2017年7月第2週 株 コメント

7月第2週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次2017071

7月第2週 大手証券 先物手口概算

ブログ週間先物手口20170714

7月第2週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170714


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年7月第2週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 20119円 前週末比+190円

前週末のアメリカ雇用統計の内容が良かったことからNY株が上昇し、月曜は株高で始まった。火曜は円安進行が株高につながった。火曜のNY時間にトランプ大統領の息子がロシア人弁護士と面会というニュースが流れた。このニュースが円安から円高へと流れを変え、日本の株価上昇の頭を抑えることになった。水曜はイエレンFRB議長の議会証言がこれまでよりハト派的と受け止められた。これに反応してNY株価は上昇し続けたが、為替は円高方向に動き、日本株はほぼ横ばいが続くことになった。週間の日経平均株価は週前半の貯蓄がきいて値上がりで終えた。


買い主体
(1)海外
現先総合 2724億円の買い越し
現物   1732億円の買い越し
先物    991億円の買い越し

先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。


ブログ外資系と海外の比較20170714

日経平均ミニ先物は中心限月である9月限の証券会社別建玉が14日金曜分からしかわからない。第2週は海外がどこかの外資系を通じて日経平均ミニ先物9月限を440億円買ったと仮定した。ドイツには後で示すように裁定の買いがあり、日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物に分けてみた。この場合、海外と外資系の売買が非常に近くなる。これは仮定が甘すぎというか恣意的過ぎであり、現実はもっと複雑で、本当は両者がここまで近くはなっていないと思われる。

この週の先物手口からは、売り買いともに大口がなく、中小口のバラバラの売買の集積ということくらいしかわからない。あと一つ確実にわかることは、UBSの日経平均ラージ先物売りがUBS本体運用部の売りということくらいである。モルガンMUFGなどで売ってUSB証券に建玉移管(まだはギブ・アップ)するという手法を用いている。7月第1週にTOPIXラージ先物で行ったことと同じことを、第2週は日経平均ラージ先物で実施している。この日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物の売りを一週間ずらして行うのは、UBS本体運用部がよくやる売買手法である。これらは利益確定の売りである。

この週の海外は現先合計で買い越しである。まずは現物、次いでTOPIXラージ先物、その次が日経平均ラージ先物の順である。セオリーからすると投機筋の買いは少なめで、買い方は中長期志向の強い投資性の資金の割合が高かったということになる。

(2)事法
現先総合  377億円の買い越し
現物    389億円の買い越し
先物     12億円の売り越し

買いの大半は自社株買い。7月第2週に実施を公表した自社株買いには大口のものはなく、小口の買いの集積であった。

(3)保険
現先総合  369億円の買い越し
現物     30億円の売り越し
先物    398億円の買い越し

保険の現物には持ち合い解消と思われる小口の売りが継続的に出ている。先物は6月第4週と7月第1週に売った分の買い戻しが中心と思われる。


売り方
(1)個人
現先総合 1929億円の売り越し
現物現金 1799億円の売り越し
信用    311億円の買い越し
先物    441億円の売り越し

この週は戻り相場であったので、基本は逆張りの個人の売り越し金額は増加した。スイングトレーダーは、信用については買残の水準がまだ低く、6週連続の買い越しを維持している。先物は2週連続で売り越しになっている。現物現金は大幅な売り越しである。現物現金の売りの多くを占めるのは、基本は売り一辺倒の高年齢富裕者層の売りだと思われる。

(2)投信
現先総合  1334億円の売り越し
現物      86億円の買い越し
先物    1420億円の売り越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 335億円の純流出(この中の多くの部分が現物株の解約売りになる)
 これ以外に私募投信と思われる現物買いが入った。

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 10億円前後の売り越し

このファンドを含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で50億円前後の売り越し。

ETFが配当金の支払いの結果、株式組入比率を下げるための先物売り
野村アセット「TOPIX連動上場投資信託」
(純資産額が最大のETF)
 820億円前後の売り越し
大和投信「ダイワ上場投信―トピックス」
 270億円前後の売り越し
大和投信「ダイワ上場投信―日経225」
 150億円前後の売り越し

