2015年5月第1週 株 コメント

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投資部門別コメント週次20150508

週足株価201504-2Wブログ用


5月第1週の日経平均株価は前週末比152円安の19379円で引けた。

この週の最大の買い手は、4月第5週に続いて投信であった。現先合計で2173億円の買い越し。

投信の現物は386億円の買い越し。日銀ETF361億円の買い越しを差し引くと25億円の買い越し。野村総研によると、国内株式型の投信は5月第1週に347億円の資金純流入になっている。通常の公募の日本型株式投信は、最近資金が純流入の日が多い。しかし、私募投信とETFは野村総研の統計に入っていない。この2つの部門で320億円前後の資金の純流出があった可能性が高い。

投信の先物は1786億円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で1797億円の買い越し。日経平均ラージ先物の買いを枚数に直すと9299枚の買い越し。5月第1週に野村証券は日経平均ラージ先物を7217枚買い越し。何度も書いてきたように、昨年11月以降、野村アセットの私募投信が日経平均ラージ先物を大量に売り越してきた。5月第1週の買いもその分の買い戻し。5月第1週の終了時点におけるこの私募投信のショートは、ピークより大きく減少したが、残りは3709億円前後であると推定される。

個人は現先合計で377億円の買い越し。うち現物現金で518億円の売り越し。信用で125億円の買い越し。先物で770億円の買い越し。相変わらず買い越しはスイングトレーダーが中心であり、遠くない将来に売りが出てくることになる。高年齢富裕者層による現物現金は買い越しになっていない。

信託は現先合計で47億円の売り越し。現物だけで111億円の売り越し。クジラは3月以降、ほとんど買っていない。企業年金などのクジラ以外の投資家が継続的に売りを出す。2015年3月末のゆうちょ銀行とかんぽ生命の保有株式金額が合計で3.2兆円、前年度末比で1.2兆円増加と公表された。値上がり益があるので、購入金額は数千億円レベルであったであろう。ゆうちょ銀行とかんぽ生命も公的年金と同様に買いを期待されているクジラの一種でもある。しかし、クジラの買いは3月以降ほとんど入っていない。

自己は現先総合で223億円の売り越し。TOPIX先物買いと現物売りという裁定解消の売買が中心。

海外は現先合計で2212億円の売り越し。うち現物で584億円の買い越し。日経平均ラージ先物で2480億円の売り越し。この売りはヘッジファンドが中心と考えている。理由は、現物、TOPIXラージ先物と日経平均ラージ先物では、利用する投資主体がかなり異なるからである。2012年6月22日(第3週末)以降の海外投資家によるこの3つの累積買い越し金額と枚数を下記に示す。


現物先物累積売買

基準点を2012年6月第3週末とした理由は、直近で両先物のポジションが最も大きくショート方向に傾いていた週末であるからだ。この翌週から両先物の買い越しが増加し始めた。現物は2012年11月第1週までは累積売買は売り越しであったが、2012年11月第2週、すなわちアベノミクス相場の開始の週から累積売買は買い越しに転じた。その後、直近まで20兆円近く買い越している。

先物は枚数表示にしたが、TOPIXラージ先物の累積買い越し枚数は、32万枚にもおよぶ。ちなみに、直近のTOPIXラージ先物の全建玉合計は66万枚である。現物と同じではないが、方向はだいたい似ており、両者とも買い越しである。このことから、現物とTOPIXラージ先物で買いを積み上げている投資主体には、共通の投資主体が多いことがわかる。この投資主体の中心は、年金、投信、投資顧問を通じた長期性の資金である。これらの長期性の資金は、株価の次の大調整の時期に、現物を小幅に、TOPIXラージ先物を大幅に売り越してくることになる。

