2015年9月第3週 株 コメント

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週足株価201509-3Wブログ用


9月第3週の日経平均株価は前週末比194円安の18070円で引けた。注目されていた日米の金融政策に変更はなかった。薄商いの中、NYと上海の影響を受けながら、精彩を欠いたまま小幅安で引けることとなった。

この週の特徴は、先物の売り越し買い越し金額が非常に少ないことである。ただ、この点は証券会社別の先物の大口売買手口をツイッター上に掲載した時に書いたように、先物手口発表当時に予想されていたことである。

9月第3週の最大の買い手は事法であった。現先合計で5309億円の買い越し。うち現物で5314億円の買い越し。この週の9月17日に、立会外取引(=取引所内取引)でスズキがVWから自社株を4603億円で買い戻している。従って、その分を除けば現先合計で706億円の買い越し。現物だけで711億円の買い越し。この大部分も、スズキ以外の他社の自社株買いであろう。

スズキは2009年にVWに対して自社株を2225億円で売却することを決定していた。それに対して買い戻し価格は4603億円なので、2378億円の損失が発生している。しかし、現在の会計基準ではこの損失は損益計算書上には計上されない。計上されるのはVW株の売却益367億円だけである。会計上は利益が出ているが、実質的には2011億円もの損失を出しており、今期の決算が赤字と同等の悪影響が発生している。国際収支統計上でも、こうした一方的な所得移転のような損失は、所得収支に計上してもよいと思うが、IMF国際収支マニュアル上は金融収支に計上と決められている。自社株の売買で損失を出しても、経常収支に対する影響もゼロである。言いたいことは、今回、スズキはVWと自社株の売買を通じて2000億円もの大損を出している。それが企業決算上でも、国際収支統計上でも損失と扱われない。大損であるにもかかわらず、当期純利益も経常収支も全く悪化しない。スズキの大損は、現在の会計システム上ではミクロでもマクロでも損失として計上されない仕組みになっている。その仕組みが、理論的には正しい理由も理解できる。しかし、スズキが法令を遵守し、理論的にも正しい決算を行い、損失を出していなくても、実質的には2000億円の損失を出したのと同等という意識を多くの人が持てないことが問題なのである。これは、私が国内投資家が海外投資家に日本株を売却し、その後株価が大きく上昇してしまった場合には、日本は国家レベルで大変大きな損失を被ることになると繰り返し指摘してきた理由の一つでもある。

個人は現先合計で805億円の買い越し。うち現物現金で456億円の買い越し。信用で479億円の買い越し。9月第2週の株価上昇局面では現先総合で905億円の売り越しになっていたが、下げ局面に入ると買い越しになる。スイングトレーダー中心の買いだと思われる。しかし、買越額は減少傾向にあり、個人の下値買い意欲が減退しつつあることが伝わってくる。

投信は現先合計で734億円の買い越し。うち現物で238億円の買い越し。野村総研によると、9月第3週の国内株式型の公募投信は622億円の資金純流入になっている。また新規資金の純流入金額以下しか現物株に買いが入らないという状況に戻ってしまった。この週の日銀によるETF買いは317億円であった。この日銀ETF買いも自己部門で入ったと思われる。なお、個人の買い意欲が減退と書いたが、国内株式型の公募投信への資金純流入はまだ減退してはいない。

投信先物は496億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で472億円の買い越し。野村アセットの「NEXT FUNDS レバレッジ・インデックス連動型ETF」は日経平均ラージ先物を500億円前後買い越しと計算できる。この週の野村証券による日経平均ラージ先物は300億円の売り越し。投信の買いの大部分は上記のファンドによる買いであり、野村アセットのヘッジファンド型の私募投信は動いていなかった。残る野村証券の800億円の売り越しは、投信以外の主体であった。

信託は現先合計で492億円の買い越し。うち現物で530億円の買い越し。株価の水準が低くなったので、クジラを中心とする信託を利用する投資家が買いを入れたと思われる。信託現物は4週連続で買い越しであるが、下げ相場であるにもかかわらず買越額は減少しつつある。個人以上に、下値での買い意欲の減退は明らかである。

9月第3週に日本株を最も大きく売り越していた主体は海外であった。現先合計で7609億円の売り越し。うち現物で7858億円の売り越し。先物で249億円の買い越し。現物は先に書いたとおり、VWがスズキに対してスズキの株を4603億円売却している。この分を差し引くと、現先合計で3006億円の売り越し、現物だけで3255億円の売り越しになる。先物は大きく動いておらず、現物が中心の売り越しであった。

3006億円の売越額は、海外の売越額としては大きな金額ではない。国内の買いが息切れしていたとしても、海外が売越額の縮小から買い越しに転換した場合、上昇への転換点になっていた可能性がまだ残っていた週であった。逆に、引き続き海外が売り越し続けるならば、国内の買いの息切れにより下げが加速する局面でもあった。9月第3週は売りと買いが均衡しながらも、国内の買い余力の減退によりやや下に行きやすい状況であった。その後はご覧の通りの下抜けになった。それでも下へと抜けた最大の理由は、ファンダメンタルズの悪化である。オイルマネーが売ったという噂がある。それが正しいにしても、原油価格急落により日本のファンダメンタルズが上向いていた場合、オイルマネーの売り以上の買いが別の主体から入り、株価は上に抜けていたのである。

9月第3週を合計すると、「事法、個人、投信、信託の買い越しvs海外の売り越し」という下げ局面でよく見られるパターンであった。この週は、国内の買い余力の減退の結果、その後に下に抜ける可能性が少し高いというシグナルが発生していたが、上に向かう可能性もまだ残されていた。その後下がったという事実を知ってしまっているので、9月第3週はジリ安であったが、第2週の上昇から、ファンダメンタルズの悪化のため第4週に下へと抜ける通過点の週であったことがわかる。

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