2016年1月第1週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20160115

週足株価201601-1Wブログ用


2016年1月第1週の日経平均株価は前週末比1336円安の17698円で引けた。今年は第2週の月曜日も含めて年初から6営業日連続の下げという戦後で最も悪い新記録を打ち立ててしまった。原因は何と言っても中国経済に対する不安であり、人民元安、上海株安に引きずられた。

最初に、2016年1月第1週の投資部門別売買状況を2014年、2015年の1月第1週と比較することから始める。その比較を示した表を下記に掲載する。


過去との比較

見てわかるとおり、共通点が非常に多い。信託が今年だけ売り越しになっている。昨年末の12月第5週の信託は買い越しであった。その買いが1月第1週に入っていたとしたならば、本当にそっくりになるところであった。

こうした3年連続の類似というのは、一部に必然があるが、偶然もかなり多かったと思われる。最大の必然はNISAという制度の発足である。NISAという非課税枠があるので、その制度を利用するとしたならば、1月第1週に個人の買いが多くなるのは当然である。税法の観点から見るとNISAは12月末からすでに利用可能である。ただそのことはあまり周知されていない。実質的には1月第1週がNISAのスタート日なのであろう。こうした投資部門別売買状況の類似性は2013年以前には存在しなかった。2014年にNISAという制度が発足してから後、表にはないが個人現物現金が3年連続で買い越しである。それ以前は売り越しの方が多かった。個人現物現金という部門は、普通であれば売り越しの週が多い部門なのである。

一方、海外は個人のNISA買いに対して、売り物を1月第1週にぶつけてきたわけである。投資部門別売買状況に季節性というものは少しは存在する。ある特定の時期に特定の主体がまとまった買いを入れるという例は存在する。しかし、その時には別の売り手が必ず現れるので、株価上昇につながるという傾向はない。海外は個人のNISA買いに対して明確な意図を持って売りをぶつけたとは思わない。ただNISAという制度の開始以降、それ以前との比較で、新年以降にNISAを含む国内による買い越し期待が高まり、「年初は売りから入る」という方針を立てた投資家が増えたのだと思う。3年連続して1月第1週は値下がりとなり、今年は特に急落になったので、来年以降は変わるであろう。それでも今後もNISAという制度が続くならば、毎年1月第1週の「個人買い越しvs海外売り越し」というパターンは、常にではないにしろ、傾向としては続くものと考えられる。個人が買い越す以上、他の主体が売り越す必要がある。最も売り越しになりやすい主体が海外であると考えられるからだ。個人のNISA買い以外に、特に大きな制度変更や、3年連続での年初に共通した外部環境は思い当たらない。ここまで高い類似性には、偶然の要素もかなり大きかったと思われる。

2014年、2015年、2016年と3年連続で1月第1週の株価が下げている点は共通である。しかし2016年の最大の特徴は、株価の下げ幅の大きさにある。2016年は下げ幅が非常に大きかった。これは外部環境の変化が原因である。最初に書いたとおり、中国経済に対する不安である。この不安があったからこそ、海外は売却予定分に関しては株価水準を無視して投げ売りを続けたのである。一方個人は、予定通りに買いを入れようとし、中国経済不安から株価が崩れていくのを見たものの、買うという予定自体は変えなかった。逆バリ好きの個人は、急落はむしろ買い時と考えた人も多かったと思う。しかし、買いの指し値は相当大きく下に下げたのである。結果として、「海外による成り行きないしは下値での指し値売りvs個人による下値での指し値買い」という形になり、株価は急落してしまった。

後は特徴的なことを中心に説明する。個人は現先合計で6838億円の買い越し。うち現物現金で3939億円の買い越し、信用で1876億円の買い越し。先物で568億円の買い越し。現物現金の買い越しはNISA資金が中心。スイングトレーダーは12月第5週の戻り局面で大きく売り越していたので、1月第1週の下げ局面で買い越すことができた。

