不動産バブルの崩壊防止を利用した財政再建策

3月18日に2015年1月1日時点の公示地価が発表された。公示地価の全国全用途平均は今年も-0.3%と小幅な下落を示した。1991年をピークとしたバブル後の最安値更新である。不動産バブルは崩壊から24年が経過したが、現在でも日本では不動産バブルの崩壊が依然として進行しているのである。1年前に書いた内容と重複する部分もあるが、改めて不動産バブル崩壊進行の問題点と、不動産価格引き上げを通した財政再建策を示したいと思う。

最初に、日本の地価を地域別に現したグラフを下記に示す。


日本の地価

東京、大阪、名古屋はかろうじて前年比小幅のプラスを維持できた。しかし、地方の地価の下落は、1992年にピークを打って以来、23年間連続して続いている。全国レベルで見ても、1991年にピークを打って以来、不動産バブルの崩壊現象が、2年の例外はあるものの、ほぼ連続して24年間続いていると言ってよいであろう。

2015年の公示地価についての報道を見る限り、昨年と同様に、三大都市圏の地価が上昇という論調が一番多かったと思う。昨年よりも、都市と地方との格差拡大を指摘する記事は増えた。しかし、昨年と同様に、不動産バブルの発生を警告するものも、いくつか存在した。

24年間も続く不動産バブルの崩壊は、いい加減に停止させなければならない。これからの日本は、不動産バブルの崩壊の進行から、地価の安定的な上昇へと局面を切り替えなければならない。

その最大の根拠は、他の先進国と日本の不動産価格の動きがあまりにも違いすぎていることである。BIS(国際決済銀行)のホームページに掲載されている、先進諸国の住宅用不動産価格の推移を表すグラフを下記に示す。


世界の地格

日本の場合、公示価格の全国全用途平均ではなく、全国住宅地平均とほぼ等しい。商業地の地価が住宅地以上に大きく下落しているので、日本の住宅地の平均価格は、最初に示した全国全用途平均価格よりも下げ幅が小さい。下げ幅が小さいのであるが、他の先進国と比べると、異常に大幅な下落を示している。

日本以外の国の住宅価格は、右肩上がりが普通である。日本だけが、右肩下がりなのである。茶色の線のフィンランドでは、1989年頃に日本以上に大きな不動産バブルが発生し、崩壊した。しかし、1993年までバブル崩壊が続いたが、直近の地価は1989年のバブルのピークを64%も上回っている。濃紺色の線のアイルランドでは、2007年まで凄まじい不動産バブルが発生していた。そのバブルはリーマンショックとともに崩壊し、2013年にはピークの半値ほどにまで下落した。しかし、最近の地価の回復はめざましく、景気も並行して良くなっている。

リーマンショックにみまわれたアメリカだけではなく、他のいくつかの先進国でも、不動産バブルの崩壊は発生していたのである。ただし、日本とは異なり、バブル崩壊から数年後には地価は再上昇に転じている。上記のグラフで示した国以外では、依然として不動産バブルの崩壊に苦しめられている国は存在する。ギリシャ、スペインなどが思い浮かぶ。それでも他の民間の調査会社のデータを見る限り、日本とギリシャ、スペインとを比較した場合、地価の下落率、下落期間は、日本の方がはるかに規模が大きく、期間も長い。加えて、アイルランドも含めたユーロ圏参加国は、独自の金融政策を実施することのできない国なのである。

まともな先進国と比較した場合、日本の地価の動きは、あまりにも異常すぎるのである。バブルがピークを打ってから24年も経過し、地価は半値以下になっているのにもかかわらず、依然として下落が続いている。私はこれは大変異常な現象であり、地価を引き上げる政策の必要性をずっと感じていた。何度も書いたことであるが、2013年4月の異次元緩和は20年遅かったのである。バブル崩壊が明らかになったら、すみやかに金利をゼロにまで引き下げ、国債の大規模な買いオペを開始すべきであった。そうしていれば、不動産価格が短期間下落する時期はあったであろうが、その後は上昇に転じていたはずである。銀行の不良債権門題は深刻化しなかったし、財政破綻の懸念など決して発生しなかった。問題は、地価が24年間もほぼ連続して下落し続けている国は、先進国では唯一であり、おそらくは、途上国を含めた世界中でも、唯一かもしれない国が、日本であるということだ。それにもかかわらず、地価を引き上げることの必要性を唱える人は少ない。それよりもはるかに大きく聞こえてくる声は、不動産バブルの再燃を避けよという声である。

