2016年6月第2週 株 コメント

投資部門別コメント週次20160610

先物手週間手口20160610

週足株価20160616ログ用


時系列データ
投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ

2016年6月第2週の日経平均株価は前週末比41円安の16601円で引けた。第1週に続いて薄商い、小動きの週であった。その中で株価を動かした要因をあげるとしたならば、依然として為替レートの影響が一番大きかったと思う。週初に円高株安で始まった後、週の半ばまでは円安株高傾向が続き、週の後半は円高株安の動きを示した。一時のように為替レートとほとんど同じ動きをするといった高い相関関係はなくなった。それでも為替レートとある程度の相関が続いた週であった。週末は前週末比で少し値下がりして週を終えた。

6月第2週の最大の買い手は事法であった。現先合計で883億円の買い越し。うち現物で871億円の買い越し。大部分が自社株買い。この週に購入し、直近までに公表された自社株買いの中で最も金額が大きかったものは、三菱UFJFG、6月1-13日、476億円であった。

自己は現先合計で792億円の買い越し。うち現物で4946億円の売り越し。先物で5738億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1640億円の買い越し。TOPIXラージ先物で3789億円の買い越し。この週は日銀ETF買いが1460億円入っており、週間の買越額としては過去最高の購入額であった。従って、日銀ETF以外の自己は現先合計で650億円前後の売り越しになる。また、東証が公表している裁定残高から計算すると、この週は6400億円前後の裁定解消売買が存在していた。その多くが自己による現物売り、先物買いとして計上されている(一部は海外の可能性もある)。第2週の自己による現物売り、先物買いの多くは裁定解消売買である。

信託は現先合計で756億円の売り越し。うち現物で1489億円の買い越し。先物で733億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で232億円の買い越し。TOPIXラージ先物で942億円の売り越し。信託には半年度始めに配当込みTOPIXへの連動を目ざして先物を買っていた分が存在する。信託は先週に引き続いて配当金を受け取った後、TOPIXラージ先物を売って現物に乗り換えている。先物投資部門別売買状況のグラフの上から4番目が信託の売買である。半年度の始めに買った分を現在売り越している最中であることがわかる。従って、信託による現物買いのうち、TOPIXラージ先物売り942億円に相当する分は、先物から現物への乗り換えである。その場合、信託による実質的な現物買越額は550億円前後にまで縮小する。この多くは、信託方式による自社株買いであると思われる。最も大きなものとしては、第一生命、6月1-9日、50億円があげられる。これだけなら小さいが、信託方式で自社株を6か月間に5000億円買う必要なトヨタの買いも入っているはずである。今後公表される分を考えると、信託方式の自社株買いだけで550億円に近い金額になる可能性が高い。550億円の全部が自社株買いではないかもしれないが、それ以外に通常の信託の買いが入っていたとしても、金額は小幅なものになる。

投信は現先合計で48億円の売り越し。うち現物で205億円の売り越し。野村総研によると、6月第2週の国内株式型の公募投信は52億円の資金純流出になっている。現物売りの大半は解約に伴う売り越しであり、私募投信の売りも少し入っていた可能性が高い。

投信先物は158億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で189億円の売り越し。TOPIXラージ先物で367億円の買い越し。この週は野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」が550億円前後の買い越しと計算できる。同じく野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を100億円前後の売り越しと計算できる。この週の同種のブルベア型ETFで純資産が大きいものは、先物売買がトントンに近かった。これ以外に日経平均ラージ先物に650億円の売り越し、TOPIXラージ先物に367億円の買い越しがある。いずれも先週売買した分の反対売買である。こうした短期売買を繰り返すということは、私募投信の売買である可能性が高い。

6月第2週の最大の売り手は海外であった。現先合計で2364億円の売り越し。うち現物で2236億円の買い越し。先物で4600億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1752億円の売り越し。TOPIXラージ先物で2728億円の売り越し。

株式先物手口概算の表において、外資系15社合計のTOPIXラージ先物は750億円の売り越しである。海外によるTOPIXラージ先物売り越し2728億円との差が大きい。これは外資系のTOPIXラージ先物買いの中には自己の買いが含まれているからである。過去の経緯からすると、ソシエテ2900億円とパリバ1750億円には自己の買いが多く含まれている。なお、クレディ・スィスは1100億円の新規裁定形成を東証に報告し、発表している。クレディ・スィスの売買は裁定売買であることには間違いないが、自己か海外かはよくわからない。ここでは自己の売買であると考えることにする。なお日経平均ラージ先物にも外資系と海外の売越額に大きな差が存在するが、こちらの方は難解であり、よくわからない。

