2015年11月第2週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20151119

週足株価201511-2Wブログ用


11月第2週の日経平均株価は前週末比331円高の19597円で引けた。アメリカの雇用統計を好感したNY株高に反応し、週初は前週末より高く始まった。その後、NY株価が大きく崩れる中、日経平均株価はジリ高を維持した。金曜日はNYの急落を反映して下げて引けた。この週の日経平均株価はNYを上回り、不思議なほど強含みで推移する時間が長い週であった。そうなった理由をこれから説明する。

11月第2週に日本株を最も大きく買い越していた主体は海外であった。現先合計で7456億円の買い越し。うち現物で3004億円の買い越し。先物で4452億円の買い越し。この週は、先物に海外の大量の買いが入った特殊な週であった。ツイッター上に掲載しているこの週の先物建玉の変化から見た大手証券会社の先物売買概算を現す表を下記に示す。


先物手口201511-2W

海外先物の手口では、UBSによる日経平均ラージ先物、TOPIXラージ先物買い越しが合計で8100億円あり、突出している。ところで、この週は日々の売買手口を合計しただけでは、UBSの買い越し金額はこれほど大きな金額にはならない。代わりに、モルガンMUFGの買い越しが一番多く、ニューエッジ、ドイツなどの買い越しも多かった。モルガンなどで買われた玉の何割かが、建玉移管という制度を通じて、UBSに移されたのだと思われる。11月第2週はUBS1社が8100億円の先物を買い越し、それ以外の海外は現先合計で600億円強の売り越しであった。海外が買い越したと言うより、UBS1社が買い越したと言う方が適切であろう。

外資系証券を通して先物を大量に売買する投資家は多数存在する。しかし、日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物を同時に大量売買するケースはよく見られるものではない。しかし、最近のUBSの場合は、ごくまれな両先物の同時の大量売買がしばしば見られるのである。つまり、この日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物は同じ投資家による大量売買なのである。では、UBSの背後にいる投資家は誰であろうか。この週の先物買いは8100億円もの巨額の買い越しである。短期間でこのような巨額の売買が可能な投資家は、世界でも少ないはずである。私は、UBSの背後に客はいないと思う。この買いはUBS本体の運用部門の買いとしか考えられない。「Wikipedia、プライベート・バンキング」によると、UBSのプライベート・バンキング部門の運用資産は世界一であり、昨年末時点で2兆ドルである。

次に、UBSにおける保有先物建玉の推移を表すグラフを下記に示す。


UBS先物買い建玉枚数201511113

UBSはかなり前から日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物の両先物の買い建玉を増やしつつあった。その間の建玉変化を見ると、完全な順張りの売買である。UBSは先物の買い建玉を昨年10月には少し減らし、翌11月には再び大幅に増やした。次に大きく動いたのは、今年の9月の売りと10月以降の買いである。UBSは全体としては買いのポジションを持ちながらも、大きく株価が下落した局面では大量に売り越し、株価が戻ると大量に買い越している。こうした売買戦略は、ポートフォリオ・インシュアランス(=現物株式+プットの買い、または現金+コールの買い、を現物か先物の売買で実現する戦略)と呼ばれる売買戦略に近い。元本維持を目指しながら、同時に株価の値上がり益獲得をも狙う戦略である。絶対収益追求型の顧客が多いUBSのプライベート・バンキング部門に、元本は維持してもらいたいというだけではなく、日本株は上がりそうだから、日本株の値上がり益をも獲得したいという要望を持つ顧客の資産が、2兆ドルの中にそれなりの規模で存在するのだと思われる。コールの買いと同じ損益を先物だけで実現するわけである。株価が上がれば先物を買う必要があり、株価が下がれば先物を売る必要が出てくる。株価が横ばい、またはボックス圏に入ってしまうと、コールの時間価値減少のように利益も減少してしまう。その時には、高値買い、安値売りが見え、UBSの売買は非常に下手な売買に見える。しかし、上か下のトレンド相場に入った場合には有効な売買戦略になる。

