2016年1月第4週 株 コメント

投資部門別売買状況 長期時系列表はこちら

投資部門別コメント週次20160129

投資部門別コメント201410-5W

週足株価201601-4Wブログ用


2016年1月第4週の日経平均株価は前週末比560円高の17518円で引けた。この週も中国経済不安と原油安が背後で株価を動かしていた。大きな変化をもたらしたのは29日金曜日の後場である。日銀がマイナス金利政策の導入を発表した。この情報が伝えられた後、急速な円安とともに株高が発生した。株価は一時反落するも、再び上昇に転じて週を終えることになった。

今回は上記に1月第4週分に加えて、黒田バズーカ砲第2弾のあった2014年10月第5週の投資部門別売買状況も同時に掲載した。この時はバズーカ砲の情報が伝えられると日経平均株価は一直線に500円ほど上昇した。その時の買い手は大半が海外であり、国内は個人を中心にほぼすべてが売りで向かった(詳細は「金融緩和に過去最高の売り越しで立ち向かう日本の株式投資家」を参照)。2013年4月第1週のバズーカ砲第1弾の時も似たような構図であった。しかし、バズーカ砲第3弾があった2016年1月第4週の構図は、バズーカ砲第1弾、第2弾が発射された週と大きく異なっている。

1月第4週の最大の買い手は信託であった。現先合計で2279億円の買い越し。うち現物で2708億円の買い越し。先物で429億円の売り越し。第4週の株価は上昇したが、まだ水準が低い時間も長かったので、多くの信託が現物に買いを入れた。その中で一番金額が大きかったのは公的年金を中心とするクジラであったであろう。それ以外にも企業の信託方式の自社株買いがあった。企業年金、生保、簡保、郵貯、農林系などの何割かが信託を通して買い越しになっていたであろう。

投信は現先合計で1000億円の買い越し。うち現物で62億円の売り越し。野村総研によると、1月第4週の国内株式型の公募投信は626億円の資金純流入になっている。国内株式型といっても日本株だけを買うタイプ以外の投信も含まれている。それでも売り越しというのは少し理解に苦しむ。私募投信でまとまった売り越しがあったのかもしれない。

投信先物は1062億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で916億円の買い越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を950億円前後の買い越しと計算できる。株価が上昇したので、第4週はこれと同種のブルベア型投信の多くは買い越しが多かったと推測できる。通常型の投信は売り越したものが多く、それらを合計すると916億円の買い越しになったと思われる。

個人は現先合計で1119億円の売り越し。うち現物現金で401億円の売り越し。信用で284億円の売り越し。先物で433億円の売り越し。第3週までは現物現金は買い越しであり、その中にはNISA資金が多く含まれていたはずである。その買いも一巡した。昨年は個人現物現金の買い越しは年初の2週間でしかなかった。それ以外のスイングトレーダーは今年に入って第1週、第2週と買い下がってきたが、第3週には投げ売りとなってしまった。第4週も投げ売りまたは戻り売りが多かったようである。

海外は現先合計で2662億円の売り越し。うち現物で2073億円の売り越し。先物で588億円の売り越し。月曜日に公表され、その日にツイッター上に掲載している1月第4週の先物建玉の変化から見た大手証券会社の先物売買概算を示す表を下記に掲載する。

先物手口201601-4W

最大の買い手はUBSによる1350億円の買い越しであった。UBSの売買については、11月第2週のブログで説明したので、詳しい説明はそちらの方をお読みいただきたい。

問題はUBS以外の海外の売りである。UBS以外の海外は現先合計で4000億円前後の売り越しである。この中には噂としてよく出てくるオイルマネーの売りも含まれていたとは思うが、これは小さな問題である。より大きな問題は、オイルマネーよりも遙かに巨額の資金を運用する欧米中心の機関投資家である。年金、投信からヘッジファンドまで様々な種類の機関投資家が存在する。これらの機関投資家は資金豊富なので、日本株を大幅(年間数十兆円レベル)に売り越すことはない。売越額は小幅(年間数兆円レベル)にとどまる。しかし小幅とは言え彼らが売り越す理由の方が問題なのである。

バブル崩壊後の1991年から、欧米中心の機関投資家は日本経済のファンダメンタルズが改善すると日本株を買い越し、日本経済のファンダメンタルズが悪化すると日本株を売り越し、その中で日本株の保有金額を大幅に増やしてきた。現在彼らが日本株を売り越している最大の理由は、日本経済のファンダメンタルズの悪化を感じ取っているからである。日本経済は昨年4-6月期にマイナス成長をとげ、7-9月期もGDPの第一次速報値まではマイナス成長であった。このファンダメンタルズの悪化を嫌気して、昨年6月以降、海外は売り越しの傾向が続いている。そして最近はマクロの景気レベルだけではなく、ミクロの企業業績レベルでも下方修正が始まっている。

