偏在する余剰資金と必要な税制改革

日本経済は、すでに十分な金余り状態である、としばしば言及される。その根拠として、日本企業が保有する現金・預金の金額の大きさが指摘されることが多い。日本企業が保有する現金・預金の金額を表すグラフを下記に示す。

全産業の現金預金残高

上記のグラフには2種類の線が描かれているが、より正しい現実を示す線は、赤色の日銀の資金循環統計の方である。理由は、資金循環統計は金融機関からの聞き取り調査をベースにした全数調査であるのに対して、法人企業統計は、標本調査であり、加えて小企業を省いているからだ。

これと似た内容を、別の角度から見たグラフを下記に掲載する。


資金過不足

上記のグラフは、日銀の資金循環統計の中で、資金過不足の推移を示すグラフである。バブル以前の時期においては、資金余剰主体=家計、資金不足主体=非金融法人企業と決まっていた。それが、1990年代後半のデフレ期に入ってからは、資金余剰主体=非金融法人企業と家計、資金不足主体=一般政府という状態が続いている。

このように、日本企業は、全体としては金余りの状態にある。ここで重要なことは、「全体としては」ということである。本当に金が余って仕方がない企業がある一方、資金不足に悩まされ、倒産してしまう企業も多数存在するからだ。格差社会という言葉が広がっているが、格差は個人、家計についてのみ存在するのではない。企業には、それ以上の大きな格差が存在しているのである。

次に、企業をいくつかの業種に分けて、業種ごとの余剰資金の金額を見ることにする。この場合、資金循環統計にデータがないので、法人企業統計のデータを
使って、2013年3月末における業種ごとの現金・預金残高を表すグラフを下記に示す。


中分類 現金預金残高

上記のグラフは、ストックベースの数字を示している。そこで、フローベースの数字、すなわち2009年度-2012年度にかけて、企業が業種ごとに保有する現金・預金の残高をどれだけ変化させたかを表すグラフを下記に示す。

中分類 現金預金残高変化

2009年度-2012年度の数字を比較した理由は、2009年度に業種のくくり直しがあり、2008年度以前とは比較ができない業種がいくつも存在するからだ。業種ごとの数字を厳密に比較できる期間が、2009年度以降しか存在しないのである。

現金・預金のストック、フロー双方において、卸売業の保有額の大きさが目立つ。より詳しく調べると、卸売業の場合、大企業より資本金1億円未満の中堅企業が、現金・預金の保有額を増やしている。その理由を正確に把握できていないのであるが、リーマンショック時の銀行の貸し渋りを嫌気して、卸売業に属する中堅企業が、現金・預金を多めに保有することになったという説があることだけを紹介しておく。

(*1)(*2)で、日本の半導体、液晶という産業が、超円高とその結果として発生した資金不足により崩壊または崩壊しつつあることを説明した。半導体、液晶は、上記の業種分類では、情報通信機械器具製造業に分類される。2013年3月末の情報通信機械器具製造業全体の現金・預金保有額は、3.1兆円、2010年3月末比で720億円減少している。これは、パナソニック、シャープ、エルピーダ、ルネサスのような大企業から、中堅企業までの現金・預金の保有額を全部合計して、3.1兆円であることを意味する。アップル一社で4.1兆円(2013年9月末現在、長期債券を加えると14.5兆円)、サムスン一社で5.8兆円(2013年9月末現在)である。日本の情報通信機械器具製造業に属するメーカーと、アップル、サムスンとを比較した場合、日本企業が保有する現金・預金の金額が、絶望的なほど少なすぎるのである。ここまで差が開いてしまうと、日本のメーカーは、アップル、サムスンと、まともな競争ができないのである。

日本では、卸売業という将来の成長があまり見込めない産業に属する企業が、不必要と思われるほど多くの現金・預金を保有している。一方、現在、最もイノベーションが盛んで成長率の高い情報通信機械器具製造業に属する企業は、資金がなく、設備投資費が絶望的なほど不足している。その結果、(*1)で示したように、倒産して技術力がより低いアメリカの企業に先端技術を譲り渡すとか、(*2)で示したように、先端技術を安い価格で中国の企業に事実上売却するなどの現象が発生しているのである。

