2015年6月第1週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20150611

週足株価201506-1Wブログ用


6月第1週の日経平均株価は前週末比102円安の20461円で引けた。

6月第1週に日本株を最も大きく買い越していた主体は、自己であった。現先合計で1791億円の買い越し。うち現物で1613億円の売り越し。先物で3404億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物が1532億円の買い越し。この週には、みずほ、三菱UFJモルガン、SMBC日興による日経平均ラージ先物買いが合計で1300億円ほど見える。裁定売買にも同じ3社の売りが見える。両方にこの3社の手口が見えるということは、大半が裁定売買である。TOPIXラージ先物は1470億円の買い越し。パリバはTOPIXラージ先物を6限月と9限月の合計で4000枚、700億円買い越している。一方、TOPIXラージ先物6限月だけでは10000枚、1600億円買い越している。パリバは、この2つの数字の間、すなわち700億円-1600億円の金額の裁定解消売買を実施した可能性が高い。パリバの場合、完全な裁定ではなく、裁定類似なので、東証の裁定売買には手口が出ない。

この週の自己による先物の買い越しの多くは、裁定絡みの売買であったと推定する。現物にはそれに見合った売りが入っているはずなので、差し引くと現物を中心に1800億円前後の買い越しが残る。このうち1101億円は、日銀によるETF買いであろう。残り700億円は、海外によるOTCでの買いに対して自己が売り向かい、同時にポジション・カバーの買いを取引所で入れたと推定する。パリバのTOPIXラージ先物6限月の買いの何割かが裁定解消ではなくロール・オーバーであった場合は、TOPIXラージ先物を買い越していた他の外資系証券の買いが自己の買いであり、海外によるOTCでの買いのポジション・カバーを実施していた可能性が高い。

事法は934億円の買い越し。現物だけで892億円の買い越し。大部分は自社株買いによるものだと思われる。

個人は現先合計で769億円の買い越し。うち現物現金で293億円の売り越し。信用で1221億円の買い越し。先物で158億円の売り越し。最も多くの金融資産を持つ高年齢富裕者層による現物現金は、以前として売り越しが続く。押し目では買い越しになるスイングトレーダーが、信用を中心に1200億円以上の買い越しになった。

投信は現先合計で225億円の売り越し。うち現物で800億円の売り越し。先物で575億円の買い越し。野村総研によると、6月第1週の国内株式型の投信は439億円の資金純流入になっている。野村総研の集計に含まれない私募投信が1200億円もの売りを出した模様。なお、6月第1週は日銀によるETF買いが1101億円の買い越しであった。方向が正反対であり、投信による買い全体の金額の水準も低いため、日銀によるETF買いの大半は、投信ではなく、自己で入った可能性が高い。以前に書いた通り、東証は自己を通じたETF買いを否定している。しかし、この週のETF買いの大半は自己で計上としか考えられない。また、この週の野村証券は、日経平均ラージ先物を売り越している。先週以前に大きな売買があった野村アセットの私募投信と「日経平均レバレッジ・インデックス連動型ETF」には、あまり大きな先物売買はなかった。投信による先物の575億円買い越しはあまり大きな金額ではないので、様々な投信の日常のポジション調整の合計であると考える。

信託は現先合計で908億円の売り越し。現物で128億円の買い越し。先物で1036億円の売り越し。この週も現物買いの大半は、企業による信託方式での自社株買いによるものであると推定する。ただ、信託方式の自社株買いの終了報告の例は少なかったので、あくまでも推定である。それ以外の主体は先物を売っているので、企業年金などの投資家は、相当高値警戒感を持っている模様。3月以降、クジラは動いていない可能性が高い。