こうした企業業績の下方修正が今後も続くならば、欧米中心の機関投資家の売り越しは続く。そのうちEPSの低下、PERの上昇が大きくなると、国内投資家の買い指し値も下へと下がり続ける。この場合、欧米中心の機関投資家の売越額は小幅であっても、株価はどんどん下がっていく。やがてスイングトレーダーも押し目買いから戻り売り、投げ売りに変わらざるをえなくなる。そして株価が大きく下落してしまえば、株は上値を買うと必ず損をするので、海外以外は誰も株の上値を買わなくなり、結果として株価はさらに上がりにくくなってしまう。これは株式市場のヒステリシスと呼ぶべき大変重い病気がさらに重症化してしまうことを意味する。この最悪のシナリオが起こる可能性は低いと思うが、ゼロではない。仮に起こってしまったのであれば、バズーカ砲第3弾の実施は「Too Little Too Late」であったことになる。

合計すると、1月第4週は「信託、投信の買い越しvs海外、個人の売り越し」であった。海外が大量に買い越してきた過去2回のバズーカ砲発射時の週とは大きく異なっている。これは最初の2発とは異なり、バズーカ砲第3弾の発射が遅すぎ、あるいは小さすぎで効果が発揮できない可能性が、低いながらも存在していることを示している。


1月月間

投資部門別コメント月次20160129

1月の日経平均株価は前月末比1515円安の17518円で引けた。

1月の最大の買い手は個人。現先合計で7969億円の買い越し。うち現物現金で7148億円の買い越し。年が変わってNISA資金が買い始めたことが最大の原因である。

投信は現先合計で6067億円の買い越し。うち現物で967億円の買い越し。野村総研によると、1月の公募型日本株投信は3035億円の資金純流入であった。その一部が現物株の買いに回った。投信先物は5100億円の買い越し。野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を4600億円前後の買い越し。大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」は日経平均ラージ先物を150億円前後の売り越し。

信託は現先合計で5559億円の買い越し。うち現物で6076億円の買い越し。株価が下がったので、くじらを中心に他の信託も含めて買い下がる金額が増加した。

自己は現先合計で1819億円の買い越し。うち日銀ETFが3185億円の買い越し。

1月の最大の売り手は海外。現先合計で2兆2203億円の売り越し。うち現物で1兆0556億円の売り越し。先物で1兆1647億円の売り越し。うち順張り戦略をとるUBS1社で先物を合計して6000億円前後売り越していた。

1月月間の現先合計は、「個人7969億円の買い越し、投信6067億円の買い越し、信託5559億円の買い越しvs海外2兆2203億円の売り越し」であった。「国内の買い越しvs海外の売り越し」は、下げ相場ではよく見られるパターンと同じであった。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

コメントの投稿

非公開コメント

No title

はじめまして 今年に入りとてもよく勉強させていただいております。

最後の2行目が逆になっているかもです。「国内の売り越しvs海外の買い越し」

年初から売りと感じながらも さくらインターネットなどの新興株をウオッチしてると

大型循環株(循環株の意味も最近しりました)売りが出来ず・・投機投資 難しいで

ですね。

ありがとうございます

訂正させていただきました。
間違いをわざわざ教えてくださったことには、大変感謝しております。
全記事表示リンク
目次のページを表示

株式関連 株 コメント一覧

  • 投資部門別 現物先物 時系列表

  • 投資部門別売買状況 時系列グラフ

  • 5月第3週 株 コメント

  • 5月第2週 株 コメント

  • 5月第1週 株 コメント

  • 4月第4週 株 コメント

  • 4月第3週 株 コメント

  • 4月第2週 株 コメント

  • 4月第1週 株 コメント

  • 3月第5週 株 コメント

  • 3月第4週 株 コメント

  • 3月第3週 株 コメント

  • 3月第2週 株 コメント

  • 3月第1週 株 コメント

  • 2月第4週 株 コメント

  • 2月第3週 株 コメント

  • 2月第2週 株 コメント

  • 2月第1週 株 コメント

  • 1月第4週 株 コメント

  • 2016年 年間 株 コメント

  • 投資部門別売買状況アノマリー

  • 日本株 株式分布状況調査

  • 日銀資金循環統計 株 長期グラフ

  • 日銀資金循環統計 株 コメント

  • 株式先物投資部門別売買状況

  • 大手証券 先物建玉推移 グラフ

  • 海外投資家の株式買い越し金額

  • 世界の株価 国別 長期推移

  • 最新記事
    カテゴリ
    最新コメント
    Twitterを表示
    経済指標が意味するところを解説
    FC2カウンター
    最新トラックバック
    検索フォーム
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR
    RSSリンクの表示
    Web Analytics