上記のグラフは、業種分類が細か過ぎて、全体の傾向が把握しにくい。そこで業種を製造業、非製造業だけに分類し、現金・預金の保有残高を表すグラフを下記に示す。


大分類 現金預金残高 

次に、製造業、非製造業だけに分類した現金・預金の2009年度-2012年度の変化を表すグラフを下記に示す。

大分類 現金預金残高変化

見てわかる通り、非製造業に現金・預金がたまり過ぎ、かつ増え過ぎである。一方、製造業は、平均すれば、金余りとは言えず、現金・預金の残高は減少に向
かっている。

製造業、中でも情報通信機械器具製造業の資金不足の原因は、長年にわたる超円高である。(*3)で指摘して以来、何度も繰り返しているが、日本周辺のアジア諸国の政府・中央銀行は、巨額の自国通貨売り、外貨買い介入を通して自国の通貨価値を割安に誘導してきた。加えて、アジア諸国の政府は、最も成長性があると見込んだ情報通信機械器具製造業を、主として日本から技術を導入することにより、重点的に育成強化してきた。その結果、日本の情報通信機械器具製造業は、日本国内で比較劣位の産業となった。そして、日本が貿易市場、為替市場を自由に開放し続ける限り、リカードの比較生産費説により、将来、アジア諸国との競争で敗北することが、運命として事前に決定されていたのである。その運命の敗北が現実化したのが、リーマンショック後に超円高・アジア通貨安がいっそう進行した時期であった。その運命の敗北を阻止する政策は存在していたのであるが、日本の財務省、日銀は全く気がついていなかったのである。

2012年11月以降、超円高・アジア通貨安は、何割かは是正されたが、依然として修正不十分である。4年余りの超円高・アジア通貨安により、日本の情報通信機械器具製造業はボロボロになってしまった。収益が大赤字になり、過去に貯め込んだ蓄積を吐き出しながら、エルピーダは倒産し、シャープは大赤字で倒産の瀬戸際にまで追い込まれた。加えて、日本政府が貿易市場、為替市場を自由に開放し続ける限り、資金力を完全に失った日本企業が、規模の利益を獲得したアジアのライバルメーカーとの競争に、永久に勝つことはできないということが、クルーグマンの新貿易理論により運命づけられているのである。

二番目のグラフで示した通り、日本の企業には過剰と思えるほど資金が余っており、政府は資金が大きく不足している。こうした環境下において、以前、政府が資金運用の方法を変えるという手法で、財政再建が可能であることを示した(*4)。今回は、法人税を増税するという財政再建の手法もありうることを示したい。日本企業に資金が余っていることは分かり切っているが、それを根拠にして法人税の増税を主張する人は、最左翼の人以外には、ほとんど存在しないと思う。理由は、日本と海外との法人税率の差である。日本の製造業の国際競争力を今以上弱体化させてはならないという観点からは、法人税は、増税ではなく、減税の方が望ましい。私は、法人税は、原則として増税すべきだと考えている。ただし、超円高の結果、ここまで弱体化した製造業に対しての増税は厳し過ぎる。それを回避するために、製造業、より厳密には、貿易財、貿易可能なサービスを生産している企業に対して、「ものづくり所得控除」というような、新たな租税特別措置を設けるべきだと考えている。

アメリカでは、オバマ大統領が、2013年の一般教書演説で、法人税率引き下げと、製造業に対する軽減税率の導入に言及していた。しかし、2014年の一般教書演説では、法人税率の引き下げだけで、製造業に対する軽減税率に触れることはなかった。オバマ大統領は、製造業ルネサンスのために、製造業に対する軽減税率を導入したかったのであろう。しかし、実務として考えたならば、企業を製造業と非製造業に厳密に分類することは難しいので、その構想は取り下げたのだと思う。私のアイデアは、ある企業が、貿易財か貿易可能なサービスを生産して所得を獲得している場合、そこから得られる所得に対してのみに、一定の率(例えば50%)の所得控除を設け、事実上の製造業に対する減税を行ってはどうかという提案である。この場合でも、実務上、非常に多くの問題が生じるはずだが、製造業全体に軽減税率を設ける場合よりは、問題は少なくなると思う。

税制は、原則として、公平かつ簡素なものでなければならない。「ものづくり所得控除」のような新しい租税特別措置を設けると、税の不公平感を生みだし、利権の温床にもなりやすい。そうは言うものの、所得控除のような制度は、海外にも多数存在している。そうした税の抜け穴を利用し、アップルはアイルランド子会社を使って節税をしている。東京エレクトロンがアプライドマテリアルズと合併して持株会社をオランダに置く理由は、法人税率が25%の法定税率ではなく、所得控除による軽減税率をも考慮した実効税率が17%と低いからである。海外の法人税にも、さまざまな所得控除、税額控除、軽減税率、非課税措置などが多数存在するのである。

法人税の実効税率は、引き上げるべきである。そして非製造業が保有する過剰な資金を税を通して吸い上げ、財政再建に役立てるべきである。製造業に対しては、「ものづくり所得控除」のような租税特別措置を新設し、実効税率を大幅に引き下げ、外国企業との競争条件を今まで以上に悪化させないようにすべきである。日本企業の競争力を強化するという名目で、法人税全体の実効税率を大きく引き下げるべきだと主張する声は非常に大きい。しかし、この場合、非製造業に無駄で過剰な資金がますます累積し、税収も大きく減少してしまう。非製造業の資金余剰、一般政府の資金不足がさらに拡大してしまうのである。政府の資金不足を補てんするために、消費税を10%以上にまで引き上げ、様々な商品に様々な軽減税率を設けると、これまた無期限の軽減税率獲得闘争が開始されるであろう。それならば、消費税は10%で一律にして据え置き、法人税の増税と所得控除を広げた方が、よりマシだと思う。

