2015年12月第3週 株 コメント

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週足株価201512-3Wブログ用


12月第3週の日経平均株価は前週末比244円安の18987円で引けた。前週末のNY株価が大きく下落して引けたことに反応して、14日月曜日の寄り付きは安く始まった。16日にアメリカのFRBが利上げを決定するのだが、その前後に利上げ=アメリカ経済好調という理由でNYも日本も株価は上昇し続けた。18日には日銀の金融政策決定会合があり、終了直後にETF購入金額増加の情報が流れ、一時株価は急騰した。その後すぐに、日銀保有株式売却とセットであり、株式購入金額の増加にはならないことが理解され、急落して引けることになった。

12月第3週に日本株を最も大きく買い越していた主体は自己であった。現先合計で1824億円の買い越し。うち現物で700億円の売り越し。先物で2523億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1571億円の買い越し。TOPIXラージ先物で1393億円の買い越し。自己がアウトライトで1824億円も買い越すことはありえない。自己が何らかの操作をしているはずである。しかし、その内容は実際に売買をしているディーラーとその周辺の人物以外には誰にもわからない。

誰にもわからないのであるが、それだけでは悲しい。わからないながらも、その内容を推測してみることにする。まず今年に入ってからの日銀ETFの売買の累積と、自己による現先合計の売買の累積を表すグラフを下記に示す。

ETFと自己

今年の4月以前は日銀のETF買いと自己の買いはあまり連動していなかった。その頃まで、私は日銀ETF買いは投信部門の買いであると考えていた。理由は日銀の資金循環統計がETFの現物株買いを投信部門の買いに含めて集計していたからだ。買っている日銀自身が投信の買いと見なしているので、間違っているはずはないと考えていた。ところが5月以降、日銀のETF買いが自己の買いと連動し始めた。そこであわてて日銀に確認を入れた。日銀は東証と連絡を取った後、「ETFによる買いは投信部門だけではなく他の部門にも含まれているが、どの部門にいくら含まれているかは東証も把握できていないので、日銀にもわからない。」との回答を送ってきた。

本来、ETFによる現物株買いは自己の買いに計上されるべきものである。しかし、今年の4月以前に自己には一部しか計上されていなかった。5月以降に、大半の日銀ETF買いは自己に計上されるようになったのだと考えている。一方、5月以降の日銀ETFと自己の売買を比べると、日銀ETF買いよりも自己の買いの金額の方が大きい。そして、直近においては自己の買いが日銀ETF買いを大幅に上回っている。

この乖離が発生する理由は、自己が日銀ETF以外に、現物、先物を取引所で買い越し、取引所外で売り越しているからである。では取引所外で買っている投資家は誰であろうか。考えられるものとしては以下の4主体がある。

(1) クジラ(GPIF等)
(2) 事法の自社株買い
(3) 日銀以外の銀行などが買っているETF
(4) 海外

いずれもありえると思う。ただ、(1)クジラは直近において取引所内でいくらか現物株を買っている可能性が高く、取引所外で大量に買う必要がない。(2)事法は自社株買いもあるが、持ち合い解消売りもある。取引所内取引では自社株買いは目立つが、持ち合い解消売りは少ししか見えない。従って、事法の取引所外取引があるとすれば、買い越しよりも売り越しの方が多い可能性が高い。(3)日銀以外のETF買いは存在するはずであり、一部は間違いなく日銀以外が購入するETF買いである。しかし、直近に急増しているとは思えず、急増分の大半は、日銀ETF以外のETFによる買いではない可能性が高い。

こうして消去法で考えると(4)海外が一番有力になる。これも問題点はあり間違いの可能性もある。ただ、直近の自己の買いの急増は先物買いが中心であり、特にTOPIXラージ先物の買いが多い。TOPIX先物はSGXにも存在せず、大証のTOPIXオプションも売買が非常に少ない。従って、大証先物以外ではOTCでのスワップが中心となる。こうしたOTCデリバを一番よく利用するのは国内ではなく海外である。海外が大証先物を使わず、OTCでスワップを中心としたデリバを外資系証券から購入し、そのデリバを売り向かった外資系証券が大証先物を使ってヘッジ買いをしている。この可能性が一番高いのではないだろうか。

繰り返すが、確かなことは実際に先物を売買しているディーラーとその周辺の人物にしかわからない。ただ状況証拠からでは、自己の先物買いの背後には、海外のOTCデリバの買いがある可能性が一番高いと考えている。12月第3週は現先合計で自己が1824億円の買い越し、海外が1737億円の売り越しである。自己の買い越しから日銀ETFの買い369億円を引くと1455億円の買い越しになる。日銀ETF以外の自己と海外を合計すると282億円の売り越しになる。従って、OTCデリバを含めた海外の売買は300億円前後の売り越しとなり、トントンに近かった可能性が高くなる。

信託は現先合計で352億円の買い越し。うち現物で1071億円の買い越し。先物で719億円の売り越し。株価が下がってきたので、現物はクジラだけではなく、クジラ以外も押し目買いを入れていると思われる。一方、信託は夏頃の下げ局面では先物を大量に買い越していたが、最近は売り越しが続いている。ポジションもショートに傾いた可能性が高くなった。企業年金などの一部の信託が先物を使って投機的なヘッジ売りを出しているものと思われる。

銀行は現先合計で717億円の売り越し。うち現物で8億円の売り越し。先物で710億円の売り越し。銀行先物も信託と同様に最近は売り越しが増えており、ポジションもショートに傾いている可能性が高い。一部の信託と同様に、先物を使って投機的なヘッジ売りを出しているものと思われる。

個人は現先合計で1109億円の売り越し。うち現物現金で822億円の売り越し。信用で250億円の買い越し。先物で537億円の売り越し。12月に入って果敢に買い下がってきたスイングトレーダーは、信用を買う余力は残っていたものの、先物は投げ売りをさせられてしまった。高年齢富裕者層は相変わらず現物現金の売り一辺倒である。

12月第3週の合計をまとめると、「自己、信託の買い越しvs海外、個人、銀行の売り越し」であった。自己の買いの背後にいる主体は、日銀以外では海外である可能性が高く、実質的には「日銀、信託の買い越しvs個人、銀行、海外の売り越し」であった。ただ買越額、売越額ともいずれも小さかった。日銀の金融政策に特定の主体が大きく振り回されたのではなく、すべての主体が同じように振り回された。その中で、日銀に振り回されることなく常に売りを出し続けたのは、個人の現物現金を通じる高年齢富裕者層であった。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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