地価の下落という現象は、大変大きな病気なのである。最初に示した地方の全用途平均は、23年間下落し続けている。しかし、これは地方の平均地価である。地方の中の過疎地では、地価が事実上なくなっている土地も多いのである。現在、東北では東日本大震災からの復興が進められている。その中で生じている問題は、土地を海沿いから高台へと移転しようとしても、その中で土地の所有者がわからない土地が、いくらでもあるということである。登記簿を見ても、大昔になくなった人が所有者であり、現在の相続人がどこにいるかわからないという土地が多数存在する。そのため、真の土地の所有者を探し出すことに手間暇がかかるだけではなく、不可能な土地も多いのである。この土地の所有者の存在しない地域を再開発するためには、ものすごく手間暇がかかってしまう。その手続きを簡素化する努力が続けられているが、手続きをゼロにすることは不可能である。つまり、東北の土地の所有者の何割かは、自分の土地に価値を見いだすことができず、とっくの昔に土地の所有を放棄していたのである。その後、相続が行われても、その子や孫は土地の存在さえ知らずに、都会で暮らしているのである。すなわち、価値がゼロと見なされている土地が全国にいくらでも存在するのである。

この現象は、東北の被災地に限ったことではない。全国の過疎地でも広く発生しているはずの現象であろう。このような現象が発生しているということは、地価がゼロというよりも、所有権を確認して収容などにかかる費用を考えると、資産価値という意味での地価は、マイナスであると考えた方がよい。

また、この現象は、ずっと昔から発生していた。登記が、明治、大正時代から変わっていないものもあるからだ。山林などでは、昔から相続の手続きが行われなかった土地も多いようである。しかし、山林以外の農地や宅地などにまで所有権不明が広まったのは、バブル崩壊後だと思う。バブル以前は、日本中の地価が、一応右肩上がりに上昇し続けていた。過疎地の土地でも、放棄するよりも、一応保有して、将来何かいい機会に巡り会えば、現金化することを考えていた人は多かったと思う。しかし、バブル崩壊後、地方の地価は下がり続け、もはや、価値の下がる過疎地に土地を保有する意味がなくなってしまったのである。超少子高齢化、人口減少がさらに進むと、こうした地価のマイナス化現象がいっそう広がることは間違いない。

この問題の広まりを防ぐために有効な政策は、過疎地の地価が上昇するまで、徹底的に金融緩和を強化することである。過疎地でも地価が上昇に転じれば、これ以上の土地の所有放棄は進みにくくなる。うまくいけば、都会に住んでいる人たちが、先祖か保有していたかも知れない土地を探し始めるかもしれない。あるいは、都会に住む投資家やハゲタカファンドが、過疎地に投資することによって利益を上げることを考え始めるであろう。彼らは、ある程度の費用をかけても真の土地の所有者を探し出し、その相続人から安値で土地を買うという行動をとり始めるであろう。

名目の価値が増え続ける銀行預金の場合でも、所有者不明のものが一定割合存在する。従って、過疎地の土地も、所有者不明がなくなることはありえない。特に山林の所有者不明を減らすのは困難である。しかし、農地や宅地であれば、地価が安定的に上昇し続ければ、所有者不明の発生件数は大きく減少するはずである。

地方創生という言葉が叫ばれている。金融緩和により地方がマイナスの影響を受けているという批判が出始めた直後に、急遽打ち出された政策である。増田前総務相による地方消滅の警鐘がまともに取り上げられるようになったのは、円安で地方が打撃を受けているという批判が吹き出した後からである。しかし、人口減少とともに地価の下落が続けば、過疎地の保有者はいっそう少なくなり、価値がマイナスの土地が増えてしまう。従来のように財政資金をばらまいてみたところで、資金が投入された特定の地域以外の地価を引き上げることは不可能である。

従って、金融緩和の副作用を取り除かなければならないとしても、徹底的な金融緩和は、地方にこそ必要な政策なのである。たとえ人口が減少しようとも、マネーが増え続ければ、地価は上昇するのである。バブル以前は、地価の上昇率が、人口の増加率よりもはるかに高かった。地価を上昇させるためには、人口の増加があった方が上昇しやすい。しかし、マネーを大量に供給し続けた場合は、人口が減少しても、地価を上昇させることは可能なのである。

しかし、そこまで金融緩和を強化すれば、都会の土地の価格は、放置すれば巨大なバブルへと進行するのが目に見えている。私は、これを財政再建の絶好の機会ととらえるべきだと考える。上から2番目に示したグラフで、上位の3位から6位までのスウェーデン、オーストラリア、ニュージーランド、カナダは、財政再建を成功させた実績をもつ模範国だとしばしば取り上げられる国である。日本では財政再建が進まず、財政は悪化する一方であった。日本で財政再建が進まなかった最大の原因は、モノと資産の価格が下がり続けていたからであった。その中で影響が一番大きかったのは、地価の下落であろう。国民は、資産価格下落により資産を大きく失うような環境下では、、増税や歳出削減に簡単に応じにくくなるのである。資産価格が上昇しているような環境下ならば、増税や歳出削減をある程度受け入れやすくなるようだ。日本が財政再建に失敗し続けたのは、デフレが原因であり、中でも地価のデフレの影響が一番大きかったと思う。