自己は1852億円の買い越し。うち現物で3765億円の売り越し、先物で5617億円の買い越し。自己は日銀ETF用に1073億円の買い越し。大量の現物売り越し、先物買い越しは、裁定と裁定類似の売買である。

投信は現先合計で1376億円の買い越し。うち現物で272億円の買い越し。野村総研によると、1月第1週の国内株式型の公募投信は852億円の資金純流入になっている。この純流入分の一部が現物買いに回った。

投信先物は1103億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1241億円の買い越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を130億円前後の買い越しと計算できる。一方、大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」が日経平均ラージ先物を260億円前後の売り越しと計算できる。この週はこれらと同種のブルベア型投信はまちまちであり、売り買いどちらかのポジションに大きく傾いてはいない。ところでこの週は、下記に示しているように野村証券全体では日経平均ラージ先物を大幅な買い越しであった。これらの事実を矛盾なく説明するためには、野村アセットの私募投信が久々に1000億円以上の買いを入れたと考えるのが一番妥当であると思われる。

海外は現先合計で9964億円の売り越し。うち現物で4471億円の売り越し。先物で5493億円の売り越し。月曜日に公表され、その日にツイッター上に掲載している1月第1週の先物建玉の変化から見た大手証券会社の先物売買概算を示す表を下記に掲載する。


先物手口201601-1W

売り方のトップはUBSである。次に、UBSにおける保有先物建玉の推移を表すグラフを下記に示す。

UBS先物20160108

UBSの売買については、11月第2週のブログで説明したので、詳しい説明はそちらの方をお読みいただきたい。

簡単に説明すると、UBSの買いの大半はUBS本体のプライベート・エクイティ部門の勘定であり、元本確保と値上がり益の追求という2つの目標をもったポートフォリオ・インシュアランス的な運用を実施している。そのための売買は、順張りにならざるをえない。グラフを見てわかるように、直近においてもUBSの売買は順張りになっている。しかし、昨年9月と比べると、明らかに売り遅れている。過去のUBSのポートフォリオ・インシュアランス的な順張りの売買という経緯を見る限り、第2週以降も株価が下がれば先物を売っている、あるいは売ってくる確率は、100%ではないが50%を大きく上回ると考えてよいと思う。株価上昇を望む者からすると、UBSの買い建玉は嫌なものであり、もっと大きく減らないと安心できない。

しかし、年初に大量に売ってきた主体はUBSだけではなかった。UBS以外にも多くの海外が現物、先物を売り越していた。付け加えたいことは、1月第1週の売りの中心は、オイルマネーではなかったということである。まずオイルマネーの先物売りは、あったとしても非常に少ない。それでも海外の現物株の売越額に占めるオイルマネーの比率は、2016年は2014年、2015年よりも高かったと思う。しかし、海外が日本株を大量に売り越した最大の原因は「年初」であった。そして下値をアグレッシブに売った原因は「中国経済不安」であった。売り越していたのはオイルマネーだけではなかったのである。原油価格が今のような安値が続くならば、オイルマネーの売り越しは確実に続く。それでもオイルマネーの売り越しの結果、株価が下がるとは限らない。より確実な事実として、日銀はETFを中心にして2016年1年間に3兆円の株を買い越す。こちらの方はほぼ100%間違いない事実である。しかし、日銀が3兆円買い越しても、今後1年間、株価が上がるかどうかはわからない。オイルマネーによる株の売り越しは、多々ある株価下落の一要因にすぎない。オイルマネーの株価引き下げ圧力は、実際の売り越し金額以上にアナウンスメント効果の方が大きいと思う。

合計すると、1月第1週は「個人、自己、投信の買い越しvs海外の売り越し」であった。昨年、一昨年の1月第1週とほとんど同じパターンであった。必然と偶然の要素が絡み合いながら同じパターンが続いたと思われる。3年目の今年は中国経済不安という外部環境があったため、株価の下げ幅が特に大きな週になってしまった。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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