2016年10月第3週 株 コメント

10月第3週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20161021

10月第3週 大手証券 株式先物手口概算
ブログ週間先物手口20161021-2

10月第3週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価201601021ブログ用

時系列データ
投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ


2016年10月第3週の日経平均株価は前週末比328円高の17185円で引けた。外部環境としては、NY株は小幅高、為替レートはほとんど横ばいに近かった。円高進行が止まり、NY株もやや高いということで、週の前半はジリ高が続いた。20日は前場の場中にクリントン対トランプのテレビ討論会があり、トランプリスクが後退したことを好感する形で大きく上昇した。21日は横ばいで推移した後、2時過ぎに鳥取地震発生の情報が入り、その後はやや下落した。それでも週を通して見れば上昇であり、久々に17000円台で週を終えることになった。

10月第3週の最大の買い手は海外であった。現先合計で5127億円の買い越し。うち現物で731億円の買い越し。先物で4396億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で2012億円の買い越し。日経平均ミニ先物で986億円の買い越し。TOPIXラージ先物で1332億円の買い越し。

上記の株式先物手口概算で示すように、10月第3週の最大の注目点は、第2週と同様にクレディ・スイスによる日経平均ラージ先物の1550億円買い越しである。クレディ・スイスは今年の4月以降、日経平均ラージ先物で特殊な大口売買を4回目行っている。

4月第2週 
1550億円の買い越し。ニューエッジ(5月にソシエテが吸収合併)で買って、クレディ・スイスに建玉移管。14-15日の連続1枚買いが中心。日経平均は16800円前後。

9月第2週
2200億円の売り越し。ソシエテで売ってクレディ・スイスに建玉移管(またはギブアップ)。14-15日の売り。日経平均は16500円前後。

10月第2週
1450億円の買い越し。ソシエテで買ってクレディ・スイスに建玉移管。11日の連続1枚買いが中心。日経平均は17000円前後。

10月第3週
1550億円の買い越し。このうちの約1300億円が、20日にソシエテで連続1枚買いを行い、クレディ・スイスに建玉移管。日経平均は17150円前後。

上記4回の大口売買の大半が同じ顧客の売買であることはほぼ間違いない。以前、UBSの大口売買を、UBS本体運用部と見抜くことができたこともあった。しかしこのソシエテ→クレディ・スイスへ移管の顧客は、両社の複数いる大口顧客の1つであるので、具体名まではわからない。冒頭で20日に株価が上がった理由はクリントン対トランプのテレビ討論会と書いたが、実際には討論会の開始前から株価は上昇していた。20日の株価上昇には、このソシエテ→クレディ・スイスの顧客による先物大量買いの方がインパクトが大きかった。今から振り返ってみると、この同じ顧客は今年の4月より前からソシエテ(ニューエッジ)→クレディ・スイスという手法で時々大口の売買を行っていた。違いは規模が一回り小さかったことである。建玉移管は中口小口なら毎週存在する。超がつくほどの大口売買でないと見抜くのは難しい。売買の期間から見ると、ヘッジファンドを中心とする投機筋であることにはほぼ間違いがない。超短期の売買を繰り返すようなタイプではなく、1年間に数回回転するようなタイプの投機家である。ただ連続1枚買いという手法は、一種の買い煽りであろうが効果があるとは思えず、意図がわからない。

ソシエテ→クレディ・スイスの買いは1300億円。しかし、海外全体では先物だけで4396億円の買い越しであり、他にも買いが入っている。海外先物の投資部門月売買状況と株式先門手口概算の外資系を比較すると下記のようになる。
先物の投資部門別売買状況の海外 vs 株式先物手口概算の外資系14社
日経平均ラージ先物・・2012億円の買い越し 1900億円の買い越し
日経平均ミニ先物・・・・986億円の買い越し  850億円の買い越し
TOPIXラージ先物・1332億円の買い越し  900億円の買い越し
合計・・・・・・・・・4396億円の買い越し 3650億円の買い越し

