2017年9月第2週 株 コメント

9月第2週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170915

9月第2週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用201708915

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年9月第2週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 19910円 前週末比+635円

9月第2週は北朝鮮の核・ミサイル問題対する悲観論の後退、およびハリケーン・イルマによる被害がそれほど大きなものとはならなかったことによりNY株が上昇。NYダウは過去最高値を更新。アメリカの長期金利も上昇したことから、円安が進行。これらを好感する形で日経平均株価は戻り相場となった。14日木曜日は前場に朝鮮中央通信が日本に対して核による脅しを放送したことから伸び悩み。しかし、15日金曜日は北朝鮮が朝方に日本上空をこえるミサイルを発射したが、瞬間円高になった以外は株価も為替も反応がなかった。結局は週を通して上昇し、日経平均株価は比較的大きめの上昇幅で週を終えることになった。


買い方
(1)海外
現先総合  8274億円の買い越し
現物    4173億円の売り越し
先物  1兆2446億円の買い越し

まずは大手証券(外資系14社、日系大手5社)の先物手口概算を示す。


9月第2週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170915

上記の外資系14社合計の先物手口概算(3種の先物)と先物の投資部門別売買状況の海外(3種の先物)とを比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170915

これから海外と自己について同時に説明するが、自己については後で詳述する。

いつものように海外と外資系の差を修正することによって近づけた。上記には3つの理由をあげている。これらはいくつかの考えられるシナリオの中で相当確度が高いと思われるシナリオである。金額に多少の乖離があっても当たりと呼ぶのならば、当たりの確度は(1)が75%、(2)が99%、(3)が75%である。

ただ、なぜ当たりの可能性が高いかを正確に説明すると非常に長くかつ難解になってしまう。重要でも難解な部分は省略し、比較的簡単な部分だけを説明することにする。

(1)は外資系と自己の現物と先物の売買を見れば、外資系で裁定解消、自己で裁定形成の形になっている。その売買はTOPIXラージ先物を使ったもので、金額は6000億円と算出した。裁定残を海外自己から東京自己に移したという推測をQUICKで見た。私はその可能性は低いと思う。外資系の海外自己に広義の裁定残はある。一番残高が多そうな外資系はパリバである。しかし、9月第2週のパリバのTOPIXラージ先物買いは1000億円未満であり、6000億円は移せない。パリバ以外ではどの外資系でも1社で海外自己に6000億円という裁定残は大きすぎであり、6000億円の裁定残の移動があったとは考えられない。

より可能性が高いのはアービトラージ型のヘッジファンドのポジション解消を外資系の東京自己が受けたというものである。1社で解消売買を受けたとすれば、その会社は売買金額が一番大きいソシエテであると考える。ただ数社に分けて出された可能性もあり、その場合はどこの外資系証券が受けたかはわからない。ヘッジファンドの売買が外資系の東京自己に直接出されずに、外資系の海外自己を通して東京自己に出されたことならありえる。

(2)は日経平均ミニ先物中心限月である12月限の建玉が公表されていないので、12月限に海外の買いが外資系に2000億円前後あったことはほぼ間違いない。

(3)は後で示す日銀ETFを除く自己の買いが2000億円強あるからだ。第2週は日系大手が買った可能性は非常に低いので、外資系の自己が2000億円前後買っているはずである。これも証券会社はどこかはわからないがおそらく複数であり、2000億円に相当する現物かデリバをOTCで売っているはずである。買い向かったのは海外であり、海外はOTCで現物かデリバを2000億円買い越していた。

ちなみに、この週の海外による先物買い越し1兆2446億円というのは、過去第2位という記録的な大きさであった。過去第1位は2014年11月第1週。黒田バズーカ砲第2弾の炸裂直後の週であり、先物だけでも過去最高、現先総合でも過去最高の買い越しを記録した。黒田バズーカ砲第2弾は国内投資家による週間の株式離れが過去最高というすざまじいマイナスの破壊力を発揮したのであった。この時と比較すると、今回の海外による現先合計の買いはかなり少ない。