UBSの売買は厳密なポートフォリオ・インシュアランス型のシステム売買ではない。ただ、ポートフォリオ・インシュアランスを意識した売買のように見える。ベンチマークと言えるかどうかわからないが、「現金+長期のコール買い」のようなものを参照にしているものと思われる。

11月第2週の株価はあまり上昇していないので、ポートフォリオ・インシュアランス目的だけの買いとしては少し多すぎる感じがする。昨年11月と同様に、ポートフォリオ・インシュアランス目的の運用資産を増やしている可能性もある。加えて、モルガンなどの先物手口には、第3週に入ってからも大口の先物買いの継続が見られる。いずれは買い一巡で大口の買いはなくなる。UBSの先物の買い建玉は、11月第2週末時点において、5月末のピーク時と同じくらいの買い建玉にまで戻っている。そのため、買い一巡の時期は11月第2週末と思ったが、もう少し先のようである。買い一巡後の上値の買いは小口になる。従って、その後は株価下落時の大量売りだけを警戒すればよくなる。

この読みが当たっているかどうかはわからない。ただ、過去1年強のUBSによる巨額の先物売買は、ポートフォリオ・インシュアランス目的の運用資金であれば、それなりに売買動向を説明することができる。

自己は現先合計で1096億円の売り越し。うち現物で3119億円の買い越し。先物で2022億円の売り越し。日銀ETFによる買いが724億円あったが、この大部分は自己部門で入ったと思われる。現先合計での残りの金額は、ポジション調整の売買の範囲内である。そして現物買い、先物売りは裁定ないしは裁定類似の売買である。

投信は現先合計で1678億円の売り越し。うち現物で637億円の売り越し。野村総研によると、11月第2週の国内株式型の公募投信は521億円の資金純流出になっている。6月第4週以来の資金純流出である。解約に伴う現物株売りが出ているわけである。先に書いた通り、この週は日銀によるETF買いが724億円存在したが、この買いは自己部門で入ったと思われる。

投信先物は1041億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で934億円の売り越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を70億円前後だけの売り越しと計算できる。一方、大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」が日経平均ラージ先物を300億円前後の売り越しと計算できる。この週はこうした投信と同種の先物を中心に売買するタイプの投信の多くが、先物を売り越していたと思われる。これらの先物の売買が積み重なり、投信による日経平均ラージ先物934億円の売り越しになったと思われる。

信託は現先合計で2300億円の売り越し。うち現物で1811億円の売り越し。先物で490億円の売り越し。先週も書いたが、信託は8月第2週~10月第3週の間、現先合計で2兆円、うち現物1.6兆円、先物0.5兆円の買い越しであった。このうち、クジラと信託を通した自社株買いについては、近い将来、売り越しになることはない。しかし、先物とクジラ、自社株買い以外の信託の現物買いについては、株価が上昇するかぎりは売り越し傾向が続くことになる。

11月第1週に日本株を最も大きく売り越していた主体は個人であった。現先合計で3843億円の売り越し。うち現物現金で3595億円の売り越し。信用で296億円の買い越し。先物で544億円の売り越し。

個人現物の売り越し原因の一つは、郵政3社株の売り越しである。個人は、郵政3社の上場時に上場株式分の8割弱を保有していた。一方、上場株式全体の個人の持ち株比率は17%前後である。個人は郵政3社株を少しずつ売り越し、遠い将来には17%とは言わないが、それに近い数字まで減少する方向へと向かう可能性が高い。郵政3社株の売り越し代金の一部は株式市場から流出し、個人による株の売り越し金額になる。

この週の現物現金以外では信用が買い越しであるので、一部のスイングトレーダーの買い意欲は強かったようである。一方、売ることしか考えない高年齢者富裕者層による保有株の売却は続いているようである。株価が上昇するかぎりは、高年齢富裕者層による売り越しは続くであろう。

11月第2週を合計すると、「海外、自己の買い越しvs個人、信託、投信の売り越し」であった。株価の上昇局面ではよく見られるパターンに近かった。ただ海外と言っても、UBS1社だけの買いにより株価が上昇した特殊な週であったと言える。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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