2015年8月第4週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20150828

週足株価201508-4Wブログ用


8月第4週の日経平均株価は前週末比300円安の19136円で引けた。この週も株価変動の大元の原因は中国にあったと思われる。中国の株価先行きに対する不安、中国経済成長率の鈍化懸念がNY株式市場を動かし、その動きが日本の株式市場にも波及してきた勢いを強く感じた週であった。

8月第4週に日本株を最も大きく買い越していた主体は投信であった。現先合計で7922億円の買い越し。うち現物で1487億円の買い越し。野村総研によると、8月第4週の国内株式型の公募投信は2655億円の資金純流入になっている。資金純流入量の何割かが現物株の購入に回っている。この週の日銀によるETF買いは337億円であった。この日銀ETF買いも自己部門で入ったと思われる。

投信先物は6435億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で6208億円の買い越し。この週の野村証券による日経平均ラージ先物は7800億円の買い越し。野村アセットの「NEXT FUNDS レバレッジ・インデックス連動型ETF」に大量の資金が流入して設定金額が急増し、この設定に伴う日経平均ラージ先物は6200億円前後の買い越しと計算できる。残る野村証券の1600億円の買い越しは、昨年11月以降、大量の回転売買を続けている野村アセットのヘッジファンド型の私募投信の買いと考えていた。しかし、投信全体の日経平均ラージ先物買い越しが6208億円でしかない。最近、日経平均ラージ先物の売買の中で、野村証券の売買金額と投信の売買金額が近い週が多かった、しかし、野村証券には多種多様な顧客がいるので、両者の売買金額が近いことの方がむしろ異常であった。この週は、野村アセットのヘッジファンド型の私募投信も含め、「NEXT FUNDS レバレッジ・インデックス連動型ETF」以外の投信は少ししか動いていなかった。

信託は現先合計で5155億円の買い越し。うち現物で2631億円の買い越し。先物で2524億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で2548億円の買い越し。信託は8月第1週、第2週に日経平均ラージ先物でヘッジ売りをしていた分の一部を第3週に買い戻している。第4週の買いのうち600億円前後は残ったヘッジ分の買い戻しであり、1900億円前後は新規のヘッジ買いのようである。現物の2631億円の買い越しは、株価が大きく下がり、ようやく信託の買いがまとまって入ったものであると思われる。その中には、クジラも含まれていたであろう。それ以外にも信託方式の自社株買い、企業年金など、さまざまな信託を利用した運用資金が買いを入れたと思われる。

個人は現先合計で2674億円の買い越し。うち現物現金で4609億円の買い越し。信用で332億円の売り越し。先物で1603億円の売り越し。信用、先物を駆使するスイングトレーダーは8月第2週の2万円台から買い越し始めていたので、8月第3週金曜日に19500円を切ったあたりから投げ売りが出始めたようである。それでも現物中心のスイングトレーダーや、もう少し中長期的な観点から売買する個人投資家は買い越しを続けた。一方、巨額の金融資産を保有する高年齢富裕者層は、ここまで株価が下がるとさすがに売り物が減り、買い越しになった可能性が高い。

事法は現先合計で1904億円の買い越し。うち現物で1835億円の買い越し。8月第3週に事法の現物は1671億円の買い越しであったが、8月第4週も同種の買いである。すなわち自社株買いであり、株価が大きく下がったため、多めに入ったのである。

8月第4週の最大の売り手は海外であった。現先合計で1兆8831億円の売り越し。うち現物で7070億円の売り越し。先物で1兆1760億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で7634億円の売り越し。手口ではニューエッジ3300億円、ABNクレア2100億円の売り越しが目立つ。TOPIXラージ先物で4423億円の売り越し。手口ではゴールドマン2200億円の売り越しが目立つ。

昔からの全データを保有してはいないので、100%確かではないが、海外投資家による現先合計で週間1兆8831億円の売り越しというのは過去最高の売越額であると思われる。ツイッターでは第2位と書いたが、ブラックマンデーのあった1987年10月の月間売越額2兆円を週ベースと勘違いしていた。先物市場がまだなかった1987年10月第3週は、現物だけで1.1兆円の売越額でしかなかった。