金融緩和の結果として発生するバブルは、増税によって抑制すべきである。まず、現在停止している地価税と特別土地保有税を復活させることから始めればよい。この2つの税金は、不動産バブル防止税として過去に導入されたものであるが、現在は停止中である。その後に、この2つの税制を同時に合わせて改正することである。不動産のキャピタルゲイン課税の改正も必用である。その理念は、不動産のキャピタルゲイン課税の税率を引き上げること、地価上昇率の高い地域の土地の保有、売買の税率は高く、地価上昇率の低い地域の土地の保有、売買の税率を低くすること、課税対象者を広げること、である。

理念を述べるだけなら難しくないが、この理念から具体的な法律を作り上げ、実施へと移す中では、様々な困難な問題が発生することが考えられる。財政再建と不動産バブルの防止という大義はあるが、税収を大幅に増やすための増税策なので、税金の負担者からの反対は相当激しいものになるであろう。資産は増えても、収入は増えない人も大勢いるからだ。そうした政治的な困難さは理解できるが、何としてでも乗り越えなければならない。なお、固定資産税を中心とする既存の税体系を見直すことも必要である。価値のない土地を放棄せず、固定資産税を支払い続けている人も多い。しかし、非常に複雑化し、同時に空洞化もしている既存の土地税制の抜本的な改革は不可欠であるにしても、順序としては後回しにするしかない。すぐに必要な税金は、不動産バブル防止税であるからだ。

現在、格差是正が大きな問題となっている。トマ・ピケティは、資産への累進課税の強化を提案している。これは、ピケティも言っているように、1国だけでは実現不可能である。1国だけで増税したならば、資産家が外国に逃げてしまうからだ。世界で同時に実施しなければならない。遠い将来には実現可能だと思うが、時間がどれほどかかるかはわからない。

同じくピケティが述べているように、資産家が逃げることができない唯一の対象が、土地である。土地ならば、株とは異なって、外国人が所有しても、高い税金を取ることが可能になる。保有税が増税となっても、地価が上がり続けるならば、土地を保有する資産家の資産は増えるわけであるから、資産家の中でも、内心は歓迎する人もいるはずである。

金融緩和を強化し、同時に不動産関連の大幅な増税を実施すれば、政府の税収は一挙に拡大する。税収の名目GDPに対する弾性値は1.1と想定されるケースが多い。しかし、不動産価格上昇+不動産関連の大幅な増税を組み合わせれば、弾性値は1.1を間違いなく大きく上回る。バブルの時代は、増税はなかったが、不動産価格の上昇だけで財政再建が進行した。現在でも、不動産価格の上昇とともに、不動産関連の大幅な増税を実施すれば、税収は急速に増加し、財政再建も急速に進むのである。

金融緩和を強化し続ければ、モノやサービスの価格も必ず上昇する。これに対しては、(*1)などで述べたように、消費税の増税などで対応すべきである。金融抑圧によってインフレ税を徴収し、インフレが行き過ぎたならば、消費税などのデフレ不況促進税の増税を次に実施するのである。

プライマリーバランスの黒字化という目標を立てて、増税と歳出削減だけを繰り返せば、デフレ不況が間違いなく進行する。これは1990年代から20年あまりの間、間違い続けた政策である。その先は、金利の急上昇と財政破綻、国家破綻しかありえないのである。

目標は、プライマリーバランスの黒字化ではなく、国債発行残高ゼロをめざすべきである。これを実現するためには、日銀は無制限に資産の購入を進めなければならない。とりあえず発行済み国債の全額購入をめざそう。ブラックホールのように資金を吸収し、有害極まりない国債市場の機能を停止させよう。麻薬である国債は、できるならなくしてしまうのが一番良い。発行済みの国債を100%購入するのは容易ではない。最後には国債金利の急上昇は発生しないが、国債価格の急上昇(=金利の急低下=マイナス金利幅の急拡大)が発生てしまうからだ。しかしある程度のマイナス金利を覚悟するならば、日銀が発行済み国債の大半を購入することは可能である。大半を購入してしまえば、残りは償還と合わせて国債発行残高ゼロが、将来的に実現可能になる。

日銀が国債の大半を購入しても、インフレや過疎地の地価が上昇しなければ、次に買う対象は後で決めればよい。国債に売り物が存在する間は、国債をガンガン買い続ければよい。そしてモノや土地の価格が上昇すれば、増税でそれを抑制する。財政再建は、金融抑圧による確定利付き債権の保有者に対するインフレ税と、不動産価格上昇分の一部を税収に替えることを中心とすべきである。国債全額償還のための財源の中心は、資産からの移転、すなわち資産課税が中心であるべきだ。格差拡大を防ぎながら、資産家の資産も拡大可能であるからだ。それでも、モノのインフレ抑制のためには、消費税の増税などを利用して、国民の過剰な購買力=実質所得を減少させることも同時に必要である。資産や所得の少ない人にも、負担ゼロは好ましくなく、一定程度の負担はしてもらうべきである。

