2016年2月第2週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20160212

週足株価201602-2Wブログ用


2016年2月第2週の日経平均株価は前週末比1867円安の14953円で引けた。8日は何とか上昇した。しかし、引け後のヨーロッパでドイツ銀行に信用不安の噂が広まり、欧州で銀行株安が進行し、9日の日経平均株価は急落した。10日のアメリカでイエレンFRB議長の議会証言から利上げはやはり先延ばしという観測が高まり、円高が進行した。休み明け12日の株式市場は再び急落となり、日経平均株価は大幅安で週を終えた。

2月第2週の最大の買い手は個人であった。現先合計で2261億円の買い越し。うち現物現金で2283億円の買い越し。信用で397億円の売り越し。先物で375億円の買い越し。個人は今年に入ってからずっと逆バリの買い下がりを続けている。この急落した週も、信用だけは少し投げ売りが出たが、現物現金を中心に買い越しを維持した。

事法は現先合計で1001億円の買い越し。うち現物で1024億円の買い越し。この週も多数の自社株買い終了の報告があった。大口のものだけを記すと、9日いすゞ359億円、10日KDDI262億円、10日テルモ175億円であり、この3社だけで合計796億円になる。

海外は現先合計で1052億円の売り越し。うち現物で5735億円の売り越し。先物で4683億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で3878億円の買い越し。TOPIXラージ先物で1139億円の買い越し。月曜日に公表され、その日にツイッター上に掲載している2月第2週の先物建玉の変化から見た大手証券会社の先物売買概算を示す表を下記に掲載する。今週は20社全部を示す。

先物手口201602-2Wブログ用

2月第1週のブログで詳しく説明したが、第2週にもニューエッジ海外買い、ソシエテ自己売りというクロスが1300億円あった。TOPIXラージ先物で9060枚、1150億円、日経平均ラージ先物で1000枚、150億円、合計で1300億円である。上記の表は週の平均値で枚数を金額に換算している。クロスのあった8日と9日はもう少し高値であったので、より厳密には合計1400億円の方が近い。いずれにしろ、ソシエテの売りは全て自己である。

これで2週連続して海外は先物買い越し、現物売り越しで、合計すると小幅の売り越しになる。この場合、アービトラージ型のヘッジファンドのポジション解消売買であることが考えられる。

先物の手口から言えることは、第1週、第2週ともに同一の投資家がニューエッジを通じてTOPIXラージ先物を中心に買いを入れており、2週合計で少なくとも4900億円買い越している。これは第1週の時に説明したように投資性の資金であり、アービトラージではない。第1週のUBSは2種類の先物を合計3050億円買い越している。2種類の先物でこれほど巨額のアービトラージは不可能である。ソシエテ自己は第2週に両方のアービトラージを実行したが、これは日本市場で毎週のように裁定売買を繰り返しているソシエテ自己だけが可能なことであり、普通のヘッジファンドでは無理である。第1週の先物買いの大半はUBSとニューエッジを通じる投資家の買いであり、アービトラージではなかった。

第2週のTOPIXラージ先物は、ニューエッジで2週続けて先物を4900億円以上買った投資家以外の海外による売買は均衡に近い。一方、海外による第2週の日経平均ラージ先物は第1週と異なり大幅な買い越しであるが、手口は完全にバラバラである。ニューエッジ以外の投資家は第1週と第2週では少ししか重なっていないと思う。

以上から第2週の海外の一部がアービトラージ型の売買であることまではありうる。しかし、第1週、第2週を合計するとアービトラージ型は少なく、大半の現物売りは先物買いとは異なる主体が売っている。2週合計で海外は現物を1.2兆円売り越していた。その大半は現物単独の売りである。先物とは異なり手口が非公開の現物は、オイルマネーか年金かヘッジファンドかを見極めるのが容易ではない。

2月17日に2015年のアメリカの対外対内証券売買動向が発表された。その中で、アジア石油輸出国は国債の保有残高を少し増やし、株はそれ以上に売り越していた。アメリカ以外の投資家全体でもアメリカ株を売り越しており、その一部がアジア石油輸出国の売り越しであった。アジア石油輸出国は、資金が不足していることも一因であるが、アメリカの株価が下がると予想しているので、国債の保有を維持しながら株を売り越していたのである。アラブのオイルマネーはおそらく日米ともに似たような投資行動をとった可能性が高い。日本株は売り越し、しかし、海外の現物売りの一部であり、理由は資金不足だけではなく、株価の先安予想から日本株を売り越していたと思われる。

