2015年7月第2週 株 コメント

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週足株価201507-2Wブログ用


7月第2週の日経平均株価は前週末比760円安の19780円で引けた。ギリシャのEU緊縮策受け入れの可否を問う国民投票がノーであることが月曜日の早朝に確定したことから、寄り付きは前週末比340円安の20200円で始まった。次に中国の株価の急落が嫌気され、木曜の午前まで大きく下げ続けた。その後中国株が反発するにつれて、週末にかけて多少は値を戻して引けた。この週は、ギリシャと中国に振り回された週であった。

7月第2週に日本株を最も大きく買い越していた主体は個人であった。現先合計で6750億円の買い越し。うち現物現金で3072億円の買い越し。信用で2200億円の買い越し。先物で1478億円の買い越し。

個人がこれほど大幅な買い越しになったのは久々である。2014年8月第1週に、「個人6449億円買い越し、海外1兆2702億円売り越し」という週があったが、この週を上回る買い越し売り越し金額となった。ただ残念なのは、この週もアメリカ軍がイラク空爆を開始したことが嫌気され、日経平均株価は週間で745円安で引けている。好材料が出て、その材料を好感して個人が大量の買いを入れ、株価が上がるというパターンではなかった。2014年8月第2週以降もアメリカ軍によるイラク空爆は続いているが、悪材料視されたのは8月第1週だけであった。今後の中国とギリシャがどうなるかわからない。一時的な悪材料を嫌気して海外が大量に売り越した時には、個人は一時的には大量の押し目買いを入れる。しかし、その後が続かないのである。バブル崩壊が始まって25年以上が過ぎ去った。そろそろ好材料を好感して、海外が売り越す中、個人が買い上がる時期が早くきてほしいと願っている。

投信は現先合計で5276億円の買い越し。うち現物で670億円の買い越し。野村総研によると、7月第2週の国内株式型の投信は1553億円の大幅な資金純流入になっている。この週の日銀によるETF買いは972億円。この週の日銀ETF買いも、投信部門ではなく自己部門で入ったはずである。ETF以外の公募投信に新規資金の流入が確認できるが、それ以外の投信は売り越しが続いている。

投信先物は4606億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で5012億円の買い越し。この週の野村証券による日経平均ラージ先物は3400億円の買い越し。野村証券には新規裁定のための先物1500億円売りが存在している。この売りがすべて日経平均型であると仮定すると、野村証券による日経平均ラージ先物は4900億円の買い越しになる。つまり、投信の大半の買いは野村アセットの買いである。このうち、「NEXT FUNDS レバレッジ・インデックス連動型ETF」に大量に資金が流入していたことから、2400億円前後の日経平均ラージ先物を買い越しているはずである。残りの2500億円前後の買いは、野村アセットの私募投信の買いである。昨年11月から日経平均ラージ先物を売りから入って儲けようとしてきた。6月第4週にも日経平均ラージ先物を2500億円売り越し、7月第1週にすべて買い戻した。そして今回、2500億円の新規買いを入れたようである。今までは売りで勝負し、合計すれば相当大きな損失を出してきた。今回、初めて新規の買いで勝負に出たようである。この投信は「ヘッジファンド型投信」なので、早期に売ってくる可能性が高い。

事法は852億円の買い越し。現物だけで747億円の買い越し。大部分は自社株買いである。富士フイルム165億円をはじめとして何社かが、自社株買いの終了を発表している。

7月第2週の最大の売り越し主体は海外であった。現先合計で1兆5895億円の売り越し。うち現物で4383億円の売り越し。先物で1兆1512億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で5267億円の売り越し。日経平均ラージ先物の手口では、ゴールドマン1700億円、シティ900億円、メリル800億円、UBS、モルガンMUFGにそれぞれ400億円の売り越しが見える。海外は日経平均ミニ先物で2233億円の売り越し。この週の日経平均ミニ先物の建玉は、発表方法が特殊な形式であるので、正確な手口はわからない。ニューエッジを中心に外資系の大半が売り越しになっていた可能性が高い。海外はTOPIXラージ先物で3576億円の売り越し。TOPIXラージ先物の手口では、ニューエッジ1300億円、コールドマン、メリル、モルガンMUFG、バークレースにそれぞれ600億円の売り越しが見える。

