2016年11月第3週 株 コメント

11月第3週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20161118

11月第3週 大手証券 先物売買手口概算
ブログ週間先物手口20161118

11月第3週 日経平均株価 日中足チャート

週足株価ブログ用20161118

時系列データ
投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ


2016年11月第3週の日経平均株価は前週末比593円高の17967円で引けた。この週は11月8日のアメリカ大統領選挙で勝利したトランプ次期政権への経済政策期待による株高が継続した。アメリカの減税、インフラ公共投資拡大予想から、まずアメリカの長期金利が上昇した。その金利上昇が日米金利差拡大を引き起こし、円安を誘発した。その円安を好感して日本の株価は上昇し続けた。NY株も財政出動による景気回復期待から少しは上昇したので、日本におけるトランプラリーともいうべき相場が続いた。株価の押し目は浅く、基本は右肩上がりのまま週を終えた。

11月第3週の最大の買い手は海外であった。現先合計で1兆1810億円の買い越し。うち現物で4903億円の買い越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先物売買手口概算の外資系14社を比較すると下記のようになる。

先物の投資部門別売買状況の海外 vs 先物売買手口概算の外資系14社
日経平均ラージ先物・・4072億円の買い越し 4050億円の買い越し
日経平均ミニ先物・・・・841億円の買い越し  300億円の買い越し
TOPIXラージ先物・1775億円の買い越し 1150億円の買い越し
合計・・・・・・・・・6907億円の買い越し 5550億円の買い越し

日経平均ラージ先物は非常に近い。TOPIXラージ先物と日経平均ミニ先物は海外の方が外資系証券よりも買越額が大きく、合計でも同じである。先物合計での1400億円の差の大部分は外資系の自己が売っているからであるが、この点については後ほど自己のところで説明する。

先物売買手口概算の上位は第2週と同じ会社が多い。最大の買い手は第2週でも上から2番目であったUBSである。いつもと同様に、バークレーズなどで買った玉がUBSへと建玉移管されている。一方、この週はUBSで売られてゴールドマンなどの他社へと移管された玉も見える。UBSのフローは、日経平均ラージ先物、TOPIXラージ先物ともに売り越しであった。この点が通常の週とは少し異なる。しかし、第2週にTOPIXラージ先物買いが中心で、第3週が日経平均ラージ先物買いが中心なので、2週合計なら両先物を近い金額だけ買い越している。こうした買い方をする大口顧客は、UBS本体運用部としか考えられない。UBSの保有先物建玉の推移を表すグラフを下記に示す。

UBS建玉推移201618


今年の1月以前は明確に順バリであり、プライベートバンキング部門でよく利用される絶対利益追求型の1つであるポートフォリオ・インシュアランスに近い運用戦略に見えた。この戦略はボックス相場に入ってしまうと弱くなるので、昨年秋頃から損失が拡大した。そのため今年の2月以降は逆バリの週も増え、戦略が見えなくなった。その後は買い建玉を減らし、先物での運用から撤退かと見えた。しかし、最近、急速に買い建玉を増やしている。しかも過去5週間にわたって順バリが続いている。順バリ戦略に復帰したかどうかは、もう少し様子を見ないと決められない。

UBSに次ぐ先物の買い手はゴールドマン。第3週は日経平均ラージ先物の買いが中心。大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフの上から2番目がゴールドマンである。最近のゴールドマンのポジションは日経平均型の建玉はショートであり、TOPIXラージ先物はロングである。第3週の日経平均ラージ先物を中心とした買いはショートカバーであり、投機またはヘッジ売りの解消が多いように見える。3番目の買い手はABNアムロクリアリング。ここはHFTに強いところであり、ヘッジファンドを中心とする投機の買いである可能性が高い。

海外は第2週に引き続いて最大の買い手であるが、第2週との比較で1番大きく増えたのは日経平均ラージ先物の買越額である。第2週は投資の買いの比率が高かったと思われた。第2週との比較で第3週を見た場合、投機の買いの割合が高くなっている。この週は買越額が1兆円を超えていることもあり、投資、投機に関係なく多くの種類の投資家が買いを入れたと思われる。

事法は現先合計で1197億円の買い越し。うち現物で1204億円の買い越し。大部分が自社株買い。最近発表された自社株買いで一番大口のものとしては、日清食品、11月15日、229億円であった。この週はやや大口の自社株買いが散見された。

信託は現先合計で800億円の売り越し。うち現物で762億円の売り越し。

本日公表されたGPIFの7-9月期の運用状況から、この期の日本株の買い越し金額を推計すると、200億円ほどの売り越しになる。ちなみに、4-6月期は20億円ほどの買い越しであった。推計なので誤差が多少はある。4-9月の6か月間において、GPIFが株を売り越したかどうかは明らかではない。GPIFはクジラとして有名になった2014年7-9月期から2016年1-3月期までの7四半期間の間、大半は数千億円以上買い越していた。今年の4月以降、GPIFの買越額が急速に減少し、場合によっては売り越しにまでなっていたことは間違いない。今年4月以降のGPIFは、クジラ化する前の信託と同じような投資パターンに戻ってしまった。これではGPIFをも含む全信託の買い上がりは難しく、どうしても売り上がりになってしまう。