海外からは現物にも2236億円の買いが入っている。この大部分はゴールドマンを通じた海外による日経平均ラージ先物売り、現物買いのアービトラージ型の売買であると推測する。先物建玉残高のグラフの上から2番目がコールドマンである。日経平均型の売建玉のマイナス幅が急増している。以前から存在しているショートの部分についても、投機、ヘッジもあるが、現物を中心とするアービトラージも多いと思われる。先物投資部門別売買状況のグラフの1番上が海外である。こちらにもショートがたまっていると思われ、アービトラージ型のショートも何割か存在するはずである。6月第2週のゴールドマンの先物売りの一部には現物買いとセットになったアービトラージ型の売買が存在していた可能性が高い。海外によるアービトラージ型の現物買いはおそらく2236億円よりも多く、ゴールドマンだけではなく、他の外資系証券からも入っていたと思われる。先に書いた通り、この週の現物の裁定解消売りは6400億円前後も出た。特にSQのあった10日金曜日に裁定解消売りが大量に出ている。にもかかわらず、週間の日経平均もSQ値の前日比も小幅安であった。アービトラージ型の現物買いがある程度入っていないと、これほどの現物の株価の強さを説明できない。裁定残は大きく減少しているが、そのうちの何割かは海外への移動であるのだ。

合計すると6月第2週は、「事法、自己、信託の買い越しvs海外の売り越し」であった。もう少し具体的に表現すると、「自社株買い、日銀ETFの買い越しvsアービトラージを除く海外の先物売り越し」であった。

最後に本日の金融政策の現状維持に対して少し書かせていただく。景気を回復させ、インフレ率を2%まで引き上げるためには、円安株高は十分条件ではないが、必要条件である。このことは日銀もわかっているはずである。しかし、追加緩和をしない。私は黒田総裁の気持ちはわかる。日銀はデフレファイターだけではなく、インフレファイター役も担わされている。2週間前に佐藤審議委員のタカ派発言を強く批判したが、あれは出口戦略時に発生しうる金利の急上昇の責任を取りたくないからである。現在の日銀は、FRBに習って出口をテーパリングと短期金利の引き上げで乗り切ろうとしている。日銀からすれば、これしか手段は残されていない。しかしこの場合、年間80兆円の国債購入金額を減らす過程で長期金利に上昇圧力がかかる。場合によっては急上昇の可能性もなくはない。この時、反リフレ派は出口戦略もなく異次元緩和に踏み切った黒田総裁とそれに賛成した日銀審議委員たちを激しく非難してくるであろう。この非難を佐藤氏は受けたくないのである。そして、日銀総裁、副総裁も他の審議委員も、出口の重くなる新たな量的緩和に容易には踏み出せないのである。

私は量的緩和の出口戦略として、増税を主体とした「ドッジ・ライン・バージョン2」を主張してきた。ただ政治的には困難な政策である。しかしその中で、消費税の10%までの増税は政治的には困難ではない。日本の消費税増税のデフレ不況推進効果は世界一強力かもしれない。消費税増税が可能な環境は、景気が過熱し、人手不足で賃金が上昇し、インフレ率が2%くらいまで上昇しているような環境くらいである。しかし同時に、インフレ率が2%に達した場合には、消費税増税による強力なデフレ不況推進効果により、インフレ率を引き下げることが可能になる。インフレ率が2%に達した場合、FRB流テーパリング方式だと、どうしても長期金利が不安定になり、場合によっては急上昇の可能性が否定できない。しかし、消費税増税ならば、インフレ率は低下し、長期金利も低位安定がしばらく続くはずである。先日決めた次の消費税増税の時期である2019年10月は経済状況がどうなっているかわからない。すでに2度延期した消費税増税の3度目の延期も必要になるかもしれない。

消費税増税は「消費者物価2%上昇確認+αか月後」に実施すべきである。これならば、日銀は消費者物価2%上昇まで、出口を気にしなくても追加金融緩和が可能になる。そして出口に到達した時発生することは、金利の急上昇による財政破綻とは正反対の、財政再建の急速な進展である。消費者物価2%上昇の出口戦略は消費税増税にすべきである。この消費税増税による景気減速下での急激な財政再建という実績をまずつくるべきである。その後は、第2弾として何らかの増税か大規模歳出削減などの財政再建策=インフレ抑制策を考えれば良い。

現在必要な政策は、出口戦略に消費税増税を採用することと、追加金融緩和によりインブレ率2%上昇を早期に目ざすことを組み合わせることである。そして一刻も早く追加金融緩和に踏み切るべきである。2%インフレが起こる際は、賃金が大きく上昇しているケースが一番多い。その前に景気回復、そして現在よりも円安株高が進行しているはずなのである。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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