2015年 年間 株 コメント

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週足株価2015年間ログ用

先物手口2015年間


2015年の日経平均株価は前年末比1583円高の19034円で終えた。

2015年の最大の買い手は自己。現先合計で3.7兆円の買い越し。うち現物で1.6兆円の買い越し。先物で2.1兆円の買い越し。

2015年は日銀ETFによる買いが3兆0694億円入っている。12月第3週のブログで説明したとおり、2015年5月以降の日銀ETF買いは大半が自己部門で入っている。しかし、4月以前は大半というよりも一部であった。一方、東証の他の統計によると、日本株指数型ETFの信託銀行(大半は日銀)の保有比率は昨年7月末時点で60%である。新規設定分だけの日銀購入比率は60%を大幅に上回ると計算できるが、100%以下である。そうしたプラスマイナスを考慮した上で、日銀以外が購入しているETFも含めた自己部門でのETF購入金額は3兆円前後と推定する。この3兆円は、自己が購入した後、取引所外取引を通じてETF証券との交換=設定へと回される。

12月第5週のブログにある12月月間の説明文の中で、ソシエテがTOPIXラージ先物買い、OTCデリバ売りを東京自己で6700億円実施していたと書いた。これはニューエッジを通じた海外のTOPIXラージ先物売りに向かったものである。しかし、TOPIXラージ先物には、2月に海外ニューエッジ買い、ソシエテ自己売りという売買が存在していた。金額ベースでは6700億円より小さいが、枚数ベースでは12月よりも少し小さいだけであった。12月の売買は2月の売買の正反対であり、ポジション解消の売買であった(ソシエテは2月の先物売りの際、最初に現物買いでカバーし、後でOTCデリバに少しずつ振り替えたと推測)。最初の方に掲載している大手証券先物・売買概算合計の表を見ればわかる通り、年間で見た場合、ソシエテのTOPIXラージ先物は250億円買い越しでしかなく、大きな売買手口にはなっていない。

自己の現先合計3.7兆円の買い越しのうち、だいたい説明可能な分は日銀を中心としたETF買いの3兆円前後である。しかし、ETF買いは最近増えつつある取引所外取引の一部にすぎない。そして、ソシエテのTOPIXラージ先物とOTCデリバのセット売買も大量に存在する同種の売買の中で、たまたま金額が大きかったために外から見えただけである。より小口の同種の売買は、全く見えないが常に存在しているはずである。3.7兆円の買い越しのうちの残りの0.7兆円は金額が小さいために外からは見えないが、現物の取引所外取引を通した売りか、OTCデリバを使った売りが自己の買いの背後に存在していると考えている。

なお、2015年の年間では東証発表の裁定残は増加している。裁定売買は大幅な買い越しである。東証の裁定残、裁定売買は狭義の裁定売買である。ディーラーが保有する現物バスケット買い、先物ヘッジ売りというポジションは大量に存在するはずであるが、そのうち裁定として報告されているのは一部だけである。2015年は広義の裁定解消とも言えるディーラー=自己による現物売り、先物買いが大量に実施され、その金額は多ければ2.1兆円存在したと思われる。

事法は現先合計で2.9兆円の買い越し。うち現物で3兆円の買い越し。大半が自社株買い。大きなものとしては、12月3日の日本郵政による政府(その他法人部門)からの7310億円の買い、9月17日のスズキによるVWからの4603億円の買いがあげられる。

信託は現先合計で1.8兆円の買い越し。うち現物で2兆円の買い越し。このうち年間ではなく、1-9月の期間での現物は1兆4153億円の買い越し。日銀は資金循環統計で同期間の私的年金とクジラを中心とする公的年金の合計の買越額を1兆3449億円と推計している。日銀の推計値は必ずしも正しいとは言えないが、この数字の信頼性はかなり高いと考える。年間で見ても、現物株2兆円買い越しの中の最大の買い手はGPIFを筆頭とする年金であり、それ以外に信託方式の自社株買いもあったはずである。この年金と自社株買い以外の信託は売り越しに違いない。しかし、それ以外の信託の規模は小さく、売越額も少額であったと思われる。