日本経済はすでにサービス化が相当進んでいる。GDPに占める製造業の比率は、2012年の段階で18%程度にすぎない。仮に製造業に対する実効税率を20%引き下げ、非製造業に対する実効税率を20%引き上げたならば、法人税収は大幅に増加し、財政再建に貢献することができる。

現在の日本の製造業に対する法人税の実効税率を20%引き下げたとしても、情報通信機械器具製造業の復活は不可能である。日本の情報通信機械器具製造業に属するメーカーと、アップル、サムスンとの資金力の極端な差を、減税だけで埋めることは不可能である。加えて、情報通信機械器具製造業に属するメーカーが没落したのは、収益が大幅な赤字になったからである。法人税をゼロにしても、赤字を黒字に変えることはできない。さらに、今後、法人税率ゼロ+超円高アジア通貨安の完全な是正が行われたとしても、規模の経済を失った日本の情報通信機械器具製造業に属するメーカーの復活が不可能なことを証明する、クルーグマンの新貿易理論を超えることはできないのである。

非製造業に対する増税を実施する最大の目的は、財政再建である。非製造業のもうけ過ぎの収益に対して増税を実施した場合、経済成長率を引き下げる効果が小さい状態で、財政再建が進行するため、大変望ましいのである。この点が、少なくとも短期的には、経済成長率を大きく引き下げる消費税増税よりも、長所が大きい。レントシーキング(独占企業などが獲得する過剰な利益)に対する課税ではないが、それと共通点のある政策なのである。

「ものづくり所得控除」を創設し、製造業に対する法人税の実効税率を引き下げる最大の目的は、日本の製造業の収益が、今以上に悪化することを防ぐためである。法人税を減税、撤廃するという政策は、日本の製造業を再生させるという目標に対して、非常に小さな貢献しかできないのである。日本の製造業、特に情報通信機械器具製造業を本当に再生させるためには、クルーグマンの新貿易理論を超越するような政策を実施する必要がある。そのためには、無制限の金融緩和による超円安誘導などの、全く別の政策体系が必要であるのだ。


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過去最高に膨らんだ海外投資家による日本株の買い越し

2013年の1年間に、日経平均株価は56.7%上昇した。上昇率で見ると、戦後4番目という大幅な上昇率であった。この株高を主導した主体は、誰であったのであろうか。言うまでもなく海外投資家であった。海外投資家の日本株買い越し金額=国内投資家の日本株売り越し金額を示すグラフを下記に示す。

海外投資家の売買

海外投資家は、2013年に、日本株を15.1兆円買い越した。年間の買い越し金額としては、2005年の10.3兆円を上回る過去最高であった。アベノミクス相場の出発点とも言える2012年11月第2週からの買い越し金額を計算すると、17.2兆円になる。さらに、バブル崩壊後、海外投資家が大規模な日本株の買い越しを始めた1991年からの23年間を合計すると、89兆円になる。バブル崩壊後、海外投資家は、断続的ながらも、大量に日本株を買い越してきたのである。2012年11月14日に、政権交代とともに、金融緩和が大幅に強化される可能性が高まると、海外投資家は、日本株買いのアクセルを過去に例がないほど強く踏み込み、過去最高のペースで日本株を買い越し始めたのであった。

なお、こうした買い越し売り越し金額は、東証、大証(以前は名証も含む)という取引所内だけ、すなわち流通市場だけの取引についてである。発行市場においては、主として、個人投資家、海外投資家が大手の買い越し主体であったはずである。

次に、海外投資家の日本株買いをストックベースで見ることにする。海外投資家の日本株の保有金額と保有比率を示すグラフを下記に示す。


海外 日本株 保有金額比率

バブル崩壊直後の1989年度末、すなわち1990年3月31日時点において、海外投資家の日本株保有金額は21兆円、保有比率は4.2%であった。その後、断続的に日本株を大量に買い越してきたため、2013年3月31日時点で、海外投資家の日本株保有金額は106兆円、保有比率は28%にまで上昇した。2013年末時点での数字をごくおおざっぱに計算してみると、保有金額は150兆円前後、保有比率は32%前後にまで拡大していると推計する。

発展途上国の中には、海外投資家の自国株式に対する買いに対して、外資規制をかけている国が存在する。私は、先進国の場合、そのような規制をかけるべきではないと考える。株式市場は、原則として自由であるべきである。複雑な規制は、自由な市場を維持するために不可欠であるが、自由な市場自体を規制することは、極力避けるべきである。それでも、海外投資家による日本株の大規模保有は、日本経済にとってデメリットが多いのも事実である。対外純資産の減少(*1)、海外投資家の日本株買いに伴う円高の進行、配当金支払いによる所得収支の黒字幅縮小、日本企業の経営者が、日本の国益より、海外の株主の利益を重視せざるをえないという悪い意味での経営の国際化の進展、などである。