以前にも書いたとおり、この道はバラ色の道ではなく、イバラの道である。これは、不動産バブルの崩壊が24年間も続くことを容認してしまった過去の政策の誤りの大きすぎるツケなのである。イバラの道ではあるが、実質GDP成長率の最大化と国債発行残高ゼロを目指すものとしては、こうした困難な提案をなんとしても現実化してもらいたいと考えている。そしてその第一歩は、日銀による国債購入金額を、年間80兆円から大幅に増やすことから始めなければならないのである。


リンク先記事
金融抑圧による財政再建 経済財政諮問会議資料における試算(*1)



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アメリカの資金循環統計とドルの需給分析の困難さ

最近、日本株の需給分析を書くようになった(右下の、カテゴリ、株式投資部門別売買状況、コメントを参照)。もう一つの重要な為替市場の需給分析も、書くことができるならば、書いてみたいとは思っている。しかし、為替市場の需給分析は、株のように簡単にできるものではない。理由は、為替市場の需給分析には、大きな統計上の制約が存在するからだ。日本の統計上の制約により、為替や金利の分析が困難である理由を、(*1)に書いたことがある。今度は、為替レートをアメリカの側から見ることにする。3月12日にアメリカの2014年の資金循環統計が発表された。アメリカの資金循環を理解するのに大変重要な統計である。この資金循環統計を使って、アメリカと諸外国の間の国際収支の構造を分析するとともに、その分析には限界があることを示す。

アメリカを取り巻く資金循環のうち、中長期の為替需給を決定する重要な項目を3項目見ることにする。最初に、外国人による米国債券買いとアメリカ人による外国債券買いを表すグラフを下記に示す。


債券売買

債券については、外国人による米国債券買いの金額が、アメリカ人による外国債券買いの金額を常に上回っている。外国人は米国債券の買いに熱心であるが、アメリカ人はそもそも外国債券への投資にあまり関心を持っていないことが伝わってくる。

次に、外国人による米国株買いとアメリカ人による外国株買いを表すグラフを下記に示す。


株売買

株については、外国人の米国株買いを、アメリカ人の外国株買いが上回っている。ストックで見ても、2014年末のアメリカ人の外国株式投資の残高は6兆6121億ドル、外国人の米国株式投資残高は5兆8813億ドルと、アメリカの側が資産超過になっている。特に直近の2014年には急増している。

次に、外国からアメリカへの直接投資と、アメリカから外国への直接投資を表すグラフを下記に示す。


直接投資

株と同様に、外国からアメリカへの直接投資よりも、アメリカから外国への直接投資の方が上回っている。ストックで見ても、2014年末のアメリカから外国への直接投資残高は5兆4833億ドル、外国からアメリカへの直接投資残高は3兆2989億ドルと、アメリカの側が資産超過になっている。

以前にも書いたことがあるが、アメリカは世界最大の対外純債務国である。巨額の対外純債務があると、普通は第一次所得収支は大赤字になる。しかし、アメリカの第一次所得収支は、世界最大の黒字である。世界最大の対外純債権国である日本の第一次所得収支の黒字を上回っている。

このような手品ができるのは、アメリカが債券、ないしは国債という低い金利で資金を大量に調達し、それよりも少ない金額ではあるが、株と直接投資に資金を回し、その配当と売買益だけで債券の利子以上に稼いでいるからである。これは、アメリカ経済の実力が高いからと言わざるをえない。国民のほとんどすべてが英語という世界語を自由に操ることができる。加えて、世界から優秀な人材を集め、その人材を使って外国にも人脈を作り、世界中の情報を集め、株式投資や直接投資を成功させている。日本の場合、最近も外国企業に対する大型のM&Aが続々と発表されている。しかし、金額は大きいものの、価格だけが割高な案件が非常に多い。そのため、大型のM&Aが発表されると、買収企業の株価は発表直後は売られるケースが多い。過去のM&Aの失敗が確定したり、退却のニュースもよく聞かれる。M&Aにしろ、外国株投資にしろ、日本はアメリカの真似をし、アメリカから学ぶことは必要である。それでも、日本とアメリカの間には、簡単には追いつくことのできない大きな実力の差もまた、現時点では存在することも認識しておくべきであろう。

中長期の為替需給を決定する重要な3項目を見た。次は、短期資金やローンをも含めた外国からアメリカへの資金流入総額と、アメリカから外国への資金流出総額を表すグラフを下記に示す。


総資金流出入

アメリカは経常収支(+資本移転等収支)の赤字国なので、外国からアメリカへの資金流入総額は、アメリカから外国への資金流出総額を常に上回る。このグラフを見ると、テーパリング=金融引き締めが実施された2014年において、アメリカの資金の対外流出総額は増えている。

