2015年12月第1週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20151210

週足株価201512-1Wブログ用


12月第1週の日経平均株価は前週末比379円安の19504円で引けた。この週は何度か2万円台に挑戦したが、2万円台は長続きしなかった。大きな材料が出たのは3日木曜日の引け後である。この日のECB理事会で追加金融緩和策が決定されたが、その内容が市場の期待以下のものでしかなかった。結果としてユーロ相場が急騰しただけではなく、欧州→アメリカ→アジアの連鎖株安を引き起こした。日本も4日金曜日は大きく売られて終えることになった。

この週は自社株買いが非常に多かった週である。事法部門では、12月3日に日本郵政が7310億円の自社株買いを実施した。これ以外では、この週に実施された可能性の高いものとして、三菱UFJ(持ち株会社なので事法扱い)、12月1日-12月8日、173億円があげられる。

トヨタも11月17日-11月30日、787億円の信託方式での自社株買いを実施している。信託現物は11月第3週に売り越し、第4週に247億円買い越し、12月第1週に1013億円買い越しである。多少のズレはあるが、仮にトヨタが11月第4週-12月第1週に787億円の自社株買いを入れたと仮定する。その場合、この2週間の信託による現物買い越しのうち62%はトヨタの現物買いであった。残りの38%は、下げ局面を中心に、クジラを中心とする投資家が買い越したものと思われる。

日本郵政に自社株を売り渡した主体は政府である。これはその他法人部門に含まれるので、その他法人部門の現物は7182億円の売り越しになっている。

自社株売買を除いて、12月第1週に最も大きく買い越していた主体は個人であった。現先合計で1752億円の買い越し。うち現物現金で678億円の売り越し。信用で1239億円の買い越し。先物で1192億円の買い越し。株価が下がったのでスイングトレーダーを中心にかなり大量の買いを入れたことになる。一方、現物現金は売り越しなので、高年齢富裕者層の多くは、相変わらず売り越しを継続していることになる。

自己は現先合計で1631億円の買い越し。うち現物で3137億円の売り越し。先物で4768億円の買い越し。この週は日銀ETF買いが1100億円入っていたが、この大半は自己部門で入ったと思われる。日銀ETF買い以外では現先合計で531億円の買い越しになる。これくらいは自己のポジション調整の売買の範囲内であろう。同時に自己部門では、現物売り、先物買いが4200億円前後入っている。この週の裁定残高は金額ベースでは微減であるが、株価の値下がりが原因である。株数ベースならば、裁定残高は微増である。裁定解消売りは出ていないので、この大量の現物売り、先物買いの背景を説明する。

月曜日に公表され、その日にツイッター上に掲載している12月第1週の先物建玉の変化から見た大手証券の先物売買概算合計を現す表を下記に示す。


先物手口201512-1W

TOPIXラージ先物のソシエテ買いvsニューエッジの売りが目立つ。この両社の間に先物12限月で、11月25日、12月2、4、7、9日にJ-net日中、4日にJ-netナイトで5000枚ずつのクロス売買が見える。このうち12月第1週分は15000枚である。ソシエテはこの週にTOPIXラージ先物12限月を15012枚買い越しであるので、ソシエテの2400億円買い越しの大半がこのJ-netを使ったニューエッジとのクロスになる。TOPIXラージ先物でのソシエテ買いvsニューエッジの売りのうち、ソシエテは自己、ニューエッジは海外である。ソシエテは以前から現物買い、TOPIXラージ12限月の先物売りのポジションを大量に保有していた。そこにニューエッジの海外顧客からTOPIXラージ先物12限月の売りが大量にあったので、ソシエテの自己がTOPIXラージ先物12限月2400億円買いで受け入れ、そのポジションカバーのために、保有していた現物バスケットを2400億円売り越した。

ソシエテは他の証券会社が裁定買いを多く入れる日に裁定解消売りを出し、他社が裁定解消売りを多く出す日に裁定買いを入れることが多い。ソシエテは実際のベーシスと理論ベーシスとの間の乖離とは関係なく、裁定買い、裁定解消売りを成功させる技術を持っている。具体的な手法は、時間差裁定なのか、現物がスマートベータになっているのかはわからない。リスクを負った裁定でも期間利益を合計すれば成功が続いているようである。ベーシスがつぶれているとは限らない日の1日に5000枚の裁定解消と類似の売買を行い、損を出さずに利益を出せる技術力が一番高い会社はソシエテであると思う。この週に現物売り、先物買いが4200億円前後実施されているが、そのうち2400億円がソシエテの東京自己である。ソシエテに次ぐ2番手である確率が一番高い証券会社はパリバの東京自己1000億円である。ちなみに11月第4週にも同種の売買がかなり大量に入っていたが、ソシエテ800億円、パリバ550億円、合計1350億円で大半が説明できた。

自社株売買を除いて12月第1週に日本株を最も大きく売り越していた主体は海外であった。現先合計で3612億円の売り越し。うち現物で780億円の買い越し。先物で4392億円の売り越し。先に示した大手証券の先物売買概算合計からわかることは、トップはソシエテであるが、これは自己であった。2番目はUBS。10月以降、自社のプライベートバンキング部門で買い続けているので、その延長であろう。UBSの売買については、11月第2週のブログコメントで詳しく説明したので省略させていただく。この週の1100億円の買い越しを加えると、10月以降UBSは先物を1兆7000億円買い越している。

先物の最大の売り手は、先に説明した通り、ニューエッジであった。2番目はクレディスイス。両社とも大半は先物買いの手仕舞い売りである。それまで少しずつ買いの手仕舞いをしていたこの2社の売りの最中に、UBSの大量買いがあったため株価が下がることはなかった。しかし、週末に一挙に売り方が優勢となり、株価は下に抜けたのであった。下に抜けたのは、ECBの金融政策の失望という材料が出たことが原因である。この材料の後に、大半の投資家の買い指し値と売り指し値は、下に移動したのである。ニューエッジとクレディスイスが売り崩したから下げたのではない。たまたま新しい材料が出て、その材料に反応して、参加している投資家の大半が弱気になったから下げたのである。

12月第1週を合計すると、「事法、個人、自己の買い越しvsその他法人、海外売り越し」であった。自社株売買を除けば、「個人、自己の買い越しvs海外の売り越し」であった。自己の買いの多くは日銀によるETF買いである。このパターンは最近の下げ相場でよく見られるパターンになりつつある。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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