海外は、現先合計で2516億円の売り越し。うち現物で403億円の買い越し。先物で2919億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1294億円の売り越し。TOPIXラージ先物で945億円の売り越し。6月第1週の日経平均ラージ先物、TOPIXラージ先物の手口で目立ったのは、UBSが3000枚と4000枚の売り越し、メリルが3000枚と3000枚の売り越し、シティが1000枚と3000枚の売り越しであった。これを金額に直すと3社合計で日経平均ラージ先物、TOPIXラージ先物をそれぞれ1400億円ずつの売り越しで、合計2800億円の売り越し。これ以外では、ABNクリアが日経平均ラージ先物買い・日経平均ミニ先物売りを400億円前後ずつ実施している。この週の海外による先物売りは、大口売り越し3社による日経平均、TOPIXラージの先物双方の売り越しであった。この売りは投資か投機かなどの背景はわからないが、多数ではなく、少数の海外大手の利食い売りがまとまって入った可能性が高い。それ以外の大半の海外は、現物に見られるように、少しばかりの買い越しであった可能性が高い。

合計すると、6月第1週は、「自己、個人の買い越しvs海外、信託の売り越し」であった。ほぼ確実に言えることは、海外の少数の大手投資家が先物を大量に売り越し、裁定解消の現物売りが出た。その売りに対して、日銀ETF買い、企業の自社株買い、個人のスイングトレーダーが買い向かい、下値を支えるという結果になった。


政府・日銀の犯罪的な政策について

日本企業の株というものは、日本国民にとっての大変貴重な財産である。それに対して政府・日銀が過去にとってきた政策は、1989年12月29日の高値38,915円から2009年3月10日の安値7,054円まで、19年強の期間、最大で82%も日経平均株価を下落させたことである。そして、国内投資家に、株価はもう上がらないという非常に強い予想、期待、確信と、株価が戻れば売らなければならないという非常に強固な信念を抱かせてしまった。そして、1991年以降、結果として取引所という流通市場だけで93兆円、発行市場も含めた国際収支ベースでは117兆円もの日本の現物株を国内投資家が海外投資家に安値で売り渡すことになってしまった。これは犯罪的とも言えるレベルの政策である。アベノミクス相場が始まってからも、国内投資家は取引所という流通市場だけで21兆円の現物株を海外投資家に売り渡しており、犯罪的な政策は是正されていない。

ここまで来てしまった以上、完全に手遅れであり、問題の解決策はもはや存在しない。可能なことは、損失のさらなる拡大をくい止めることだけである。そのためには、国内投資家が株を買い越すようになるまで金融緩和の強化を続けるしかない。2013年4月の異次元緩和は、あまりにも遅すぎであり、金額も少なすぎた。実施の翌週に、国内投資家が過去最高の金額の現物株を海外投資家に売り渡すという非常に大きなマイナス効果が現実のものになってしまった。2014年10月の第2弾の翌週も、国内投資家が海外投資家に現物先物合計で過去最高の金額を売り渡すという巨額のマイナス効果しかもたらさなかった。現在も基調としては効果がマイナスという状態が続いている。金融緩和を大幅に強化すれば、巨額の残高が存在する国債という運用先を失った国内投資家は、高値でも株を買わざるをえなくなる。この場合、国内投資家に、安く海外投資家へと売り渡した株をバブルに匹敵する高値で買い戻すように誘導することになる。実にバカバカしいことだ。しかし、これ以上海外投資家に株を売り渡せば、株価上昇と並行して増える損失がさらに拡大する。過去の政策があまりにも犯罪的すぎたので仕方がない。

過去における政府・日銀による犯罪的な政策が容認された結果、国内投資家は海外投資家に対して株を売り渡すという基調が最近においても続いている。それにもかかわらず、株式時価総額が過去最高近辺にある。この現状を異常と思わない人が多すぎることは、大問題である。



詳細は以下の記事もご覧ください。
株式市場のヒステリシス
株価上昇が引き起こす対外純資産の大幅な減少
過去最高に膨らんだ海外投資家による日本株買い越し
金融緩和に過去最高の売り越しで立ち向かう日本の株式投資家
アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失

なお、日銀による金融緩和の強化の目的は、国内投資家に株を買わせること以上に、「国債発行残高=ゼロ」という真の意味での財政再建の実現が重要な目的であると考えています。
金融抑圧による財政再建 経済財政諮問会議資料における試算
不動産バブルの崩壊防止を通した財政再建策

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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