2016年3月第5週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20160407

週足株価201603-5Wブログ用

先物手口201603-5W


2016年3月第5週の日経平均株価は前週末比839円安の16164円で引けた。28日月曜日は円安を好感して強含みで始まった。その後は円のジリ高を背景に株価も弱含む展開が続いた。そして4月1日の日銀短観発表となる。日銀短観は予想よりも悪かった。このファンダメンタルズの悪化を契機にして、この日の株価は一挙に下落し、大きく値下がりしたまま週を終えることになった。

3月第5週の最大の買い手は信託であった。現先合計で3853億円の買い越し。うち現物で581億円の売り越し。先物で4434億円の買い越し。うちTOPIXラージ先物で4012億円の買い越し。信託は年に2回、半年度の期初にTOPIX先物をまとまって買う傾向が定着している。そのことを示すグラフを下記に掲載する。



信託銀行T先物買い

2000年代半ばあたりから、信託は半年度の期初にTOPIXラージ先物を買う傾向が見え始めた。それが確定的になるのが2007年9月第4週からである。この時から信託による半年度始めのTOPIXラージ先物は18回連続で大幅な買い越しになっている。買越額は平均すると2000億円前後であった。それが2015年9月第5週には2802億円と金額が拡大した。そして今回は4012億円にまで金額が拡大した。

信託はベンチマークである配当込みのTOPIXに連動させるためにTOPIXラージ先物を買っている。配当利回りの拡大や、配当込みのインデックスに対する連動を強化させるために直近では買いが増えている。2007年9月第4週以来、信託がTOPIXラージ先物を大量に買う週の日経平均株価の変動は10勝8敗である。信託が先物を買っても株価が上がるとは限らない。今回は買いの金額が過去最高であったが、買った週の値下がり幅も過去最大であった。過去最大の値上がりならわかりやすいが、過去最大の値下がりになるのであるから、株は難しい。

月曜日に公表され、その日にツイッター上に掲載している3月第5週の先物建玉の変化から見た大手証券会社の先物手口概算を示す表を今回は最初に掲載している。信託が買った証券会社は野村、大和、みずほが中心であったと思われる。このうち野村と大和は3月28日の年度末の日にTOPIXラージ先物を大量に買い越しており、29日の配当落ち日は買い越しではあるが、それ以上に大商いであった。手口だけから見ると、28日の期末に野村と大和の自己は信託に先回りしてTOPIXラージ先物を大量に買っていたように見える。それでも信託は、結果として野村と大和の自己から大量のTOPIXラージ先物を小さなマーケットインパクトで買うことに成功している。

信託の現物は581億円の売り越しである。それでも久々の現物の売り越しには寂しいというか失望感がある。

個人は現先合計で1597億円の買い越し。うち現物現金で505億円の買い越し。信用で602億円の買い越し。先物で491億円の買い越し。個人は今年に入って1月第3週だけが小規模の順張りで、それ以外は押し目買い、戻り売りを厳格に実行している

投信は現先合計で783億円の売り越し。うち現物で287億円の買い越し。野村総研によると、3月第5週の国内株式型の公募投信は148億円の資金純流入になっている。このところ投信現物は、純流入金額よりも買越額の方が大きい。ということは私募投信にニューマネーが入って、その資金が現物を買い越している可能性が考えられる。

投信先物は1070億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1589億円の売り越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を1600億円前後の売り越しと計算できる。大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」は日経平均ラージ先物を250億円前後の売り越しと計算できる。同種のブル型投信の多くは売り越しが多かったと推測している。おそらく、私募投信も含む通常型の投信は買いの方が多かったのであろう。それらを合計すると日経平均ラージ先物で1589億円の売り越しになったと思われる。

保険は現先合計で869億円の売り越し。うち現物で443億円の売り越し。先物で426億円の売り越し。日銀統計によると、2015年10-12月期に生保買い、損保売りであったことがわかっている。この週の現物も損保売りである可能性が高い。先物はヘッジ売りなので、生損保の両方が考えられる。

海外は現先合計で3836億円の売り越し。うち現物で79億円の売り越し。先物で3757億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1033億円の買い越し。日経平均ミニ先物で1055億円の売り越し。TOPIXラージ先物で3598億円の売り越し。日経平均型の海外先物は、ラージとミニの間の裁定売買だけである。問題はTOPIXラージ先物での3598億円の売り越しである。

過去において信託によるTOPIXラージ先物買いに対して売り向かったのは自己か海外である。ただ2000億円の売買というのは、信託による先物売買としては大口である。しかし、自己や海外による先物売買としては特に大口というほどではなく、頻繁に発生する売買規模である。その頻繁にある売買の原因を特定して類型化することは困難である。

