2015年10月第2週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20151022

週足株価201510-2Wブログ用


10月第2週の日経平均株価は前週末比147円安の18292円で引けた。10月第1週はNY株価との連動性が高かったが、第2週はNY株価との連動性は少し薄れ、代わりにアジア諸国の株価との連動性が高まった。ただアジア諸国の株価の中では、日経平均は弱めの動きをしていた。

10月第2週に日本株を最も大きく買い越していた主体は自己であった。現先合計で1257億円の買い越し。うち現物で249億円の買い越し。先物で1008億円の買い越し。この週は日銀ETFの買いが336億円入っていた。

自己による1257億円の買い越しは、正確には不明としか言いようがない。そのためいつもと同様に、内外の機関投資家が上場先物以外のデリバか現物の取引所外取引を使って1300億円前後の買いを入れてきたので、自己がそれに対して売り向かい、現物先物の取引所内取引で1300億円前後のカバー買いを入れたという取引があったということにする。この中で、自己が取引所内取引で買いを入れ、取引所外取引で投信会社が発行するETF証券との交換に回された現物株が336億円存在した。そのETF証券は三井信託銀行の日銀名義の口座の中へと移される。これが日銀ETF組成のための自己の買いと売りである。これ以外の1000億円あまりについては、同様の取引所外取引か、上場先物以外のデリバが付随していたと推測しているだけである。

なお、第3週の自己は現先合計で1257億円の買い越しであるが、9月第5週は1951億円の売り越し、10月第1週は784億円の売り越し、合計2735億円の売り越しであった。この大部分は、上記のように顧客の売りを代行していた分と考えているわけだが、日銀ETF以外の顧客のポジションが第2週に反対売買となり、自己もそれにならって反対売買、すなわち取引所内で買いを入れたものと推測している。

投信は現先合計で1019億円の買い越し。うち現物で4億円の買い越し。野村総研によると、10月第2週の国内株式型の公募投信は261億円の資金純流入になっている。この純流入金額の一部が投信の現物株買いに回っている。しかし、4億円だけというのは寂しい。先に書いた通り、この週の日銀によるETF買いは336億円あったが、この買いも自己部門で入ったと思われる。

投信先物は1015億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1015億円の買い越し。野村アセットの「NEXT FUNDS レバレッジ・インデックス連動型上場投信」は日経平均ラージ先物を250億円前後の買い越しと計算できる。それ以外に、大和投信の「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」が600億円前後の買い越しと計算できる。この週の日経平均ラージ先物は、野村証券が550億円の買い越し、大和証券は250億円の買い越し。野村も大和も投信以外に多数の顧客がいるので完全に一致することはない。しかし、両社の2ファンドによる買越額は850億円であり、投信による日経平均ラージ先物の買いの大部分を説明できる。

個人は現先合計で374億円の売り越し。うち現物現金で1041億円の売り越し。信用で421億円の買い越し。先物で108億円の買い越し。現物現金だけが売り越しということは、郵政3社の売り出しの申し込みを控えて、現物現金の買い資金は既存の上場株へは向かわなかったようである。

なお、郵政3社の上場に伴う個人の売りが出ているが、今後、個人が大量に株を売り越す結果として、株価が大きく下がる可能性は低い。過去にも増資や上場に伴う換金売りが見られることは何度かあった。その場合でも、増資や上場の結果として、個別株ではなく日経平均が大きく下落したということはなかった。直近では7月にトヨタとソニーの大型の増資とCB発行があったため、エクイティ・ファイナンスの金額が急増した。7月は国内で8000億円、海外で3000億円、合計で1兆1000億円のファイナンスが実施された。それ以外に1300億円の売り出しも存在した。郵政3社の売り出しによる資金吸収額1兆4000億円を少し下回る金額であった。この時の大型ファイナンスは株価の高値近くで実施された。そしてその少し後から日経平均は急落した。しかし、株価急落とファイナンスの間に因果関係は全く存在しない。個人現金は大幅な売り越しが長く続いてきたが、換金売りが出やすい6月、7月に売越額は減少した。8月、9月には株価の急落とともに久々の大幅な買い越しになった。大型ファイナンス終了後に株価は大きく下落したが、個人現金がファイナンスで手に入れた株を投げ売りしたから株価が下がったのではない。下げの原因は海外による現物と先物の売りであった。ファイナンス、売り出しと個人の売買の間に相関関係は存在するが、短期では高くはないのである。そしてファイナンスの前後に株価の急落が発生したことはあるが、両者の間に因果関係は全く存在しない。今後、株価急落が発生するかもしれない。その場合でも、急落の原因は郵政株の売り出しとは無関係である可能性が高い。

郵政3社の株放出の悪影響は短期では小さい。しかし、長期では間違いなく大きなものになる。東証の時価総額は5月22日に過去最高を更新した。しかし、日経平均は、過去最高値から48%も低かった。過去20数年間、増資や売り出しなどにより株数が増えすぎたのである。今月だけではなく、将来も含めて、郵政3社の政府保有株式の放出は続くであろう。それでも郵政3社の株がすべて売り出し完了となった場合は、売り出しがなかった場合と比較して、個人の売越額を長期的には大幅に増加させる。そして、10年後、20年後の日経平均を大きく引き下げることは確実と言える。トヨタは種類株を5000億円発行したが、今後も実施される自社株買いを合計すれば厳密にはファイナンスにはならない。しかし、ソニーの4400億円は工場建設資金調達のための純粋なファイナンスである。政府も過去に、NTT、JR3社、JTなどの超大型株の売り出しを実施してきた。こうしたファイナンス、売り出しの悪影響は、長期で見た場合には非常に大きかったのである。

10月第2週に日本株を最も大きく売り越していた主体は海外であった。現先合計で1817億円の売り越し。うち現物で267億円の買い越し。先物で1550億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1211億円の売り越し。手口ではクレディスイスの1500億円の売りが圧倒的に目立つ。第1週に買った分の反対売買であろう。ただ、第1週にJPモルガンなどを通じて売り向かった海外投資家たちは、第2週には買ってこなかった。代わりに買ったのが投信と自己ということになる。買い持ち期間が短いので、ヘッジファンドの可能性が高い。日本の株価がアジア諸国の株価と連動しながらも弱めの動きをした最大の原因は、クレディスイスを通したヘッジファンドの売りであった。

10月第2週を合計すると、「自己、投信の買い越しvs海外、個人の売り越し」であった。下げ相場の中で、海外と個人が両方売り越しというかなりめずらしいパターンであった。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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