上記3投信の合計で日経平均ラージ先物を150億円の売り越し、TOPIXラージ先物を1090億円の売り越し、合計で1240億円の売り越し。これ以外にも同種のETFによる先物売りがでていた可能性が高い。

ETFの決算日に配当金を支払うとETFの純資産額が減少する。その減少金額に見合った先物を事前に買っておいて、配当支払日に一斉に先物を売る。この売りが大量に出た。

この週はそれ以外の普通の投信がTOPIXラージ先物を買い越しており、売り越し金額は多少は少なくなっている。

(3)信託
現先総合  297億円の売り越し
現物    273億円の買い越し
先物    570億円の売り越し

信託はTOPIXラージ先物を406億円売り越している。この大部分は先物買いから現物への乗り換えである。この入れ替え分を除くと現物は100億円強の売り越しであったと思われる。第1週はGPIFの特殊な買いが入ったが、この水準では通常の信託が買うには高すぎるようである。


(*)自己という特殊な部門
7月第2週は売り主体の(4)になった
現先総合 211億円の売り越し
現物   716億円の売り越し
先物   504億円の買い越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 767億円の買い越し

日銀ETF以外の自己
 1000億円前後の売り越し(現先合計)
内容はわからないが、内外の機関投資家の1000億円前後の売りを自己が取引所外取引で買い取り、取引所内取引で売却した可能性が高い。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 335億円の裁定解消(現物売り・先物買い)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定解消売買の上位の証券会社
  三菱UFJ500億円、野村300億円
 裁定形成売買の上位の証券会社
  ドイツ500億円

東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
 1400億円前後の裁定解消売買(現物売り・先物買い)

投資部門別売買状況の自己の現物と先物を見る限り、1400億円もの裁定解消売買は出ていない。金額としては東証発表の335億円の裁定解消売買の方が近かった可能性が高い。


(7月第2週合計)
合計すると、「海外、事法、保険の買い越しvs個人、投信、信託の売り越し」であった。

事法はいつも通りの小幅の買い越し。保険は先物の買い戻し。投信はこの週に関してはETFの配当金支払いという特殊要因の売りであった。日銀ETFの買いは入っているが、日銀ETFを含む自己は買い越しにはならなかった。

NY株高、円安などを材料にして海外がある程度まとまって買いを入れてきた。しかし2万円台では上値に個人の売り指し値が並んでおり、信託も先物から現物への乗り換えを除くと、現先の両方に小口の売り指し値を置いていた。高値ではよくある典型的なパターンであった。結果として日経平均株価は週間で190円上昇した。

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2017年1-3月期 日銀統計 株 コメント

日銀資金循環統計による株式投資部門別売買・保有残高
資金循環統計株コメント201703


(日銀・資金循環統計と東証・投資部門売買状況の比較)
2017年1-3月期の日銀の資金循環統計から、株式投資部門別売買・保有残高の直近分を取り上げ、重要な箇所に色をつけて示した。日銀統計は、東証が公表している投資部門別売買状況という統計ではカバーしていない取引所外取引や株の発行、償却をも含んだ大変貴重な統計である。他方、その推計方法には問題点も数多く存在する。今回も日銀統計の数字をその問題点と合わせて説明することにする。

(ETFによる売買金額の推計方法の変更)
今回から投信と自己の売買の算出方法に大きな変更があった。従来は「資金循環統計の投信の売買」=「東証の投資部門別売買状況における投信の売買」であった。以前、日銀に対して日銀ETFによる買いが投信ではなく、自己に含まれていると伝えた時、それをある程度は認めながらも現体制では算出方法の変更が不可能との理由で変更は行われなかった。それが昨年10-12月期の確報から「資金循環統計の投信の売買=「東証の投資部門別売買状況における投信の売買+投資信託協会のETF設定解約の金額」に変更された。

日銀ETF以外のETFの売り越し買い越し金額を求めたい時、最初に思いつくのが投資信託協会が公表しているETFの設定解約の数字である。ETF関係の売買統計はこれ1種類しか存在しないので、参考にするのは当然であろう。私も何年も前に同じことを考えた。その時の結論は「デタラメすぎて使えない」であった。