投信は現先合計で1.2兆円の買い越し。うち現物で0.2兆円の買い越し。昨年5月以降にはニューマネーが投信へと流入してきたが、4月以前は流出であったため、結果として年間では少しばかりの買い越しになった。投信は先物で0.9兆円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1.1兆円の買い越し。野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」は日経平均ラージ先物を8600億円前後の買い越しと計算できる。大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」は日経平均ラージ先物を3000億円前後の買い越しと計算できる。この2つのファンドだけで合計1.2兆円弱の買い越しであり、大手2社のブル型投信だけで投信部門全体による日経平均ラージ先物買い越しの100%以上を説明できてしまう。最初の方に掲載している大手証券先物・売買概算合計の表を見ればわかる通り、野村と大和の全部門の日経平均ラージ先物買いは、ブル型投信だけによる買いを少し下回っている。

海外は現先合計で3.3兆円の売り越し。うち現物で0.3兆円の売り越し。相場上昇局面での海外の現物株の売り越しは1989年以来の現象であるが、珍事という言葉を使ってあたかも不思議な現象が発生したかのような報道も見られた。この点は、日本国内の投資家による止まらない日本株売りとその損失などで、海外が現物株を買い越さなければ日本の株価が上がらない状況を、1991年以降の株式市場の大問題として詳しく説明してきた。日本はバブル崩壊後、日銀の金融緩和により金余り状態が続いたが、その間、株式市場から資金が流出し、国内の銀行預金、あるいは国債などに移動してきた。そしてその穴を埋めたのが海外資金である。株を発行している企業から見た場合でも、金余りの中、持ち合い株を減らすだけではなく、銀行借り入れをも大きく減らした。その代わりに株式債務を大幅に増やした。企業会計というミクロベースでは株は債務ではなく、資本である。しかし、国民経済計算というマクロベースで見た場合、資本という概念が存在せず、株は立派な債務である。日本はバブル崩壊後、国内債務の縮小を目指しながら、株式形態での対外債務を大幅に増やしてきた。海外は1991年-2015年の取引所を通じた売買で90兆円の現物株を買い越した。また海外は発行市場をも含めた国際収支ベースでは1991年1月-2015年10月の間に115兆円の現物株を買い越した。アベノミクス相場開始以降、海外による株式買い越しの増加と株価上昇の結果、日本の対外純資産を大きく減少させる方向に働いた。この問題点を2013年末 対外純資産が過去最高を更新 ドル建てでは減少などで何度も説明してきた。

海外の売り越しにもかかわらず株価上昇が発生したことは、1991年-2014年もの長きにわたって続いてきた悪しき現象がようやく正常化の方向へと一歩だけ踏み出したのである。不思議な現象、あるいは珍事とも言うべき現象は、2015年ではなくそれ以前であった。金余りであるならば、余った金が株式市場に大規模に流入してくることが正常な現象である。金が大量に余っているのに、資金が株式市場から金利がゼロに近い確定利付き債権へと大規模に逃げ出し続けてきたのである。方向が正反対であり、超がつくほど異常な現象である。今後は、国内投資家による買い越しの結果として株価が上昇する当たり前の株高、良い株高が続く状況をできるだけ長引かせることが必要である。

2015年はオイルマネーが売った結果として株価が下がったと言われている。オイルマネーの日本株売りがあり、それが2015年半ば以降の日本の株価下落に結びついたことは間違いない。しかし、オイルマネーの日本株売りは日本株下落の主因ではない。オイルマネーの日本の現物株売りに近い金額を、それ以外の海外による現物買いが吸収し、現物だけの海外の売越額は0.3兆円にとどまった。