またこの週の外資系の先物買い越し上位にある証券会社の先物建玉は、大半が9月第1週末時点において買い建玉となっていた。第2週はショートカバーではなく、買い乗せが大半を占めている。アービトラージ解消を除くと海外の買いは日経平均型の先物の買いが一番多い。この週はいろいろな種類の海外が買っていたと思うが、日経平均型先物の買いが中心なので、ヘッジファンドを中心とする投機筋の比率がかなり高かったと思われる。

9月第2週の海外は投機筋を中心に日経平均型の先物を6000億円強買ってきた。別の投機筋は現物売り・TOPIXラージ先物買いというアービトラージの解消売買を6000億円実施した。その他に現物を2000億円買った投資家、OTCで2000億円買った投資家もいた。北朝鮮の核・ミサイルを恐れず、NY株の上昇を見て日本株を急に大量に買ってきた。海外の買いの合計は現先総合で8274億円、OTCも含めると1兆円強の買い越しであった。

買い方
(2)自己
自己はいつも最後に記載

買い方
(3)事法
現先総合  637億円の買い越し
現物    762億円の買い越し
先物    124億円の売り越し

9月13日に日本郵政が1000億円の自社株買いを実施している。政府が売ったのでその他法人が1000億円近い売り越しになっている。この自社株買いを除くと事法は売り越しであったようだ。


売り方
(1)個人
現先総合 6199億円の売り越し
現物現金 3524億円の売り越し
信用    729億円の売り越し
先物   1946億円の売り越し

久々の大幅売り越しであり、最近は買い越しが続いていた信用も含めて売り越し。上がれば売らないと日本株は儲からないという鉄則を守っている。


売り方
(2)投信
現先総合 1654億円の売り越し
現物    478億円の買い越し
先物   2132億円の売り越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 563億円の純流出(この中の多くの部分が現物株の売りになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 1050億円前後の売り越し

上記のファンドを含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で1150億円前後の売り越し。

上記以外の投信による売買
現物        1000億円前後の買い越し
日経平均ラージ先物  600億円前後の売り越し
TOPIXラージ先物 397億円の売り越し

現物買い・先物売りの裁定の形になっている。公募投信の売買も当然あるはずだが、多くは私募投信の売買であり、実際に裁定に近い売買をしていた可能性が高い。

売り方
(3)信託
現先総合 1511億円の売り越し
現物   1044億円の売り越し
先物    467億円の売り越し

クジラの上値の買いは完全になくなった。日本株には戻れば売りという勝利の方程式があり、それを忠実に実行。


(*)自己という特殊な部門
9月第2週は買い方の(2)になった
現先総合 2219億円の買い越し
現物   9785億円の買い越し
先物   7565億円の売り越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 60億円の買い

日銀ETF以外の自己
 2150億円前後の買い(現先合計)
海外のところで書いたが、この買いは外資系から入っているとしか考えられない。そのため、2000億円前後は自己がTOPIXラージ先物を買い、OTCで現物かデリバを売っていると考えた。従って、OTCで現物かデリバを買っているのは海外である。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 837億円の裁定形成(現物買い・先物売り)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定形成売買上位の証券会社
  三菱UFJ900億円、ドイツ600億円、
 裁定解消売買上位の証券会社
  ソシエテ600億円

東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
  3400億円前後の裁定形成売買(現物買い・先物売り)

上記2つの数字の差は2600億円と大きい。ただ、この週は自己の現物買いが多いので実際の裁定形成売買も多かったと考えている。三菱UFJ以下日系大手5社の先物はすべて売り越しである。投信、信託など国内機関投資家の売りを大幅に上回っている。この週は日系大手の東証に報告された狭義、広義の現物買い・先物売りは合計で3400億円前後あるはずである。これに外資系自己の現物買い・先物売りというアービトラージ解消の受け6000億円を加えると、自己の現物買いは9400億円。正確な自己の買いである9785億円に近い金額になる。

