2015年11月第1週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20151112

先物手口201511-1W

週足株価201511-1Wブログ用


11月第1週の日経平均株価は前週末比183円高の19266円で引けた。前週の金曜日の日銀政策決定会合で、黒田バズーカ砲の発射がなかったにもかかわらず急伸して引けたが、その反動もあって2日の月曜日は安く始まった。3日の休み中にNY株価が上昇したことを反映して4日は高寄りした。その4日に郵政3社の株式が上場されたが、この3社の株価が大商いを伴いながら大きく上昇した。3社の株価上昇を好感する形で、日経平均株価までも強含みのまま引けることになった。

この週の11月5日にJ-NET(立会外取引)において、TOPIXラージ先物2016年3限月が売買された内容を示すことから始める。

売り方 ニューエッジ 10000枚
買い方 パリバ    10000枚
価格 1557ポイント

2016年3限月のTOPIXラージ先物に1557億円もの売買があったことは、月曜日に先物建玉手口を集計していた際に気がついた。どんな裏があるのだろうかと考えていたが、本日の投資部門別売買状況から、だいたいはあったと思われる内容を推測することができた。

ここから先は私が考えた謎の解明方法の説明だが、テクニカルな内容を含んでおり、どうしてもわかりにくくなってしまう。わからない方はしばらく飛ばして読んでいただくしかない。

先物の投資部門別と先物手口とを比べることから始める。先物手口で外資系15社の大半は海外の取引、日系大手5社の大半は自己か国内の機関投資家の取引、その他は中小ネット証券が中心なので、大半は個人の取引と仮定する。

日経平均ラージ先物は、外資系買い越し=海外買い越しが成立。日系大手5社はトントンに近く、国内機関投資家プラス自己もトントンに近い。つまり、日系大手5社=国内機関投資家プラス自己がトントンという形で成立。その他売り越し=個人売り越しも成立。ただ、10月第1週の日経平均ラージ先物は統計上の不突合が平均よりもかなり大きく、日経平均ラージ先物の投資部門別を合計するとゼロではなくプラス310億円になるので、厳密にイコールは成立しない。

日経平均ミニ先物は、外資系買い越し=海外買い越しは成立。日系大手5社の売り越し=自己の大幅な売り越しプラス国内機関投資家の少しばかりの買い越しという形で成立、その他売り越し=個人売り越しも成立。

問題はTOPIXラージ先物である。先物手口は外資系買い越し、日系大手売り越しになっている。ところが、投資部門別では海外にも国内にも大きな売買が存在しない。この点において大きな謎が存在することになる。

この謎を解く出発点は、先物手口が示している通り、TOPIXラージ先物の売りの中に国内大手5社の自己の売りが大量に存在しているはずだが、投資部門別でその売りが見えないのはおかしいという点である。この週は裁定残が大幅に増加しており、自己の裁定売りが大量に存在していなければならない。なぜ見えないかという理由を考えると、外資系の中に海外ではなく、自己勘定での買いが大量に混じっているから見えなくなるのである。外資系の大口の手口の中に、海外の買いではなく自己の買いであるという会社が存在しているはずである。その会社はどこかと考えると、パリバのTOPIXラージ先物3限月1557億円の買いが思いつく。パリバの1557億円の買いが自己の買いであると考えるのならば、他の不思議な現象もうまく説明できるのである。結論として、パリバの1557億円の買いは海外ではなく自己の買いである。その場合、まず、TOPIXラージ先物のパリバ1750億円買いから1557億円買いを差し引いた外資系による売買と、投資部門別の海外は小幅の売り越しで一致する。

投資部門別のTOPIXラージ先物の自己はトントンに見えるがそうではない。この週の裁定買いは112億円であるが、裁定残の金額は1788億円増加である。この数字から裁定と裁定類似の売買合計で1550億円前後の現物買い・先物売りが入っていると計算できる。その中には外資系証券も存在するが、正式な裁定売買として申告されている分だけを集計すると、外資系はソシエテを中心に裁定解消買いが300億円前後になる。従って裁定、裁定類似の売買の合計となる売りの大半は日系大手5社ということになり、金額も1850億円以上にまで膨らむ。そのうち日経平均型の裁定が400億円ほど見えるので、TOPIX型の裁定買いは1450億円になる。つまり、TOPIXラージ先物の手口を合算すると、日系大手5社の自己裁定1450億円売り越しとパリバの自己勘定1557億円買い越しが存在することになる。この2つを合計すると107億円の買い越しとなる。実際のTOPIXラージ先物の自己は77億円の買い越しなので、30億円の誤差が発生している。30億円は誤差としては十分に小さく、ゼロと見て良いであろう。

また、現先合計の投資部門別の自己では、この他に日銀ETFの買いが336億円入っている。もうひとつ、自己による現先合計の買越額は1516億円であり、1557億円とも41億円の差がある。合計で377億円の誤差である。しかし、377億円はあまり大きな金額ではないので、他にポジション調整の売りが377億円入って相殺されたと考えることにする。

