2016年10月第4週 株 コメント

10月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20161028


10月第4週 大手証券 先物売買手口概算
ブログ週間先物手口20161028

10月第4週 日経平均株価 日中足チャート

週足株価ブログ用20161028

時系列データ
投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ


2016年10月第4週の日経平均株価は前週末比262円高の17446円で引けた。この週の外部環境としては、アメリカの金利引き上げ期待が強まると共にアメリカの長期金利が上昇した。それにもかかわらず、NY株価はほぼ横ばいを維持することができた。一方、為替市場ではアメリカの長期金利上昇に引きずられる形で円安が進行した。この円安が日経平均株価を押し上げる最大の原動力となった。それ以外はドイツ銀行の黒字決算くらいであまり大きな材料が出ることなく、週を通せば日経平均株価は値上がりで終えることになった。

10月第4週の最大の買い手は海外であった。現先合計で1863億円の買い越し。うち現物で49億円の買い越し。先物の投資部門別売買状況の海外と先門売買手口概算の外資系14社を比較すると下記のようになる。
先物の投資部門別売買状況の海外 vs 先物売買手口概算の外資系14社
日経平均ラージ先物・・・407億円の売り越し  500億円の売り越し
日経平均ミニ先物・・・・・47億円の売り越し  100億円の売り越し
TOPIXラージ先物・2244億円の買い越し 2150億円の買い越し
合計・・・・・・・・・1814億円の買い越し 1550億円の買い越し

両者が一致することはないが、だいたい近い金額になっている。当然だが外資系の売買の中には海外以外の売買も混じっている。海外以外で特に多いのは自己である。自己の売買とわかる部分が少しはあるが、わからない部分の方がずっと多い。ただ、10月第4週の外資系による自己の売買は3指数とも均衡に近かったようである。これには偶然の要素も多い。結果として、外資系の売買と海外の売買は近い金額になった。

10月第4週の先物売買手口概算で圧倒的に目立つのは、UBSによる先物合計1700億円の買い越しである。結論から言うと、この買いの大半はUBS本体運用部の買いである。大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフの中の11番目に記載してあるUBSのグラフを下記に示す。


UBS20161028.png

UBSの特徴の第1として、建玉においては日経平均型とTOPIX型が平行に近い形で動いていることがあげられる。この動きは、JPモルガンがほんの少し似ているが、それ以外に似た大手証券会社は存在しない。UBSは10月第4週も両方の先物に比較的近い金額の買いを入れている。2番目の特徴はUBSの売買手法である。大口の売買をする時は、UBSで一部を売買し、残りは他社で売買した後、UBSに建玉移管してくる。今回、目立った買いをした先はバークレーズであった。この手法は、昨年に大口売買をした時と全く同じである。昨年もバークレーズを何度か使用していた。

このことは、UBSの買い建玉の多くの部分は、超大口の顧客1社だけが保有しており、同時に大口売買の大半はその超大口顧客の売買であることを意味する。UBSで大量の売買をし、大量の建玉を保有する超大口顧客は1社しか考えられない。それがUBS本体運用部である。このUBS本体運用部は今年1月以前までは、ポートフォリオ・インシュアランス的な順バリの売買をしていた。その売買で大きく損失を被り、運用戦略を変えた。その後UBSの買い建玉は方向としては減少であり、日本株の先物から撤退かとも思えた。それが最近になって買い建玉を増やし、10月第4週は再び大幅な買い越しになった。現段階では1月以前の順張り戦略への復帰かどうかはわからない。今後も大口の売買が続けば、新しい運用戦略が見えてくるかも知れない。

UBS以外では様々な証券会社で小口の売買を見ることができる。これらを合計すると、日経平均ラージ先物と日経平均ミニ先物は売り越し、TOPIXラージ先物は買い越しであった。3種の先物を合計すると100億円ほどの買い越しである。残りの1700億円はUBS1社が買い越した。この週の海外は現物買いも少なく、ほとんどUBS本体運用部の一手買いであったと言える。株価が上昇した24日と28日には先物手口の中に中口のUBSと大口のバークレーズの買い手口が見られ、UBSによる買い上げの効果は大きかった。

自己は現先合計で1784億円の買い越し。うち現物で4415億円の買い越し。先物で2631億円の売り越し。うちTOPIXラージ先物で2238億円の売り越し。この週の日銀ETF買いは1474億円であった。従って、日銀ETF以外の自己は300億円前後の買い越しになる。300億円なら純粋なディーラーの売買差額の合計であってもおかしくない。

この週の裁定売買は、東証の発表の金額では2658億円の裁定形成。裁定残はより大きく増加しているので、その増加株数から計算すると、3600億円程度の裁定形成売買が入っていたことになる。この差は常に存在する。東証発表分の先物に関しては、三菱UFJが2500億円の現物買い・先物売りという裁定形成の売買をしている。この週の自己は日銀ETF買いと、三菱UFJを中心とする裁定売買で自己の全部ではないが、かなり多くの部分の説明がつく。海外のところでも記したが、これには偶然の要素が大きい。自己という部門は見えないところで複雑な売買を行っているはずである。この週は、見える部分が真偽は別にして、比較的説明のつきやすい数字になっているだけだと思われる。

投信は現先合計で1026億円の売り越し。うち現物で926億円の売り越し。野村総研によると、10月第4週の国内株式型の公募投信は224億円の資金純流出になっている。残りの多くは私募投信が現物を売り越していた可能性が高い。

投信先物は100億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で34億円の売り越し。この週に行われた2本の大口ETFによる日経平均ラージ先物の売買は下記のようになる。

野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」 500億円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」 150億円前後の売り越し。

