2015年9月第1週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20150904

週足株価201509-1Wブログ用


9月第1週の日経平均株価は前週末比1344円安の17792円で引けた。この週はNYも上海も小幅安であった。しかし東京市場は、国内景気の少し弱めのファンダメンタルズを反映する形で、特に大きな下げを演じた週であった。

9月第1週に日本株を最も大きく買い越していた主体は個人であった。現先合計で3157億円の買い越し。うち現物現金で2331億円の買い越し。信用で1048億円の買い越し。先物で222億円の売り越し。8月第4週に個人信用は332億円の売り越しであった。しかし9月第1週はさらに株価が下がったため、ポジションを少し落としていたスイングトレーダーが果敢に買いを入れたと思われる。現物の買越額は8月第4週の4609億円よりかなり減少している。現物中心のスイングトレーダーや、もう少し中長期的な観点から売買する個人投資家は、下げ続ける中で買越額を減らしたようである。一方、巨額の金融資産を保有する高年齢富裕者層は、売り越しであったか買い越しであったかよくわからない。どちらであるにしろ、少ししか動かなかった。

信託は現先合計で1099億円の買い越し。うち現物で2553億円の買い越し。先物で1454億円の売り越し。現物の買い越しは、8月第4週と同様に、株価が大きく下がってきたので、クジラを中心とする信託を利用する投資家が、2週連続で現物に買いを入れたと思われる。先物は8月第4週に大量に買い越してロングとなった投資家が、その大半を9月第1週に投げ売って手じまいし、先物全体のポジションをフラットに近づけた。

事法は現先合計で825億円の買い越し。うち現物で827億円の買い越し。大半は自社株買い。直近に大型の自社株買いの発表をしたのはトヨタである。8月10日-8月31日に1352億円の買い付け。8月第2週-第4週の事法現物の買越額が4447億円と大きく増加した理由の1つは、このトヨタの買いであった。トヨタは最大で6000億円購入する予定なので、まだ多額の買い余力が残っている。9月第1週も引き続き買い続けていた可能性が高い。もっとも、トヨタは種類株を5000億円発行しているので、合計すればほぼ中立要因ではある。

投信は現先合計で1708億円の売り越し。うち現物で312億円の買い越し。野村総研によると、9月第1週の国内株式型の公募投信は1447億円の資金純流入になっている。国内株式型といっても、インデックス投信のようにほぼ全額が株の買いにつながるものだけではない。それにしても国内株式型投信の現物買いが資金純流入の金額より大幅に少ない週が続いている。この理由は理解できないままである。この週の日銀によるETF買いは991億円であった。この日銀ETF買いも自己部門で入ったと思われる。

投信先物は2019億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1519億円の売り越し。この週の野村証券による日経平均ラージ先物は1500億円の売り越し。野村アセットの「NEXT FUNDS レバレッジ・インデックス連動型ETF」は日経平均ラージ先物を500億円前後売り越しと計算できる。純資産減少金額の2倍である1503億円よりはかなり少なくなるはずである。残る野村証券の1000億円の売り越しは、昨年11月以降、大量の回転売買を続けている野村アセットのヘッジファンド型私募投信による売りであると思われる。

9月第1週の最大の売り手は海外であった。現先合計で3383億円の売り越し。うち現物で4817億円の売り越し。先物で1434億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で3760億円の買い越し。手口ではニューエッジ1200億円、ゴールドマン1000億円、メリル900億円、ABNクレア900億円の買い越しが目立つ。TOPIXラージ先物で1753億円の売り越し。手口ではシティ700億円、JPモルガン600億円の売り越しが目立つ。

8月第4週に、海外は現先合計で1兆8831億円の売り越しという週間では過去最高の売越額を記録し、日経平均株価は300円の下げとなった。9月第1週は現先合計でわずか3383億円の売り越しで、日経平均株価は1344円も下げた。この理由は、8月第4週は海外の大半が日本株を売り越していたからである。一方、9月第1週に、海外は日経平均ラージ先物を3760億円も買い越している。ニューエッジ、メリル、ABNクレアはHFTをするヘッジファンドがよく利用する証券会社である。ゴールドマンは顧客層が広く、ヘッジファンドにも強い(9月第1週の買いがヘッジファンドである証拠はないが、ゴールドマンの日経平均ラージ先物の手口にヘッジファンドらしき主体の売買が多いことは事実)。9月第1週は大手ヘッジファンドが日経平均ラージ先物を通して日本株をかなり大量に買い越していたのである。一方、一部の大手ヘッジファンド以外の多くの海外は、現物とTOPIX先物を中心にして日本株を売り続けていた。その結果、株価が大きく下げた割には、海外の売越額は少なかったのである。

自己は478億円の売り越し。うち現物で3219億円の売り越し。先物で2741億円の買い越し。先週詳しく説明したように、自己の売買の基本は、日銀ETF買い+裁定類似の裁定解消売買である。ただし、裁定売買だけならば現先合計の売買はゼロになる。日銀ETF買い991億円分だけは買い越しにならなければならない。しかし実際は、自己はそれ以外に約1500億円売り越しているため、現先合計で478億円の売り越しと記録されているのである。取引所外取引や大証先物以外のデリバでの海外の売りに対して自己が買い向かい、そのポジションをカバーするために取引所内取引で現物を中心に1500億円売り越していた可能性が一番高いと考えている。

9月第1週を合計すると、「個人、信託の買い越しvs海外の売り越し」という下げ局面ではよく見られるパターンであった。ただし、海外の売越額が3383億円と8月第4週よりも大幅に少なかったにもかかわらず、日経平均株価は1344円も下げた。これは、海外の中で、いくつかの大手ヘッジファンドが日本株を大量に買い越していた結果、海外全体の売越額が少なくなったためである。

これと同じ現象は、買い方である個人、信託の側でも発生していたはずである。個人、信託は全体では買い越しであるが、先物は売り越しである。個人、信託の中には、先物だけではなく、現物の方にも売りがあったが、それ以上の買いが入ったために結果として小幅な買い越しになったのである。つまり、「個人、信託の買い越しvs海外の売り越し」で下がったのは事実であるが、小幅の買越額、売越額であるにもかかわらず株価が急落したため、株価急落の原因は別に存在する。個人、信託、海外のそれぞれの中には、買い方と売り方の両方が存在していたのである。そして売り方に成行や下値の売り指値の売りが多かったのに対して、買い方に下値の買い指値の買いが多かった。結果として、日経平均株価は1344円も下がってしまった。ファンダメンタルズの微妙な悪化を嫌気して、個人、信託、海外の中に弱気になって投げ売りした主体と、大きく下げたため値頃感から下値を拾った主体が混在していたのである。投げ売りした主体は、個人、信託で先物を売り越した主体と海外で現物とTOPIXラージ先物を売り越した主体が中心である。下値を拾った主体は、個人と信託の中で何割かの現物を買い越した主体と、日経平均ラージ先物を買い越した海外の大手ヘッジファンドという主体が中心である。これが日経平均株価が急落した最大の原因である。

9月第1週に関しては、「個人、信託の買い越しvs海外の売り越し」という投資部門別売買状況にあまり意味がなかったのである。「事法、日銀ETFの買い越しvs投信の売り越し」には意味があった。「個人、信託の買い越しvs海外の売り越し」という投資部門別売買状況にあまり意味がなかったという事実と、日経平均株価が急落した本当の原因は、投資部門別売買状況を詳しく観察していなければ気がつくことが簡単ではない事実である。


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テーマ : 経済
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