2016年2月第3週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20160218

週足株価201602-3Wブログ用


2016年2月第3週の日経平均株価は前週末比1015円高の15967円で引けた。12日金曜日に急落して引けた後、15日月曜日は前週末のNY株高と円安進行を好感して急上昇して終えた。しかし、円安進行は1日だけであり、その後は再びジリジリとした円高に戻ってしまった。円高進行を嫌気し、16日火曜日以降の株価は少しばかり値下がりして週を終えることになった。

2月第3週の最大の買い手は信託であった。現先合計で5253億円の買い越し。うち現物で5000億円の買い越し。先物で254億円の買い越し。

信託現物の5000億円の買い越しは過去最高である。2番目は1998年4月第1週の4833億円の買い越し。この週の日経平均株価は1221円安の15518円で引けている。水準はあまり変わらないが、方向が正反対である。この時期は、拓銀と山一が倒産し、次は日債銀あたりが危ないと噂されていた頃である。その後、今度は長銀危機の噂が浮上する。株価は約半年後の10月9日に12880円で底を打ち、長銀、日債銀の倒産後にもその水準を割ることなく上昇し、1999年からはITバブル相場と呼ばれる上昇局面に突入した。基本は逆バリの信託が大きく買い越すのは、株価の下落時、急落時に多い。

ちなみに信託による現先総合での過去最高の買い越しは2015年9月第5週の5594億円(現物2413億円+先物3181億円)の買い越しである。この週の日経平均株価は155円安の17725円で引けた。下げ局面であるが、10月1日から公的年金の運用一元化が始まった週である。株式組入比率が低かった3共済というクジラがかなり大量に現物と先物の両方を買っていたはずである。2014年5月以降、クジラと呼ばれている公的年金が買い越しに転じ、この頃から信託は株価上昇局面でも買い越すことが増え始めた。2015年9月第5週は株価が下落したとは言え、クジラによる買い越しがピークに達した週であった。

2月第3週にもクジラは買い越していたであろう。しかしおそらく、簡保系、ゆうちょ系、生保系、農林系、企業年金系などの公的年金以外の信託の買いも入っていた可能性も十分に考えられる。そうであるならば、信託による2月第3週の大幅買い越しの理由は、2013年4月以降の異次元緩和、そして1月29日のマイナス金利の導入という大規模金融緩和の結果、運用難に陥った国内機関投資家の余剰資金が株式市場に流入してきたことになる。それ以外にも、トヨタのように信託方式での自社株買いを計画していた資金も実際の自社株買いに入ったことが考えられる。

投信は現先合計で1375億円の買い越し。うち現物で546億円の買い越し。2月第3週の国内株式型の公募投信は132億円の資金純流入になっている。第2週には資金純流入にもかかわらず、東証の投信現物は売り越しであった。第2週は下げにおびえて様子見をしていた資金が第3週になって実際の買いとして出てきたと思われる。

投信先物は829億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で669億円の買い越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を1100億円前後の買い越しと計算できる。大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」は日経平均ラージ先物を200億円前後の買い越しと計算できる。株価がここまで上昇すれば、同種のブル型投信の大半は買い越しのはずである。第2週に野村アセットの私募投信の売りが想定より少なかったと書いた。その私募投信の売り残した分が第3週に数百億円規模で売却された結果、投信全体による日経平均ラージ先物は669億円の買い越しになったと推測する。

事法は現先合計で1360億円の買い越し。うち現物で1385億円の買い越し。大部分が自社株買いであろう。直近発表分では特に大きなものはなかった。カシオ、2月3日-2月22日、103億円が目に付いた中では一番の大口であった。

個人は現先合計で1094億円の売り越し。うち現物現金で431億円の買い越し。信用で405億円の売り越し。先物で1119億円の売り越し。ツイッターでも書いたが、先物はネット証券の売り越しが多かった。個人は昨年12月以降、押し目を中心に買い越していた分が積み上がっていたので、その分が反対売買になった。信用も同様であるが、金額は小幅であった。そのため、先物を除けばトントンに近かった。

2月第3週の最大の売り手は海外であった。現先合計で7294億円の売り越し。うち現物で4053億円の売り越し。先物で3241億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で3172億円の売り越し。TOPIXラージ先物で274億円の売り越し。月曜日に公表され、その日にツイッター上に掲載している2月第3週の先物建玉の変化から見た大手証券会社の先物売買概算を示す表を下記に掲載する。

先物手口201602-3W

2月第1週のブログで詳しく説明したが、第3週の18日にもTOPIXラージ先物でニューエッジ海外買い、ソシエテ自己売りというクロスが6000枚(ソシエテの売買は正確には17日に+100枚、18日に-6100枚)、800億円あった。

TOPIXラージ先物が売り越しである部門は少ないので、ソシエテ以外の証券会社の大半の売りは海外であったことになる。ゴールドマン1250億円を筆頭にして海外全体では274億円と小幅の売り越しになった。

日経平均ラージ先物では買い方の筆頭であるドイツの大半は自己の裁定解消買いである。第3週は全体の裁定株数の減少が約1.9億株、金額に直すと約3200億円存在した。株価が上昇したので、裁定残高の金額はここまで減っていないが、値上がり分を差し引くと3200億円前後の裁定解消売買が出ていたという計算になる。ここには、上記のソシエテによる裁定類似のポジション形成売買は含まれていない。ドイツは15日月曜日は裁定形成、第3週週間では裁定解消となっている。ただ15日の日経平均ラージ先物が大幅な買い越しであるので、この先物買いは裁定類似の買いであり、第3週のいずれかの日に現物の裁定残高を大きく減らしていた可能性が高い。クレディスイスも以前は裁定売買が東証発表資料に掲載されていたこともあった。ドイツと同様に、自己が時間差を伴った裁定解消買いを実施した可能性がある。先物を買った証券会社の何割かは自己の裁定解消買いなのである。

クレディスイスの日経平均ラージ先物に自己のまとまった裁定解消買いがあったと仮定するならば、ドイツとクレディスイスの日経平均ラージ先物に海外顧客の買いは少なかったか無かったことになる。ABNクレアによる日経平均ラージ先物の買いは日経平均ミニ先物の売りとの裁定、あるいは相殺といってよい。すると、ゴールドマン、UBSの大半の売りとシティの売りの一部、表にはないメリルなどの売りは、第2週に買った分の反対売買ということになる。海外投機筋が第2週の急落局面で大量に買い越し、第3週の戻り局面では反対売買をしたことになる。

海外の現物4053億円の売り越しはあまり見られない売りである。ファンダメンタルズが悪化する環境下では、第2週のように大幅に下げる週での大幅売り越しはよくある。しかし、株価の戻り局面では買い越しになるか、売越額が大きく減るケースが多い。大きく戻したわりには売り越しの減少額が小さい。従来とは種類の異なる資金が売っている可能性が高い。先週にも説明したオイルマネーによる売り越しの割合が高かったと考える。

合計すると、2月第3週は「信託、投信、事法の買い越しvs海外、個人の売り越し」であった。急騰したのは15日月曜日1日だけであったとはいえ、このパターンは過去においては株価の急落時によく見られるパターンに近かった。売り方の海外先物には投機筋の売りが多かったとしても、海外現物の中ではオイルマネーの割合が高かったと思われる。買い方の信託は現物だけなら過去最高の買い越しということは、クジラ以外にも運用先を失った国内機関投資家の買いも含まれていた可能性が高い。日銀による量的緩和とマイナス金利の効果は見えにくいが、見えにくいところで一定の効果を上げていたのである。


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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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