つまり、5日のTOPIXラージ先物の売買主体は、パリバの自己1557億円買い越し、ニューエッジの海外1557億円の売り越しなのである。ニューエッジの売りの背景は、来年の3月のSQまでTOPIXラージ先物でヘッジ売りをしたい海外の客である。一方、パリバの方は自己の買いであるが、その背後にまた別の客がいる。この客の希望は、来年3月のSQより先のもっと長い期間のTOPIX連動型のポートフォリオを現物以外の形で持ちたいと考えている海外の客である。だからパリバはその客の買いを先物を使わずOTCデリバを使って自己で売り向かい、東京の自己勘定でニューエッジとは反対売買の形でTOPIXラージ先物を使って買い向かったのである。金額は1557億円であるが、売買希望期限の異なるデリバの売り要望と買い要望を持つ顧客を、ニューエッジとパリバがマッチングさせたわけである。

以上は推測である。この推測であれば、投資部門別と先物手口の謎をだいたいは矛盾なく説明することだけはできる。ただし証拠は全く存在しない。確度は60%くらいであろう。

上記の推測が正しいとした場合、パリバの自己が海外に代わって1557億円のTOPIXラージ先物を買っていることになる。従って、実際の海外の買い越しは、投資部門別の海外部門に計上されている金額より1557億円大きく、投資部門別でその金額は海外ではなく、自己として計上されていることになる。そして、自己の現先合計の買い越しの金額に近く、自己の現先合計が1516億円の買い越しになることの大部分を説明することができる。

上記以外で11月第1週に日本株を最も大きく買い越していた主体は海外であった。現先合計で2730億円の買い越し。現物で1312億円の買い越し。先物で1412億円の買い越し。

海外先物の手口で目立つのはUBSの日経平均ラージ先物、TOPIXラージ先物の合計1150億円の買い越しである。UBSは昨年10月の黒田バズーカ砲第2弾の直後あたりに大量に先物を買い、5月まではジリジリと買い増し、その後9月までは売り越していた。それが10月からまた買い始めている。前回の買いは、損失回避志向が見えたので、絶対収益追求型のプライベートバンキング部門の売買であると考えていた。しかし、10月以降の買い方は、絶対収益追求型ではなく、インデックス・プラスα追求型の買いである。日経平均株価が上昇してきたので、持たざるリスクを感じ、あわてて買い上がっている。9月以前の買い手と同じか違うかはわからない。ただ、現在買っている主体は、日経平均株価の上昇に負けないようにする順張り型の買いである。今後も上がれば買い、下がれば売りとなる可能性が高い。

ゴールドマンには様々な種類の客がいるが、この週の日経平均ラージ先物の買いはUBSと売買手法が似た順張り型の買いである。ただし、UBSが新規買いであるのに対して、ゴールドマンはおそらく買い戻しである。ABNクレアとクレディスイスの日経平均ラージ先物の売りはヘッジファンドであるように見える。この週の海外の売買は、投資が多い、投機が多いとまとめることはできない。様々な種類の買いが混じっているとしか言いようがない。

投信は現先合計で774億円の売り越し。うち現物で116億円の売り越し。野村総研によると、11月第1週の国内株式型の公募投信は182億円の資金純流入になっている。にもかかわらず売り越しである。先週に引き続いて、私募投信の解約売りが出たと解釈することにする。この週は、日銀によるETF買いが336億円存在したが、この買いも自己部門で入ったと思われる。

投信先物は658億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で604億円の売り越し。その中で、野村アセットの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」が日経平均ラージ先物を350億円前後の売り越しと計算できる。レバETFと同種の、先物を中心に売買するタイプの投信のうち純資産が大きいものだけを見るかぎりにおいては、売り越し、買い越しはまちまちである。レバETF以外の投信先物の売り越しは、多くの投信の売買が積もり積もって結果として300億円前後の売り越しになった。

信託は現先合計で901億円の売り越し。うち現物で1386億円の売り越し。先物で485億円の買い越し。信託は8月第2週~10月第3週の間、現先合計で2兆円、現物1.6兆円、先物0.5兆円の買い越しであった。このうち、ゆうちょ銀なども含めた広義のクジラが買った分と信託を通した自社株買いについては、近い将来、売り越しになることはない。しかし、先物とそれ以外の信託の現物買いについては、株価が上昇するかぎりは売り越し傾向が続くことになる。

11月第1週に日本株を最も大きく売り越していた主体は個人であった。現先合計で1881億円の売り越し。うち現物現金で1889億円の売り越し。信用で529億円の買い越し。先物で520億円の売り越し。現物現金以外では9億円とわずかであるが買い越しになっている。郵政3社の株式が上場され、株価も上昇したので、郵政3社の上場株式分の8割弱を保有する個人現金の大量売り越しは当然と言える現象である。それにもかかわらず、スイングトレーダーは買い越しており、買い意欲はかなり旺盛である。

11月第1週を合計すると、「海外、自己の買い越しvs個人、信託、投信の売り越し」であった。株価の上昇局面ではよく見られるパターンに近かった。自己の買いの背後にいる主体の大部分は海外であると思われる。海外の実質的な買越額は投資部門別の買越額2730億円を1557億円だけ上回っている可能性が高い。

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