2016年5月第1週 株 コメント

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週足株価201605-1Wブログ用


2016年5月第1週の日経平均株価は前週末比559円安の16107円で引けた。この週も株価を動かした最大の要因は為替レートであった。4月28日木曜日の日銀金融政策決定会合で金融緩和の強化がなかったため、その直後から円高が進行していた。そして日本が休日である29日も海外市場では同じ材料で円高が進行していた。同時に連休中にNY株価も大きく下落したので、5月2日は大幅安で寄り付いた。その後は円相場の変動が一服し、株価も寄り後以降は、あまり大きくは動かなかった。しかし、2営業日しかない週で559円安であるため、かなり大幅な株安で週を終えた。

5月第1週の最大の買い手は個人であった。現先合計で2628億円の買い越し。うち現物現金で1534億円の買い越し。信用で1083億円の買い越し、先物で12億円の買い越し。個人は引き続き逆バリ対応が続いている。後で詳しく書くが、単なる逆バリだけではなく、買い指し値が上昇しつつある。

自己は現先合計で1069億円の買い越し。うち現物現金で890億円の売り越し。先物で1959億円の買い越し。この週は裁定残高が1900億円減少。値下がり分を引くと裁定売買は1350億円の裁定解消売買があった。この多くが自己部門で入っている。日銀ETFは705億円の買い越し。日銀ETF以外の自己は350億円前後の買い越しになる。350億円くらいの買い越しなら、ポジション調整の売買の範囲内だと思う。

投信は現先合計で644億円の買い越し。うち現物で113億円の売り越し。野村総研によると、5月第1週の国内株式型の公募投信は206億円の資金純流入になっている。公募投信は買い越しだとしても、今まで買い越しが続いていた私募投信が売り越しに回ったと推測する。

投信先物は757億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で819億円の買い越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を100億円前後の売り越しと計算できる。観察している比較的大口の同種のファンドは、トントンか売り越しであった。別の種類の投信が1000億円前後買い越している。先物手口概算を見ると、手口は野村としか考えられない。これは4月第2週に売った野村アセットの私募投信の買い戻しである。

信託は現先合計で451億円の買い越し。うち現物で578億円の買い越し。先物で127億円の売り越し。信託のファンドマネージャーもこの下げ相場では相場観が分かれたようである。中長期志向で投資する資金からは押し目買いが入った。一方、すでに巨額の現物株を運用中のファンドマネージャーのごく一部が、目先の下げを警戒して先物でヘッジ売りを出したようである。

5月第1週の最大の売り手、そして唯一の売り手は海外であった。現先合計で6012億円の売り越し。うち現物で3143億円の売り越し。先物で2869億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1621億円の売り越し。日経平均ミニ先物で297億円の売り越し。TOPIXラージ先物で922億円の売り越し。

先物手口概算からはソシエテ売り越し、ニューエッジ買い越しが見える。これは元々親子関係にあった2社が合併し、ソシエテに統一されたからである。私のような先物手口ウォッチャーからすると、今までよく見えていたソシエテ自己の現物買い、TOPIX先物売りという大量のポジションが今後は見えにくくなるので、大変痛い出来事であった。

先物手口概算の外資系15社を見ても、3種類の先物のそれぞれの合計は全て売り越しである。繰り返すが、投資部門別売買状況でも3種類の先物と現物は全て売り越しであった。これが意味することは、海外は短期志向の投機家も、中長期志向の投資家も両方とも売り越しであった可能性が高いということである。ただし売越額は6012億円と大きな金額ではない。

一方、国内の方は個人を筆頭にして現先合計で全ての部門が買い越しである。すなわち、5月第1週は、海外売り越しvs国内総買い越しとなった週であった。

ここに大変需要な事実がある。海外の投機、投資双方の売り越しは、おそらくであるが、相場急落時を中心によく起こっているはずである。しかし、国内総買いということはめったに起こるものではない。前回起こったのは、2011年8月第1週である。この週の日経平均株価は9300円、前週末比533円安で終えている。この時期は、アメリカではオバマ大統領と議会が対立し、国債のデフォルトが起こる寸前となっていた。そのため、NY株価は大きく下落していた。一方、ヨーロッパではギリシャ問題が深刻化し、その結果、海外の中央銀行やSWFの資金がヨーロッパから日本へと押し寄せてきた。そのため、すでに十分高かった円レートがさらに高くなり、1ドル=77円台を一時つけていた。財務省は大量のドル買い円売り介入を実施した。円高と介入のピークは10月なので、ピークの1つ前の超円高の時期であった。こうした超円高とNY株価の下落を嫌気して、海外は週に現先合計で6991億円の売り越しとなった。このファンダメンタルズ最悪、株価も底ではないが、かなり安い位置の時に、国内投資家は海外の売りに対して総買いで向かったのである。