一方、海外による先物売り越しは3兆円に達した。中でも日経平均ラージ先物の売り越しが2.5兆円である。これこそが昨年後半の株価下落を引き起こした最大の原因である。大元には、日本経済の景気減速懸念と中国株価、人民元相場の下落という中国経済の先行き懸念があった。こうした悪材料に最も敏感に反応して先物を売った主体が海外であり、この売りによって昨年後半の株価は崩されたと言える。最初の方に掲載している大手証券先物・売買概算合計の表を見ればわかる通り、2015年に先物の買い越しは11社、売り越しは9社である。売り越しの9社はすべて外資系証券である。そして外資系証券15社の売り越しは日経平均ラージ先物に集中している。海外による日経平均ラージ先物に偏った売りというのは、海外の中で先物を売り越した主体は、ヘッジファンドを中心とする短期の投機性の資金が中心であったことを意味する。年金、投信などの中長期性の資金も売り越しだったと思うが、金額は大きいとは言えなかった。今後の株価は、海外の投機筋が先物を買い越し始めれば株価は上昇に転じ、海外の中長期性の資金までもがTOPIXラージ先物か現物の売り越しを拡大させれば株価はさらに下落することになりそうである。このシナリオは、日本の株価は国内ではなく、海外が決めるというバブル崩壊後何度も見られた異常現象が2016年も続くということを前提にしている。現時点では有力なシナリオだと思われる。しかし、この有力なシナリオの発生を何としてでも防ぐ必要がある。

2015月の最大の売り手は個人。現先合計で4.9兆円の売り越し。うち現物現金で6.7兆円の売り越し。信用で1.7兆円の買い越し。先物で0.1兆円の買い越し。個人の売りは現物現金に集中している。従って、売りの主役は戻れば売ることしか考えない高年齢富裕者層である。2015年は海外に頼ることなく株価上昇を実現できた。しかし個人は明らかに大幅な売り越しである。

東証の数字は発行市場を含まない。発行市場は買いしかなく、個人の比率が高い。発行市場も含めた売買金額推定値は2015年1-9月期までは存在する。この間、発行市場を含まない東証の統計では個人現物は3兆円の売り越しであった。これに対して発行市場も含めた場合、日証協の推計では1.8兆円の売り越し、日銀の推計では2.7兆円の売り越しである。私は金額の少ない日証協による1.8兆円の売り越しの方が信頼性が高いと考えている。それでも10-12月期には東証統計での個人の売越額は2兆円。この期間に個人は、郵政3社株だけで1.1兆円買い越している。その結果、10-12月期の発行市場も含めた個人は数千億円レベルの売り越しになる。2015年の個人は取引所だけの現物株は5兆円の売り越しである。発行市場も含めた場合には減少するが、それでも2兆円台後半の売り越しであることに違いはない。この実質的な個人の売越額は、アベノミクス相場開始以降、急激といってもいいほどの速度で増加している。

2015年年間では「自己、事法、信託、投信の買い越しvs個人、海外の売り越し」であった。海外が売り越したのにもかかわらず株価が上昇したことは、大変良い結果であった。しかし、日銀ETFが自己を中心にして3.1兆円買い越しており、クジラも買い越しであった。株式市場が正常であるならば、大規模な金融緩和が実施されている下では、金余りの結果として海外にも政府系資金にも頼ることなく、株価上昇が実現するはずである。これからの日本は、中国経済がどうなろうと、海外の投資家がどう動こうと、日本経済の成長持続と、国内の民間投資家の買い越しによる株価上昇を実現させなければならない。そのためには異次元緩和からさらに次元がいくつも異なる追加金融緩和の実施が必要不可欠なのである。



追記
  投資部門別売買状況 長期時系列表
上記のページに、投資部門別売買状況の時系列データを一覧掲載しています。その中で一番下に置いたグラフが長期の現物株の投資部門別売買状況を表すグラフになっています。2015年だけではなく、1974年からの長期推移を見ることができます。あまりにも多くのデータを同じページに詰め込んでいるため、わかりやすいページ構成にはなっていないと思います。しかし丁寧に見ていただければ、多くの時系列データを読み取ることができます。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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