投資信託協会は投信による株の売り越し買い越し金額を月次で公表している。これが東証統計による投信の株の売り越し買い越し金額とは大きな乖離がある。東証の数字は全部門の合計がゼロにはならないが、ゼロに比較的近い数字になるので、誤差は大きくない。従って、投資信託協会の投信による株の売り越し買い越し金額がデタラメということになる。ETFの設定解約についても同様にデタラメである可能性が高い。

ただ私のように投資信託協会と東証の株式売買動向を比較したり、毎週ETFの売買をウォッチしていたらデタラメであるというのがすぐにわかる。しかし、こうした特殊な作業をしない大半の人たちにはデタラメさなど見えない。同時にデタラメの可能性が高いという証拠を示すことはできるが、100%デタラメと証明できる証拠は示せない。

今回の投資信託協会の数字を元にした日銀統計の数字によると、日銀ETF以外のETFは昨年10-12月期に1兆円の売り、今年1-3月期に1.4兆円の買いになる。日銀ETFによる買いは昨年10-12月期に1兆4511億円、今年1-3月期に1兆6351億円である。今年1-3月期の日銀ETF以外のETFによる1.4兆円の買いは日銀ETFの買いを少し下回るだけであり、毎週投資部門別売買状況を見ていればありえない数字なのである。

私としては、従来通りに日銀以外に現物を売買するETFの設定解約の合計はゼロという仮定で進めたい。これも間違った推計方法であるが、投資信託協会の統計数字を使う日銀統計よりは多少はベターであると考える。従って、投信の買いは日銀ETF以外のETFが1兆4031億円買って合計で2兆3797億円の買いという日銀統計の数字は否定する。東証統計+日銀ETFの合計値である9765億円をよりマシな数字として提示する。同様に全ETFの買いに等しい金額が証券会社(東証統計の自己)から差し引かれている。日銀統計の証券会社9000億円の売りは間違いで、証券会社-日銀ETF以外のETFの売り(=マイナス1兆4031億円)に等しい5031億円の買いをより正確性の高い数字として提示する。

(家計)
いつも指摘している家計(=個人)の数字を修正したい。日銀統計の家計による買い推計は精度が低く、日証協が算出している「東証統計+公募、売り出し等による購入金額」を推計した値の方が精度が高い。家計は日銀統計の484億円の買いから日証協の数字に等しい3771億円の買いに修正する。

(国内銀行)
今回も国内銀行とそのすぐ下にある農林水産金融機関の数字を修正したい。農林系は売りと買いが交互であるが、株の評価損益に近い調整勘定がTOPIXと連動していない。銀行の連動率も少し低い。農林系は全くのデタラメ、銀行は実態との乖離が大きいことを示す。2017年1-3月期の数字はどちらも信用できない。農林系はデタラメの続きすぎで、信頼できそうな数字が全くない。銀行は1-3月期の4694億円の売りは信用できないが、東証統計の銀行が1647億円の売りであるので、取引所外取引を含めた売りの数字は両者の中間である3000億円前後の売りが一つの目安だと考える。

(年金計)
薄赤色の年金基金は1552億円の売り、公的年金は3466億円の売りである。このうち、公的年金の売り金額は間違いである。7月7日にGPIFと3共済の決算が発表されたが、1500億円前後の買いであった。日銀は今回の速報ではこの決算を見ていないので、確報で修正がある。また、この期間の東証統計の信託の売りが4109億円である。これを考えると年金基金の売りの1552億円は少なすぎであり、倍の3000億円以上はあった可能性が高い。

(保険)
保険は2793億円の売り。東証の保険は1512億円の売りだが、取引所外取引での売りがおそらくあり、この分を加えなければならない。日銀統計の数字が東証統計よりベターな数字として受け入れることにする。

(非金融法人企業)
非金融法人企業は179億円の売り。これに相当する東証の事法とその他法人の合計は3824億円の買い。ただ東証の数字には自社株買いの多くは含まれているが、自社株消却の金額が含まれていない。自社株消却の数字は全くわからないので、日銀の数字がある程度は正確性の高い数字であると信用するしかない。

(海外投資家)
海外は日銀統計では1兆1728億円の売り。東証統計では1兆2386億円の売り。これは発行等や取引所外取引の分をも含めて直接報告を受けている日銀統計の数字が東証統計よりも正確性が高い数字である。

