2015年7月第1週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20150709

週足株価201507-1Wブログ用


7月第1週の日経平均株価は前週末比166円安の20539円で引けた。ギリシャのチプラス首相が6月27日にEUの緊縮策を受け入れるかどうかについての国民投票を実施することを突然表明したことが嫌気され、6月29日の寄り付きは前週末比400円安で始まった。その後は上記のグラフで示したとおり、少し上昇して終わることになった。

7月第1週に日本株を最も大きく買い越していた主体は投信であった。現先合計で3269億円の買い越し。現物で774億円の買い越し。野村総研によると、7月第1週の国内株式型の投信は1528億円のかなり大幅な資金純流入になっている。この週の日銀によるETF買いは740億円。これがすべて投信部門で入ったと仮定した場合、私募投信が1500億円もの大幅な売り越しになる。この可能性は低いと言わざるをえない。この週は自己の現物も大幅な売り越しなので、日銀ETFが自己部門で入ったとも考えづらい。よくわからないのであるが、投信ではなく自己で入ったことにしておく。

投信の先物は2495億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で2459億円の買い越し。投信は6月第4週に2536億円の売り越しがあったのでその分の買い戻し。野村証券による日経平均ラージ先物は6月第4週に1500億円の売り越し。7月第1週は2400億円の買い越し。何度も書いてきた野村アセットの私募投信の買い戻しである。昨年11月から日経平均ラージ先物を売り始め、今までに大きな損失を出してきた。今回は2500億円前後の巨額の売りを再度出したが、少し下がったところですぐに買い戻してきた。投信であるのにもかかわらずヘッジファンドのような短期売買をしている。このような「ヘッジファンド型投信」で、巨額の先物を実際に短期で売買する投信は、日本では初めての投信だと思われる。

信託は現先合計で1688億円の買い越し。現物で2121億円の買い越し。先物で433億円の売り越し。直近に信託方式の大口の自社株買いを発表したところは存在しない。信託は6月第4週に現物を465億円の買い越しで、7月第1週に2121億円まで買い越し金額を増やしている。GPIFを中心とするクジラが本格的な押し目買いを入れ始めた可能性が高い。

個人は現先合計で1211億円の買い越し。うち現物現金で654億円の売り越し。信用で1210億円の買い越し。先物で655億円の買い越し。先に書いたとおり、個人は株式投信を買い越し始めている。巨額の金融資産を保有する高年齢富裕者層は、株式投信を買い越し始めたかも知れない。しかし、現物株は相変わらず売り越しを続けている。買いの中心はスイングトレーダーである。

一方、大きく売り越していた唯一の主体は海外であった。現先合計で8416億円の売り越し。うち現物で2444億円の売り越し。先物で5973億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で4222億円の売り越し。日経平均ラージ先物の手口では、メリル800億円、ニューエッジ800億円などが目立つが、4222億円もの売り越しという金額は、外資系証券の買い越し金額と売り越し金額の合計金額に近い金額である。海外は日経平均ミニ先物で836億円の売り越し。外資系の大半は日経平均ミニ先物を買い越しであり、唯一の大きな売り方がみずほ証券900億円の売り越し。そのため、みずほの売りを海外と考えることにする。海外はTOPIXラージ先物で848億円の売り越し。TOPIXラージ先物の手口では、JPモルガンの1400億円の売り越しが目立つ。

7月第1週に関しては、最も大きな売りが日経平均ラージ先物から出ているので、売りの中心は、ヘッジファンドなどの投機的な売りの比率が高かったと思われる。一方、5月第1週末と7月第1週末のTOPIX先物の買い手口を比較すると、1社だけが大幅な売り越しになっている。7月第1週にJPモルガンが1400億円の売り越しと書いたが、この売りによってJPモルガンは5月第1週末に近いポジションに戻っている。大きく売り越したのは買い越しの最大手であるゴールドマンであり、34000枚、7000億円の売り越しである。年金、投信、投資顧問などの長期性資金の運用者の日本株に対する中期的な先行き予想が弱気になり、ポジションを2ヶ月かけて7000億円落としたようである。ゴールドマン1社しか動いていないということは、顧客の数が1社だけか、多くとも2~3社であろう。この期間の海外の売買動向を見ると、日経平均ラージ先物5683億円の売り越し、TOPIXラージ先物402億円の売り越し、現物5214億円の買い越し、現物先物合計991億円の売り越しである。過去2ヶ月間に売り越した海外の投資家は、ゴールドマンの大手顧客とヘッジファンドが中心であった。

自己は1509億円の買い越し。うち現物で1712億円の売り越し。先物で3221億円の買い越し。7月第1週の自己も、売買の背後を解き明かすことは難しい。そもそも、日銀ETFがどこの部門から入っているかを東証も日銀も把握できていない。政府発表の多くの統計とは異なり、法的な報告義務もないので、東証の多くの統計は、元々、正確性が低いのである。投資部門別売買状況は東証の統計の中では正確性が高いと考えていたが、最近は、取引所外取引、OTCデリバの取引拡大により、正しかったとしても、外からは実体の把握が困難になりつつある。ここではいつもと同様の一つの考えうるパターンを示すことにする。日銀ETF買いが自己で740億円入ったことにする。そのため、OTCデリバでは自己2200億円(1509億円+740億円)売り、海外2200億円買いのポジションが形成されていたと考えるのである。この説明の難点は、海外が現物先物合計で大幅売り越しであるのにもかかわらず、OTCデリバだけが買い越しである理由を説明できないことである。従って、この説明が正しいと断言はしない。ただ、日銀ETF買いが自己で入ったことと、自己の真のポジションが原則どおりにスクウェアであったことの説明はつく。

合計すると、「投信、信託の買い越しvs海外の売り越し」という下げ相場ではよくあるパターンであった。買い方の投信に、野村アセットの私募投信による先物買いが多く含まれていることは、昔とは異なっている。売り方の海外の方に、OTCデリバによる買いを加える必要があるかもしれないが、正確なことはわからない。


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テーマ : 経済
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