2015年8月第3週 株 コメント

投資部門別売買状況 長期時系列表はこちら

投資部門別コメント週次20150827

週足株価201508-3Wブログ用


8月第3週の日経平均株価は前週末比1084円安の19436円で引けた。中国経済の不振が嫌気され、NY市場が弱含む中、週の半ばまで日本の株式市場も重苦しい雰囲気が続いていた。上海市場が週末にかけて急落に転じると、日本の株価もそれに並行する形で急落して引けることになった。投資部門別売買状況の数字は週5日間の合計数字である。月曜と金曜の数字は大きく異なっていたはずである。そのことを頭に入れた上で、上記の表の数字を見る必要がある。

8月第3週に日本株を最も大きく買い越していた主体は個人であった。現先合計で5211億円の買い越し。うち現物現金で1970億円の買い越し。信用で1301億円の買い越し。先物で1941億円の買い越し。うち日経平均ミニ先物で1087億円の買い越し。巨額の金融資産を保有する高年齢富裕者層が、売り越であったか買い越しであったかはわからない。しかし、仮に売り越しであったとしても、売越額は大きく減少していたはずである。そのため、現物現金が買い越しになったのである。スイングトレーダーは、株価が下がったので大量の押し目買いを入れた。ただ株価が急落した21日金曜の先物手口を見ると、それ以前は買い越しであったネット証券は売り越しになっていた。木曜までは買い越してきたスイングトレーダーが金曜には買い支えることができなくなって売り越しになり、その投げ売りが金曜の下落幅を拡大させた1つの原因になったと思われる。

投信は現先合計で2457億円の買い越し。うち現物で6億円の売り越し。野村総研によると、8月第3週の国内株式型の公募投信は852億円の資金純流入になっている。投資信託協会の統計では、私募投信の株の売買は、月レベルでみると買い越しに転じている。最近、資金純流入の金額より現物株の買い越し金額が少なく、この週は買い越しが少ないのではなく、売り越しになっている。少し差が大きすぎであるが、現時点でその理由はわからない。この週の日銀によるETF買いは1011億円であった。この日銀ETF買いも自己部門で入ったと思われる。

投信先物は2463億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で2374億円の買い越し。この週の野村証券による日経平均ラージ先物は2400億円の買い越し。「NEXT FUNDS レバレッジ・インデックス連動型ETF」は価格急落の中で設定金額が急増して相殺され、結果として日経平均ラージ先物を100億円の買い越しと計算できる。残りの2300億円の買い越しは、昨年11月以降、大量の回転売買を続けている野村アセットのヘッジファンド型の私募投信の買いであろう。週末の木曜金曜に大量に買い越している。8月第3週の下げが1083円安で止まってくれたのは、この私募投信が買い向かってくれたおかげである。

事法は現先合計で1801億円の買い越し。うち現物で1671億円の買い越し。最近発表された自社株買い終了の中で金額が一番大きかったものは、アステラス製薬である。取得期間8月3日-8月26日、金額282億円であった。自社株買いが決定されている金額は兆円単位で存在する。トヨタ1社だけで上限6000億円と発表されている。8月第3週は株価が下がったので、アステラス以外にも多くの企業が自社株買いを入れたと思われる。そして自社株買いが終了すれば公表される。少額の自社株買いは毎日大量に公表されている。アステラスに続いて、今後、金額の大きい自社株買い終了の発表も増えていくものと思われる。

信託は現先合計で571億円の買い越し。うち現物で89億円の売り越し。先物で660億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で889億円の買い越し。企業年金等の資金が8月第1週、第2週に合計で日経平均ラージ先物を1535億円売り越していたので、その分の一部買い戻しであろう。

本日、GPIFが2015年4-6月期の運用状況を公表した。GPIFの公表資料とロイターが報道している追加の数字を使ってGPIFによる4-6月期の株の購入金額を推定することができる。4-6月期の株の購入金額は1500億円と計算できる。株式組入比率25%を実現するためには、7月1日以降に必要な日本株購入金額は、単純計算なら約2兆円になる。しかし、高齢化によりGPIFからは資金の純流出が続いているので、分母の年金積立金144兆円には減少圧力が働く。そのため、実際に購入が必要な金額は2兆円を少し下回ることになり、2兆円弱ということになる。6月末の日経平均20236円から株価がさらに上昇すれば、2兆円弱も買う必要はなくなる。しかし、株価が下がれば2兆円弱以上の株を買う必要がある。8月第3週は株価が急落した。それにもかかわらず、GPIFは株を買うことはなかった。