(9月第2週合計)
合計すると「海外、自己、事法の買い越しvs個人、投信、信託の売り越し」であった。

この週の買い方は大半が海外であった。自己の買いの大半も海外の買いの代理であり、現先合計にOTCを加えた海外の買い越し金額は1兆円をこえていた。

売り方は個人、投信、信託。どんなにファンダメンタルズが良くとも、高値で上がると必ず大幅な売り越しになる。これが右肩上がりではない相場で勝ち残る勝利の方程式であるからだ。経済学の用語を使うとヒステリシスということになる。

ただし、国内の売りの大半は上値の指し値売りである。一方、海外の買いは買い上がりである。結果として日経平均株価は635円の上昇で週を終えることになった。



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2017年9月第1週 株 コメント

9月第1週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170908

9月第1週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用201708908


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年9月第1週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 19275円 前週末比-417円

9月第1週は、3日日曜日に実施された北朝鮮の核実験が株式市場に下落圧力をもたらした。地政学的リスクの回避のためにNY株は下げた。同時に長期金利も低下したため、円高が進行。これを嫌気して日本の株価は下がり続けた。水曜にアメリカの連邦債務上限問題の3か月先送りが決定されNY株が上昇したため、木曜だけは日本株も上昇。それ以外は下落が続き、久々に大きめの下落で週を終えることになった。

買い方
(1)個人
現先総合 1647億円の買い越し
現物現金  390億円の買い越し
信用    273億円の買い越し
先物    984億円の買い越し

8月第5週の株価の戻りは売り越しであったが、9月第1週になって株価が下がるとすかさず買い越しになった。スイングトレーダーを中心に売りが続いていた先物が一番大幅な買いとなった。高年齢富裕者層の売り切りはあったと思う。しかし株価が下がったところではそれ以外の大半の中短期志向の投資家は買いになり、現物現金、信用ともに買いになった。

買い方
(2)自己
自己はいつも最後に記載

買い方
(3)事法
現先総合  590億円の買い越し
現物    532億円の買い越し
先物     57億円の買い越し

大部分が自社株買い。小口の買いの集積。


売り方
(1)海外
現先総合 4009億円の売り越し
現物   2949億円の売り越し
先物   1060億円の売り越し

まずは大手証券(外資系14社、日系大手5社)の先物手口概算を示す。


9月第1週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170908

上記の外資系14社合計の先物手口概算(3種の先物)と先物の投資部門別売買状況の海外(3種の先物)とを比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170908

これから海外と自己について同時に説明するが、自己については後で詳述する。

メジャーSQのあった週なので、外資系と海外の売買に差が出るケースが多い。修正前は2687億円もの差があった。上記では4つの理由を仮定して外資系と海外の売買の差を無理矢理37億円まで減らした。この修正は単なる1つのシナリオにすぎない。4つの仮定のうち、上から順に数えて(1)、(2)は当たりの可能性が高く、(3)は当たりの可能性は50%、(4)が当たりとなる可能性は低い。外資系の自己のポジション変化は通常の週でも複雑であり、外から見て当てられるようなものではない。メジャーSQのある週はさらに複雑になる。この全部が当たりとなる可能性が低いシナリオを説明するだけでも長くなるので、これ以上の説明は省略する。

海外は日経平均ラージ先物売り、TOPIXラージ先物買いであるが、パリバが日経平均ラージ先物売り、TOPIXラージ先物買いを大量に実施し、ゴールドマンがその反対の売買をしている。先物だけでも実質的にどちらの種類の先物をどれだけ売買したのかもよくわからない。

ただこの週の海外は先物ではなく、現物中心の売りである。北朝鮮の核実験を嫌気した海外は、ヘッジファンドのような投機家は少なく、もう少し中長期的な観点から売買する年金、投信といった投資家の売りの比率が高かったと思われる。

売り方
(2)信託
現先総合  304億円の売り越し
現物   1074億円の買い越し
先物   1377億円の売り越し

信託は1400億円ほどの現物買い・TOPIXラージ先物売りを実施した投資家がいたように見える。みずほのTOPIXラージ先物が1650億円の売り越しであり、自己の裁定ではないので、顧客の売りである。みずほで1400億円の現物買い・TOPIXラージ先物売りを実施した信託がいる。常識的には、アセットマネジメントOneだと思われる。