自己は現先合計で2648億円の売り越し。うち現物で1856億円の買い越し。先物で4504億円の売り越し。自己は難解なので、関心のない方は飛ばして読んでいただきたい。

この週の裁定売買は、東証の発表の金額では1444億円の裁定形成。裁定残はそれ以上に増えているため、その増加株数から計算すると、4300億円前後の裁定形成売買が入っていたことになる。東証発表分ではみずほ700億円、ソシエテ300億円、ドイツ200億円、三菱UFJ200億円が大口の裁定売買である。ただ、みずほだけは裁定形成ではなく、売り裁定の解消売買である。投資部門別売買状況の自己の現物が1856億円の買い越しであることを考えると、裁定に伴う現物買い先物売りが4300億円では多すぎであり、1444億円の方が近い。11月第3週に関しては、その差に相当する2856億円の現物買いの多くは取引所外取引で買われたものと考えるのが一番妥当だと思われる。正確な金額はわからないが、自己が取引所外取引で買った裁定形成用の現物買いは2700億円であったと仮定してみる。

第3週の日銀ETF買いは60億円であった。従って、日銀ETF以外の自己は2700億円前後の売り越しになる。取引所外取引で自己は日銀ETF分を除いても現物中心に2700億円前後買い越しているはずである。自己はその現物買いを先物で売りヘッジし、裁定類似の形になったものを東証に裁定残として報告している。そのため裁定残の増加株数から計算すると、取引所外取引をも含めた自己は4300億円の裁定形成売買を実施していたことになる。東証発表の裁定売買は、全てが取引所内取引である。一方、取引所外取引で行われた裁定、ないしは裁定類似の売買は、裁定残にはなっても裁定売買にはならない。

自己に対して売り向かった主体は海外と国内機関投資家の両方がある。先に示したように、外資系の自己は先物を1400億円前後売り越しているが、東証発表の裁定解消の売りはソシエテとドイツを合わせて500億円でしかない。残りの900億円の多くは両社の自己が海外の現物売りを引き取って先物を売った可能性が高い。海外が大量に買い越す中、この2社には先物売りが合計で1250億円存在する。

日系大手5社の中にも取引所外取引で現物を買って先物を売った証券会社が存在する。その中で間違いないのはみずほである。売り裁定の残高を保有している証券会社の大半がみずほであると思われるからだ。この週の売り裁定の解消売買は、みずほによる東証発表分の700億円を大きく上回っている。これは国内機関投資家の現物売りを取引所外取引でみずほの自己が引き取り、先物を売って売り裁定の解消にしているからである。みずほの先物売りは1400億円であるが、この大半が裁定解消の売りであったとしてもおかしくない。みずほ以外では三菱UFJの先物売りが1050億円と高水準なので、同様な売買があったと考えている。第3週に先物を売り越している部門は、すぐ後で示す野村アセット以外の大半は自己であり、自己以外に大量に先物を売った主体が見当たらないからだ。

この週の取引所外取引では、内外機関投資家の現物バスケット売りを自己が引き取り、先物を売って裁定残の形にかえた分が2700億円前後存在している可能性が高い。

投信は現先合計で4119億円の売り越し。うち現物で1643億円の売り越し。野村総研によると、11月第3週の国内株式型の公募投信は1080億円の資金純流出になっている。ということは、私募投信が引き続き現物を売り越している可能性が高い。

投信先物は2476億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で2697億円の売り越し。この週に行われた2本の大口ETFによる日経平均ラージ先物の売買は下記のようになる。

野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」 2000億円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」 400億円前後の売り越し。

この週は野村以外の同種のブルベア型ETFで資産規模が大きいものは、少しばかり売り越しのものが多かった。従って、先物は大半がブルベア型投信の売りであり、それ以外の公募、私募投信の合計は先物売買を合計するとトントンに近かった。

11月第3週の最大の売り手は個人であった。現先合計で4562億円の売り越し。うち現物現金で4117億円の売り越し。信用で335億円の売り越し。先物で109億円の売り越し。個人は上がれば売り越し。今年に入ってから46週中41週で逆バリである。信用と先物を駆使するスイングトレーダーは小幅の売り越しである。しかし基本的に現物現金で売り一辺倒の高年齢富裕者層は2週連続で大幅な売り越しになっている。

合計すると、11月第3週は「海外、事法の買い越しvs個人、投信、自己、信託の売り越し」であった。トランプ次期政権の財政刺激策に対する期待や円安に反応して買いを入れた投資家は、この週も大半が海外であった。個人、投信、信託はいつものように売り上がった。結果として日経平均株価は上昇した。この間、ファンダメンタルズの改善、ないしは改善予想が高まりつつある。しかし、国内投資家は株価が戻ればひたすら売るという株式市場のヒステリシスの重い病気が全く治っていない。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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