2015年9月第2週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20150917

週足株価201509-2Wブログ用


9月第2週の日経平均株価は前週末比472円高の18264円で引けた。9日水曜日には、NY株価が大幅高となったのをきっかけにして、前日比1343円高と記録的な上昇を演じた。NYや上海を見ながら一喜一憂しながら動いたこともあり、上昇というより不安定の方の記憶が強く残った週であった。

9月第2週の最大の買い手は自己であった。現先合計で5598億円の買い越し。うち現物で8037億円の買い越し。先物で2439億円の売り越し。自己は、原則として売り買いのポジションを週をまたいで保有することは少ない。それでも実際にはプラスマイナスにいくらか傾くので、いつも取引所外取引や上場先物以外のデリバを使って、おそらくそうしたポジションでカバーしている可能性が高いと書いてきた。しかし、5598億円もプラスに傾くことは最近はなかった。しかし、メジャーSQのある週は、時々、プラスマイナスに大きく傾くことがある。そして、その週は海外が自己と反対の売買をする形になっている。

ここから先はテクニカルな内容を含むので、わからない方は飛ばして読んでいただくしかない。直近では、自己は2013年12月第2週が4628億円の売り越し、2014年3月第2週が6493億円の買い越しであった。このように売りと買いが常にセットになるわけではないが、セットらしき大口の買いと売りはそれ以前にも何度か入っている。この時、自己は現物の売買と同時に海外に対してOTCのエクイティ・スワップを使い、5000億円前後の売買をしていたと推測している。自己が2013年12月第2週に5000億円の現物売り・エクイティ・スワップ買いをし、2014年3月第2週に5000億円の現物買い・エクイティ・スワップ解消売りをし、現物の売買損益を獲得しながら、それと同額のエクイティ・スワップでの売買損益と金利を海外の顧客と交換するという取引であったと考えている。海外の顧客は、その反対方向で現物を先に買って3ヶ月後に売却して株の売買損益を獲得し、エクイティ・スワップの売買損益で相殺し、その代わりに金利相当分をもらうというものである。巨額の資産を保有する海外投資家が、インデックス連動型株式バスケットをSQとSQの間にだけ100%ヘッジで保有し、実質的には金利運用をしているのである。一方、自己は、おそらくレポ(=貸株)で株を調達し、その株を売却しているので、自己も株の売買損益を獲得していない。獲得しているのは金利差だけであり、売買損益を獲得するのはレポで自己に対して現物のインデックス連動型株式バスケットを一時的に売却している別の大手の海外投資家である。これは、SQがあるから可能な運用方法である。特に売買の多いメジャーSQ時には大口の売買があるので、こうした大口の取引がやりやすい。過去の例を見ても、期間は3ヶ月のことが多いが、もっと長期のこともある。いつ反対売買をしたのかよくわからないこともあり、実際の取引がどんな取引だったかわからないこともある。

今回、自己は現先総合で5598億円の買い越しである。うち日銀のETF買いが634億円入っているはずなので、その分を差し引く。残りの5000億円前後が現物の買いとエクイティ・スワップを使ったショートの組み合わせであると思われる。これは2013年12月第2週-2014年3月第2週とは金額はたまたま同じくらいで、方向が正反対である。つまり、5000億円もの現物株を保有しながらエクイティ・スワップで100%ヘッジし、裁定取引と同様に実質的には金利運用をしているのは自己である。相手方の海外は株の売買損益をもらい、金利を支払っている。巨額の日本株を保有しながら、一時的にキャッシュが必要になった海外が、エクイティ・スワップを利用して資金調達をしていることが考えられる。あるいはまた、海外が別の海外大手からレポで株を調達し、その株を自己に対して売却すると同時にエクイティ・スワップを組み、金利差だけを獲得している可能性も考えられる。この場合、株の売買損益を獲得するのは、株のインデックス連動型株式バスケットを一時的に手放した海外投資家ということになる。株の売買損益の獲得者に変化はないので、株の形式的な移動、売買は発生するが、実質的には売買とは言えない。

これが正しいかどうかは、少なくとも将来のSQ時に反対売買が入ってからでないと判断できない。前回のように、3ヶ月後に5000億円前後の反対売買があれば、おそらくこうした売買が実際にあったのだろうと確認できる。反対売買があるまで、正しいかどうかはわからない。

自己によるエクイティ・スワップ絡み以外の2400億円の現物買い、先物売りは、裁定売買であろう。その大部分はSQ時に現物買い、先物売りの形で実施されている。

信託は現先合計で3063億円の買い越し。うち現物で2023億円の買い越し。先物で1040億円の買い越し。株価の水準が低くなったので、クジラを中心とする信託を利用する投資家が買いを入れたと思われる。信託は3週連続で現物にまとまった買いを入れている。

投信は現先合計で1516億円の買い越し。うち現物で735億円の買い越し。野村総研によると、9月第2週の国内株式型の公募投信は675億円の資金純流入になっている。今回は、新規資金の純流入金額以上の現物買いが入っている。この週の日銀によるETF買いは634億円であった。この日銀ETF買いも自己部門で入ったと思われる。