だいたい近い金額になるが、TOPIXラージ先物の外資系14社による先物の買越額が海外による買越額より少し小さい。これは外資系14社の売買の中に自己の売買が含まれているからである。東証統計で、クレディ・スイスが100億円の裁定形成売買を実施と発表されている。クレディ・スイスには自己によるTOPIXラージ先物売りが100億円含まれている。パリバによる250億円のTOPIXラージ先物売りは、通常は東京自己による広義の裁定の売りである。この2社によるTOPIXラージ先物売りの合計350億円が自己の売りである。これを除くと外資系大手の中の海外によるTOPIXラージ先物の売買は1250億円の買い越しになり、2つの数字は近づく。

海外の先物手口はだいたいわかった。その中でソシエテ→クレディ・スイスの1300億円買いは投機である。それ以外は様々な外資系証券から買いが入っており、海外が幅広く買いを入れたとしかわからない。ただ、海外の買い越し全体に占める現物の割合は14%でしかなく、大半は先物である。年金やオイルマネーのように買って長期間保有し続けるような買いは現物に入るはずであるが、その割合は低い。海外の買いは投資と投機の両方があるとはいえ、短期筋か中期筋が中心の買いであった。

自己は現先合計で1058億円の売り越し。うち現物で1826億円の買い越し。先物で2884億円の売り越し。この週の日銀ETF買いは60億円であった。自己の売買のメカニズムはいつも難しいのであるが、この週は特に難しい。確率の高そうなことはわからないので、今回は省略させてもらう。

投信は現先合計で2215億円の売り越し。うち現物で685億円の売り越し。野村総研によると、10月第3週の国内株式型の公募投信は371億円の資金純流出になっている。ということは、私募投信が300億円ほど売り越していたことになる。

投信先物は1530億円の売り越し。この週は野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」が日経平均ラージ先物を50億円前後の買い越しと計算できる。同じく野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」が日経平均ラージ先物を100億円前後の買い越しと計算できる。この週の同種のブルベア型ETFで資産規模が大きいものは、トントンに近かった。

この週の投信先物の売りはETFではない。最近、投信先物にはETF以外にもコンスタントに売りが出ている。先物の投資部門別売買状況に記録している投信の売買を下記に示す。

投信先物

別の箇所に野村アセットの日経平均ETFの推定先物保有建玉枚数推移を示している。野村アセットのダブルインバースの売りが増えている。それでもレバと合計すると、日経平均ラージ先物の保有建玉枚数は、ピークの10万枚の買い建玉から6万枚が売られ、4万枚の買い建玉にまで減少している。規模は小さくとも、他社のブルベア型ETFでも売り建玉より買い建玉の方がかなり多いはずである。それが今年に入って投信先物に大量の売りが出て、投信全体の先物建玉の中で日経平均ラージ先物買い建玉だけでもがピークから9万枚減少している。累積買越枚数の減少なので、買い建玉が現在ある何枚かまではわからない。買い建玉の枚数は少ないか、売り建玉になっていることもありうる。減少分はETFが多くを占めるが、ETFだけでは全部を説明できない。公募投信のショートはあるはずだが、金額が大きいとは思えない。私募投信が最近先物のショートを増やしているとしか考えられない。10月第3週は、野村アセットと大和投信の私募投信が日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物に合計して1530億円に近い売りを出した可能性が高い。

10月第3週の最大の売り手は個人であった。現先合計で2685億円の売り越し。うち現物現金で1820億円の売り越し。信用で70億円の売り越し。先物で795億円の売り越し。個人は上がればやはり売り越し。個人は今年に入ってから42週中37週で逆張りである。

合計すると、10月第3週は「海外の買い越しvs個人、投信の売り越し」であった。株価の上昇局面ではよく見られるパターンであった。海外の買いの大半は先物であり、現物を買って長期間保有する年金やオイルマネーのような投資家は少なく、先物を買って中短期で勝負する投機家、投資家の割合が高かった。国内の売りは個人と投信が中心であるが、売った理由は株価が上昇したからである。バブル崩壊後20数年間続く、株価が戻れば売りというヒステリシスの重い病気が続いていることを示す週であった。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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