2015年5月第2週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20150521

週足株価201505-3Wブログ用2ー


5月第2週の日経平均株価は前週末比354円高の19733円で引けた。アメリカの雇用統計が適度に改善したことが好感されて、5月8日のNY市場の株価は大幅上昇で引けた。5月11日の寄り付きは、前週末比258円高で始まった。そこから週末までの上げ幅は95円であった。

日銀によるETF買いは、従来、投信の買いに含まれていると考えていた。「日銀の資金循環統計」、「東証の投資部門別売買状況」における投信の買い越し金額が一致していたからだ。しかし、日銀に再度問い合わせたところ、日銀は誤りがあることを認めた。ツイッターで書いたことを繰り返すが、日銀が東証にヒアリングした内容は以下のとおりであった。

・東証の投資部門別売買状況は、取引所内取引だけの数字。
・ETF用の株式売買には、取引所内取引・取引所外取引の双方がある。
・どちらに計上するのかは、報告者である証券会社の判断に委ねている。
・証券自己には、ETFに関係する取引は一切含まれていない。

日銀によるETF買いが投信の買いだけに含まれていることが間違いであることは、明らかになった。しかし、具体的に他のどの部門に含まれているかまでは、明らかにならなかった。謎が深まってしまった。当面は、謎として取り扱うしかない。

5月第2週の最大の買い手は、自己であった。現先合計で1433億円の買い越し。うち現物が1473億円の買い越し。この買いが日銀によるETF買いではないとした場合、以前から述べているような海外の買いの代理であると考える。海外が取引所外で現物やデリバの実質的な買いのポジションを作ると、それを引き受けた外資系証券は取引所外でショートのポジションを持つことになる。そのポジションをニュートラルにするために、外資系証券の自己が取引所で現物や先物に買いを入れると推測している。

投信の現物は175億円の買い越し。野村総研によると、国内株式型の投信は5月第2週に112億円の資金純流入になっている。この週は、日銀によるETF買いが1083億円の買い越しであり、週間では過去最大。日銀によるETF買い=「投信」説では説明がつきにくく、「自己」説が一番説明しやすい結果である。しかし、東証は自己ではないと主張しているので、「謎」としておく。

投信の先物は1257億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1126億円の買い越し。日経平均ラージ先物の買いを枚数に直すと5706枚の買い越し。5月第2週に野村証券は日経平均ラージ先物を5579枚買い越し。何度も書いてきたように、昨年11月以降、野村アセットの私募投信が日経平均ラージ先物を大量に売り越してきた。5月第2週の買いもその分の買い戻し。5月第2週の終了時点におけるこの私募投信のショートは、ピークより大きく減少しているが、2584億円前後の残があると推測している。

信託は現先合計で203億円の売り越し。現物だけで274億円の売り越し。クジラは3月以降、ほとんど買っていない。企業年金などのクジラ以外の投資家が継続的に売りを出す。昨年の場合、5月から信託の買い越しが急増し、その後、上値も買い上がるようになった。明らかに従来とは異なる投資家の出現であり、その投資家はやがて「クジラ」と呼ばれるようになった。ただ昨年5月の日経平均株価は14000円台であり、現在は株価が大きく上昇している。高すぎてとても買えないと考えているのか、「持たざるリスク」に焦っているのか、どちらであるのかはわからない。

海外は432億円の売り越し。うち現物で1025億円の買い越し。先物で1457億円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1229億円の売り越し。5月第2週はゴールドマンがTOPIXラージ先物の買いから日経平均ラージ先物の買いへ7~8千枚乗り換えるという動きをしていた。この乗り換えの意味と仕組みは不明。一方、日経平均ラージ先物6限月を単独で売り越していたのはABNクリアであり、5132枚の売り越し。金額に直すと1000億円前後になる。この売りの4割は日経平均ミニ先物の買いとセットになっているが、残りの6割は現物買いとセットになっていると思われる。先週詳しく説明したアービトラージ型のヘッジファンドの売買であろう。他にも同様な売買があったはずである。日経平均ラージ先物市場では、ABNクリアを始めとするいくつかの外資系証券の売りが、野村アセットによる野村証券を通じた買いとがぶつかっていたわけである。それ以外は純粋な投資、投機による売買であり、現先合計では多少の売り越しということになる。しかし、自己の買いの正体が海外であるならば、多少の買い越しという正反対の結果になる。

個人は現先合計で1869億円の売り越し。うち現物現金で2130億円の売り越し。信用で310億円の買い越し。先物で48億円の売り越し。スイングトレーダーが信用では少し買い越している。高年齢富裕者層による現物現金は大幅な売り越しが続く。この最も多くの金融資産を持った層の「上がれば売り越し」が止まる気配は全くない。

合計すると、自己、投信の買い越しvs個人、海外の売り越し。株価上昇局面で個人が売り越すことはいつもと同様であるが、それ以外はあまり見られない組み合わせであった。この「自己」の正体は、海外か日銀かのどちらかであろう。




政府・日銀の犯罪的な政策について

日本企業の株というものは、日本国民にとっての大変貴重な財産である。それに対して政府・日銀が過去にとってきた政策は、1989年12月29日の高値38,915円から2009年3月10日の安値7,054円まで、19年強の期間、最大で82%も日経平均株価を下落させたことである。そして、国内投資家に、株価はもう上がらないという非常に強い予想、期待、確信と、株価が戻れば売らなければならないという非常に強固な信念を抱かせてしまった。そして、1991年以降、結果として取引所という流通市場だけで92兆円、発行市場も含めた国際収支ベースでは115兆円もの日本の現物株を国内投資家が海外投資家に安値で売り渡すことになってしまった。これは犯罪的とも言えるレベルの政策である。アベノミクス相場が始まってからも、国内投資家は取引所という流通市場だけで20兆円の現物株を海外投資家に売り渡しており、犯罪的な政策は是正されていない。

ここまで来てしまった以上、完全に手遅れであり、問題の解決策はもはや存在しない。できること、可能なことは、損失のさらなる拡大をくい止めることだけである。そのためには、国内投資家が株を買い越すようになるまで金融緩和の強化を続けるしかない。2013年4月の異次元緩和は、あまりにも遅すぎであり、金額も少なすぎた。実施の翌週に、国内投資家が過去最高の金額の現物株を海外投資家に売り渡すという非常に大きなマイナス効果が現実のものになってしまった。2014年10月の第2弾の翌週も、国内投資家が海外投資家に現物先物合計で過去最高の金額を売り渡すという巨額のマイナス効果しかもたらさなかった。現在も効果がマイナスになりやすいという状態が続いている。金融緩和を大幅に強化すれば、巨額の残高が存在する国債という運用先を失った国内投資家は、高値でも株を買わざるをえなくなる。この場合、国内投資家に、安く海外投資家へと売り渡した株をバブルに匹敵する高値で買い戻すように誘導することになる。実にバカバカしいことだ。しかし、これ以上海外投資家に株を売り渡せば、株価上昇と並行して増える損失がさらに拡大する。過去の政策があまりにも犯罪的すぎたので仕方がない。

株価が2万円近辺にまで戻っても、国内投資家が基調として海外投資家に株を売り渡し続けているという現状は異常である。過去における政府・日銀による犯罪的な政策を容認し、現在の異常な状態を異常と思わない人が多すぎることは、大問題である。



詳細は以下の記事もご覧ください。
株式市場のヒステリシス
株価上昇が引き起こす対外純資産の大幅な減少
過去最高に膨らんだ海外投資家による日本株買い越し
金融緩和に過去最高の売り越しで立ち向かう日本の株式投資家
アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失



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テーマ : 経済
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