従って、2月第2週の海外の現物売りの一部にもオイルマネーが何割か含まれている可能性が高い。しかし一部であり、資金不足だけではなく、株価下落予想を持っているために日本株を売り越しているのである。日本経済の先行きがアメリカとは異なって明るいならば、株の保有を維持しながら国債を先に売り越していたことも考えられる。

2月第2週の最大の売り手は投信であった。現先合計で3211億円の売り越し。うち現物で285億円の売り越し。野村総研によると、2月第2週の国内株式型の公募投信は574億円の資金純流入になっている。公募投信だけなら買い越しの可能性が高いが、私募投信が売り越しであったと推測する。

投信先物は2926億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で2100億円の売り越し。TOPIXラージ先物で785億円の売り越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を1100億円前後の売り越しと計算できる。大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」は日経平均ラージ先物を500億円前後の売り越しと計算できる。両投信とも設定超過であったが、株価下落のために売却を強いられた。残りの売りは一部が同種のブル型投信の売りであり、同時に私募投信の売りも含まれていたと思われる。

投信のTOPIXラージ先物が週間で785億円もの大幅な売り越しになることは非常にめずらしい。投信全体ではアベノミクス相場の初期にTOPIXラージ先物をしばらく買い越し、その後少しずつ売り越しており、直近は売り越しが続いている。ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の売買とは動きが全く異なっている。TOPIX型のブルベア型投信の純資産は、日経平均型のブルベア型投信よりもずっと少ない。売買動向を見ても、ブルベア型の投信の売買が主体ではない。ブルベア型以外の公募投信ならば、現物が中心で先物を補完的に使うのが普通であろう。公募投信でも上記のような売買動向になることは考えづらい。先物を中心に売買する私募投信である可能性が高いと考える。

日経平均ラージ先物では2014年の11月から野村アセットの私募投信が大きく動いていた。野村のレバETFのロングを上回るショートポジションを持っていた時期もあった。最近では1月第1週に1000億円以上買い越していた。2月12日の急落日に野村証券の日経平均ラージ先物の売越額が非常に多く、野村レバETFの売りは一部であったので、野村アセットの私募投信が売ったと考えていた。しかし、2月第2週の投信による先物売りの総額は予想通りであったが、予想外にTOPIXラージ先物の方の売りが多かった。

私募投信で、日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物を売った顧客は別である。日経平均ラージ先物を売ったのは野村アセットの顧客である。TOPIXラージ先物を売ったのは手口から見ると野村アセットと大和投信の顧客であるが、この顧客は同一であってもおかしくないし、同一の可能性が高いと思う。野村アセットと大和投信の私募投信が合計して日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物を1000億円以上売り越していた可能性が高い。

自己は現先合計で1093億円の買い越し。うち現物で2501億円の買い越し。先物で1408億円の売り越し。この週は日銀ETFの買いが1320億円入っている。第1週の時に説明したように、第2週もソシエテ自己の現物買い、先物売りという裁定類似の売買が1400億円存在したはずである。その他に東証が発表している裁定に伴う先物売りが2200億円、先物買いが1200億円存在する。先物の売りは日経平均型が多く、先物の買いはTOPIX型が多かったのであろう。ソシエテの先物売りと自己の先物売りに差が発生する一番大きな原因は、自己による裁定に伴う先物売買であったと考える。裁定と裁定類似の売買だけなら現先を合計するとゼロになる。日銀ETF買いを除くと自己の現先合計は200億円強の売り越しになるが、この金額は自己のポジション調整の売買の範囲内である。

合計すると、2月第2週は「個人、自己、事法の買い越しvs投信、海外の売り越し」であった。個人は冷静に買い越していた。日銀ETF買いと自社株買いも入った。ただし、買い方は相当下値での指し値買いが多かったのであろう。ブル型投信と私募投信、そしてオイルマネーを一部含む海外が売り越していた。こちらは成り行きに近い売りが多かったと思われる。その結果、1867円の急落という驚きの週になってしまった。


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テーマ : 経済
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