(売買の合計)
以上のことを頭に入れておく必要がある。その上で日銀の資金循環統計に基づく2017年1-3月期における投資部門別売買状況は「投信2兆3797億円(修正後9765億円)の買い越し、家計(個人)484億円(修正後3771億円)の買い越しvs海外1兆1728億円の売り越し、証券会社(=自己)9000億円の売り越し(修正後5031億円の買い越し)」であった。日経平均株価は205円下落して18909円で終えた。この期の投信買いの実体は日銀ETFであるので「日銀ETF買い越しvs海外売り越し」で小幅に下落した期であった。


参照 日銀資金循環統計 株式部門の長期時系列をグラフ化
 日銀 資金循環統計に基づく投資部門別売買状況と保有残高グラフ

参照 株式売買関連の統計は他にもあります
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次)
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ
 株式分布状況調査 年度末と時系列グラフ

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

2017年7月第1週 株 コメント

7月第1週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170707

7月第1週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170707

7月第1週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170707


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年7月第1週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 19929円 前週末比-104円

この週は日曜の東京都議会選挙で自民党が大敗し、株式市場への悪影響が懸念されていた。しかし、月曜寄り前に発表された日銀短観の内容が良く、株価はやや強含みであった。火曜はNYダウ高を受けて高く始まったが、北朝鮮がミサイルを発射したことを嫌気して下落に転じた。この地政学リスクは週後半まで警戒要因とされていた。火曜はNYが休日で、株価は為替レートに左右される動きであった。金曜はNY株安で安く始まったが、日銀が国債指し値オペを通告したことから円安が進行し、寄り後は上昇した。週を通して見ると、小幅の下落で週を終えた。


買い主体
(2)信託
現先総合 1550億円の買い越し
現物   2124億円の買い越し
先物    574億円の売り越し

信託はTOPIXラージ先物を374億円売り越している。先週説明した通り、この大部分は先物から現物への乗り換えである。それでも現先合計で見ると1550億円もの買い越しになった。

現先合計は6月第2週から4週連続で買い越しであり、週ごとに買越額が増加している。先週の金曜日に公的年金の決算が発表された。今年の1-3月期はGPIF売り越し、3共済買い越しで公的年金全体では買い越しだが、3共済の中には株式組入比率が25%を超えるところも出てきている。もはや以前のクジラのように買うことができる状況ではない。そのため、公的年金以外ではかんぽ生命(簡保)くらいしか思いつかない。簡保は特金勘定で内外の株や外国の債券を買い続けている。簡保なら週1560億円の買い越しは少し大きいが考えられない金額でもない。

(訂正文)
読者の方から信託の買いはGPIFのESG投資ではないかという意見をいただきました。株式組入比率が上昇しているので、ESGの1兆円買いは国内株式資産内部のリバランスと考えていました。しかし、純粋な買い増しがないとは言い切れません。簡保をはじめとして他の信託は今買う積極的な理由がありません。GPIFのESG投資は3日月曜が開始日なのでタイミングがぴったりであり、理由としては説得力がありそうです。「信託の買いで一番可能性が高いのは、GPIFによるESG投資用の買いであろう」と訂正いたします。(訂正文終了)

(2)事法
現先総合  367億円の買い越し
現物    376億円の買い越し
先物      8億円の売り越し

買いの大半は自社株買い。7月第1週に実施を公表した自社株買いには大口のものはなく、小口の集積であった。


売り方
(1)海外
現先総合 1962億円の売り越し
現物     15億円の売り越し
先物   1947億円の売り越し

先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。


ブログ外資系と海外の比較20170707

日経平均ミニ先物は中心限月である9月限の証券会社別建玉が公表されていないので、9月限で海外が204億円の売り越しと仮定した。ドイツには裁定の買いがあることを後で示す。日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物にはどこかの外資系の自己が500億円ずつ、合計1000億円買っていると考えてみた。そうすると外資系と海外の売買に差が生ずるが、568億円なら起こりうる誤差の範囲内である。特にこの週は日系の機関投資家の先物売りが多いので、その何割かが外資系に流れた可能性が考えられる。


