2016年9月第4週 株 コメント

9月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20160930

9月第4週 大手証券 先物売買手口概算
ブログ週間先物手口20160930

9月第4週 日経平均株価 日中足チャート

週足株価201600930ブログ用

時系列データ
投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ


2016年9月第4週の日経平均株価は前週末比304円安の16450円で引けた。この週の外部環境としては、少しばかりの円安と大きく乱高下する中でのNY株価の下落がある。日経平均株価は為替レート以上にNY株価の動きに大きく影響を受けた。そしてOPECによる原油生産量の削減合意、ドイツ銀行の信用不安などがあり、これらはNY、日本の両市場に大きな影響を与えた。特に30日金曜日は、ドイツ銀行の信用不安が改めて注目され、銀行株を中心に大きく下落して週を終えた。

9月第4週の最大の買い手は信託であった。現先合計で3245億円の買い越し。うち現物で372億円の売り越し。先物で3617億円の買い越し。うちTOPIXラージ先物で3000億円の買い越し。信託によるTOPIXラージ先物買いは、運用ポートフォリオをベンチマークである配当込みTOPIXに連動させることを目的とした半年度初めの先物買いである。

今回は9月27日の権利付き最終日に野村、大和、みずほを中心とした自己がTOPIXラージ先物を大量に買い越し、翌日の権利落ち日にクロスの形で信託に引き渡している。野村は28日の夜間JNET、大和は28日昼間JNETで信託に引き渡していた。27日の株価が上昇した理由は、野村、大和、みずほの自己によるTOPIXラージ先物の大量買いであった。この分以外にも28-30日に信託の買いは入ってはいた。

半年度の初めに信託がTOPIXラージ先物を最後に売り越したのは2002年3月第4週であった。信託は2002年9月第4週以降、半年度初めにずっとTOPIXラージ先物を買い越し続けている。その金額が増加し、1000億円をほぼ継続して上回るまで拡大したのが2007年9月第4週以降である。そのグラフを下記に示す。

信託先物コメント週次20160930

上記のように信託は半年度の初めにTOPIXラージ先物を買い越す。この19回の合計で週間の株価騰落は10勝9敗、日経平均株価変動幅の平均は+10円となる。今年の3月は購入額は過去最大であったが、株価は過去最大の値下がりを記録した。今回は、購入額は過去2番目、株価下落幅は過去3番目に大きい。

こうした信託による買いが入ることが知れ渡った場合、事前に織り込まれる結果、株価に与える影響は多くの場合がゼロになる。しかし、株価が大きく下がる理由は別にあるはずだ。前回は、週末に予想以上に悪かった日銀短観の発表日がたまたま重なったためと解説した。今回の下げの原因を一つだけあげることは難しいが、あえて言うならば、以前から噂されていたドイツ銀行の信用不安が嫌気され、株が大きく売られるタイミングと、たまたま週末が重なったためということになるかもしれない。

自己は現先合計で1954億円の買い越し。うち現物で2256億円の買い越し。先物で303億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で441億円の買い越し。TOPIXラージ先物で853億円の売り越し。この週の日銀ETF買いは2992億円であった。買越額としては9月第2週と同じ過去最大のタイ記録であった。従って、日銀ETF以外の自己は1000億円前後の売り越しになる。この金額は自己による様々な形態の取引所外取引での買越額に近いと思われる。

この週も裁定形成の買いが入った。東証の発表の金額は434億円。しかし、裁定残はより大幅に増加しているので、その増加株数から計算すると、1500億円程度の裁定形成買いが入っていたことになる(推計値であり、実際には434億円と1500億円の中間と考えた方がよい)。東証公表分の先物に関しては、三菱UFJが500億円の裁定の売りを出している。これはおそらくTOPIX型が中心。東証公表分では他にみずほと野村が合計して400億円ほどの裁定の買いを入れている。これはおそらく日経平均型が中心。また東証公表分ではソシエテとクレディ・スイスが合計して200億円ほどの裁定の売りを出している。これはおそらくTOPIX型が中心。ツイッターではこの2社の売りの多くが広義の裁定の売りと書いた。本日の投資部門別売買状況を見ると、この2社の広義の裁定の売りは200億円+α億円の金額であるが、αは小さく、2社の売りの大半は海外の売りであったと考えるべきであろう。

9月第4週の最大の売り手は海外であった。現先合計で5306億円の売り越し。うち現物で1888億円の売り越し。先物で3419億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で323億円の売り越し。TOPIXラージ先物で2847億円の売り越し。

上記の大手証券先物売買手口概算によれば、外資系14社の日経平均ラージ先物は350億円の売り越し。TOPIXラージ先物は2700億円の売り越し。投資部門別売買状況の海外の数字とかなり近い数字になっている。海外の売買の一部は日系大手に流れ、外資系証券の売買には海外だけではなく自己や国内機関投資家の売買も混ざっている。同額にならないのは当然である。それにしても非常に近い金額である。

手口まではよく見えるが、そこから先が見えにくい。わかることは、海外はTOPIXラージ先物に2847億円という大量の売りを出したが、これは信託によるTOPIXラージ先物3000億円の買いが完全に受け止め、超過分で自己による現物の裁定買いを引き起こしている。一方、海外は日経平均ラージ+ミニ先物にも441億円の売りを出したが、これには受け手が足りず、自己による裁定解消の現物売りを引き起こした。しかし、自己による裁定売買は現物では買いが超過であり、株価を引き上げている。結局のところ、海外による現物売り1888億円が第4週の株価を引き下げた最大の要因となった。