7月第2週に関しては、海外は現物も先物もすべて売り越しなので、短期の投機家から長期の投資家まで総売り状態であったと思われる。それでも、日経平均ラージ先物の売越金額が一番大きいので、割合としてはヘッジファンドを中心とする投機家の比率が高かったと思われる。ギリシャと中国の混乱を見て、日本株の下落を確信したというよりも、先行き不透明感から、とりあえず利益の出ている日本株を売却して利益を確定させようとしたのであろう。先に書いた通り、海外は2014年8月第1週にアメリカ軍のイラク空爆の開始を嫌気して、先物を中心に大量に売り越してきた。しかし、8月第2週、第3週は買い越しに転じている。ギリシャと中国の混乱に収拾がつく目途が見えた時には、再び買い越しに転じる可能性が高い。

自己は2687億円の買い越し。うち現物で2045億円の売り越し。先物で4732億円の買い越し。うちTOPIXラージ先物で4043億円の買い越し。TOPIXラージ先物の手口では、パリバが1600億円、ソシエテが1300億円買い越している。このうちソシエテの買いの大部分は現物売りTOPIXラージ先物買いの裁定解消売買であり、東証の裁定売買の統計に掲載されている。パリバの売買は東証の裁定売買の統計に掲載されていないので、厳密な裁定ではなく、裁定類似の現物売りTOPIXラージ先物買いである。

裁定と裁定類似の売買だけならば、現先合計ではゼロにならなければならない。ところが自己の合計は2687億円の買い越しである。このうち日銀ETFが現物で972億円買っているはずである。それ以外に、自己は取引所では1900億円ほどの先物買いを入れている。この場合、現物の取引所外取引とOTCデリバを通して合計で1900億円ほどの売りが存在しているはずである。最近、毎週のようにば見られる取引所内での買い、取引所外での売りである。従来こうした売買は、海外の取引所外取引とOTCデリバの買いに対して自己が売り向かい、取引所でカバー買いを入れていると説明してきた。しかし、この週も現先合計で海外は大幅な売り越しである。現物の取引所外取引とOTCデリバだけが買い越しとは考えにくい。従って、自己の売りに対して買い向かったのは国内投資家ということになる。この週は、信託が1298億円の売り越しである。信託は上がれば売り越しになるが、急落時に売り越すことはほとんどない。従って、取引所外取引かOTCデリバで1300億円~1900億円ほど買い越している可能性が高い。加えて、日銀ETF買い972億円は先物買いではなく現物買いである。従って、日銀ETF買いと信託の売買とは別に、自己による取引所内での972億円前後の現物売り・先物買いという裁定類似の売買が存在しているはずである。

現物の取引所外取引は、証券会社による売買の市場集中原則が廃止された1998年から始まった。OTCデリバはそれ以前から存在していた。しかし、従来は取引の頻度はそれほど多いとは言えず、利用者も海外が中心であった。国内投資家の場合は、持合解消売りが多かった頃は、取引所外取引が利用されるケースもあった。しかし最近は、ETFやそれ以外の国内投資家による日常的な取引にも取引所外取引が広まっているようである。今になって考えると、国内投資家による大量の取引所外取引が存在しなければ説明の付かない売買が存在するからだ。詳細は省略するが、最近相次いで公表されたGPIFを中心とする公的年金の大量の現物買いは、昨年までとは異なり、今年からはその何割かが取引所の信託部門ではなく、取引所外取引を通じて入ったと考えないと説明がつかないのである。東証の投資部門別売買状況は、投資家の売買動向を正確に理解するために大変役に立つ統計であった。しかし、最近になって空洞化が進行している。今後も取引所外取引などの拡大により、投資部門別売買状況の精度は低下し続けるであろう。投資部門別売買状況を分析する者の一人として、非常に残念なことである。

7月第2週の投資部門別売買状況に関しては、まだある程度の精度が維持された統計数値になっている。買い方は個人の買いと投信の先物買いであり、売り方の大半は海外の売りであった。株価が下落する時期にはよく見られるパターンであった。ただ、株価が大きく下落したことから、この週の個人、投信の買越金額と海外の売越金額は、記録的な高水準であったことは間違いない。



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テーマ : 経済
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