7月第1週は日銀ETF以外の自己が1000億円の買い越しである。これを外資系の自己の買いと仮定してみた。先物手口概算の買い方上位のソシエテ、パリバ、クレディ・スイス、ドイツ、ゴールドマンは過去に先物売買の中で東京自己が大きく動いたことが時々確認できる証券会社ばかりなのである。

中でも最も東京自己がよく動くソシエテとドイツが500億円ずつ、合計1000億円の買いがあると考えてみた。

この1000億円の買いはSGXとの裁定かもしれない。あるいはエクイティ・スワップをショートしたカバリングの買いかもしれない。どちらにせよ、ソシエテとドイツの背後には日本株をデリバティブで1000億円買い越した海外投資家がいると考えている(SGXとの裁定であるならば、SGXで大量に日経平均先物を買った海外投資家がいるはず)。

この週の海外は現物15億円、先物1947億円でいずれも売り越しだが、あまりにも先物に偏りすぎている。そこで別の種類のデリバティブで1000億円の買い越しがあると考えてみたわけである。そう考えると、この週の海外の実質的な売買は先物1000億円の売り越しと同じことになる。理由は北朝鮮かどうかわからないが、海外は売り買いが交錯する中で、(15億円だけの)現物、先物とそれ以外のデリバティブの合計で1000億円の売り越しであったことになる。

これは私の勘であり、正しいという証拠はない。ただ投資部門別売買状況と先物手口概算を見ていると一番ありえそうなシナリオになる。確度は50%と受け止めてもらいたい。


売り主体
(2)個人
現先総合  947億円の売り越し
現物現金 1247億円の売り越し
信用    537億円の買い越し
先物    236億円の売り越し

この週も下げ相場で売り越しという順張りになった。6月第3週に先物を大量に売り越し、第4週に大量に買い越したスイングトレーダーは、7月第1週の先物は小幅の売り越しになった。2週連続で1000億円近い売買をしたので、7月第1週は少しお休みなのであろう。信用については買残の水準がまだ低く、5週連続の買い越しを維持している。

現物現金は相変わらずの売り越しである。基本は売り一辺倒の高年齢富裕者層の売りが中心と思われる。現在金融資産を大量に保有している高年齢富裕者層は、自分か親世代がバブル崩壊時に株で大損をした記憶がまだ鮮明に残っているはずである。こうした強烈な体験を持つ人たちはそう簡単に株を買い越すようにはなりにくい。

(3)銀行
現先総合  845億円の売り越し
現物    132億円の売り越し
先物    713億円の売り越し

銀行は現物で持ち合い解消売りが五月雨的に出ている。先物は投機的ヘッジの売りである。先物713億円売りというのは金額としては少し大きめであるが、銀行は過去にこれくらいの金額のヘッジ売りを何度も行っている。


(*)自己という特殊な部門
6月第4週は買い主体の(1)になった
現先総合 1779億円の買い越し
現物   2160億円の売り越し
先物   3939億円の買い越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 767億円の買い越し
日銀ETF以外の自己
 1000億円前後の買い越し(現先合計)

先に書いた通り、この自己による1000億円の買いをソシエテとドイツの自己の買いであり、海外の買いの代理と考えてみた。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 1160億円の裁定解消(現物売り・先物買い)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定解消売買の上位の証券会社
  みずほ500億円、野村400億円、ドイツ250億円
 
東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定解消売買の推計値
 3000億円前後の裁定解消(現物売り・先物買い)

投資部門別売買状況の自己の現物と先物を見る限り、両者の中間、すなわち2000億円強が一番ありえそうな感じがする。自己による先物の買い3939億円のうち、日銀ETF向け767億円、ソシエテとドイツの自己1000億円、自己の裁定解消が2200億円の買いあたりがだいたい近い数字と考える。裁定解消の追加分は野村の買い600億円、大和の買い600億円あたりが有力と考える。

