2016年1月第3週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20160122

週足株価201601-3Wブログ用


2016年1月第3週の日経平均株価は前週末比189円安の16959円で引けた。中国経済不安と原油安を背景にして、年初から21日木曜日までは弱い相場が続いた。流れが変わったのは21日の引け後である。ECB理事会後の記者会見において、ドラギECB総裁が3月の理事会で追加金融緩和の実施を示唆する発言を行った。この発言をきっかけにしてユーロが値下がりし、ヨーロッパ諸国の株価は上昇に転じた。この勢いが日本にまで波及し、22日金曜日には円安とともに株高が一気に進行した。

1月第3週の最大の買い手は信託であった。現先合計で2166億円の買い越し。うち現物で1822億円の買い越し。先物で344億円の買い越し。株価が大きく下がったので、クジラも含むいくつかの信託が現物を中心に買いを入れた。株価が下がると株式組入比率が低下するので当然の買い越しである。むしろ、1月第1週のように下げ相場で売り越しになったり、12月第5週のように上げ相場で買い越しになったりすると、その理由を考えなければならない。こちらの方がはるかに難しい難問である。

投信は現先合計で1382億円の買い越し。うち現物で580億円の買い越し。野村総研によると、1月第3週の国内株式型の公募投信は621億円の資金純流入になっている。この資金純流入分の大半が現物株の買いに回った。

投信先物は802億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で707億円の買い越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(レバETF)」が日経平均ラージ先物を1600億円前後の買い越しと計算できる。大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」が日経平均ラージ先物を200億円前後の売り越しと計算できる。第3週はこれらと同種のブルベア型投信の多くは売り越しが多かったと思われる。野村のレバETFはスイングトレーダーの買いの大半を引き受けたと考えられ、例外である。それらを合計すると707億円の買い越しになった。

自己は現先合計で276億円の買い越し。うち現物で1165億円の売り越し。先物で1441億円の買い越し。日経平均ラージ先物で1310億円の売り越し。TOPIXラージ先物で2454億円の買い越し。日銀ETF買いが1056億円あるので、それを除く現先合計では780億円の売り越しであったことになる。合計すると現物売り、先物買いという広義の裁定解消売買が大量に入った。ただ日経平均型とTOPIX型では方向が異なっている。TOPIX型では裁定解消売買が中心であるが、日経平均型では裁定形成売買が中心であった。

個人は現先合計で52億円の売り越し。うち現物現金で1112億円の買い越し。信用で834億円の売り越し。先物で330億円の売り越し。現物現金の買い越しはNISA資金が中心のニューマネーと思われる。スイングトレーダーは今年の第1週、第2週と買い下がってきたが、第3週には投げ売りになってしまった。買い余力を残していた者は、追い証の必要がない野村のレバETFを集中的に買ったと思われる。

銀行は現先合計で1526億円の売り越し。うち現物で144億円の売り越し。先物で1382億円の売り越し。日経平均ラージ先物で1399億円の売り越し。銀行は日経平均ラージ先物で時々投機的なヘッジ売りをする。大きなものとしては、2008年の終わり頃から日経平均ラージ先物を4000億円近く売り越し、2009年3月にその大半を買い戻したことがある。リーマンショック後の底値近くでヘッジ売りをし、底を打った直後に買い戻したのである。この時の損得勘定は正確にはわからないが、トントンに近かった可能性が高い。

海外は現先合計で2329億円の売り越し。うち現物で1902億円の売り越し。先物で427億円の売り越し。日経平均ラージ先物で1821億円の買い越し。TOPIXラージ先物で2579億円の売り越し。月曜日に公表され、その日にツイッター上に掲載している1月第3週の先物建玉の変化から見た大手証券会社の先物売買概算を示す表を下記に掲載する。


先物手口201601-3W

売り方のトップはUBSであり、1社だけで3300億円も売り越している。次に、これもツイッター上では掲載済みであるが、UBSにおける保有先物建玉の推移を表すグラフを下記に示す。

UBS先物20160122

UBSの売買については、11月第2週のブログで説明したので、詳しい説明はそちらの方をお読みいただきたい。

UBSはポートフォリオ・インシュアランス的な運用をしており、順張り型の売買戦略を実施している。その部分を週次にしてもう少し詳しく示したグラフを下記に掲載する。


UBS先物2-20160122

第2週終了時の建玉を見て、前回、「明らかに売り遅れ」と書いた。第3週末時点では、買い建玉はかなり減少している。かなり減少したとは言え、下がれば売らなければならない玉はまだ残っていると思われる。UBSの第3週末時点での日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物の買い建玉の合計は69000枚、金額にすると1兆円である。下がれば売らなければならない玉は最大で1兆円であり、実際にはその何割かであろう。株の買い方から見ると、この買い建玉がもっと減ってくれた方が安心である。

UBS以外の海外は、日経平均ラージ先物をかなり大量に買い越している。シティ、ゴールドマン、JPモルガンなどが中心であるが、投機的資金が多いように見える。現物の売り越しは、中長期の実需筋が中心と思われ、噂の高かったオイルマネーの売りも一部は含まれていたかもしれない。アービトラージ型ヘッジファンドの裁定解消売買を考えてみたが、そうではない可能性の方が高いと結論づけた。この週は、東証発表の数字によると、毎日裁定形成売買が入っていた。週間の金額ベースでは裁定形成売買が裁定解消売買よりも多かった。裁定形成のために、主として自己が日経平均ラージ先物を売り越していた。こうした裁定形成売買が実施されるためには、誰かが先物を大量に買い越していなければならない。誰かの中の一つが海外である。海外が裁定解消売買であるならば、相当不利なベーシス、すなわち損を出しながら裁定解消売買を実施していたことになる。これは実際問題としてありえない。海外の現物売りと日経平均ラージ先物買いは別の主体である。日経平均ラージ先物を買い越していた中心が投機筋としたならば、現物の売り越しは投機筋とは異なった主体、すなわち中長期の実需筋が中心であった可能性が高い。

合計すると、1月第3週は「信託、投信の買い越しvs海外、銀行の売り越し」であった。もう少し細かく分けると、「UBS本体、海外の実需、銀行の投機、個人信用の売り越しvs信託、野村レバETF、海外の投機、日銀ETF、個人NISAの買い越し」であった。終わってみれば189円安でしかなかったが、その途中では大荒れになった週の投資部門別売買状況である。


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テーマ : 経済
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日銀がマイナス金利を実施しましたが、この政策どう思いますか
管理人さんは反対の立場とのことですが、やらないほうがよかったのでしょうか

評価

早めに書くといいながら、書けていなくて申し訳ありません。

国債発行残高ゼロを目指すものとしては、ベストの政策は国債購入金額の拡大です。しかし、これは日銀による国債引受や出口での増税などで、政府の協力が必要です。

政府が日銀に協力をする姿勢は全く見えません。日銀が単独でやるのであれば、マイナス金利しかなかったのだと思います。出口が軽くなります。ベストではないにしろ、現状維持よりはずっとよい政策であると評価します。ただし、遅すぎでした。
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