2015年5月第4週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20150606

週足株価201505-4Wブログ用


5月第4週の日経平均株価は前週末比299円高の20563円で引けた。

5月第4週に日本株を最も大きく買い越してきた主体は海外であった。現先合計で7069億円の買い越し。うち現物で3971億円の買い越し。先物で3098億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1163億円の買い越し。TOPIXラージ先物で1450億円の買い越し。5月第4週の日経平均ラージ先物の手口は、HSBCの買い越しが目立ったが、9限月へのロール・オーバーが多く、差し引くと買い越しは3000枚であった。僅差で2番目の買い越しが野村の3000枚であった。同じ週のTOPIXラージ先物の手口は、ドイツ3000枚、メリル3000枚の買い越しが目立つ。この週も、海外の様々な種類の投資家が買い越してきたはずである。その中で、どの種類の投資家が多いかと言われると、どちらかというと、ヘッジファンドによる投機的な買いよりも、年金、投信などの投資的な買いの方が多かったと思う。証拠はないが、ヘッジファンドが中心ならば、もう少し株価のボラテリティーが上昇していたはずだと感じるのである。

事法は現先合計で582億円の買い越し。現物だけで676億円の買い越し。大部分は自社株買いによるものだと思われる。

信託は現先合計で343億円の買い越し。現物だけで585億円の買い越し。先物で241億円の売り越し。この週の信託の現物買いの大半は、企業の自社株買いによるものであると推測する。決算が一巡し、企業が発表した自社株買いを続々と実施に移しつつある。自社株買いは自社の名義、すなわち事法部門の買いとなるものと、信託方式、すなわち信託部門の買いになるものがある。数が多すぎるので全体の合計を把握できていないが、そのうち大口のものとして、野村ホールディングスと第一生命を例にあげる。野村ホールディングスの自社株買いは、期間が5月20日-5月29日であり、金額は200億円、信託方式であった。第一生命は、期間が5月18日-6月1日で、金額は150億円であった。5月28日の東証のToSTNeT取引超大口約定情報に第一生命の160億円の売買が見られる。この売買の大半は、5月28日に実施された第一生命による信託方式の自社株買いであったと推測する。5月第4週に2社だけで300億円前後の信託方式の自社株買いがあったのである。全てを合計すると、信託方式での自社株買いは585億円を越えていた可能性が高い。従って、3月以降、クジラは動いていない。その代わりに、自社株買いが事法と信託の両部門で今後も入り続けることが期待できる。

自己は940億円の売り越し。うち現物で834億円の買い越し。先物で1774億円の売り越し。現物買い・先物売りの裁定売買と裁定類似の売買が834億円前後入る。それ以外では940億円前後の売り越し。このところ自己の買いが積み上がっていたので、その反対売買であろう。何度も書いてきたように、背後には海外がいる可能性が高いと見ている。

投信の現物は279億円の売り越し。野村総研によると、5月第4週の国内株式型の投信は239億円の資金純流出になっている。この数字は、ETFと私募投信を含まないので、後で書く野村アセットのETF大量解約を含んでいない。この週は、日銀によるETF買いがゼロの週であった。

投信の先物は870億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で736億円の売り越し。日経平均ラージ先物の売り越しを枚数に直すと3594枚の売り越し。この投信による日経平均ラージ先物売りは、何度も書いてきた野村アセットの私募投信ではない。最近の株価急上昇により野村アセットの「日経平均レバレッジ・インデックス連動型ETF」が大量解約になっている。この解約に伴う日経平均ラージ先物の売りが、5月第4週に数百億円か、それ以上発生しているはずである。従って、この週の投信による日経平均ラージ先物の売り越し736億円、3594枚の大半は、野村アセットの日経平均レバレッジ型ETFの売りである。先に書いたとおり、この週の野村証券全体では日経平均ラージが3000枚もの買い越しになっている。国内投資家の日経平均ラージ先物の買い越しがほとんど見えないので、海外投資家の買い越しである可能性が高い。海外投資家は野村証券を通じて、3000枚を大幅に上回る日経平均ラージ先物を買い越してきた可能性が高い。