8月第3週に日本株を最も大きく売り越していた主体は海外であった。現先合計で1兆2578億円の売り越し。うち現物で4005億円の売り越し。先物で8573億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で5175億円の売り越し。手口ではクレディスイス2000億円、ABNクレア1400億円などの売り手口が目立つ。日経平均ミニ先物で1653億円の売り越し。TOPIXラージ先物で1072億円の売り越し。手口ではモルガン900億円の売り越しが目立つ。ソシエテがTOPIXラージ先物を1300億円売り越しているが、ソシエテはこの金額以上の現物買いTOPIX先物売りの裁定売買を週の前半に実施している。従って、海外ではなく自己の売りである。

この週の海外は、売り越し金額自体が大きいので、ヘッジファンドなどの短期の投機家から年金などの長期の投資家まで、様々な種類の主体が日本株を幅広く売り越していたと思われる。それでも売り越し金額の41%は日経平均ラージ先物の売り越しである。一般的に言って、日経平均ラージ先物はヘッジファンドなどの短期性の投機的資金の割合が高い。8月第3週の海外全体で見ても、こうした投機的資金の売りの割合が高かったと思われる。

自己は現先合計で1973億円の買い越し。うち現物で1449億円の売り越し。先物で3422億円の買い越し。先に書いたとおり、日銀ETF1011億円の現物買いは8月第3週も自己部門で入った可能性が高い。7月前半の下げ局面では、銀行がETFを買ったと報道されたことがある。これが正しければ、今回の下げ局面でも銀行がETFを買い越している可能性が高い。現先合計で1973億円の買い越しであるので、日銀ETF1011億円買い越しとの差の962億円の大部分は銀行を始めとする投資家によるETF買いであり、これが自己の買いと記録されたと推測する。一方、この週の東証発表の裁定売買はゼロに近い。しかし、裁定残の株数の減少から裁定類似の解消売買が2300億円ほどあったと推定できる。裁定類似の売買は、東証に報告されていない裁定類似のポジションからの解消売買も存在する。こうした現物売り先物買いという広義の裁定解消売買が合計で3400億円あったと推測する。この場合、現物1427億円売り越し、先物3400億円買い越し、現先合計1973億円買い越しとなり、表の数字とほぼ一致する。この数字が正しいというのではなく、自己の売買動向を説明できる有力なシナリオの1つとして示しているだけである。

合計すると、「個人、自社株買い、投信先物、日銀等によるETFの買い越しvs海外の売り越し」であった。最近の相場の下落時によく見られるものと同じパターンであった。しかし、7月第2週は、海外1兆5895億円の売り越しであったが、日経平均は760円安の19780円で引けた。8月第3週は、海外1兆2578億円の売りで1084円安の19436円で引けた。7月第2週よりも、8月第3週の方が、国内投資家の買い指値が下がり、確実に下げに弱くなっている。しかし、7月第2週よりも8月第3週の方が、NYだけではなく世界的に株価の下げ率が大きく、円高も進行していた。ファンダメンタルズが悪化していたわけであり、やむをえない結果であった。

人気ブログランキング

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

コメントの投稿

非公開コメント

全記事表示リンク
目次のページを表示

株式関連 株 コメント一覧

  • 投資部門別 現物先物 時系列表

  • 投資部門別売買状況 時系列グラフ

  • 8月第2週 株 コメント

  • 8月第1週 株 コメント

  • 7月第4週 株 コメント

  • 7月第3週 株 コメント

  • 7月第2週 株 コメント

  • 7月第1週 株 コメント

  • 6月第4週 株 コメント

  • 6月第3週 株 コメント

  • 6月第2週 株 コメント

  • 6月第1週 株 コメント

  • 5月第5週 株 コメント

  • 5月第4週 株 コメント

  • 5月第3週 株 コメント

  • 5月第2週 株 コメント

  • 5月第1週 株 コメント

  • 4月第4週 株 コメント

  • 4月第3週 株 コメント

  • 2016年 年間 株 コメント

  • 投資部門別売買状況アノマリー

  • 日本株 株式分布状況調査

  • 日銀資金循環統計 株 長期グラフ

  • 日銀資金循環統計 株 コメント

  • 株式先物投資部門別売買状況

  • 大手証券 先物建玉推移 グラフ

  • 海外投資家の株式買い越し金額

  • 世界の株価 国別 長期推移

  • 世界の住宅用不動産価格

  • 長期の実質実質為替レート

  • 最新記事
    カテゴリ
    最新コメント
    Twitterを表示
    経済指標が意味するところを解説
    FC2カウンター
    最新トラックバック
    検索フォーム
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR
    RSSリンクの表示
    Web Analytics