1月第2週のブログで説明したが、昨年末から今年の初めにかけてアセットマネジメントOneと思われる投資家が信託勘定で1400億円の現物売り・TOPIXラージ先物買いを実施している。今回の売買はその反対売買である。8か月ほど前に現物買いを先物買いに乗り換え、9月第1週に先物買いを現物買いに戻している。外見上は合う。ただこうした売買をする動機がわからない。SQとその直前のみずほのTOPIXラージ先物売買も変則的であり、見えないところで何かやっていそうなのであるが、その部分も読めない。

このみずほの乗り換え売買を除いても、信託は現先合計で304億円の売りということに変わりはない。まだ信託が買いを入れる位置ではないようだ。


(*)自己という特殊な部門
9月第1週は買い方の(2)になった
現先総合 1091億円の買い越し
現物    120億円の売り越し
先物   1210億円の買い越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 2277億円の買い

日銀ETF以外の自己
 1200億円前後の売り(現先合計)
海外のところで書いたが、この週の先物は外資系が買い越し、海外は売り越しである。理由の1つは外資系の買いの中に自己の買いが隠れているからである。従って1200億円前後の売りは外資系ではなく日系大手の売りである。SMBC日興と野村が先物を大量に売り越しているが、国内機関投資家にはみずほを通じたアセットマネジメントOneと思われる信託部門以外に大きく先物を売り越している部門はない。日興と野村の自己は先物を売って、OTCで現物かデリバを買っている。その買いに対して国内機関投資家がOTCで1200億円前後の売りを出している。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 2064億円の裁定解消(現物売り・先物買い)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定解消売買上位の証券会社
  みずほ2700億円、ソシエテ500億円、三菱UFJ300億円
 裁定形成売買上位の証券会社
  ドイツ1250億円、野村200億円

東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
  400億円前後の裁定解消売買(現物売り・先物買い)

上記2つの数字の差は1700億円。金額としては大きいが、メジャーSQのある週にはしばしば見られる大きさ。


(9月第1週合計)
合計すると「個人、自己、事法の買い越しvs海外、信託の売り越し」であった。

メジャーSQのあった週なので、よくわからない売買がかなり大量に入っていた。それでもパターンとしては下げ相場の標準的パターンであった。海外は北朝鮮の核実験を嫌気して、現物を中心に売ってきた。そして下がった局面では、日銀ETF、個人、事法が下値に買いの指し値を入れていた。

過去に何度も見てきたパターンと同じパターンで、9月第1週の日経平均株価は417円の下落で週を終えることになった。


(追記)
アベノミクス相場開始以降、海外が13.7兆円の買い越し、日銀ETFが13.9兆円の買い越しで、日銀ETFの買いが海外の買いを上回るという異常事態が発生したかのような報道があった。しかし本質的な問題はそこにあるのではない。アベノミクス相場開始以降、国内投資家が27兆円以上も売り越しているという点である。

国内投資家の株式離れは超がつくほど異常としか言いようがない。異常な現象に対して普通の政策で対応すること自体が間違っているのである。このすさまじい国内投資家の株式離れの原因は、日銀の金融緩和があまりにも遅く、あまりにも小規模であったことにある。

現在必要な政策は、日銀が国債の購入金額を減らすのではなく、大幅に増やすことが必要である。市場から国債が本当になくなれば、運用先のない資金の一部は株の購入に回るはずである。国内投資家が株を買い上がるようになれば、株価は上昇する。株価上昇が長く続けば、いずれ必ずバブルに到達する。その時こそETF売却という出口戦略が見えてくるのである。


(参照)
ETFだけではなく国債をも含めた出口戦略を含む政策は下記のブログ記事に書いております(ただし内容は株式投資家向けではなく、金融政策の専門家向けです)。
日銀「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する代替案