「為替レートは金利差で決まる」という考え方は、現在でも有力である。しかし、資金流出入にあたって金利差が大きく影響する部門は、債券部門と短期資金部門が中心である。それ以外の部門に、金利差はほとんど影響を与えない。2014年の場合、アメリカの金利上昇が予想されると、資金がアメリカから逃げ出し、金利上昇の恐れが少ない外国に向かってグロスの資金流出金額は拡大し、ネットの資金流入金額は縮小していたのである。

2013年5月22日に、当時のバーナンキFRB議長が将来のテーパリングを発表し、2014年にテーパリングは実際に実施された。テーパリング発表の直後、資金が新興国から大量に逃げ出し、新興国経済は大打撃を受けたとアメリカは非難された。しかし、テーパリングの発表と実施の間、アメリカは外国から国内へと資金を引き揚げたのではなかった。アメリカの証券投資(短期債を除く)については、アメリカ財務省が国ごとの数字を月次で公表している。2013年5月から数ヶ月間の数字を見ると、フラジャイル5(トルコ、インド、インドネシア、ブラジル、南アフリカ)から、アメリカは一時的に大きく資金を引き揚げていたことがわかる。しかし、アメリカ全体の証券投資を見ると、同じ時期に、資金が流入ではなく、大きく流出していたのであった。そのため、フラジャイル5の混乱の責任は、アメリカの側ではなく、フラジャイル5の方にあったと言える。

次に、大きな問題を含むグラフを示す。上記の外国からアメリカへの資金流入総額と、アメリカから外国への資金流出総額の差は、資金過不足と呼ばれている。これは日本でも同様である。資金過不足(±の符号は反対)と、経常収支+資本移転等収支の合計数字を表すグラフを下記に示す。


経常収支と資金過不足

資金過不足と、経常収支+資本移転等収支は、本来ならば一致していなければならない。しかし、実際には誤差脱漏がある。そのため、「経常収支+資本移転等収支-金融収支+誤差脱漏=0」は、恒等式として常に成立する。国際収支統計で金融収支に相当するものが、資金循環統計では資金過不足になる。誤差脱漏に相当するものを、資金循環統計の場合は、統計上の不突合という言葉を使う。英語では同じ言葉であるが、日本語に訳すと言葉が2通りに分かれてしまう。上記のグラフから、2014年の統計上の不突合が大変大きかったことがわかる。

次に、資金循環統計における統計上の不突合を表すグラフを下記に示す。

不突合

資金循環統計の統計上の不突合は、2014年に3957億ドルを記録した。2007年に次ぐ過去2番目に大きな数字である。

つまり、3957億ドルの正体不明の資金流入が存在しているのである。この原因は、経常収支+資本移転等収支の方に間違いがあるのかもしれない。ただ可能性としては、資金循環統計が内外の資金の流出入を正確につかめていない可能性の方が高い。経常収支の中の財、サービス、所得配当などの金額にも誤差や脱漏はあるであろう。しかし、常識的に考えると、貿易などの金額よりも、資金移動の金額の方が、意図的に隠すのが簡単である。つまり、海外からアメリカにアングラマネーが大量に流入し、その合計が、2014年の1年間に3957億ドル前後にのぼっている可能性が高いのである。

3957億ドルは2014年の1年間だけの数字である。1990年から統計上の不突合の数字は存在する。1990年からの統計上の不突合の累積金額のグラフを下記に示す。


不突合の累積

1990年-2014年の統計上の不突合は、2兆6033億ドルにも達する。これほど大きな累積の統計上の不突合が存在することは、大問題である。

日本でも、国際収支上の誤差脱漏は存在し、単月で見た場合、誤差脱漏の金額が大きすぎて、意味のある分析が不可能になる月も多い。ただ、日本の場合は、誤差脱漏のプラスとマイナスを累計して長期の数字を見ると、ゼロにはならないが、かなり小さな金額となる。従って、中長期の為替レートを考える際、誤差脱漏を無視しても構わない。しかし、アメリカの場合は、誤差脱漏の金額が大きいだけではなく、毎年ほとんど同じ方向に累積し、金額が大きくなるのである。加えてアメリカの場合、国際収支統計の誤差脱漏よりも大きな統計上の不突合が、資金循環統計に存在する。

日本の場合、資金循環統計に統計上の不突合という項目は存在しない。統計上の不突合はいくらでも発生するのであろう。それでも原因がある程度わかる不突合は、統計上の原数値に比例配分して増減させるなどの手法で、原数値を推計値に替えて発表しているのである。それでも残る不突合は、統計上の不突合とは異なる名称の項目の中に紛れ込ませている。従って、日本の資金循環統計には、表面上は、統計上の不突合は存在しない。一方、アメリカの資金循環統計は、統計上の不突合の項目が非常に多く、金額も大きい。統計上の不突合が大きい部門が多数存在し、資金循環統計による分析の限界がよく理解できる。日本方式とアメリカ方式とを比較して、どちらが優れているかは、一長一短としか言えない。しかし、アメリカの場合、アメリカと諸外国の間の資金流出入に大きな統計上の不突合が存在し、その累積金額は膨大なものとなっていることは、どう考えても大きな問題である。

