2016年3月第4週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20160331

週足株価201603-4Wブログ用


2016年3月第4週の日経平均株価は前週末比278円高の17003円で引けた。この週は薄商いの膠着状態が続き、値上がりをあまり感じさせない週であった。しかし、日経平均株価はNY株、上海株よりも値上がり幅は大きかった。この強さを説明できるのは、為替レートの動きだと思う。最近の日経平均株価は小幅の為替レートの動きに大きく影響を受ける。21日の休み中に円安が進行し、22日の日経平均株価は高く始まった。その後も円安傾向が続き、株価も週初のレベルを維持することができた。

3月第4週の最大の買い手は信託であった。現先合計で1592億円の買い越し。うち現物で1831億円の買い越し。先物で239億円の売り越し。信託は3月第1週までは大量の買い越しが続いていた。それが3月第2週、第3週は下げ相場であったにもかかわらず買越額は少なかった。その休みのせいもあったのかもしれないが、第4週は上げ相場であったのにもかかわらず1592億円という少しばかり大幅な買越額になった。クジラも、他の資金余剰主体も両方買い出動していた可能性が高い。

投信は現先合計で1053億円の買い越し。うち現物で80億円の買い越し。野村総研によると、3月第4週の国内株式型の公募投信は25億円の資金純流出になっている。ニューマネーの買いではないので、既存ファンドの株式組入比率の少しばかりの引き上げのための買いが入った可能性が考えられる。

投信先物は973億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で856億円の買い越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を650億円前後の買い越しと計算できる。大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」は日経平均ラージ先物を150億円前後の買い越しと計算できる。観察している範囲内では、同種のブル型投信は買い越し傾向であった。こうしたブル型投信を中心にして、投信による日経平均ラージ先物は856億円の買い越しになった。

個人は現先合計で465億円の売り越し。うち現物現金で5億円の買い越し。信用で211億円の売り越し、先物で260億円の売り越し。最近の個人は押し目買い、戻り売りが徹底している。ここまで安定してくれれば説明の必要は全くない。信託のように、原則は逆張りながらも第4週もそうだが時々順張りをやる主体は、順張りの際の説明が難しくなるので困る。

問題は海外と自己の売買である。海外は現先合計で3億円の買い越し。うち現物で2043億円の売り越し。先物で2046億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で897億円の買い越し。TOPIXラージ先物で828億円の買い越し。自己は現先合計で2274億円の売り越し、うち現物で381億円の買い越し。先物で2655億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1948億円の売り越し。TOPIXラージ先物で795億円の売り越し。自己がアウトライトで2274億円も売り越しになることは考えられない。裏で何らかの特殊な取引があったはずである。

月曜日に公表され、その日にツイッター上に掲載している3月第4週の先物建玉の変化から見た大手証券会社の先物売買概算を示す表を下記に掲載する。


先物手口201603-4W

私が一番有力なシナリオと考えているのは、次のようなスキームである。まず大手の海外顧客が3月11日のSQ時に日経平均型1000億円、TOPIX型1000億円、合計2000億円分をエクイティ・スワップ形式で購入した。そして自己はスワップの相手方となり、ポジションカバーのためにSQ時に日経平均型で1000億円、TOPIX型で1000億円、合計2000億円分を現物バスケットの形で購入した。3月第2週の自己は、現物だけと現先合計で過去最高の買い越しであった。この2000億円は過去最高の自己による買い越しの一部であった。そのポジションを保有する海外が、3月第4週にスワップ2000億円買い相当分を大証上場先物に乗り替えた。その場合、取引所内取引で、日経平均ラージ先物で海外1000億円買い、自己1000億円売り、TOPIXラージ先物で海外1000億円買い、自己1000億円売りという売買が記録されることになる。

海外は現物に2043億円の売り越しが残る。これは年初から一貫して現物を売り続けている欧米の機関投資家かオイルマネーの売りであろう。自己にも少しばかりの現物買い、先物売りのポジションが残るが、その大部分は裁定形成の売買であろう。

上記の手口で示した先物のうち、ドイツ、クレディスイス、バークレーズ、ABNクリア、シティの何割かは第3週の反対売買であった。ドイツの日経平均ラージ先物は第3週も買い越しだが、3月第1週、第2週に大幅に売り越している。外資系証券の売買の多くが短期の反対売買を行っていることから、投機筋の売買である可能性が高い。そして、上記の手口の表の中で一番重要な数字は、外資系15社の買いの合計が350億円であるということだ。ここからさらにソシエテとドイツの東証に届けられた裁定売買を差し引くと、外資系15社の買いの合計は100億円となり、ほとんどゼロ近くになる。

スワップから先物にポジションを入れ替えた海外顧客は、どこの証券会社を使ったかはわからない。1社だけではなく、複数の証券会社を使った可能性もある。大口の先物売買を繰り替えしている大手外資系証券ならどこでもありうる。スワップから先物へ乗り換える際は、同じ証券会社で同じ枚数の先物クロスを振ることになる。そして買い方が海外顧客、売り方が自己なのである。そのため、証券会社の売り買い合計はゼロになる。合計がゼロのため、どこの証券会社でクロスを振ったかはわからない。反対売買をした外資系証券は、スワップを使ったショートが先物を使ったショートに変わることになる。つまり、現物買い2000億円、先物売り2000億円という裁定と同じポジションが残る。繰り返すが、大口クロスと裁定売買を除いた海外だけの先物売買合計を外資系15社の売買合計から計算するとゼロに近かったことになる。これは投資部門別売買状況の海外による先物売買から、海外顧客の大口クロス、すなわちスワップから先物買いへの乗り換え分2000億円を差し引くとゼロに近くなることと一致する。

以上が、私が一番有力と考えているシナリオである。投資部門別売買状況を説明することはできる。先物の手口も説明できる。しかし、それらはすべて状況証拠だけであり、確たる証拠は存在しない。そして最大の難点は、海外顧客がスワップから先物へと乗り換えなければならない動機を説明できないことである。最初にSQ時にスワップを組んだのであれば、スワップのまま保有し続ければよい。最初から先物を買うつもりであれば、SQ前後にスワップではなく先物を買っていればよかった。SQ時にスワップを組み、3月第4週にスワップから先物に乗り替えなければならない必然性はどこにも見当たらない。この乗り換え理由までを明快に説明することができたならば、確度99%の有力シナリオと自信を持って書くことができたと思う。それには失敗しているので、確度50%以上のシナリオとまでしか書くことができない。

上記のシナリオが正しいかどうかは別にして、自己は何らかの特殊な取引をしており、実際には海外の現先合計は3億円の買い越しではなく、2000億円前後の売り越しであった可能性は非常に高いと思う。

合計すると3月第4週は「信託、投信の買い越しvs自己、個人の売り越し」であった。ただ自己の売りの背後には海外がいたと思われ、実質的には「信託、投信の買い越しvs海外、個人の売り越し」であった可能性が高い。為替が少し円安方向に進んだため、買い方だけではなく売り方も少し強気方向に傾き、売り指し値と買い指し値は両方とも上方に移動した。結果として週間の日経平均株価は278円高で引けることになった。


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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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