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2017年8月第5週 株 コメント

8月第5週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170901

8月第5週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170901


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年8月第5週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 19691円 前週末比+239円

8月第5週はNY株がNASDAQを中心に上昇した。為替レートも少しばかり円安が進行した。週初はイエレンFRB議長によるジャクソンホールでのタカ派発言を期待して金曜に円を買った筋が円を投げ、円高が少し進行。株価も小幅安。火曜は北朝鮮が日本上空を通過するミサイルを発射して円高株安。水曜からはNY株の上昇が続き、日本株も上昇に転じた。日経平均株価は6週連続の下げが続いた後、久々に上昇で週を終えることができた。


買い方
(1)海外
現先総合  929億円の買い越し
現物    614億円の売り越し
先物   1542億円の買い越し


まずは大手証券(外資系14社、日系大手5社)の先物手口概算を示す。


8月第5週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170901


上記の外資系14社合計の先物手口概算(3種の先物)と先物の投資部門別売買状況の海外(3種の先物)とを比較すると下記のようになる。


ブログ外資系と海外の比較20170901

これから海外と自己について同時に説明するが、自己については後で詳述する。

東証から発表されているドイツの裁定売買は売り買いともに300億円ずつである。これを日経平均型で裁定解消、TOPIX型で裁定形成と考えた。

ドイツには東証から発表されていない裁定類似の売買もある。8月第3週は850億円の裁定解消売買、8月第4週は700億円の裁定形成売買があったことをその週のブログに記載してある。第5週もTOPIX型で250億円の裁定形成売買があると考えた。第5週のドイツのTOPIXラージ先物の売りはすべて自己と考えたわけである。この週は東証発表の裁定売買は裁定解消である。しかし、投資部門別売買状況の自己を見ると700億円ほどの裁定形成売買があった形である。どこかが裁定類似の形成売買をしていなければならない。日系は野村が中心だと思うがそれだけでは足りない。外資系で裁定売買をよく行い、かつ第5週が裁定形成の形になっているのはドイツだけである。

また、第5週は日銀ETF以外の自己は650億円の売りとなる。説明は省略するが、日系に自己の売りが650億円もある可能性は非常に低い。大半は外資系でのTOPIXラージ先物の売りである。だからゴールドマンを中心に650億円の自己の売りがあったと考えた。イメージとしてはゴールドマンで1000億円売り、他の外資系を合計して350億円の買いという感じである。自己が650億円の先物売りをしている背後には、東京自己に同金額のOTCデリバと思われる買いが存在し、海外が売り向かっている。可能性としては他にも多数考えられるが、ここではエクイティ・スワップを中心とするOTCデリバであったことにする。海外には合計して650億円の売りがOTCデリバで存在する。

海外の現先合計は929億円の買い越し。そこから650億円のOTCデリバの売りを差し引くと、300億円前後の買いまで減少する。実質的な海外の買い越し金額は非常に少額であった。

先物の売り方のトップはUBS。第5週も他社で売ってUBS証券に建玉移管なので、UBS本体運用部の売りである。今年に入って2.1兆円の売り越しであり、年初来でも売り方の断トツのトップである。

売り方の2番目はゴールドマン。第4週は売り方のトップであったが、第5週はTOPIXラージ先物を中心とした1150億円の売りであった。先に書いた通り、ゴールドマンのTOPIXラージ先物売りの背後には650億円~1000億円程度の海外の大口顧客によるOTCデリバを使った売りが存在する。その売りに東京自己が買い向かい、大証先物を使ってヘッジ売りを出した可能性が高いと考えている。従って、UBSとは異なり、第4週に売った顧客とは別の大口顧客の売りである。

先物の買い方のトップはクレディ・スイス。先物建玉証券会社別の上から15番目がクレディ・スイスである。8月9日水曜日に派手に売ってヘッジファンドが売ったと大騒ぎになった。ところがクレディ・スイスは昨年後半から基本的には買い越しが継続中なのである。今年に入ってからは3種の先物合計で7400億円ほど買い越しており、8月第5週の買いにより年初来でも買い方のトップになった。プライベート・バンキング部門の買いとヘッジファンドの買いの2つの部門の買いが多いと思われる。8月第5週についてはどちらの部門の買いかは現時点では区別が付かない。