ちなみに前回2015年9月第5週に信託によるTOPIXラージ先物買いに対して売り向かったのはUBSである。この時、UBSはポートフォリオ・インシュアランス的な順張りの売買をしていた。株価値下がりによる元本割れの恐怖に襲われたUBSは、下げ相場の大底を叩き売ったのであった。その結果、信託は下げ相場の大底でTOPIXラージ先物を2802億円も買い越すことに成功した。その後、10月はクジラの買い出動もあって反発相場となり、11月は順張りを続けたUBSの先物踏み上げ買いにより12月初頭まで株価は上昇を続ける。

今回の海外によるTOPIXラージ先物売りは3598億円。超大口ではないが、やや大口の買越額であった。手口はクレディ・スイス1150億円、ゴールドマン950億円など。客層の広い会社なので裏まではわからない。ただ現在の日本は、ファンダメンタルズ面では半年前よりも苦しい状況ではある。

合計すると、3月第5週は「信託、個人の買い越しvs海外、保険、投信の売り越し」であった。最大の焦点はTOPIXラージ先物市場における「信託買いvs海外売り」である。3月31日までは売り方と買い方がぶつかる中で少しばかり株価が下げる状態が続いていた。それが4月1日の日銀短観の発表をきっかけに売り方も買い方も双方が弱気になり、双方の指し値が1日のザラ場中に下方へと下がり続けた。

株価を決定する唯一の要因は株式需給である。第5週はファンダメンタルズ要因以外の配当込み指数連動という特殊要因による買いが大量に入ったにもかかわらず株価は大きく下げてしまった。第4週以前は、海外オイルマネーの資金不足、金融緩和による国内投資家の資金運用難などのファンダメンタルズ要因以外も一定の影響を及ぼしてきた。しかし第5週に関しては、株式需給を決定した最大の要因は、日銀短観の悪化に代表されるファンダメンタルズ要因であった。


3月月間

投資部門別コメント月次20160407

3月の日経平均株価は前月末比24円安の16164円で引けた。

3月の最大の買い手は信託。現先合計で9372億円の買い越し。うち現物で4982億円の買い越し。先物で4390億円の買い越し。うちTOPIXラージ先物で3652億円の買い越し。株価が下落し、クジラや資金運用難になった国内機関投資家の資金が信託を通じて買いを入れた。TOPIXラージ先物には3月第5週に2016年度の期初の恒例買いが4012億円入った。

自己は現先合計で7632億円の買い越し。うち現物で1兆0267億円の買い越し。日銀ETFは1008億円の買い越し。日銀ETFを除くと現先合計で6624億円の買い越し。この大部分は現物買いであり、3月第2週のSQ時に海外に対して取引所外取引で現物かデリバを大量に売却したため、そのカバー買いを現物に入れた。

個人は現先合計で3476億円の買い越し。うち現物現金で407億円の買い越し。信用で2419億円の売り越し。先物で650億円の買い越し。従来と同様に株価下落局面での押し目買いに徹していた。

投信は現先合計で273億円の売り越し。うち現物で932億円の買い越し。野村総研によると、2月の公募型日本株投信は660億円の資金純流入であった。資金純流入以上の現物買いが入っているということは、私募投信にニューマネーが流入し、その資金による現物買いが入っている可能性が高い。投信先物は1205億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で2034億円の売り越し。野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を1900億円前後の売り越し。大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」は日経平均ラージ先物を5億円前後の売り越し。

保険は1209億円の売り越し。うち現物で986億円の売り越し。損保の売りである可能性が高い。

3月の最大の売り手は海外。現先合計で2兆0862億円の売り越し。うち現物で1兆9588億円の売り越し。先物で1274億円の売り越し。自己のところで書いたように、海外はSQ時を中心に取引所外取引で現物かデリバを6624億円買い越している。その分を考慮した場合、海外の実質的な売越額は1兆4238億円前後である可能性が高い。

3月月間の現先合計は、「信託9732億円の買い越し、自己7632億円の買い越し、個人3476億円の買い越しvs海外2兆0862億円の売り越し、保険1209億円の売り越し、投信273億円の売り越し」であった。自己の買いの多くは海外の買いの代理であり、実質的な海外の売越額は1兆4238億円前後であった。それでも巨額の売り越しであるが、日経平均株価はわずか24円しか下がらなかった。円高により企業収益が悪化すると、海外を中心とした売りによって株価が大きく下がることが過去においては頻繁に発生してきた。今回はクジラの買いの他、日銀による大規模な金融緩和の効果もあって国内勢が買い向かい、下げ幅を小さくすることにはかろうじて成功している。

テーマ : 軍事・安全保障・国防・戦争
ジャンル : 政治・経済

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海外投資家は良く考えれば、同じ事の繰り返し体質、無機的な日本の構造の助言者、忠告者でもあったわけですね。
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