2016年3月第2週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20160317

週足株価201603-2Wブログ用


2016年3月第2週の日経平均株価は前週末比76円安の16939円で引けた。この週は前半は安く、後半は高く、週間での変動幅は小さかった。日経平均株価の動きはNY株、上海株の動きとは多少異なっていた。最も動きが近く、影響が大きかったのは、為替レートであろう。週前半の円高期は株安が進行したが、週後半に円安が進行すると、株高に戻るという展開であった。

3月第2週の投資部門別売買状況では、過去最高の記録が数多く誕生した。東証のHPには7種類の過去最高記録が掲載されている。ここでは東証とは異なる角度で示す。自己は現物だけでは過去最高の買い越し、海外は現物だけでは過去最高の売り越し、自己は現先合計でも過去最高の買い越しであった。海外の現先合計は2015年8月第4週の1兆8831億円の売り越しという数字には達しなかった。

重要なことは、現先合計で海外と自己が大量の売り越しと買い越しになることは、メジャーSQのある週では今回だけではなかったという点である。2012年3月以降のメジャーSQがあった週の海外と自己の現先合計での売買状況を表すグラフを下記に掲載する。

SQ時の海外と自己の売買

2016年3月は過去最高が多かったとしても、SQのある週には海外と自己が反対方向に大幅売り越し、買い越しとなることは過去にも存在した。ツイッター上ではSQのある週では3回連続と書いたが、正確性に欠ける表現であった。上記のグラフが正しい姿、数字である。海外の売り越し、買い越し金額が大きくなることは、SQのある週以外でも普通に発生する。しかし、自己が現先合計で大幅な売り越し、買い越しになることは普通ならほとんど発生しない。自己は裁定取引が多いので、現物だけ、先物だけなら、大幅な売り越しか買い越しはよくあるが、現先合計ならそうはならない。一方的な株の買い越し、売り越しを続けると株価変動のリスクが発生するが、自己はそうしたリスクを少ししか取ることができないのである。しかし、SQのある週だけは、現先合計の自己でも大幅な売り越しか買い越しが発生しやすい。過去においては海外買い、自己売りもあり、2015年3月以前を合計すれば、トントンに近くなる。しかし、2015年6月以降は、海外と自己を合計すると大幅な売り越しとなっている。ただ、海外がSQのある週に売り越しにならなければならない必然性はなく、将来はかつてのように大幅な買い越しを記録することもありえると考えている。

自己と海外がSQのある週で売り越し、買い越し金額が大きくなり、方向が反対になるのは理由がある。それは、SQ精算値とメジャーSQ時における大量の現物と先物の売買の存在である。SQ時に、海外と自己は取引所内と取引所外で現物バスケットとデリバをSQ値で大量に売買しているのである。そして、自己は取引所内と取引所外を合計すると、ゼロにはならないが、ゼロに近い金額になる。外から見える数字=投資部門別売買状況の数字はこのうちの取引所内取引の数字だけである。ここまではほぼ間違いない事実だと思う。そしておそらく3月第2週は、取引所外の現物とデリバの合計で、海外買い、自己売りが大量に存在していた可能性が高い。その結果、取引所内取引の数字だけなら、上記のようになっているのである。

この週は日銀ETF買いが672億円入っている。これは自己による取引所内取引での買い、取引所外取引での売りであるが、SQとは無関係である。自己の買越額はこの分を差し引くと8434億円の買い越しになる。自己はこの大半を取引所外で海外に売却している。すなわち、海外は取引所外の現物、デリバを合計で8434億円前後買い越している可能性が高い。従って、海外の取引所内での現先合計の売越額1兆2993億円と取引所外での買越額8434億円を合計すると、海外による実質的な売越額は4560億円前後と計算できる。

過去のSQ時には、先物の投資部門別売買状況と証券会社別の先物手口をあわせて、一番可能性の高い詳しいシナリオを長々と説明したこともあった。しかし、今回は可能性の高いシナリオは何通りか考えられる。長くて複雑でわかりにくく、推測のため正確性が高いとは言えないものしか書くことができない。従って従来型の説明は省略させていただく。

繰り返すが、海外は取引所内、取引所外の現物、デリバの合計で4560億円前後売り越している。この金額は大量とは言えないが、少量とも言えない。海外はオイルマネーにしろ、欧米の機関投資家にしろ、依然として日本株の売り越しを続けていることは間違いない。円高と、その結果発生するファンダメンタルズの悪化を嫌気して、海外は今年に入ってからずっと「日本売り」を続けているのである。

個人は現先合計で2958億円の買い越し。うち現物現金で826億円の買い越し。信用で1213億円の買い越し。先物で919億円の買い越し。個人は依然として戻れば売り越すが、下がると買い越しになる。政策論的には個人の買いが損失ではなく、利益につながりやすくなる政策をとる必要がある。国内投資家の戻れば売りという株式市場のヒステリシスから回復させるためには、大規模かつ長期の量的緩和の継続が必要であるというブログ記事を、2012年10月というアベノミクス相場開始の直前に書いている。

信託は現先合計で872億円の買い越し。うち現物で737億円の買い越し。先物で135億円の買い越し。トヨタが信託方式の自社株買いを3月1日-3月9日に446億円実施している。この分を差し引くと信託の買越額はさらに小さくなる。株価が下落した週にしては物足りない買越額であった。

事法は現先合計で349億円の買い越し。うち現物で334億円の買い越し。自社株買いが中心。事法は売りが増えたというよりも、買いの金額が低水準のままである。最近発表された自社株買い終了の報告は、信託方式のトヨタ以外は小粒である。自社株買いを実施中の企業は多いので、いずれは買越額は増えると考える。

投信は現先合計で619億円の売り越し。うち現物で223億円の売り越し。野村総研によると、3月第2週の国内株式型の公募投信は273億円の資金純流入になっている。2月第3週から3月第1週までは、資金純流入金額以上の買い越しであった。第2週はその反動で売り越しとなった可能性がある。私募投信が売り越しになったことも考えられる。

投信先物は397億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で383億円の売り越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を500億円前後の売り越しと計算できる。大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」は日経平均ラージ先物を100億円前後の買い越しと計算できる。観察している範囲内では、同種のブル型投信は売り買いどちらかに大きく傾いてはいない。383億円の買い越しは上記2ファンドの売買だけで大半の説明がつく。

合計すると、3月第2週は「自己、個人、信託の買い越しvs海外、投信の売り越し」であった。SQ時によく見られる自己の買いの多くの背後には海外がいる可能性が高い。従って、実質的には「個人、信託の買い越しvs海外、投信の売り越し」であり、海外の売越額はそれほど大規模なものではなかった。国内は買い越しではあるが、株価も下がっていたので、株式市場のヒステリシスから回復の方向へと向かっていることが明らかなほどの積極的な買い越しではなかった。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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