国内投資家が総買いで向かった理由は、株価が安かったからである。現在でもまだその傾向が強く残るが、国内投資家はファンダメンタルズが悪化し、海外が日本株を小幅に売り越す時に小幅に買い越していた。そして、ファンダメンタルズが改善し、海外が日本株を大幅に買い越す時に大幅に株を売り越していたのである。

現在もファンダメンタルズは改善中とは言えない。今まで良かったファンダメンタルズが悪化へと向かいつつある。特に企業収益が悪化の方向へと向かい始めている。過去にもこのような局面は何度もあった。その時は、海外の売りに対して、一部の国内投資家が小口の買いを入れたが、買越額が少なすぎて株価は下げ続けた。株価が下がると、それがさらに景気を悪化させ、景気後退を本物のものとし、同時に深刻な景気後退へと発展させた。

少し前までの日本では、16100円台で国内投資家の総買いは決して起こらなかった。16100円台という株価はまだ水準が高すぎたのである。買いはあっても小口の買いしか入らなかった。そして国内投資家が総買いになるためには、ファンダメンタルズが滅茶苦茶悪化し、日経平均株価が9300円まで下がって、初めて前回の国内投資家の総買いが発生したのである。

5月第1週の終値は16107円、前回よりも6800円も高い位置で国内投資家の総買いが発生した。なぜこんなに高い株価で総買いになったのか。理由はただ一つ。金融緩和の効果が発揮されているからである。金融緩和で金余りに加え、低金利、マイナス金利になったため、株しか資金の運用先がなくなったからである。これがまさに量的緩和の本物のポートフォリオ・リバランス効果である。繰り返し実施された金融緩和の効果の累積として、以前よりも6800円も高い位置で国内投資家は株の総買いを始めたのである。3度にわたる黒田バズーカ砲が大きな威力を発揮しつつあることが明らかになった。

しかし、残念ながら国内投資家は総買いとなったが、株価は大きく下がった。日本の中でも株の現先総合の売り越し買い越し金額をよく見ている人の数は少ない。普通は現物しか見ないので、投信の現物売りが目に入り、特別のことが起こっていることに気がつかない。従って、金融緩和のこの絶大な効果が見えないのである。株への投資をする人たちは、どうか5月第1週に16100円台という前回よりも6800円も高い位置で国内投資家の総買いが起こったという事実を知ってもらいたい。金融緩和の効果は目の前で発揮されつつあるのだ。

この状態が続くかどうかわからない。仮に景気後退が深刻化しながら現在の金融政策が維持され続けた場合、国内投資家の押し目買いは減少し、戻り売りが増加し、そして投げ売りへと変わってしまうであろう。これではまた株価は大きく下がってしまい、従来と全く同じパターンへの逆戻りである。これだけは絶対に避けなければならない。現在必要な政策は、金融緩和の強化である。金融緩和の強化を繰り返し続ければ、国内投資家は株の買い越しを続け、株価はあまり下がらなくなる。その場合、景気後退を回避することが可能になるかも知れない。金融緩和の強化だけでは力不足で景気後退が発生するかもしれない。しかし、その場合でも国内投資家の資金が株式市場に流入し続ければ、株価は大きくは下がらない。大幅な株安を伴わない景気後退は、比較的軽微なものとなる可能性が高くなる。

金融緩和という政策には効果があるが、効果が小さいので見えにくい。別の言い方をすると、効果が見えにくい理由は、金融緩和の量がまだ不足しており、効果がよく見えるほど強力な段階に達していないからであえる。

黒田総裁が追加金融緩和を実施できない最大の理由である出口戦略時には、政府が消費税増税をぶつけてインフレを抑制しよう。同時にその他の増税も組み合わせ、インフレとバブルの抑制と同時に財政再建を急速に進めよう。国債なんかできるだけ早く発行残高をゼロにしてしまえ。政府が出口戦略を用意しておけば、日銀は無制限の金融緩和を実施することが可能になる。そうすると国内投資家の株の買い指し値が上がり続けることが起こるかもしれない。その時には、株価が戻れば売りという大変重いヒステリシスという病から抜け出すことが可能になる。

5月第1週は株価は下げたが、売り越したのは海外だけであった。国内投資家は総買いであった。前回よりも6800円も高い位置で国内投資家の総買いが発生したという事実を記憶にとどめよう。金融緩和を無制限に強化し、国内投資家のあり余った資金を株式市場に流入させよう。そして海外に依存しない株高を20数年ぶりに実現させよう。


参照 株式売買関連の統計
  投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
  株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数
  大手証券 先物建玉枚数推移 グラフ
  日本株 日銀 資金循環統計に基づく株式売買と株式保有残高

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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