2016年5月第2週 株 コメント

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先物手口20160513

週足株価201605-2Wブログ用


2016年5月第2週の日経平均株価は前週末比305円高の16412円で引けた。この週も株価を動かした最大の要因は為替レートであった。少しばかりの為替レートの変動で株価は動く。為替ディーラーの中にはドル円レートが株価に動かされていると解説する人も見かけた。ドル円レートと株が同時に動くと因果関係がわかりにくくなるが、理論的には為替レート→株価である。週を通して為替レートは少しばかりの円安であったが、株価はそれよりも上昇率が高かった。

5月第2週の最大の買い手は投信であった。現先合計で1333億円の買い越し。うち現物で289億円の買い越し。野村総研によると、5月第2週の国内株式型の公募投信は121億円の資金純流入になっている。買越額は資金純流入の金額を上回っているので、私募投信が少しばかり現物を買ったと考える。

投信先物は1044億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1244億円の買い越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を950億円前後の買い越しと計算できる。同じく野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を450億円前後の買い越しと計算できる。この2本のファンドの合計だけで1400億円の買い越しである。観察している比較的大口の同種のファンドは、トントンか買い越しであった。公募か私募かはわからないが、別の種類の投信が少し売り越し、投信合計で1224億円の買い越しになった。

自己は現先合計で1101億円の買い越し。うち現物で1866億円の売り越し。先物で2967億円の買い越し。この週の裁定残高の変化から計算可能な裁定売買は600億円の裁定解消売買であった。裁定類似の解消売買が他にも1000億円以上入っているはずである。その中で、上記の株式先物手口概算にあるパリバによる850億円のTOPIXラージ先物買いがパリバの自己であり、裁定類似の解消売買である可能性が高い。また、この週は日銀ETFが756億円買い越している。日銀ETF以外の自己は350円億前後の買い越しになる。350億円前後の自己の買い越しはポジション調整の売買の範囲内である。

事法は現先合計で653億円の買い越し。うち現物現金で648億円の買い越し。大部分が自社株買い。最近の自社株買いの発表については、4月月間の株式取得終了報告が多い。5月第2週に確実に買ったものとしてはオリエンタルランド、5月9日、212億円があげられる。一方、11日にトヨタが5000億円の自社株買い決定を発表した。18日開始の信託方式である。トヨタ以外にも大型の自社株買いの開始が続々と発表されているので、事法でも買越額が増えることは間違いない。

信託は現先合計で233億円の買い越し。うち現物で237億円の買い越し。先物で4億円の売り越し。上げ局面での買い越しは、クジラか信託方式の自社株買いかのどちらかであろう。株価上昇局面であったので、あまり大きな金額の買いにはならなかった。

個人は現先合計で2億円の売り越し。うち現物現金で541億円の売り越し。信用で403億円の買い越し、先物で136億円の買い越し。個人はこの週も逆バリを維持したが、ごく小規模の逆バリの売りになった。

5月第2週の最大の売り手は海外であった。現先合計で3155億円の売り越し。うち現物現金で568億円の買い越し。先物で3723億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で2478億円の売り越し。TOPIXラージ先物で1118億円の売り越し。

最近は最後にも掲載しているが、海外を中心とする先物手口を読む材料となるのが、先物投資部門別売買状況の累積買越枚数のグラフと、大手証券による先物建玉残高枚数推移のグラフである。この2つのグラフを眺めても100%正しいことがわかるケースはまれである。しかし、ある程度可能性が高そうな事実ならいくつかつかむことができる。この2つのグラフを参考にしながら、上記の株式先物手口概算の表について説明することにする。