一方、日経平均ラージ先物は2012年6月第3週末を基準にすると、累積売買は3.3万枚と少しばかりの買い越しである。しかし、アベノミクス相場開始以降の累積売買は売り越しである。日経平均ラージ先物は、アベノミクス相場開始以降、株価が大きく上昇する中で売り越しになっている。その多くの割合、特に新規売りの多くの割合はヘッジファンドであると推測する。ヘッジファンドの短期の投機的な買いと売りがぶつかっている。そして、売りよりも買いの方か多いにしても、「現物買い・先物売り」のようなアービトラージ型の売買を証券自己ではなく、ヘッジファンド自身が行っている可能性が高い。2015年1月第2週末には累積売買がマイナスになり、その後少し買い越しが増えたが、買い越しのポジションは低めである。ここまで低いと、売り方にアービトラージ型の売りが多いにしても、投機的なショートもある程度膨らんでいると推測する。

5月第1週の日経平均ラージ先物の売りも、ヘッジファンドの売りの可能性が高い。この週は、野村を通じた投信買いに対して、ニューエッジ、ABNクリア、メリルリンチ、ドイツなどを通じた日経平均ラージ先物の売りが見られた。これらの証券会社を通じたヘッジファンドの売りであり、新規ショートの可能性もあると考えている。

合計すると、投信、個人の先物、信用での買い越しvs海外の先物売り越しという現物以外の空中戦で、日経平均株価は152円下落するという結果になった。




政府・日銀の犯罪的な政策について

日本企業の株というものは、日本国民にとっての大変貴重な財産である。それに対して政府・日銀が過去にとってきた政策は、1989年12月29日の高値38,915円から2009年3月10日の安値7,054円まで、19年強の期間、最大で82%も日経平均株価を下落させたことである。そして、国内投資家に、株価はもう上がらないという非常に強い予想、期待、確信と、株価が戻れば売らなければならないという非常に強固な信念を抱かせてしまった。そして、1991年以降、結果として取引所という流通市場だけで92兆円、発行市場も含めた国際収支ベースでは115兆円もの日本の現物株を国内投資家が海外投資家に安値で売り渡すことになってしまった。これは犯罪的とも言えるレベルの政策である。アベノミクス相場が始まってからも、国内投資家は取引所という流通市場だけで20兆円の現物株を海外投資家に売り渡しており、犯罪的な政策は是正されていない。

ここまで来てしまった以上、完全に手遅れであり、問題の解決策はもはや存在しない。できること、可能なことは、損失のさらなる拡大をくい止めることだけである。そのためには、国内投資家が株を買い越すようになるまで金融緩和の強化を続けるしかない。2013年4月の異次元緩和は、あまりにも遅すぎであり、金額も少なすぎた。実施の翌週に、国内投資家が過去最高の金額の現物株を海外投資家に売り渡すという非常に大きなマイナス効果が現実のものになってしまった。2014年10月の第2弾の翌週も、国内投資家が海外投資家に現物先物合計で過去最高の金額を売り渡すという巨額のマイナス効果しかもたらさなかった。現在も効果がマイナスになりやすいという状態が続いている。金融緩和を大幅に強化すれば、巨額の残高が存在する国債という運用先を失った国内投資家は、高値でも株を買わざるをえなくなる。この場合、国内投資家に、安く海外投資家へと売り渡した株をバブルに匹敵する高値で買い戻すように誘導することになる。実にバカバカしいことだ。しかし、これ以上海外投資家に株を売り渡せば、株価上昇と並行して増える損失がさらに拡大する。過去の政策があまりにも犯罪的すぎたので仕方がない。

株価が2万円近辺にまで戻っても、国内投資家が基調として海外投資家に株を売り渡し続けているという現状は異常である。過去における政府・日銀による犯罪的な政策を容認し、現在の異常な状態を異常と思わない人が多すぎることは、大問題である。



詳細は以下の記事もご覧ください。
株式市場のヒステリシス
株価上昇が引き起こす対外純資産の大幅な減少
過去最高に膨らんだ海外投資家による日本株買い越し
金融緩和に過去最高の売り越しで立ち向かう日本の株式投資家
アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失


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