これは、統計上の問題だけではない。アメリカは、自国民の資金がアングラ市場に流出しないように常に目を光らせている。FATCAという法律を作り、外国の銀行にも、アメリカ人が保有する口座情報を報告させるようにした。長年、隠し財産の巣窟となっていたスイスの銀行も、アメリカ人の口座情報をアメリカ政府に通知することを約束させられた。このように、アメリカは、自国民が海外にアングラマネーを持つことを嫌っている。一方、外国人は、現時点でもなお、アメリカ国内に多額のアングラマネーを保有しているのである。そのため、1990年-2014年だけで2.6兆ドルもの統計上の不突合が存在し、拡大してきたのである。そのアングラマネーは、中国、ロシアなどからの流入が多いと言われているが、アングラなので、正確なことはわからない。アメリカは、外国のアングラマネーがアメリカ国内に流入することを、嫌ってはいない。

先に、アメリカはテーパリングの発表の直後に、外国から資金を引き揚げたのではなく、流出を拡大させており、新興国の混乱に対してアメリカには責任がないと書いた。この分析も、「短期債を除く証券投資だけである、すなわち、貸付・預金などの資金を除く」という条件があることは簡単に付記しておいた。さらに厳密なことを言うと、「アングラマネーが存在しないと仮定した場合」という条件をも付け加えなければならない。フラジャイル5からアメリカに向かって、アングラマネーが大量に流出した可能性を完全には否定できないからだ。しかし、実際問題として、アメリカの国際収支を分析する際に、「アングラマネーが存在しないと仮定した場合」、という注意書きを付けると、訳のわからない文章になってしまう。従って、厳密な正確さを欠いた表現にするしかない。

ドルの為替レートは、ドル資金に対する需要と供給によって決定される。従って、ドルの為替レートを正確に分析する際には、その大元に正確な基礎統計の存在が欠かせない。アメリカは、世界最大の対外純債務国であるが、株と直接投資をうまく利用して、世界最大の第一次所得収支を稼ぐという手品のような芸当ができる国である。しかし、これは統計の表面上に現れる数字だけからの説明である。実際には、アメリカが発表する資金循環統計には、巨額の統計上の不突合が存在している。世界の基軸通貨であるからこそ、ドルに向かってアングラマネーが絶えず流入している。そのため、ドルの為替レートを正確に予想することが不可能であるだけではなく、過去に起こった国際収支上の現象を正確に分析することさえも、厳密には不可能であるのだ。


リンク先記事
不正確な統計と債券・為替市場の困難な分析(*1)




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金融抑圧による財政再建 経済財政諮問会議資料における試算

前回、イギリスで行われた金融抑圧による財政再建について説明した。今回は、2月12日に開かれた経済財政諮問会議で使われた資料に、財政再建のためには金融抑圧が必要であるというデータが存在していたことを説明する。そのような報道はなく、議事録にも書かれていない。資料を見ただけでは全くわからない。しかし、その資料を分析すれば、財政再建を進めるためには金融抑圧が必要であることを示すデータが存在している。経済財政諮問会議の資料の中に隠されている、金融抑圧の必要性を示す内容を説明する。そして、私が考えている金融抑圧を利用した財政再建への道を示したいと思う。

最初に、私の財政再建、国債発行についての基本的考え方について説明したい。国債発行の限度については、いくつかの考え方が存在する。多数説は、プライマリーバランスを黒字化させ、国債発行残高対名目GDP比率の増加をくい止め、一定比率以下に抑制することが重要、というものであろう。一方、国債の所有者の大半が国内投資家である場合、国債発行残高は無限に増やしてもよい、という考え方も存在する。さらにまた、もはや通常の手段による国債発行残高の削減、財政再建は不可能であり、ハイパーインフレしか解決方法はないという考え方も存在する。

私の考え方では、経済政策の最優先の課題は、長期的な実質GDP成長率の最大化である。しかし、その次に重要な目標の一つは、国債発行残高をゼロにすることである。国債とは麻薬であり、一時的には実質GDPの成長に大変大きく貢献するが、長期的には実質GDPの成長を阻害すると考えるからだ。国債発行残高ゼロというのは、夢の中でしか起こりえないことである。それでも理想としては、国債発行残高ゼロを一日も早く実現させる方法を見つけたいのである。

2月12日の経済財政諮問会議の資料には、将来を、「経済再生ケース」と「ベースラインケース」という2通りのシナリオにわけて想定し、それぞれの場合で必要な資金の金額が示唆されている。多くの想定、算出数字が並んでいるので、その中から重要と思われるいくつかの数字をグラフ化して示したいと思う。