なお、本日、日銀が資金循環統計を発表した。この統計によると、4-6月期における日銀ETFをも含む投信による株の売買金額は2248億円の売り越しになっている。この2248億円という金額は、この投資部門別売買状況での投信の売り越し金額と一致する。以前書いたとおり、私が日銀ETFの買いの一部ないしは全部が、東証の投資部門別売買状況の投信部門に計上されていないのではないかと日銀に確認したところ、日銀もその誤りを認めた。しかし、現在の体制では正しい金額を調べる余力がないと答えた。実際に日銀は自分が買っているETFの買越額が抜け落ちた株の売買金額を投信の買いとして発表し続けている。資金循環統計は、取引所外取引をも含む非常に貴重な統計であるが、正しい金額を掲載してくれないのは大変残念なことである。

投信先物は781億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1445億円の買い越し。この週の野村証券による日経平均ラージ先物は3000億円の買い越し。野村アセットの「NEXT FUNDS レバレッジ・インデックス連動型ETF」は日経平均ラージ先物を1300億円前後買い越しと計算できる。9月第2週の投信による日経平均ラージ先物の大半は、この投信による買いであった。野村アセットのヘッジファンド型私募投信は動いておらす、残る野村証券の1700億円の買い越しは、投信以外の主体であった。

9月第2週に日本株を最も大きく売り越していた主体は海外であった。現先合計で1兆1064億円の売り越し。うち現物で1兆0348億円の売り越し。先物で716億円の売り越し。現物は先に書いたとおり、半分の5000億円前後は、エクイティ・スワップ絡みの売りと推定している。残りの5000億円前後が純粋な売り越しであろう。

驚いたのは、先物が716億円の売り越しであることだ。ツイッターに書いたように、9月第2週に、外資系証券15社の先物買いは6100億円前後存在した。外資系の売買と海外の売買は一致しないが、それなりに高い相関がある。そのため、海外の先物は当然買い越しと考えていたが、その買いは存在しなかった。外資系証券を通して、日系の投資家が買っていたことになる。しかし、その日系の投資家の買いにも大きな買いは見当たらない。特にTOPIXラージ先物は自己の買い越し957億円、投信の売り660億円である。売越額、買越額がいつもの週と比べて少なすぎる。加えて、この週は東証発表の裁定による現物株買い越し=先物の売り越しが8900億円存在する。うち自己で見えるのは2400億円しかない。裁定に伴う先物売りは他の売買と紛れて見えないことはよくある。しかし、6500億円の裁定に伴う先物売りが見えないのはおかしい。あまりにも非現実的な売買の数字である。統計に集計ミスがあるという疑いを強く感じる。日銀の資金循環統計の数字と同様に、原因は異なるが、真実とは違う数字である可能性が存在する。

ここで、もう一つの可能性として、先物売買だけを集計している大証による統計の集計ミス説を考えたい。具体的には先物の海外による6000億円の買いと自己による6000億円の売りが漏れているという考え方である。この場合、自己と海外の間にエクイティ・スワップがあった可能性はもちろん存在するが、訳のわからないエクイティ・スワップなどなかったと考えることも可能である。なかったとした場合、自己の現先総合の売買の合計はゼロに近く、大半が現物買い先物売りという裁定売買を大量に実施していることになる。一方、海外は現物を1兆円ほど売り越しているが、先物を5000億円買い越しているので、現先総合の売り越し金額は5000億円とそれほど大きな金額にはならない。この説は、統計の矛盾点を解決してくれる大変便利な考え方である。しかし、明確な証拠がないまま大証の統計数字を否定することは、間違った統計を分析するという自殺行為になる。この大証統計収集ミス説は、あくまでも仮定上の説とするしかない。本命は、エクイティ・スワップの使用という難しい考え方を採用しながら、6000億円以上も存在する先物の外資系による買いと裁定に伴う売りはどこに消えたのか悩むしかない。

9月第2週を合計すると、「自己の買い越しvs海外の売り越し」というメジャーSQの週に時々見られるパターンであった。ここからエクイティ・スワップらしき取引を差し引くと、「信託、投信の買い越しvs海外の売り越し」という株価上昇時ではなく、株価下落時によく見られるパターンであった。この週は、SQ時に特殊な売買があっただけではなく、先物の売越額、買越額が異常なほど小さく、統計の信頼性が疑われる週でもあった。9月9日に1343円もの株価上昇があった週に、大きな事件が同時に発生していた。記録的な上昇時の売り手と買い手がよくわからないことになってしまったことは、大変残念なことである。


追記
上記の海外と自己の間のエクイティ・スワップやレポの利用は推測であり、証拠はありません。ご意見のある方、何らかの情報をお持ちの方がいれば、その内容をコメント欄に記入していただきたく思います。よろしくお願い申し上げます。


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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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