戻る。

過去30年あまりの日本の場合、個人が株で儲けようとする場合でも、機関投資家がインデックスを上回ろうとする場合でも、高値で掴めば大半は損をしてきた。日本の場合、中長期の投資で儲けることができる手法は、ファンダメンタルズは無視して、株価の戻り局面では常に株を売るという戦略である。あるいは、株は買わず、持ち株があれば戻り局面で売るだけの戦略である。この戻り売り戦略が日本株で儲けることのできる正しい戦略であり続けてきた。そのため、現在のようなファンダメンタルズの回復局面では「海外買いvs国内売り」にならざるをえない。国内が必ず売り越すため、株価はますます上がらなくなってしまう。この現象を私は株式市場のヒステリシスといつも書いている。この重い病気は簡単には治らない。


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