まず、公債等残高対名目GDP比率を表すグラフを下記に示す。


国債・GDP

経済再生シナリオでは、比率の増加が頭を打ったかのようなグラフになっている。

次にプライマリーバランスの対GDP比率を表すグラフを下記に示す。


PB・GDP

上記の想定では、プライマリーバランスは一度も黒字化していない。

この数字を見て、「なぜだ」と感じた。(*1)で説明したとおり、公債等残高の対名目GDP比率を低下させるために一番重要な数字は、「プライマリーバランス(Pbと略する)」の金額と、「名目GDP成長率(gと略する)と名目長期金利(rと略する)の差」である。Pbが赤字で公債等残高の対名目GDP比率が縮小するためには、g>rが必要である(ドーマー条件)。そう考えながら経済財政諮問会議の資料の数字を追ってみた。

「経済再生ケース」と「ベースラインケース」の2通りのシナリオを作成して、「経済再生ケース」の方が公債等残高の対名目GDP比率が低くなっている。つまり、実質GDP成長率を高めれば、財政再建が容易であるかのように見せている。しかし、実質GDP成長率を高めれば、財政再建が容易になるという有力な理論は存在しない。私は(*2)で説明したとおり、実質GDP成長率が高くなるとg>rになる確率も高くなると書いた。これは、理論的に導き出したものではない。高度成長期の日本や、現在の中国を始めとして、いくつかの国の経験を観察することにより導き出した考え方である。しかも、現在の日本のような成熟した低成長国家においては、実質GDP成長率を少し高めても効果は非常に少ない。従って、日本においては、長期的にはg=rと考えた方がよいと(*2)に書いていた。実質GDP成長率を1%ちょっと引き上げたからといって、g-rの引き上げ幅はごくわずかであり、引き上げ幅を理論的に算出することも不可能である。実質GDP成長率の増加によるg-rの引き上げ幅はゼロと想定すべきである。しかし、経済諮問会議の資料では、実質GDP成長率のわずかの上昇によって、g-rも上昇するという全く非現実的なシナリオを提示している。

そのことを示すために、潜在成長率、実質GDP成長率、名目GDP成長率の3つのグラフを下記に示す。


潜在成長率

実質GDP成長率

名目GDP成長率

上記の数字は計算値ではなく、想定値である。この想定には問題はない。

次に名目長期金利を表すグラフを下記に示す。


金利

上記の数字も計算値ではなく、想定値、前提条件である。しかし、この想定は、誤解を招く結果をもたらす大変悪質な前提条件である。それは、下記に示すグラフで明らかになる。

成長ー金利

g-rの想定、すなわち前提条件である。現在のg>rがg<rへと向かっていくことが想定されている。

次に、前回と同様に、g-rの2013年からの累積値のグラフを下記に示す。


成長-金利累積

2つのシナリオを「経済再生ケース」、「ベースラインケース」と呼ぶこと自体がおかしいのである。この2つのケースは、「金融抑圧長期継続ケース」、「金融抑圧短期継続ケース」と呼ぶべきである。「経済再生ケース」、「ベースラインケース」を想定するならば、両方ともg-rが同じと想定すべきである。その場合、「経済再生ケース」、「ベースラインケース」の間に財政再建のスピードに差はなくなる。それが真実なのである。「経済再生ケース」が「ベースラインケース」よりもg>rが長く続くように数字を操作し、実質GDP成長率が高くなると財政再建がスムーズに進むように見せかけているのである。とんでもなく間違った内容であり、世間に誤解を広める悪質な資料なのである。

金融抑圧に戻ると、上記のグラフは、一番上に示した公債等残高対GDP比率のグラフとの関連性が見えにくい。これは、名目長期金利が上昇しても、金利が上昇する分は、新規に発行される公債の分だけであるからだ。公債等残高対GDP比率はg-rの累積値よりも遅れるのである。そのことを示すために、公債等残高対名目GDP比率の前年比変化率を表すグラフを下記に示す。


国債・GDP変化

一番最初の公債等残高対名目GDP比率の微分値のようなものであり、先行値と言ってもよい。

上記の値とg-rの累積値との比較を、「経済再生ケース」、「ベースラインケース」に分けて下記に示す。g-rの累積値は上記のグラフとは反対の動きをするので、符号を逆にしたr-gの累積値とを比較する。


財政再建 再生

財政再建 ベースライン

グラフの形としては似ていると思う。特に経済再生ケースでは形が似ている。ただし、目盛りをよく見ればわかるが、2023年においても、青色のr-gの累積値は上向きである。すなわち、金融抑圧はすでに過去に終了しているのである。しかし、過去のr-gの累積のおかげで、赤色の公債等残高対名目GDP比率の前年比変化率は依然として小幅のマイナス、すなわち公債等残高対名目GDP比率の方は改善傾向を示しているのである。

繰り返すが、上記のグラフで明らかなことは、実質GDP成長率を高めると、財政再建が進みやすくなることではない。金融抑圧を長く維持した方が、財政再建が進みやすいということを示した資料なのである。