次に、国内投資家の売買について見ることにする。主要な国内投資家の投資部門別売買状況を掲載したグラフを下記に示す。


国内投資家の売買

国内の流通市場だけでの売買であるので、最初に記した通り、国内投資家の売り越し金額=海外投資家の買い越し金額が成立する。主要な国内投資家は、バブル崩壊後は軒並み売り越し基調である。昨年の海外投資家の15.1兆円という過去最高の大幅な買い越しに対しては、個人投資家、次いで信託銀行が売り向かっていた。

個人投資家は、発行市場で常に株を購入しているので、流通市場では売り越しになりやすい。加えて、2014年から株式譲渡所得に対する増税が決定されていたので、例年よりは売り越し金額が拡大することは予想できた。しかし、それらを考慮しても、年間8.8兆円という過去最高の売り越し金額は、やや衝撃的なほど大きかった。信託銀行は、2000年代の前半あたりまでは、年金資金が恒常的に流入し、運用資産が増加していた。しかし、高齢化の進展とともに、運用資産が減少する年も増えてきた。2013年の4兆円の売り越し金額は、過去3番目の金額であるが、株価上昇時には、この程度の売り越しは、過去の売買から見ると、想定可能な範囲内での売り越し金額であったと思う。

こうした株価上昇時の国内投資家の売り越しというパターンは、バブル崩壊以降、不変の行動パターンである。1980年代後半のバブルの時期に、株を買い上がっていた投資家は、銀行(当時は信託銀行も含む)、投信などの国内投資家であった。1番最初に示したグラフを詳しく見ればわかるのだが、バブルが崩壊した1991年以降、株価が上昇する年には、海外投資家の買い越し=国内投資家の売り越しという現象が必ず発生していた(*2で詳細を説明)。バブル崩壊後、海外投資家が日本株を買い越すことなしに、株価が上昇したことは、一度もなかったのである。この法則が、2012年11月以降、規模が大幅に拡大し、海外投資家の買い越し金額=国内投資家の売り越し金額が年間で15.1兆円と大幅に膨らみ、2013年の株価が前年比56.7%上昇という、戦後4番目の大幅な株価上昇につながったのであった。

2001年に小泉内閣が誕生してから、「貯蓄から投資へ」というスローガンが唱えられ、個人投資家による株式投資の増加をはかるという政府の政策が、初めて姿を見せ始めた。しかし、この背景には、当時の日本の株式持ち合い構造を、スムーズに解消させたいという意図が見え過ぎていた。銀行などの金融機関が、株価下落で損をするのは好ましくない、損をするような金融商品は個人投資家に買わせよう、と政府は考えていたのであった。個人投資家は、以前から発行市場で株を大量に買っていたので、流通市場においては、株を売り続けるしかなかった。結果として、国内で買い手が少なくなった日本株は、海外投資家が大量に買うという結果にならざるをえなかった。先に書いた通り、外資の排除は誤りではある。しかし、外資の株式保有が増え過ぎないように、個人投資家だけではなく、他の多くの国内投資家の資金を株式市場に誘導する政策は、必要不可欠である。

次に、株式市場のバリエーション、すなわちPERの推移を下記に示す。


TOPIX PER


2009年の年初から1年半ほどの間、TOPIXベースでのPERが無くなったり、水準が大幅に高くなる現象が発生している。これは、リーマンショック後の超円高、デフレ不況で、上場企業の収益が赤字に転落し、その後の収益の水準も低かったためである。似たような現象は、1990年代に、銀行が不良債権の償却で大幅な赤字となり、PERが無くなったり、水準が大幅に高くなる現象がより長期間発生したことがあった。直近のPERは、過去と比較して、高いとは言えない。これは、円安と景気回復の結果として、企業収益が大幅に改善したためである。直近のPERはやや上昇傾向である。もう少し詳しく見ると、14.03倍(2012年11月14日、野田前総理の衆議院解散発言があった日)→17.26倍(2012年末)→17.17倍(2013年末)である。昨年1年間だけを見てみると、株価は56.7%上昇したが、その要因は企業収益の拡大が原因であり、PERは小幅ながら低下していたのである。

昨年1年間は、主として円安をきっかけにして景気が回復し、企業収益は大幅に増加した。その結果、海外投資家は過去最高の年間15.1兆円の日本株を買い越してきたが、国内投資家はそれと同金額の日本株を売り越してきた。その結果としての株価上昇は、企業収益の大幅な増加を反映した上昇であり、PERは小幅ながら低下し、バブル的な要素は全くなかったのである。