合計すると、9月第4週は「信託、自己の買い越しvs海外の売り越し」であった。最近の下げ局面ではよく見られるパターンであった。信託が年に2回の恒例の買いをTOPIXラージ先物に入れた。日銀ETFも買いで向かった。しかし、海外の売りの力が上回り、日経平均株価は304円下げて終わることになった。海外の売りの一因はドイツ銀行に対する信用不安の世界的な拡大であったと思われる。この週も日銀ETFの買いがなければ、日経平均株価は相当大幅な値下がりになっていたことは間違いない。


9月月間


投資部門別コメント月次20160930

記録にとどめておくべき事項、数字。

投信現物
野村総研によると、9月の公募型日本株投信は595億円の資金純流出。

投信による日経平均ラージ先物売買
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」 100億円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」 30億円前後の買い越し。
大和投信 「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」 50億円前後の買い越し。

事法
最大の自社株買いは9月1-23日に行われた花王による267億円の買い。

信託
最大の信託方式の自社株買いは9月1-30日に行われた野村証券による75億円の買い。

信託
半年度の最初にベンチマークである配当込みTOPIXに連動させることを目的としたTOPIXラージ先物の買越額は3000億円。

自己
日銀ETFが8279億円の買い越し。

裁定売買(大部分が自己、一部は海外)
東証発表 裁定形成売買の金額合計 452億円(現物買い・先物売り)。
東証発表 裁定残株数変化からの裁定形成売買推計値 2100億円前後(同上)。


9月の月間では、海外が現先合計で1兆2846億円売り越す中、日銀ETFによる8279億円の買いに支えられ、日経平均株価は476円の値下がりですんだ。日銀ETFの買いがなければ、日経平均株価は1000円以上の急落になっていてもおかしくなかった。

一方、日銀の買いにより株価が下落しないので、買いたい投資家が買うことができないという批判の声も多い。買いたい投資家がいることは事実だと思う。しかし、ここから株価が大きく下がると、高値で買った投資家が投げ売りを始め、買いたい投資家も現在考えている購入予定価格よりもずっと低い方向へ指し値を下げる。地合いが悪くなったので、購入自体をやめてしまう投資家も増える。その結果は株価の急落であり、その後は逆資産効果による景気後退突入と株価のさらなる下落である。これは1990年代以降のバブル崩壊後、何度も繰り返された現象である。

中央銀行が株式市場に介入することは一般的には良いことではない。しかしながら、株価が上がらない結果として発生した、戻れば売るという日本の株式市場のヒステリシスを何としても止めなければならない。バブル崩壊後何度も繰り返してきた悪循環は、あらゆる政策を動員して断ち切らなければならない。それを阻止するためには、日銀のETF買いは容認すべきである。

一番望ましいことは、海外が保有する日本株150兆円を全部売らせて、日銀がETFを通じて全額買い取ることである。配当利回りが2%もある日本株の配当を海外の株主に支払うのではなく、日銀を通して政府の税外収入に変えることである。なお、日銀は株ではなくETFという投信を購入しているので、株主となって議決権を行使するのは日銀ではなく、民間の投信運用会社である。日銀がETFを通じて海外の保有株150兆円全額を現在値近辺で買い取ることができれば最高だが、そんな理想的なことは絶対に実現不可能である。

なお、日銀はETF購入後の出口戦略がないという批判もある。これはその通りである。現在の日銀には出口戦略がない。そのため私は、日銀「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する代替案において、国債をも含めた包括的な出口戦略を提案している。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

コメントの投稿

非公開コメント

全記事表示リンク
目次のページを表示

株式関連 株 コメント一覧

  • 投資部門別 現物先物 時系列表

  • 投資部門別売買状況 時系列グラフ

  • 6月第1週 株 コメント

  • 5月第5週 株 コメント

  • 5月第4週 株 コメント

  • 5月第3週 株 コメント

  • 5月第2週 株 コメント

  • 5月第1週 株 コメント

  • 4月第4週 株 コメント

  • 4月第3週 株 コメント

  • 4月第2週 株 コメント

  • 4月第1週 株 コメント

  • 3月第5週 株 コメント

  • 3月第4週 株 コメント

  • 3月第3週 株 コメント

  • 3月第2週 株 コメント

  • 3月第1週 株 コメント

  • 2月第4週 株 コメント

  • 2月第3週 株 コメント

  • 2016年 年間 株 コメント

  • 投資部門別売買状況アノマリー

  • 日本株 株式分布状況調査

  • 日銀資金循環統計 株 長期グラフ

  • 日銀資金循環統計 株 コメント

  • 株式先物投資部門別売買状況

  • 大手証券 先物建玉推移 グラフ

  • 海外投資家の株式買い越し金額

  • 世界の株価 国別 長期推移

  • 最新記事
    カテゴリ
    最新コメント
    Twitterを表示
    経済指標が意味するところを解説
    FC2カウンター
    最新トラックバック
    検索フォーム
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR
    RSSリンクの表示
    Web Analytics