先物手口概算の表の中で一番明確なものは、既に書いたパリバのTOPIXラージ先物850億円の買いである。これは2つのグラフだけからは簡単にはわからない。しかし、パリバのTOPIXラージ先物は大きく動きやすく、過去においてはその際、海外ではなく自己が動くケースが多かった。同時に自己の現物にも反対方向に動く売買があることが多かった。5月第2週も同様である。従って過去においては海外ではなく、自己による裁定類似の売買のケースが多く、今回も同様に自己である可能性が一番高い。次にわかりやすいのはメリルの日経平均ラージ先物1200億円の売りである。これは全額が5月12日の1日だけで売られた新規の建てのようである。こういう売買のやり方をする可能性が一番高いのは、ヘッジファンドを中心とする投機筋である。次がクレディスイスのTOPIXラージ先物950億円の売りである。これは第1週に850億円の買いがあるのでその分をすぐに売った可能性が高い。ヘッジファンドを中心とする投機筋の売りであろう。ゴールドマンの日経平均ラージ先物2100億円買いは中長期志向の投資家によるヘッジ売りの買い戻しである可能性が高い。先物を売ったのはかなり前だと思われるからだ。ただし、埋めであった場合に限る。建てならば、他にもいろいろなケースが考えられる。わからないのがABNクレアの日経平均ラージ先物1450億円の売りである。4月第4週に1750億円買っており、この時は投資の買いと書いた。しかし、2週間後に売りになっている。この売りと買いが同一主体であるならば、投資の買いという読みは間違いであり、クレディスイスと同様の投機的売買であったことになる。ただこのところ買いが続いていたので、第2週の売りがいつ買った分であるかは、クレディスイスよりも判断が難しい。2週間前はある程度自信を持って投資と書いたのだが、これは正しくなかった。2週間後の現時点では、売り買い両方とも投資、投機のどちらであるか全くわからない。なお、もうひとつ野村の日経平均ラージ先物400億円買いにも海外が関係している。先に2本のETFだけで1400億円買いと書いた。従って、他に1000億円の売りがあるはずである。野村の場合、銀行、保険の売り、自己の裁定買いもあるとは思うが、いずれも小口なので、海外の1000億円前後の売りが混じっている可能性が高い。野村の海外は、投機よりも投資である可能性が高い。少し前に野村は欧州での株式デリバティブ業務閉鎖を発表している。ヘッジファンドとの取引は昔から少なかったが、さらに減った可能性が高い。

以上のように、第2週の先物の大口売買は、投機、投資、投資家のヘッジ、わからない売買など何種類かにわかれている。週によっては全く読めない週もあるが、この週の大口売買分に関しては、100%ではないが、ある程度は高い確率で当たっていそうな売買がいくつかある。全体としては、いろいろな種類の売買がある中で、投機の売りの割合が少し高そうである。

合計すると5月第2週は「投信、自己、事法、信託の買い越しvs海外の売り越し」であった。この週の日経平均株価は305円の上昇であるが、「国内買い越しvs海外売り越し」という昔なら株価下落時の典型的パターンであった。

先週と共通する内容を繰り返すが、過去20数年間、株価が天井を打った後の16000円台というのは、海外の小口の売りに対して国内が小口の買いで向かうものの、株価はずるずると下げるケースが一番多かった。しかし、最近の国内投資家の株の買い姿勢は過去とは明らかに変わっている。

アベノミクス相場開始以降の株価上昇局面では国内投資家は巨額の売り越しであった。最近は株価上昇局面であるにもかかわらず、国内投資家は買い越しのケースも増えた。3発のバズーカ砲の効果が、ようやく最近になって現れ始めた。それ以前は海外が買っているだけで、バズーカ砲のポートフォリオ・リバランス効果は巨額のマイナスであったのである。最近になってようやくポートフォリオ・リバランス効果はプラスへと転換し始めた。効果は現れ始めたが、まだ小さすぎる。バズーカ砲の発射本数が少なすぎるのである。効果が現れ始めたばかりなので、第4弾、第5弾、・・・と連射しなければ、普通の人には効果は見えないのである。株の現先総合の投資部門別売買状況といったものを毎週詳しく見ている人の数は非常に少ないからだ。

ここから先も無制限の金融緩和が必要である。インフレとバブルが発生し始めたら増税を中心とする「ドッジ・ライン・バージョン2」を作り、国債の全額償還をめざせばよい。国債が栄えて株が死ぬ(=儲からない)時代から、株が栄えて国債が死ぬ(=なくなる)時代への大転換をめざすべきである。


参照 株式売買関連の統計
  投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
  株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
  大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ
  日本株 日銀 資金循環統計に基づく株式売買と株式保有残高

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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No title

ここまでの長文になると、幼女には厳しいですね。
今更変えることは困難でしょうが、未就学児童には、体言止めや箇条書きを限界まで駆使した記述形式が好ましいでしょう。
ゲームやUIなどの原則ですが、読ませず見させる、これを心掛けると血の海発達な初潮前の幼女も喜びます。
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