個人は現先合計で4756億円の売り越し。うち現物現金で4642億円の売り越し。信用で17億円の売り越し。先物で97億円の売り越し。最も多くの金融資産を持つ高年齢富裕者層による現物現金は、大幅な売り越しが続く。押し目には買い越しになるスイングトレーダーも、押し目ではないとどうしても売りが先行する。

合計すると、5月第4週は、「海外の買い越しvs個人、投信の売り越し」という過去24年間の株価上昇時に発生し続けてきた同じパターンがまた発生してしまった。変化は、自社株買いの増加であり、これは事法と信託の2つの部門から合計1000億円以上入っている。自社株買いは今後もっと増えるはずである。眠ったまま何を考えているかわからないクジラよりは、よほど頼りになる買い手であり続けるであろう。


5月月間


投資部門別コメント月次201505

5月月間の日経平均株価は前月末比1032円高の20563円と大幅高で引けた。

5月月間では、「海外の1兆4847億円買い越しvs個人1兆3542億円の売り越し」であった。過去24年間の株価上昇時に発生し続けてきた同じパターンがまた発生してしまった。



政府・日銀の犯罪的な政策について

日本企業の株というものは、日本国民にとっての大変貴重な財産である。それに対して政府・日銀が過去にとってきた政策は、1989年12月29日の高値38,915円から2009年3月10日の安値7,054円まで、19年強の期間、最大で82%も日経平均株価を下落させたことである。そして、国内投資家に、株価はもう上がらないという非常に強い予想、期待、確信と、株価が戻れば売らなければならないという非常に強固な信念を抱かせてしまった。そして、1991年以降、結果として取引所という流通市場だけで93兆円、発行市場も含めた国際収支ベースでは115兆円もの日本の現物株を国内投資家が海外投資家に安値で売り渡すことになってしまった。これは犯罪的とも言えるレベルの政策である。アベノミクス相場が始まってからも、国内投資家は取引所という流通市場だけで21兆円の現物株を海外投資家に売り渡しており、犯罪的な政策は是正されていない。

ここまで来てしまった以上、完全に手遅れであり、問題の解決策はもはや存在しない。可能なことは、損失のさらなる拡大をくい止めることだけである。そのためには、国内投資家が株を買い越すようになるまで金融緩和の強化を続けるしかない。2013年4月の異次元緩和は、あまりにも遅すぎであり、金額も少なすぎた。実施の翌週に、国内投資家が過去最高の金額の現物株を海外投資家に売り渡すという非常に大きなマイナス効果が現実のものになってしまった。2014年10月の第2弾の翌週も、国内投資家が海外投資家に現物先物合計で過去最高の金額を売り渡すという巨額のマイナス効果しかもたらさなかった。現在も効果がマイナスという状態が続いている。金融緩和を大幅に強化すれば、巨額の残高が存在する国債という運用先を失った国内投資家は、高値でも株を買わざるをえなくなる。この場合、国内投資家に、安く海外投資家へと売り渡した株をバブルに匹敵する高値で買い戻すように誘導することになる。実にバカバカしいことだ。しかし、これ以上海外投資家に株を売り渡せば、株価上昇と並行して増える損失がさらに拡大する。過去の政策があまりにも犯罪的すぎたので仕方がない。

過去における政府・日銀による犯罪的な政策が容認された結果、国内投資家は海外投資家に対して直近においても巨額の株を売り渡し続けている。それにもかかわらず、株式時価総額が過去最高を更新し続けている。この現状を異常と思わない人が多すぎることは、大問題である。



詳細は以下の記事もご覧ください。
株式市場のヒステリシス
株価上昇が引き起こす対外純資産の大幅な減少
過去最高に膨らんだ海外投資家による日本株買い越し
金融緩和に過去最高の売り越しで立ち向かう日本の株式投資家
アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失

なお、日銀による金融緩和の強化の目的は、国内投資家に株を買わせること以上に、「国債発行残高=ゼロ」という真の意味での財政再建の実現が重要な目的であると考えています。
金融抑圧による財政再建 経済財政諮問会議資料における試算
不動産バブルの崩壊防止を通した財政再建策

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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