(7月第1週合計)
合計すると、「自己、信託、事法の買い越しvs海外、個人、銀行の売り越し」であった。

自己の買いのうち日銀ETFが767億円。今回は先物で入っている。加えて海外の代理としての買いが自己で1000億円入ったと考えている。海外の売りは自己が代理として買った1000億円分を差し引くと、実質的には1000億円前後の売りであった。個人は現物中心の売りだが、海外と銀行などが先物を売り、日銀ETFが先物を買ったが足りず、自己の裁定解消売りを2000億円前後引き起こした。この裁定解消売りに立ち向かったのが信託と事法の自社株買いを中心とした現物買いであった。結果として日経平均株価は週間で104円安となった。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

2017年6月第4週 株 コメント

6月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170630

6月第4週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170630

6月第4週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170630


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年6月第4週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 20033円 前週末比-99円

この週はイエレンFRB議長、ドラギECB総裁、カーニーBOE総裁が従来よりもタカ派的、あるいはタカ派的と受け止められるような発言があり、欧米ではヨーロッパの債券市場を中心に大荒れの週であった。日本の株式市場はあまり大きな影響はなかったが、水曜の下げは欧米発の下落であった。もう一つの海外要因として木曜日にNASDAQでFANG株を中心とした急落がまた発生し、金曜の日本株の下げの原因となった。それ以外は円安傾向のため、少しばかり上昇の期間が長かった。日経平均株価は週を通して見ると小幅の下げにとどまった。なお、ここではベンチマークとしては使用していないTOPIXは小幅高で週を終えている。

買い主体
(2)信託
現先総合  518億円の買い越し
現物   1616億円の買い越し
先物   1097億円の売り越し

信託はポートフォリオを配当込みTOPIXに連動させるため、年度の初めにTOPIXラージ先物を買う。そして配当金を受け取ると先物を売って現物に乗り換える。信託はこの週にTOPIXラージ先物を966億円売り越しているので、その大部分はこの乗り換えであった。現先合計で見ると、信託の買越額は518億円にすぎなかった。

518億円の買い越しとなると、まずは信託方式の自社株買いを疑う。しかし、トヨタ、野村証券という大口の信託方式の自社株買いを決定している会社は6月の買いはゼロと発表している。それ以外のどこかの自社株買いかもしれない。あるいは、クジラの一部が買ったのかもしれない。

(3)その他法人
現先総合  332億円の買い越し
現物    307億円の買い越し
先物     25億円の買い越し

その他法人の買いの大部分は従業員持株会の買いである。ボーナスの時期なので、通常の週よりも買越額が多くなる。

(4)海外
現先総合   22億円の買い越し
現物    115億円の売り越し
先物     93億円の売り越し

先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。


ブログ外資系と海外の比較20170630

日経平均ミニ先物は中心限月である9月限の証券会社別建玉が公表されていない。9月限で海外が1479億円の売り越しと仮定すると、日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物はいずれも両者が非常に近い金額になる。

第4週の海外の売買の大半は日経平均ミニ先物売り、TOPIXラージ先物買いであった。日経平均ミニ先物の日々の売買を合計するとABNアムロクリアリングの売りが多く、TOPIXラージ先物の買いは建玉変化からメリルの買いが一番多い。どちらもHFTを始めとするヘッジファンドの売買が多い証券会社である。よくわからないが、あるヘッジファンドが日経平均ミニ先物を大量に売り、別のヘッジファンドがTOPIXラージ先物を大量に買い、その金額がたまたま近かったと考えることにする。

投機、投資などの目的を持った海外投資家が現物や先物を売買するのであるが、その合計が22億円の買い越しとゼロに近い金額になった。これは間違いなくたまたまなのであるが、非常に珍しい。

売り主体
(1)投信
現先総合  688億円の売り越し
現物    235億円の売り越し
先物    453億円の売り越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 393億円の純流出(この中の多くの部分が現物株の解約売りになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 250億円前後の売り越し
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 50億円前後の売り越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 50億円前後の売り越し

この3本を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で410億円前後の売り越し。

上記以外の投信による売買
現物         160億円前後の買い越し
日経平均ラージ先物   40億円前後の売り越し
TOPIXラージ先物  76億円の売り越し
合計          40億円前後の買い越し