私の目から見ると、こうした現象は、非常におかしなものと感じられる。すなわち、景気が回復し、企業収益が大幅に拡大する中、国内投資家は、年間15.1兆円という過去最大の日本株の売り越しを実施したのである。企業収益の大幅な改善は、昨年4月、7月、10月の決算発表の前に、証券アナリストたちが予想していた範囲内に、だいたいは収まっていた。証券アナリストが景気回復とともに、企業収益の見通しを強気に出したり、収益予想の上方修正が相次いだ。企業の側も、景気回復とともに、増益の見通しを相次いで発表し、それを超過して達成してきた。2013年はそうした株価にとって「良いニュース」が溢れていた。こうした企業収益が急激に増加しつつある間、国内の投資家は、ひたすら日本株を売り続けていたのであった。株式市場に良いニュースが入ってくると、まず海外投資家が大挙して日本株を買い始める。デイトレーダーなどの一部の投機家を除けば、国内の大部分の投資家は、良いニュースが出て、証券会社や株式評論家が株の購入を推奨しても、そのような推奨はほとんど無視し、もっぱら株を売ることしか考えていなかったのである。国内の投資家は、株式市場に続々と流入してくる良いニュースに対して、「買い」という反応はほとんど示さず、ひたすら「売り」という反応しか示さなかったのである。「良い材料が出ると株を売る」という行動は、はたして正常な行動パターンであるのだろうか。

こうした国内投資家の行動パターンは、バブル崩壊後からずっと続いている大変大きな病理的現象と考えている。私はこの「株価が上がれば必ず売り越す」という国内投資家の投資パターンを「株式市場のヒステリシス」と考え、解決が困難であるが、解決を真剣になって考えなければならない大問題であると何度も書いてきた(*2)

もう一つの大きな問題は、日本の株式市場関係者やエコノミストたちが、この病的な現象を、病的な現象と考えてはいないということである。海外投資家が過去最高の速度で日本株を買い越し=国内投資家が過去最高の速度で日本株を売り越し、昨年1年間だけで15.1兆円、バブル崩壊後の1991年から23年間の金額を合計すると、89兆円もの日本株を国内投資家は流通市場で売り越してきたのである。バブル崩壊後に発生した病気が、年がたつにつれて重症化しているのである。この重症化してしまった病気を、病気と考える人が少なすぎることは、大変大きな問題であると考える。

それどころか、それとは正反対の病気と理解している人が多数存在している。それは、金融緩和の結果として、国内の投資家が株を買い過ぎている=バブルが発生しているという事実と正反対の認識が広まっていることである。昨年1年間、国内投資家が過去最高の速度で日本株を売り越しているという事実と、企業収益が大幅に増加し、その結果、PERが少しばかりであるが低下したという事実を認識していない人が多すぎるのである。

安倍総理の認識にも問題がある。昨年9月に、NY証券取引所で「バイ・マイ・アベノミクス」と呼びかけている。もうすでに日本株を買い過ぎている海外投資家に、日本株のさらなる買いを要請することは、誤った行動である。外資排除は望ましくないが、外資導入のやりすぎも望ましくないのである。日本は、過去23年間以上、株価上昇のほとんど全てを、海外投資家に依存し過ぎてきた。安倍総理が行わなければならないことは、国内投資家に対して日本株の買いを呼び掛けることである。昨年、企業収益が大幅に改善したにもかかわらず、国内投資家が過去最高の15.1兆円もの日本株を売り越したという事実を、国民の前で説明すべきであろう。そうして、個人だけではなく、国内のすべての投資家に対して、日本株を買うことの重要性を繰り返し呼びかけるべきである。

日本の株式市場のヒステリシスという重い病気を、安倍総理か黒田日銀総裁の周辺ブレーンの一人くらいは気がついてほしい。ヒステリシスという現象は、解決が困難な問題を指す言葉であるが、問題が長引けば、ますます解決が難しくなる。この現象を解決するためには、安倍総理が2013年の衆議院選挙の直前に発言していた「大胆な金融緩和」では力不足なのである。衆議院選挙が確実になった直後に発言していた「無制限の金融緩和」が必要なのである。2013年4月4日の異次元金融緩和は、2012年の11月から日本株を大量に売り越してきた国内投資家の投資パターンを変えることに完全に失敗した。国内投資家が日本株を本格的に買い越すようになるためには、異次元金融緩和とは何次元も次元が異なる大規模な追加金融緩和を続けることが必要なのである。今さら、金融緩和の強化により、国内投資家の資金を株式市場に向かわせて、株価を引き上げても、海外投資家の儲けが大幅に拡大し、対外純資産が大きく減少するので、完全に手遅れの段階に達している(*1で詳細を説明)。異次元金融緩和は、実施の開始が20年遅すぎたのである。それでも損失を少なくするためには、遅すぎでも実施に踏み切るしかない。国内投資家が株の上値を買い越すように転換するまで、無制限の金融緩和を実施するという政策は、遅すぎではあるが、真に求められている政策なのである。


