2016年3月第3週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20160325

週足株価201603-3Wブログ用


2016年3月第3週の日経平均株価は前週末比214円安の16725円で引けた。この週も日本株が影響を受けやすいNY株、上海株は少し強めの動きを示した。しかし、日経平均株価は弱含みの展開であった。その弱めのトレンドを決定づけた最大の要因は、ジリジリと進む円高ドル安であったと思われる。株価の円高に対する抵抗力が弱くなり、小幅の円高で株安が進行するようになった。17日の寄りに少し戻したが、後場からは円高進行で再び株価は下落に転じ、そのまま低い水準で週を終えることになった。

3月第3週の最大の買い手は個人であった。現先合計で2014億円の買い越し。うち現物現金で672億円の買い越し。信用で1203億円の買い越し。先物で138億円の買い越し。個人は戻れば売り越すが、下がると買い越しを続けている。個人はまだ買い余力を残している。

次に自社株買いだが、最近発表された自社株買いとしては、テルモ、3月1日-3月24日、市場買付(事法部門)175億円、ヤマトHD、3月1日-3月18日、市場買付(事法部門)、126億円、日東電工、3月1日-3月22日、信託方式、200億円などが比較的大口であった。小口のものは他にも存在した。それでも自社株買いの合計金額は少ない。事法にしろ、信託にしろ、最近、売りが多いわけではなく、買いが少ないからだ。

事法の現物の買越額はこのところ低水準だが、週間93億円は少なすぎである。今後は増えると書いてきたが、まだ増えていない。具体的にいつとは断定できないが、近い将来、自社株買いの増加とともに必ず増える。

信託の現物の買越額182億円も少ない。そして信託部門では、日東電工のような信託方式の自社株買いが入っている。自社株買いを除く信託は、売り越しか買い越しかわからない。クジラにしろ、他の資金余剰主体にしろ、3月第1週までは大量に買い越していた。それが3月第2週から、下げ相場であるにもかかわらず買越額が急減している。相場が下がるかぎり信託の買い越しは続くと思う。従来でも、景気悪化で相場が大きく下落している局面において、信託は買い越しになることが多かった。

投信は現先合計で778億円の売り越し。うち現物で229億円の買い越し。野村総研によると、3月第3週の国内株式型の公募投信は30億円の資金純流入になっている。第2週は資金純流入にもかかわらず投信現物は売り越しであった。第2週に買いを見送った分も含めて第3週に買い越している。

投信先物は1007億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1280億円の売り越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を1000億円前後の売り越しと計算できる。大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」は日経平均ラージ先物を100億円前後の売り越しと計算できる。観察している範囲内では、同種のブル型投信は売り越し傾向であった。こうしたブル型投信を中心にして、投信による日経平均ラージ先物は1280億円の売り越しになった。

3月第3週の最大の売り手は海外であった。現先合計で3427億円の売り越し。うち現物で4580億円の売り越し。先物で1152億円の買い越し。月曜日に公表され、その日にツイッター上に掲載している3月第3週の先物建玉の変化から見た大手証券会社の先物売買概算を示す表を下記に掲載する。


先物手口201603-3W

ツイッターでも書いたが、海外の買いの割合が高い外資系証券のうち、ABNクリア1社が1550億円買い越しており、外資系15社を合計して1250億円の買い越しである。つまり買い越しているのはABNクリアだけであり、それ以外の外資系は小幅ながらも売り越しである。この構図は投資部門別売買状況と一致する。日経平均ミニ先物はあまり一致していないが、日経平均ミニ先物は一致しないことが多い。そして、ABNクリアは22日火曜日に日経平均ラージ先物を1100億円売り越している。3月第3週に日経平均ラージ先物を買ったのはABNクリアを通じる投機筋の買いが中心であり、買いの7割方は第4週の初日に手仕舞い売りを出している。

ANBクリア以外の海外は現物売りが中心である。今年に入ってからコンスタントに売り越している。一部はオイルマネーであろう。しかし、より多くの部分は欧米を中心とした機関投資家であると考えている。日本企業のファンダメンタルズの悪化が原因である。アベノミクス相場開始以降の日本企業の収益増加は円安に大きく依存していた。その結果、円高進行=企業収益の悪化となってしまう。円高傾向が続く場合には、海外の売り越し傾向に変わりはないと思われる。

自己は現先合計で1215億円の買い越し。この週の日銀ETF買いはゼロであった。3月第2週の自己は過去最高の9106億円の買い越しであり、そのメカニズムを詳しく説明した。それと同じことが第3週でより小規模に発生しているわけである。違いは、第2週に自己は取引所外で海外に対して大きく売り越したが、第3週の売却相手は国内機関投資家の可能性もありうることである。16日にモルガンスタンレーMUFGが、500億円強の西武株のサーベラスから内外の機関投資家への売却を仲介したと報道されている。この取引は取引所外取引だけなので、東証統計とは無関係である。同様の取引所外取引は常に存在するが、表に出ないだけである。その際、売りと買いの間に自己が入り、売り買いどちらか一方だけを取引所内取引で実施した場合、投資部門別売買状況での自己は売り越しか買い越しになる。第3週にも現物かデリバの取引所外取引で、自己売り、内外の機関投資家買いという売買が1215億円前後存在していた可能性が高い。

合計すると、3月第3週は「個人、自己、信託の買い越しvs海外、投信の売り越し」であった。下げ相場にもかかわらず、信託の買越額は小さかった。それ以外の「個人買い越しvs海外売り越し」のパターンは下げ相場では過去25年あまりの間によく見られたパターンと同じであった。

海外が日本株を売り越す最大の原因は、円高などを原因とした日本企業の収益悪化である。ここからさらに円高が進行するか、景気が後退局面に突入してしまえば、信託の買い指し値は確実に下へと移動する。そして個人は押し目買いから投げ売りに変わってしまう。株価をこれ以上下げさせてはいけない。そのためには国債市場の機能を停止させ、国債にしがみついているリスク回避に凝り固まった巨額の資金を、依然として不足しているリスク資産の市場へと資金を無理矢理にでも移動させることが必要である。国債から追い払われた資金の何割かは必ず株式市場に流入してくる。日銀が国債の購入金額を年間80兆円から160兆円にまで増加させ、出口政策に消費税増税という強力なデフレ不況推進政策を準備しておけば実現可能になるのである。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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No title

私は無学なので、高橋洋一氏の言うような楽観論に飛びついて減税して好景気すればもっとうまくいくのではないかと思ってしまうのですが、
ttp://www.mag2.com/p/money/7051
管理人さんの考えはこのサイトの吉田氏に近いのでしょうか?小幡績氏のようにもう手遅れだからさっさと破たんしたほうが傷は浅くて済むなど同じ問題でも識者によって主張が全くちがうので困ってしまいます。とにかく、日本の財政問題は増税による強力な不況圧力になっている現実なので、破たんの是非に関係なく解決しなくてはいけない状況のようですね

出口政策の提示が重要

高橋氏の問題点は出口戦略です。金融緩和が効果を発揮し、景気が回復してインフレ率が上昇すれば、金利が上昇するのはやむをえないという考え方を示唆しています。私は金利上昇は株式市場と不動産市場を破壊し、財政にも悪影響を及ぼすので、絶対に避けなければならないという立場です。今減税をしてしまうと、出口での金利上昇圧力が高まるので避けるべきです。出口での金利上昇の代替案が消費税増税です。

吉田氏にはいくつかの共通点を感じますが、相違点もあります。小幡氏とは全く異なります。
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