公募、私募の両方の投信による通常売買の合計金額なのであるが、珍しいほど小幅の買い越し。

(2)銀行
現先総合  243億円の売り越し
現物    315億円の売り越し
先物     71億円の買い越し

銀行は現物で持ち合い解消が中心と思われる小口の売りが多くの週で出ている。第3週も同種の売りが出ただけであろう。

(3)個人
現先総合  235億円の売り越し
現物現金 1765億円の売り越し
信用    249億円の買い越し
先物   1281億円の買い越し

この週は小幅の下げなので、久々に順張りの売りになった。基本は売り一辺倒の高年齢富裕者層の売りが現物現金中心に出たのであろう。第3週に先物を大量に売り越したスイングトレーダーは、日経平均株価が下がるとすかさず逆張りの買いを大量に入れた。ただ株価が下落した日経平均型の先物の買い越しであった。株価が小幅に上昇したTOPIXラージ先物は小幅ながら逆張りの売り越しになっている。

(*)自己という特殊な部門
6月第4週は買い主体の(1)になった
現先総合 718億円の買い越し
現物   369億円の買い越し
先物   359億円の買い越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 788億円の買い越し
日銀ETF以外の自己
 70億円前後の売り越し(現先合計)

小幅の売り越しなので、ディーラーのポジション調整の売買として認められる範囲内の金額である。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 588億円の裁定形成(現物買い・先物売り)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定形成売買の上位の証券会社
  三菱UFJ800億円
 裁定解消売買の上位の証券会社
  みずほ300億円

東証発表の裁定残株数変化から計算した裁定形成売買の推計値
 600億円前後の裁定形成(現物買い・先物売り)

この推計値はめずらしく東証発表の裁定売買の金額とほぼ一致。


(6月第4週合計)
合計すると、「自己、信託、その他法人の買い越しvs投信、銀行、個人の売り越し」であった。

多少は目立ったのは、投信が中心に売り越して下がると、自己を通して日銀ETFの買いが入ったくらいであった。1つの部門内部では大口の売り買いはあったが、異なる部門間では大口の売り越し、買い越しは少なかった。この週の日経平均株価は99円の下落、TOPIXは1ポイントの上昇。株価もほとんど変わらずであった。


6月月間


投資部門別コメント月次20170630

記録にとどめておくべき事項、数字

(1)投信現物
野村総研によると、6月の公募型日本株投信は2842億円の資金純流出

(2)投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 1600億円前後の売り越し
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 350億円前後の売り越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 300億円前後の売り越し

上記を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計では2300億円前後の売り越し。

(3)事法部門での自社株買い
キャノンよる500億円の買いが一番大口

(4)自己
日銀ETFが3880億円の買い

(5)裁定売買(大部分が自己、一部は海外)
東証発表 裁定形成売買の金額合計
 1110億円(現物買い・先物売り)
東証発表 裁定残株数変化からの裁定形成売買推計値
 2000億円前後(現物買い・先物売り)

(6)特殊な売買
6月第2週にゴールドマンで4000億円前後の海外売りvs自己買いのクロスがあったと推測
自己買いの背後には海外がいて、事実上は海外同士のクロス

(7)TOPIX型の現物バスケット買い
毎日160億円ずつ、月間で3000億円のTOPIX型のバスケット買いが入ったと日本経済新聞などで報道。金額が一定ではないバスケット買いなら、信託のTOPIXラージ先物買いの現物買いへの乗り換えで説明できる。ただ本当に毎日160億円ずつななら、常識的には乗り換えではない。8月の現物が買い越しで他にバスケット買いをしそうな部門は日銀ETFを含む自己だけだが、常識的には自己でもない。海外か信託がバスケットで3000億円買い、分割して3000億円売ったリバランスの片方の買いくらいしか説明のしようがない。

(8)合計
6月月間では

「自己8463億円の買い越し、事法2140億円の買い越しvs投信5538億円の売り越し、海外2876億円の売り越し」

であった。

日経平均株価は144円下落して月を終えた。

(9)合計の修正
ここからゴールドマンの約4000億円の自己買いvs海外売りのクロスを海外同士のクロスと考えて修正すると

「自己4400億円の買い越し、事法2140億円の買い越しvs投信5538億円の売り越し、個人1637億円の売り越し」

であった。

自己の買い越しのうち、3880億円は日銀ETFの買いであった。

投信と個人の売り越しを日銀ETFと自社株買いが支え、小幅の下落で月を終えた。

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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