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銀行の不良債権問題 アメリカの成功 日本の失敗

失われた20年の前半期、すなわち1991年-2003年の時期において、日本経済が抱えていた最大の問題は、銀行の不良債権問題であったと思う。当時の日本経済低迷の最大の原因は、不良債権問題であったという認識は、現在でも広く共有されていると思う。

2007年頃からアメリカの住宅価格の下落が報じられ、8月にBNPパリバ傘下のファンドが、アメリカのサブプライムローン市場の混乱の結果、解約停止措置の実施に追い込まれた。このあたりから、アメリカのサブプライムローン問題が注目され始めたと思う。この問題はその後も深化し、2008年9月15日のリーマンブラザーズ倒産に行きつくことになった。その後、アメリカだけではなく、ヨーロッパの金融システムも危機に陥り、世界恐慌の懸念すら生じてきた。このリーマンショック前後の欧米の混乱ぶりを見て、日本の金融関係者の多くは、「ざまー見ろ」と感じていたと思う。日本は、1990年代初頭に始まったバブル崩壊により、10年以上苦しめられてきた。今度は、アメリカないしは欧米諸国が苦しむ番だと感じていたと思う。

ところが実際は、リーマンショック翌年にあたる2009年の実質GDP成長率は、主要先進国の中で、日本が一番低かった。リーマンショックから5年以上の年月がたったが、アメリカの住宅バブル崩壊の後遺症である不良債権問題は、ほとんど解決されてしまった。期間が短いだけでなく、不良債権処理のためにつぎ込んだ公的資金が、日本とは異なって、全額回収されたのである。日本は投入された公的資金の一部が返済されることはなく、国民負担となった。20年以上の時間がたった現在でも、不良債権問題は小さくなったものの、まだ完全に解決されていない。こうした不良債権問題の処理スピードの日米格差を、まず簡単に振り返ってみたいと思う。

リーマンショック直後の2008年10月に、アメリカではTARP(Troubled Asset Relief Program)と呼ばれる公的資金投入プログラムが開始された。リーマンショック直後にアメリカの金融市場が機能不全に陥ったのに対応して、銀行などに公的資金を投入する制度であった。このプログラムの中では、GM、クライスラーに対する資金援助も実施された。

アメリカ財務省のHPによると、2013年末時点でのTARPの実績と成果は次のようなものとなっている(AIGに投入されたTARP枠外の資金を含む)。

資金投入金額・・・・・・・・・・4,222億ドル
現時点における投入残高・・・・・・124億ドル
資金回収額・・・・・・・・・・・4,325億ドル
現時点における投入・回収差額・・・103億ドル

TARPでは、当初7,000億ドルの資金投入が計画された。その後、いくつかの大きな修正が行われて金額は減額され、TARPとは別枠のAIGへの資金投入と合計して4,222億ドルの資金が投入されることになった。その資金は、昨年末の段階で、4,325億ドルが回収され、103億ドルの利益が出ている。金融危機により公的資金が大量に投入され、その中で、GMの株へと投入された資金は、105億ドルの損失を確定したまま回収された。しかし、AIGなどの金融機関に投入された資金は、株価の値上がりにより利益が発生し、合計すると、昨年末時点で103億ドルの利益を獲得することができた。

アメリカの公的資金投入は、TARPのスキーム以外にも実施されている。その一つは、AIGが受けたFRB、財務省の双方からの資金投入である。

AIGが受けた公的資金とその返済額
(単位:ドル)(アメリカ財務省HPより)
NY連銀・供与1,125億・返済1,302億・返済超過額177億
財務省・・供与 698億・・返済 748億・ ・返済超過額50億
合計・・・供与1,823億・返済2,050億・返済超過額227億

AIGは、NY連銀と財務省の双方から合計1,823億ドルもの資金供与を受けた。しかし、2012年末までに、それを上回る2,050億ドルの資金を返済し、政府と中央銀行に対して、合計して227億ドルもの利益をもたらした。

もう一つの大きな公的資金の投入先は、ファニーメイとフレディマックである。この2社は、上場されている株式会社であったが、政府保証に近い債券を大量に発行していたので、リーマンブラザーズ倒産直前に政府管理下に置かれ、公的資金の投入が実施された。

ファニーメイ(ファニーメイHPより 2013年12月までの合計)
公的資金投入額・・・1,161億ドル
配当支払累計額・・・1,139億ドル
未回収金額・・・・・・・22億ドル  

フレディマック(フレディマックHPより 2013年12月までの合計)
公的資金投入額・・・713億ドル
配当支払累計額・・・713億ドル

公的資金投入額に、配当支払累計額は少しだけ不足している。しかし、財務省は、2社の株式を現在も保有しているので、将来の配当や、株の売却代金を考えると、相当大きな利益が転がり込んでくることは確実である。