この週の同種のブルベア型ETFで資産規模が大きいものは、トントンに近かった。従って、残りはブルベア型投信以外の投信が600億円ほどの買いを日経平均ラージ先物に入れているはずである。その手口は野村と大和が中心のようである。先週詳しく説明したが、10月第3週以前に日経平均ラージ先物を売っていた野村アセットと大和投信の私募投信の一部が600億円前後買い戻した可能性が高い。

10月第4週の最大の売り手は個人であった。現先合計で2637億円の売り越し。うち現物現金で2450億円の売り越し。信用で324億円の売り越し。先物で136億円の買い越し。個人は上がれば売り越し。加えて10月25日にJR九州が上場になったため、通常よりも現物現金の売越額が拡大した。昨年11月の郵政3社株上場の際は、日経平均株価が上昇したこともあり、4週にわたって現物現金の売越額が大きく増加した。今回は3割弱の規模なので、そこまで大きな影響はないと思う。

合計すると、10月第4週は「海外、自己の買い越しvs個人、投信の売り越し」であった。最近の株価上昇局面ではよく見られるパターンであった。海外の買いの大半はUBS本体運用部による先物買いであり、高値を買い上がった。日銀ETFも下げ局面では買い越した。個人はJR九州の上場があったため、売越額が通常よりも膨らんだ。UBS本体運用部と日銀ETFの買いとがうまく連携する形で、結果として10月第4週の日経平均株価は262円だけ上昇することができた。


10月月間

投資部門別コメント月次20161028

記録にとどめておくべき事項、数字。

投信現物
野村総研によると、10月の公募型日本株投信は1150億円の資金純流出。

投信による日経平均ラージ先物売買
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」 1800億円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」 500億円前後の売り越し。
大和投信 「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」 50億円前後の売り越し。

事法
最大の自社株買いは10月1-31日に行われた日産による405億円の買い。

信託
最大の信託方式の自社株買いは10月1-31日に行われた野村証券による112億円の買い。

自己
日銀ETFが2349億円の買い越し。

裁定売買(大部分が自己、一部は海外)
東証発表 裁定形成売買の金額合計 3556億円(現物買い・先物売り)。
東証発表 裁定残株数変化からの裁定形成売買推計値 5200億円前後(同上)。

10月の月間では、現先合計で「海外1兆6424億円買い越しvs個人9085億円売り越し、投信6295億円の売り越し」で、日経平均株価は997円上昇した。


追記
10月は国内投資家が大幅に売り越す中、海外投資家の買い越しによって株価は上昇した。バブル崩壊後の1991年以降、株価の上昇局面では非常によく見られる伝統的パターンであった。これは国内投資家の間に、株で儲けるためには株価が戻れば売らなければならないという強い信念があるからであり、株式市場のヒステリシスという深刻な病気なのである。

このヒステリシスという病いは多少は軽くなったとみているが、まだ十分に重い。国内投資家は高値を買わない、高値を買うのは海外投資家だけという状況が続いている。しかしこれでは国内投資家の売りにより、株価の継続的な右肩上がりの上昇は非常に困難なものとなる。株価が上がらないため、結果として国内投資家はバブル崩壊以降、現物株の大幅な売り越しを続けてきた。それに対して買い向かっている海外投資家の現物株の買越額も非常に巨額である。

東証投資部門別売買状況ベース
1991年1月第1週-2016年10月第4週 海外投資家が84兆円の現物株を買い越し。

国際収支ベース(発行市場等も含む)
1991年1月-2016年8月 海外投資家が110兆円の現物株を買い越し。

国内投資家による売りを克服して株価が上昇しても、株価の値上がり益の多くは大株主である海外投資家に取られてしまう(過去にフィンランドに実例がある)。

海外投資家に株を売らせながら、国内投資家が株を買い越すことにより株価が上昇するのが一番望ましい。直近の海外投資家の日本の株式市場からの「エクソダス」が大事件と報道されたりした。しかし、本当は国内投資家による長年の株式市場からの「エクソダス」の方が大問題なのである。

国内投資家が株価の高値を買わないというヒステリシスは、日本経済が抱える深刻な病的現象である。そして、国内投資家が株を高値でも買い越すことにより、海外投資家には「エクソダス」を続けてもらうことが一番望ましいという認識が少しでも広まってほしい。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

コメントの投稿

非公開コメント

全記事表示リンク
目次のページを表示

株式関連 株 コメント一覧

  • 投資部門別 現物先物 時系列表

  • 投資部門別売買状況 時系列グラフ

  • 3月第3週 株 コメント

  • 3月第2週 株 コメント

  • 3月第1週 株 コメント

  • 2月第4週 株 コメント

  • 2月第3週 株 コメント

  • 2月第2週 株 コメント

  • 2月第1週 株 コメント

  • 1月第4週 株 コメント

  • 1月第3週 株 コメント

  • 1月第2週 株 コメント

  • 1月第1週 株 コメント

  • 2016年 年間 株 コメント

  • 12月第4週 株 コメント

  • 12月第3週 株 コメント

  • 12月第2週 株 コメント

  • 12月第1週 株 コメント

  • 11月第5週 株 コメント

  • 11月第4週 株 コメント

  • 投資部門別売買状況アノマリー

  • 日本株 株式分布状況調査

  • 日銀資金循環統計 株グラフと表

  • 日銀資金循環統計 株 コメント

  • 株式先物投資部門別売買状況

  • 大手証券 先物建玉推移 グラフ

  • 海外投資家の株式買い越し金額

  • 日経レバETF 先物保有建玉枚数

  • 世界の株価 国別 長期推移

  • 最新記事
    カテゴリ
    最新コメント
    Twitterを表示
    経済指標が意味するところを解説
    FC2カウンター
    最新トラックバック
    検索フォーム
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR
    RSSリンクの表示
    Web Analytics