2016年8月第4週 株 コメント

8月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20160826

8月第4週 大手証券 先物売買手口概算
ブログ週間先物手口20160826

8月第4週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価20160826ブログ用

時系列データ
投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ


2016年8月第4週の日経平均株価は前週末比185円安の16361円で引けた。この週はNY株が少し下げたが、ドル円レートはほとんど横ばいであった。その中で、薄商い、小動きの週となった。29日金曜日だけは少しばかり下げた。イエレンFRB議長のジャクソンホールでの講演を前にして身動きがとれず、週末はジャクソンホール講演前の手仕舞い売りと説明されることが多かった。これは株価が動かない、あるいは下げた理由がはっきりしなかったので、ジャクソンホール講演に結びつけるくらいしか説明のしようがないからであろう。

8月第4週の最大の買い手は信託であった。現先合計で1007億円の買い越し。うち現物で653億円の買い越し。先物で354億円の買い越し。8月はトヨタの信託方式の自社株買いが週平均で300億円程度入っていると想定している。最近発表された信託方式の自社株買いとしては、「野村証券、8月15日-31日、104億円」があげられる。従って、野村証券も少しは信託を通して自社株を買っていた。そうするとクジラなどの普通の信託は、現物だけなら買越額は200-300億円といった少額であった可能性が高い。8月26日にGPIFの運用資産内容が公表された。株式組入比率は低下しており、買い余力は大きい。しかし、最近の信託の買いは自社株買いの比率が高く、クジラは少ししか買い越していない。

事法は現先合計で735億円の買い越し。うち現物で730億円の買い越し。大部分が自社株買い。8月に発表された自社株買いは、小粒のものが大半であった。しかし、9月1日に大量の自社株買い終了の発表があった。大口のものとしては、「HOYA、8月1日-31日、277億円」があげられる。こうした形の発表がしばらく続くものと思われる。

自己は現先合計で708億円の買い越し。うち現物で2917億円の売り越し。先物で3625億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で3645億円の買い越し。この週の日銀ETF買いは1474億円であった。週間としては過去最高の買越額である。そのため、日銀ETF以外の自己は800億円弱の売り越しになる。また、この週は東証発表の裁定売買、すなわち現物売り・先物買いが4039億円も入っていた。

この週の特徴は裁定売残の1.7億株もの増加である。そしてこの週に大量の現物の空売り・先物買いという裁定売買を実施したのは、みずほ1億株、三菱UFJ7000万株という日系大手であったということだ。特にみずほは25日の1日だけで7400万株もの現物の空売り・先物買いの裁定売買を行っていた。このみずほの売買については後で示す。上記の先物売買手口概算の表で三菱UFJとみずほが合計で3500億円も先物を買い越しているが、この大半が自己による裁定の空売り残高形成の買いであった。

投信は現先合計で196億円の買い越し。うち現物で378億円の売り越し、先物で574億円の買い越し。野村総研によると、8月第4週の国内株式型の公募投信は169億円の資金純流出になっている。そしてこの週は野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」が日経平均ラージ先物を100億円前後の買い越しと計算できる。同じく野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を100億円前後の買い越しと計算できる。残りは通常型の公募投信、私募投信の売買であろう。

8月第4週の最大の売り手は海外であった。現先合計で3090億円の売り越し。うち現物で1714億円の買い越し。先物で4804億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で4625億円の売り越し。日経平均ミニ先物で281億円の売り越し。TOPIXラージ先物で68億円の買い越し。

先週も少し振れたが、8月25日のJ-NETの日経平均ラージ先物で約1.1万枚、金額にして約1800億円のドイツ売り、みずほ買いというクロスがあった。みずほの買いのうち300億円は手持ちの現物買い、日経平均ラージ先物売りというポジションを解消したものと思われる。残りの1500億円については株券を借りて空売りをし、合計で1800億円の現物売り・先物買いを行った。これに対してドイツは、海外自己が東証で1800億円の現物買い・先物売りのポジションを形成した。その後ドイツの海外自己は現物とOTCデリバを使ってそのポジションをドイツの東京自己に移した。これが一番妥当な説明方法だと思われる。みずほが少なくとも1500億円の空売り裁定形成の現物売りを出したが、株価は下がっていない。これはドイツが先物だけではなく現物にも1800億円相当の買いを入れていたからである。そして東証統計からはこの売買は、自己ではなく海外と考えるのが妥当であろう。一方、財務省の統計ではこの週の海外は小幅の売り越しであった。ドイツの海外自己の現物はすぐに東京自己へと移されたのである。みずほはドイツから一種の手数料をもらって、少しはリスクのある裁定の空売りポジションを大量に作った。一方、ドイツには何のメリットも見えない。これはドイツグループが海外顧客とともに何らかの取引を行って、グループとして上記のようなポジションを作らざるをえなかったのであろう。見えているのは複雑な取引の中の一部だけであり、全体像はわからない。