以上のように、2007年頃から深刻化し、2008年9月にリーマンショックを引き起こしたアメリカの住宅バブル崩壊に対して投入された公的資金は、すでに投入された以上の金額が回収されている。アメリカは、リーマンショックから約5年で危機の処理がほぼ完了し、国民負担はゼロという結果に終わった。

一方、1990年代初頭に発生した日本のバブル崩壊はどうであったのであろうか。バブル崩壊の後、金融機関救済の法律が何本も作られた。そうした不良債権処理のスキームで中心的な役割を果たしたのは、預金保険機構であった。預金保険機構のHPにある数字から、その概要を示す。

預金保険機構
資金投入額・・・・・・・ 48.2兆円(2013年9月現在)
確定した国民負担・・10.4兆円(預金保険研究2007年4月)

預金保険機構の仕組みは、非常に複雑でわかりにくい。理由は、預金保険機構が投入した資金の財源が、政府から受けた公的資金だけではなく、預金保険機構自身の収入である預金保険料、政府保証債などいくつも存在しており、その資金が7つの勘定に分かれて管理されているからだ。従って、資金投入額48.2兆円は、公的資金の投入金額ではなく、それ以外の形で調達した資金の投入分も含まれている。そして、確定した国民負担10.4兆円というのは、預金保険機構が定義した国民負担である。また、資金回収が未確定の投入資金が、新生銀行、あおぞら銀行、りそな銀行などに、現在もなお存在している。

日本の公的資金の投入は、預金保険機構以外にも存在する。1996年に政府が住専に投入した6,850億円、1997年に日銀が山一証券に対して実施して焦げ付いた特融1,111億円などが思いつく。一方、国庫に返済された公的資金もあるので、それらを合計すると、不良債権処理による国民負担は、10.4兆円を少し上回る金額になる可能性が高いと思う。

このように、バブル崩壊に伴う公的資金投入による不良債権処理は、日米ともに最終段階にあるが、日本より15年ほど後に発生したアメリカの方が、完了に近付いている。そして、バブル崩壊に伴い投入された公的資金の国民負担が、アメリカではゼロあるいは利益超過であるのに対して、日本では、10.4兆円以上の損失が確定している。このような不良債権処理のスピード、国民負担の差はどこから生じたのであろうか。

その原因は、不動産価格の推移の差ということができる。日本の不動産価格と、アメリカの住宅価格の推移のグラフを下記に示す。


日米地価の比較


日本の不動産価格は公示地価であり、直近分は、2013年1月1日時点のものなので、データとしては少し古い。しかし、その後1年間に大きな変動があったとは思えない。アメリカの場合は、土地+建物である住宅価格であるが、2013年10月までのデータが存在する。

日本の場合、不動産価格のピークは1991年であり、その後のボトムは2013年である。高値からボトムまで58.2%下落している。そして、2013年がボトムかどうかも、まだ確定していない。一方、アメリカの住宅価格のピークは、2006年4月であり、そのピークから2012月1月のボトムまで34%下落し、その後、直近までに19%値上がりし、ピークからの下落率は直近で21.5%となっている。直近の地価(住宅価格)は、ピークから、日本では58.2%下落しており、アメリカでは21.5%下落している。アメリカの場合、住宅価格の下落率34%というのは、融資時の想定を超えていたと思うが、下落率21.5%というのは、融資時にも想定範囲内の下落率であったかもしれない。しかし、日本の場合、58.2%の下落率を融資時に想定した銀行は、皆無であったはずだ。

日本の場合、不良債権問題が長引き、10兆円以上の国民負担が生じた最大の理由は、不動産価格の大幅な下落が長期間続いたからである。一方、アメリカが不良債権問題を素早く解決できた理由は、住宅価格の下落幅が小さく、加えて、比較的短期間に住宅価格が上昇に転じたからである。住宅価格の下落と同時に不良債権になった債権が、住宅価格上昇とともに正常債権に転換したことの影響も大きい。日本の場合、不良債権が正常債権になることは、ほとんど発生しなかった。

アメリカは、素早く不良債権問題を認識し、ストレステストを行い、公的資金を投入したのは事実である。シティバンクを筆頭とするメガバンクは、一時は相当な危機と伝えられたが、素早く立ち直った。その理由は、住宅価格が2009年5月に一旦底を打ち、その後の下落幅が非常に小さかったためである。住宅価格が下げ渋り、損失も膨らまず、FRBによる大規模な量的緩和政策により、資金繰りも急速に改善した。リーマンショック後の大混乱が収まった後、確定した損失はそれほど大きくなかったのである。リストラによるコスト削減、資産売却と増資による資金調達などにより、大手メガバンクは、投入された公的資金を、2009年中に完済、またはそのメドをつけ、2010年中にすべて完済した。当時の日本の金融関係者の中には、アメリカで行われたストレステストは想定が甘過ぎ、日本と同様な不良債権隠しが行われていると批判する人もいた。しかし、実際のアメリカ経済、特に住宅価格は、最悪のシナリオよりも、大幅に高く推移するシナリオに従って進行することになった。その結果、日本とは異なり、アメリカのメガバンクは、非常に短期間で不良債権の処理を完了させ、公的資金を完済したのであった。