繰り返すが、海外は現物、先物、OTCデリバを合計すると300億円ほどの買いにしかならない。そして、自己の裁定売買は裁定解消売買が多かったが、自己は現物買い・先物売りであった。誰かが先物を大量に買ったから正式な裁定解消売買を上回る裁定類似の形成売買が入った。海外全体では買い越し金額は小さかったが、クレディ・スイスを中心とする先物買いがこの週の日経平均株価を上昇させた最大の原動力であった。NY株価の上昇を見ながら買いを入れていた可能性が高い。

(2)投信
現先総合 883億円の買い越し
現物   194億円の買い越し
先物   689億円の買い越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 184億円の純流入(この中の多くの部分が現物株の買いになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
  150億円前後の買い越し

この3本を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で250億円前後の買い越し。

上記以外の投信による売買
現物買いの大半は設定で説明できる。先物はブルベア型投信以外に450億円ほどの買いがある。公募、私募を合計した通常の売買の範囲内である。強気になったので先物を使って組入比率を引き上げたと思われる。

(3)自己
自己はいつも最後に記載


売り方

(1)個人
現先総合 1788億円の売り越し
現物現金  985億円の売り越し
信用    124億円の買い越し
先物    927億円の売り越し

株価は少しばかりの上昇であったが逆張りの売りになった。現物現金は高年齢富裕者層の売りがすっと継続。先物は3週連続で売り越しであるが、その前に買い下がりが続いていた。新規売り以外であるならば、第5週についてはスイングトレーダーで利食えた人は少ししかいなかった。ずっと前から買い続けていたなら利食えた人もいる。


(*)自己という特殊な部門
8月第5週は買い主体の(3)になった
現先総合  136億円の買い越し
現物    799億円の買い越し
先物    663億円の売り越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 793億円の買い

日銀ETF以外の自己
 650億円前後の売り(現先合計)
この650億円の売りはゴールドマンを中心とする外資系の自己が売ったと考えている。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 491億円の裁定解消(現物売り・先物買い)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定解消売買の上位の証券会社(正確には新規売り裁定の形成売買)
  みずほ550億円
 
東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
  600億円前後の裁定解消売買(現物売り・先物買い)

上記2つの数字の差は大きくない。どちらにせよ500億円前後の現物売り・先物買いである。自己の現物は799億円買い、先物は663億円の売りであり、700億円前後の裁定形成が入った形。そのため、野村とドイツを中心に裁定類似の形成売買が正式な裁定解消売買以上に入っていると考えた。


(8月第5週合計)
合計すると「海外、投信、自己の買い越しvs個人の売り越し」であった。

海外は現物と先物にOTCデリバを加えると300億円ほどの買いにしかならない。しかし、クレディ・スイスを中心に外資系から海外の先物買いが大量に入り、この買いが裁定類似の現物買いをもたらし、この週の最大の上昇エンジンになった。実質的な金額ベースでは投信の買いが最大であった。火曜の下げ局面では日銀ETFの買いが支えた。

最大の売り方は個人。現物現金を売った高年齢富裕者層にせよ、先物を売ったスイングトレーダーにせよ、戻り局面での指し値売りが中心であったので、株価は下には行かなかった。

結果として、8月第5週の日経平均株価は239円の上昇で週を終えることになった。


8月月間


投資部門別コメント月次20170901


記録にとどめておくべき事項、数字

(1)投信現物
野村総研によると、7月の公募型日本株投信は333億円の資金純流入

(2)投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 1650億円前後の買い越し
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 450億円前後の買い越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 150億円前後の買い越し

上記を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計では2450億円前後の買い越し

(3)事法部門での自社株買い
KDDIの293億円買いが一番大口

(4)信託部門での自社株買い
トヨタ926億円、野村ホールディングス158億円が大口
上記2社合計で1084億円
上記2社の自社株買いを除く信託の買いは、現先総合で146億円の売りになる。