週間で過去最高と思われる売越額なので、日本株を売り越した投資家は、ヘッジファンドなどの短期性の投機的資金から、年金などの長期性の投資的資金までほぼ全員参加で売り越していたと思われる。それでも日経平均ラージ先物の売越額が一番多い。しかも売り手口の上位はニューエッジとABNクレア。CTAを含むヘッジファンドがよく利用する証券会社である。全員参加型の売り越しながらも、比率としてはヘッジファンドなどの投機的資金の割合が高かったと思われる。

自己は587億円の買い越し。うち現物で4323億円の売り越し。先物で4910億円の買い越し。先に書いたとおり、日銀ETFの買いが337億円自己部門で入った可能性が高い。残りは250億円の買い越しとなる。このくらいの買い越しはポジション調整の売買であろう。この週の正式な裁定解消売りは少額である。しかし裁定残は大きく減少している。この減少分から裁定類似の現物売り先物買いの金額を計算すると、5000億円前後となる。8月第4週の自己は、裁定類似の現物売り先物買いを5000億円前後行っており、それ以外は日銀ETF買い337億円買いとポジション調整の買い250億円前後であった。普通はこれにプラスして複雑怪奇なポジションが組まれ、外から見るとわけがわからなくなる。8月第4週に関しては複雑怪奇なポジションがニュートラルに近く、非常にわかりやすい売買内容であった。このようにわかりやすい売買内容になるのは例外的である。

8月第4週を合計すると、「投信、信託の買い越しvs海外の売り越し」という下げ局面ではよく見られるパターンであった。海外の売越額が1兆8831億円とおそらく週間の過去最高であったにもかかわらず、日経平均株価は300円の下落と、それほど大きな下落にはつながらなかった。


8月月間

投資部門別売買状況ブログコメント月次20150828a


8月の日経平均株価は前月末比1449円安の19136円で引けた。8月月間では、「投信7510億円の買い越し、個人6237億円の買い越しvs海外2兆6870億円の売り越し」であった。

投信現物は854億円の買い越し。個人のニューマネーが投信に流入しているのでその一部による買い。投信先物のうち日経平均ラージ先物で6473億円の買い越し。このうち5600億円前後は野村アセットの「NEXT FUNDS レバレッジ・インデックス連動型ETF」の日経平均ラージ先物の買いである。残りの900億円前後は同じく野村アセットのヘッジファンド型私募投信の買いだと思われる。個人は6237億円の買い越し。スイングトレーダーか、もう少し中長期的な観点から売買する個人投資家による買い越しであろう。自己の2925億円の買い越しのうち日銀ETF買いから生じる買いは2683億円であった。

海外の売り越しは、ほぼ全員参加型の売り越しと思われるが、年金などの長期性の投資的資金の割合よりも、ヘッジファンドなどの短期性の投機的資金の割合の方が高かったと思われる。海外の現先合計の売越額2兆6870億円は、月間の海外の売越額としては過去最高の金額であった。


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財政再建は必要なのでしょうか

管理人さんは積極的な金融緩和を支持する一方で、財政拡大よりも財政再建を重視してる点が特徴的のようにみえます。よく聞く説で政府部門を黒字にしても不況になるだけで、いいことはないというものですが、アメリカが利上げを急いでいるのをみるとやっぱり金融緩和も財政拡大も永続できないものなのでしょうか。日本の成長率は低く緊縮は逆効果にも見えるのですが、財政再建はどれほどのメリットがあるのでしょうか

国債は危険資産

同じ主旨の質問を何度か受けています。「その回答は近い将来、ブログ本文に書く予定」とかなり前から答え続けていますが、まだ書けていません。もう少し時間をください。

財政再建の必要性=国債の危険性を下記に示していますので、とりあえずは仮の回答とさせてください。
http://stockbondcurrency.blog.fc2.com/blog-entry-126.html
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