2012年に入ると、住宅価格の上昇が明確化し、不良債権が正常債権へと転換し、ファニーメイ、フレディマックという大口債権者の財務内容は一気に改善した。この2社は、政府に対して多額の配当を支払うことにより、実質的な公的資金の完済に近づいている。AIGは、当初は大規模な資産売却を実施することにより公的資金の返済を行っていた。しかし、2012年に入って住宅価格の上昇が明らかになると、AIGの株価も安定的な上昇に転じるようになった。その結果、財務省は、保有していたAIGの普通株を2012年中に全額売却し、投入した以上の資金を回収することに成功した。こうした不良債権問題を短期で解決することができた最大の理由は、住宅価格の下落幅が大きくはなく、下落期間も比較的短く、その後上昇に転じたからである。日本のように住宅価格の下落が20年以上続いていたならば、アメリカの不良債権問題は、現在でも未解決のままであったはずである。

アメリカとは反対に、日本では、バブル崩壊後、地価は基本的には下げ基調であり、右肩下がりのトレンドから脱出することができなかった。その結果、不良債権が正常債権へと転換することは、ほとんどなかった。逆に、正常債権が不良債権へと毎年のように転落し続けていた。そうした不良債権の増加に対して、「不良債権を隠している」と世間から厳しい非難を受け続けた。飛ばしなどの形による不良債権隠しがあったことは事実である。しかし、2003年頃まで不良債権問題が長引いた最大の原因は、地価の継続的な値下がりであった。銀行を中心とする金融機関は、毎年稼いだ利益を使って、毎年のように増え続ける不良債権を償却せざるをえなかった。そのため、日本の銀行は、不良債権問題の解決に大変長い時間がかかった、あるいはかかっているのである。

2013年4月4日に開始された異次元金融緩和は、バブル崩壊後、速やかに実施されるべきであった。その場合、土地の値下がり幅、値下がり期間は短いものとなり、不良債権問題は、それほど大きなものとならずに、早期に解決に向かっていたはずである。しかし、バブル崩壊後の日本においては、金融緩和により地価を引き上げるという発想が、ほとんど存在しなかった。当時、ゼロ金利+長期国債買いオペという金融緩和による不良債権問題の解決を提案すると、現実の経済が全く分かっていない愚か者扱いにされた。ただおもしろいのは、反対された理由である。多数派は、何の効果もない無意味な政策だから問題外という意見であり、少数派は、バブルが再燃するから問題外という意見であった。正反対に二極化した理由で反対されたのである。地価が下落から反転し、適切なスピードで上昇し始めるという中間派の意見に出会ったのは、相当時間がたった後になってからのことであった。

この点は現在とも共通する。異次元金融緩和は無意味、無効であるという意見は、現在でも根強く存在する。そしてまた、異次元金融緩和はバブルやハイパーインフレを引き起こすという意見も存在する。さらにまた、異次元金融緩和は、効果がゼロであるか、ハイパーインフレ、特大のバブルが起きるかのどちらかであり、マイルドなモノと資産のインフレが発生することはない、という考え方も存在する。

現在は、アメリカ、イギリスの量的緩和政策の成功などの影響を受けて、両極端の意見ではなく、中間派の意見を持つ人が増えてきた。その結果、日本でも大規模な量的緩和政策が実施されることになった。昨年4月の異次元金融緩和は、遅ればせながらもようやく開始された本格的な量的緩和政策である。

不良債権問題に長年苦しんだ経験を持つ日本国内の金融関係者の多くは、住宅バブルの崩壊の結果として発生するアメリカの長期不況は必然と考えていたであろう。しかし、アメリカは日本よりもはるかに早く、同時に国民負担額がゼロのまま、不良債権問題の解決をほとんど完了しようとしている。アメリカには、経済格差などの様々な未解決の問題が多数存在していることは、間違いない。それでも、住宅価格を短期間で反転上昇させることにより、速やかに不良債権問題を解決することには成功した。日本国内で依然として多数を占める反リフレ派、金融政策無効論者たちは、この事実から謙虚に教訓を学ぶべきである。

量的緩和という政策は、デフレ退治以前に、地価の上昇を通じた不良債権問題の解決にこそ使われるべき政策であった。開始の時期が遅すぎたため、現在では、異次元金融緩和を実施しても、経済を長期の高成長路線に復帰させることは不可能になってしまった。その間、あまりにも多くのものを失いすぎ、取り戻すことが不可能になってしまっているのだ。異次元金融緩和は、20年早く実施されなければならない政策であったのである。


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