こうしたわけのわからない取引は多いはずだが、普段は全く見えない。今回は先物クロスとみずほの空売りが東証から裁定取引として公表されたため、たまたまその一部が見えたのである。そしてこの売買から類推できることは、この週の海外による現物1714億円の買い越しが、ドイツの海外自己の買いの一部であったことだけである。これが見えないと、1714億円の海外による現物買いは何なのか大いに悩むところであった。

25日にはドイツ・みずほ以外にも日経平均ラージ先物のJ-NETでクロスが多数存在した。ドイツ・みすほと同様のアービトラージ型の取引は他にもあった可能性が高い。しかし、8月第4週に海外が現先合計で3090億円売り越していたという事実は動かせない。アービトラージ型の取引の場合、現先合計の買越額はゼロになる。海外はメリルやJPモルガンなどを通じて、アービトラージ型以外でも先物を大量に売り越していたのである。売りが日経平均ラージ先物に集中しているので、ヘッジファンドなどの投機筋による売りの比率が高かったと思われる。

合計すると8月第4週は、「信託、事法、自己の買い越しvs海外の売り越し」であった。言いかえると、「自社株買い、日銀ETFの買い越しvs海外の売り越し」であった。海外は現先合計で3090億円の売り越しだが、日経平均株価は185円しか下げなかった。日銀ETFは1474億円という過去最高の買越額であった。日銀ETFはインパクトがあったとは思えないような買い方をしていた。しかし、この日銀ETF買いのおかげで週後半の日経平均株価は大きく崩れるのを回避することができたのであった。


後記
この週の裁定売買(=現物売り・先物買い)は東証発表のフローベースでは4039億円。一方、ストックベースから算出できる裁定売買は約1900億円でしかない。この差は常に存在するが、8月第4週は乖離が大きかった。上記ではフローベースで計上されている4039億円の裁定売買が正しいと仮定している。この東証統計の矛盾と仮定が上記の内容の最大の弱点である。仮に裁定売買が、ストックベースの1900億円の方が正しいのであるならば、ドイツの現物買い・先物売りは東京自己になる。そして、フローベースのドイツの裁定売買は140万株の解消と東証から発表されているが、ストックベースのドイツの裁定残は1億株近い増加と東証に報告されていることになる(報告はされても、発表はされない)。そしてドイツの裁定売買とは全く別の海外が現物を1714億円買い越していることになる。このシナリオの正確度を当初は0%と50%の間で0%に近いと考えていた。しかしよく考えると、0%と50%の間で50%に近いかもしれないとも思えるようになった。東証の裁定残の統計には矛盾が多い。分析結果の精度をある程度は引き上げることができる。しかし、100%近い水準にまで引き上げることは不可能である。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

コメントの投稿

非公開コメント

全記事表示リンク
目次のページを表示

株式関連 株 コメント一覧

  • 投資部門別 現物先物 時系列表

  • 投資部門別売買状況 時系列グラフ

  • 4月第2週 株 コメント

  • 4月第1週 株 コメント

  • 3月第5週 株 コメント

  • 3月第4週 株 コメント

  • 3月第3週 株 コメント

  • 3月第2週 株 コメント

  • 3月第1週 株 コメント

  • 2月第4週 株 コメント

  • 2月第3週 株 コメント

  • 2月第2週 株 コメント

  • 2月第1週 株 コメント

  • 1月第4週 株 コメント

  • 1月第3週 株 コメント

  • 1月第2週 株 コメント

  • 1月第1週 株 コメント

  • 2016年 年間 株 コメント

  • 12月第4週 株 コメント

  • 12月第3週 株 コメント

  • 投資部門別売買状況アノマリー

  • 日本株 株式分布状況調査

  • 日銀資金循環統計 株 長期グラフ

  • 日銀資金循環統計 株 コメント

  • 株式先物投資部門別売買状況

  • 大手証券 先物建玉推移 グラフ

  • 海外投資家の株式買い越し金額

  • 日経レバETF 先物保有建玉枚数

  • 世界の株価 国別 長期推移

  • 最新記事
    カテゴリ
    最新コメント
    Twitterを表示
    経済指標が意味するところを解説
    FC2カウンター
    最新トラックバック
    検索フォーム
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR
    RSSリンクの表示
    Web Analytics