過去の政策の失敗の大元の原因は、財政再建のために重要な数値であるPbとg-rの2つの数字のうち、Pbは操作可能であるが、g-rは操作不可能であるとの前提を建て、Pbの縮小のみに力を入れてきたことである。これが日本の財政状態を悪化させ、金利の急上昇、財政破綻の懸念を引き起こすようになった最大の原因である。つまり、Pbは自由に操作可能ではないのである。Pbを減らすために消費税を増税したが、景気後退が発生してかえって税収全体が減ってしまった。あるいは全く別の理由で景気後退が発生し、Pbが再び悪化するということが繰り返された。Pbの減少を目指しても、再びPbが増加するということが繰り返されたのである。そろそろ誤りを繰り返すことはやめなければならない。Pbはある程度操作可能であるが、自由に操作可能ではないのである。そして同様にg-rも操作不可能ではなく、ある程度は操作可能なのである。異次元緩和を実施した結果、現在まで、g>rを実現させることに成功している。両方とも制限された範囲内で操作可能なのである。Pbとg-rの両方を可能な範囲内で一番望ましいように操作することが重要なのである。

金融抑圧を続けると、好景気が継続し、賃金は必ず上昇に転じる。賃金の過度の上昇はインフレ率の上昇となるので、何としても押さえ込まなければならない。その方法は平時であれば、政策金利の引き上げである。しかし、現在は平時ではない。Pbを黒字化させ、財政再建を何としても進めなければならない。賃金上昇は、増税によっても抑制可能である。ここでは、将来の増税が当然視されている消費税の増税を実施する場合を考えることにする。

日本において、2度の消費税増税の結果わかったことは、消費税増税後の少なくともしばらくの間、消費は大きく減退するという事実である。日本においては、消費税増税はデフレ不況促進効果を持つのである。ヨーロッパとは異なり、日本では景気過熱=賃金上昇を消費税増税により押さえ込むことが可能なのである。賃金上昇が加速しそうな時期にこそ、思い切った消費税増税を実施すべきなのである。その場合、消費税の増税効果で総需要は抑制される。総需要が抑制されると、生産は減少を強いられ、労働力需要も低下する。従って、賃金の上昇圧力も、政策金利の引き上げと同様に抑制されるのである。

増税を実施するためには、法律を国会で成立させなければならない。金融政策とは異なり、財政政策はそう簡単に発動できるものではない。インフレを財政政策で抑制するのは、理論的に可能であっても、実際にうまくいくとはかぎらない。インフレを増税でコントロールすることは、ある程度可能であるが、金融政策ほどはうまくいかない。しかし、ある程度可能であるならば、可能な限り財政政策で対応すべきである。バブルの抑制はもっと困難な点があるが、同様に可能な限り財政政策で対応すべきである。

増税と歳出削減の組み合わせでは、国債発行残高の対GDP比率の拡大を止められないことは、過去20年あまりの日本の経験によって証明された。経済成長により財政再建を実現できるという理論的な根拠も存在しない。財政再建を一番確実に進めることが可能な政策は、金融抑圧の継続と、インフレ、バブル発生時の思い切った消費税増税を含む増税という財政金融政策の組み合わせである。しかし、この政策が完全に成功する可能性は低く、至る所で様々な問題が発生する可能性の方が高い。この道は、決してバラ色の道ではなく、イバラの道である。少子化対策がなおざりにされ続け、異次元緩和の実施が20年遅れた日本の前に、バラ色の道は残されていないのである。

発行された国債は、全額日銀が購入すべきである。そして、インフレとバブルの進行時に、時間をかけて、名目ベースでは日銀が購入した国債金額と同金額の増税を実施しなければならない。しかし、実質ベースでは、名目ベースよりもはるかに少ない金額の増税でかまわないことになる。金融抑圧によるインフレ税が、必要な実質増税の金額を大きく引き下げてくれるからである。この道もイバラの道である。しかし、イバラの道の先に、長期的な実質GDP成長率の最大化と、国債発行残高ゼロの実現が見える可能性が存在する道なのである。


追記
4月18日 日本経済新聞朝刊2面
こんな楽観論に待ったをかけたのは河野太郎行政改革推進本部長ら行革派だ。内閣府試算を独自に検証し、2日の特命委で警鐘を鳴らした。
 「債務残高GDP比の低下は、たまたま低い長期金利と高成長率の恩恵を受けているだけ。23年度の先は長期金利の上昇でGDP比は悪化する」
 内閣府試算もデフレ脱却後は長期金利が名目成長率を上回る前提に立っている。だとすれば、長期的に債務残高GDP比の上昇を避けるうえで、基礎的財政収支の黒字化を後回しにはできない。

ようやく資料のゴマカシを見抜いた人が現れた。しかし、上記に書いたとおり、基礎的財政収支の黒字だけをめざすと黒字化が失敗することは過去の経験から明らか。同時に名目成長率-長期金利の操作をめざさなければ財政再建は不可能。


リンク先記事
ドーマー条件、ボーン条件、財政再建に必要な条件(*1)
名目成長率と名目金利の比較(*2)


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