2016年1月第2週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20160115

週足株価201601-2Wブログ用


2016年1月第2週の日経平均株価は前週末比551円安の17147円で引けた。今年に入って第2週までの間に上昇した日は13日の1日だけという下げ相場が継続した。理由としてあげられるのが、中国経済不安と原油安である。私は原油安メリット論者であり異論があるが、ここでは反論しない。ただ一般的には、原油安もまた日経平均株価が大きく下げた原因と解説されることが多い。

前回、2016年1月第1週の投資部門別売買状況を2014年、2015年の1月第1週と比較し、多くの類似点を指摘した。そしてその類似点が発生する原因として、必然と偶然が両方作用したと書いた。今年の第2週も、第1週に引き続いて類似点が多い。しかし、今年は過去2年とは決定的に異なる点がある。それは、株価の下げ幅が非常に大きかったという点である。今年の第2週にも、過去2年と同様の年初効果ともいうべき必然があったかもしれないが、一部であろう。今年の第2週の投資部門別売買状況は、今年特有の外部環境によって大部分が決定されたのであり、過去2年との類似点の多くに必然の要素は小さかったと考えることにする。

1月第2週の最大の買い手は個人であった。現先合計で2756億円の買い越し。うち現物現金で2499億円の買い越し、信用で68億円の買い越し。先物で189億円の買い越し。現物現金の買い越しはNISA資金が中心と思われる。この点に関しては、過去2年と共通する必然が存在した。スイングトレーダーは大きく下げたのにもかかわらず、かろうじて買い越しを維持した。

投信は現先合計で2310億円の買い越し。うち現物で177億円の買い越し。野村総研によると、1月第1週の国内株式型の公募投信は936億円の資金純流入になっている。この純流入分の一部が現物買いに回った。国内株式型といっても、その資金の大半を国内株式に投入するタイプのものであるとは限らない。買うのは純流入金額の一部である。それを考慮しても現物の買い越し金額は小さすぎる。一部は資金流入にもかかわらず、買わずに様子見をしたものもあるのかもしれない。

投信先物は2132億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で2218億円の買い越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を1900億円前後の買い越しと計算できる。大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」が日経平均ラージ先物を90億円前後の買い越しと計算できる。この週はこれらと同種のブル型投信の多くは小幅ながらも買い越しが多く、それらを合計すると2218億円前後の買い越しになった。

信託は現先合計で1454億円の買い越し。うち現物で1201億円の買い越し。先物で253億円の買い越し。株価が大きく下がったので、クジラも含むいくつかの信託が現物を中心に買いを入れたものと思われる。

自己は現先合計で639億円の売り越し。うち現物で2916億円の売り越し。先物で2277億円の買い越し。日銀ETF買いが704億円あるので、それを除く現先合計の売越額は1343億円。金額が少し大きいので、これを相殺するOTCでの現物、デリバの買いがあったと推測する。それ以外には現物売り、先物買いという広義の裁定解消売買が大量に入った。大部分はTOPIX型である。下記にある表の上から2番目に、SMBC日興証券が先物を1050億円の買い越しということが示されている。この週のSMBC日興証券による裁定解消売買は1100億円前後であった。

海外は現先合計で7248億円の売り越し。うち現物で2109億円の売り越し。先物で5139億円の売り越し。月曜日に公表され、その日にツイッター上に掲載している1月第2週の先物建玉の変化から見た大手証券会社の先物売買概算を示す表を下記に掲載する。


先物手口201601-2W

売り方のトップはUBSである。次に、UBSにおける保有先物建玉の推移を表すグラフを下記に示す。

UBS先物20160115

UBSの売買については、11月第2週のブログで説明したので、詳しい説明はそちらの方をお読みいただきたい。

UBSはポートフォリオ・インシュアランス的な運用をしており、順張り型の売買戦略を実施している。グラフを見てわかるように、直近においてもUBSの売買は順張りになっている。その部分を週次にしてもう少し詳しく示したグラフを下記に掲載する。


UBS先物2-20160115

UBSは昨年夏の下げ相場に売り遅れて、9月第5週の1時16000円台の底をつけた週に大量に売り越している。10月から日経平均株価は反発するが、本格的に買い始めたのはかなり上がった11月に入ってからである。そして株価は再び下落に転じるのであるが、売り始めたのは12月第4週からである。1月の最初の2週間は証券会社別では最大の売り越し主体であったが、第2週末時点では、大きく売り遅れていた。第3週に入ってからも売り越しているのが見える。株価動向は材料次第であるにしても、UBSの売りが一巡することが株価反転上昇のための一つの条件であろう。プライベートバンキング部門では世界最大の運用資産を持つUBS本体の中で、日本株を運用するファンドマネージャー、あるいは運用チームは、天才ではなく、普通の人間であったようだ。

先物でUBSに次ぐ売り手はバークレーズである。バークレーズは1月第1週、第2週と連続してTOPIXラージ先物を大量に売り越した。ストックベースで売り越しであるが、それに加えて日々の売買を合計したフローベースでは、飛び抜けたより大幅な売り越しであった。UBS本体は、UBS証券東京で保有する先物の買い建玉を、東証のギブアップという制度を利用してUBS以外の証券会社を使用して売却している。このUBS本体が大量に売却する際に使った証券会社は、バークレーズ以外には考えられない。つまり、バークレーズにはUBSによる先物大量売りが見えていたのである。これはバークレーズの海外自己(東証統計上は海外部門)がUBSの先物売りを先読みして、TOPIXラージ先物に売りを出したと考える。こうした手口の分析からは、100%正しい事実を導き出すことはできない。しかし、第1週の650億円に続いて、第2週のバークレーズによるTOPIXラージ先物1250億円の売り越しの正体が、バークレーズの海外自己であった可能性はかなり高いと思う。少し古い言葉で表現すると、提灯売りである。バークレーズ東京の現物株部門の閉鎖が報道されているが、当然、日本株先物部門にも高い収益プレッシャーがかかっているはずである。UBSの売りを見て、勝つ確率の高い手法として自己の売りというリスクを取ったのであろう。海外全体による現先合計の売りの4割、先物の売りの6割は、広義のUBS関連の売り物であった可能性が高い。ゴールドマンの日経平均ラージ先物、HSBCのTOPIXラージ先物は純粋な顧客の売りと思われるが、金額が少ないとその背後関係を推測することは難しい。

合計すると、1月第2週は「個人、投信、信託の買い越しvs海外、自己の売り越し」であった。海外の売り越しのうち、約4割はUBS本体とそれに誘発されたバークレーズの売り物であった。一つだけ付け加えると、根底に中国経済や原油価格に対する不安があったため、海外の売りに対する買い方の指し値が低かったことが、日経平均株価が551円というかなり大幅な下げとなった原因である。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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