(5)自己
日銀ETFが6885億円の買い

(6)裁定売買(大部分が自己、一部は海外)
東証発表 裁定解消売買の金額合計
 1381億円(現物売り・先物買い)
東証発表 裁定残株数変化からの裁定解消売買推計値
 3300億円前後(現物売り・先物買い)

(7)先物手口
 UBS証券1社で9000億円弱の売り。大半がUBS本体運用部の売り。

(8)合計
8月月間では

「自己8598億円の買い越し、投信3491億円の買い越し、事法1964億円の買い越しvs海外1兆4336億円の売り越し」

で日経平均株価は268円下落の19691円で8月の5週間を終えた。

最後に繰り返すと
自己は日銀ETFが6685億円の買い越し
海外はUBS本体運用部が9000億円弱の売り越し



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2017年8月第4週 株 コメント

8月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170825

8月第4週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170825

8月第4週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170825


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年8月第4週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 19453円 前週末比-18円

8月第4週のNY株は小幅高、為替レートは少しばかりの円安であった。前週末のNY株の下落を嫌気して、週初は安く始まった。火曜にアメリカで税制改革進展の期待が出てNY株が急上昇。日本株も水曜の寄り付きは高かった。しかし、昼休み中にトランプ大統領がメキシコの壁建設のために政府機関閉鎖も辞さないとの発言が流れ、円高が進行。株価も後場は安くなった。金曜は週末のジャクソンホールでのイエレンFRB議長の発言に対する思惑で円安が進行し、株価も上昇した。週間の日経平均株価は少しばかりの下落であったが、6週連続の下落となった。


買い方
(1)投信
現先総合 1304億円の買い越し
現物    363億円の買い越し
先物    941億円の買い越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 223億円の純流入(この中の多くの部分が現物株の買いになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 600億円前後の買い越し
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 250億円前後の買い越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 100億円前後の買い越し

この3本を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で1000億円前後の買い越し。

上記以外の投信による売買
現物         140億円前後の買い越し
日経平均ラージ先物   50億円前後の売り越し
TOPIXラージ先物  24億円の売り越し
合計         170億円前後の売り越し
この程度の売り越しは、公募、私募の両方の投信による通常売買の合計金額の範囲内である。

(2)自己
自己はいつも最後に記載

(3)事法
現先総合  507億円の買い越し
現物    518億円の買い越し
先物     11億円の売り越し

大部分が自社株買い。小口の買いの集積。


売り方
(1)海外
現先総合 3310億円の売り越し
現物   1529億円の売り越し
先物   1781億円の売り越し

先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。


ブログ外資系と海外の比較20170825

ドイツの先物は大幅な売り越しであったので、TOPIXラージ先物の売りは日銀ETF設定も考えて、裁定以外の勘定で700億円の現物買い・先物売りを実施したと考えた。通常ならいくつか考えられるシナリオの1つにすぎない。ところが8月第4週はいくつかの考えられるシナリオのほとんどは実現の可能性が低く、消去方を用いると、このシナリオである可能性が一番高くなるために想定した。

8月第4週の先物の売り手の2番手はUBS。大半をモルガンMUFGで売ってUBS証券に建玉移管という売買手法をとっている。この売買手法をとるのはUBS本体運用部しか考えられない。第3週に、運用は一旦終了で今後は別個の新ファンドの売買が始まると書いた。しかし第3週に3700億円売り、第4週に2000億売りとなると、同じファンドか新ファンドか区別が付かない。ただ売買手法は従来と同じである。運用戦略はもう少し見ないとわからない。

UBS以上の売りを出したのはゴールドマンである。売りの大部分をABNアムロクリア、JPモルガンで売ってゴールドマンに建玉移管(またはギブ・アップ)している。外資系の多くは建玉移管とギブ・アップを頻繁に行う。ゴールドマンでも当然多い。しかし過去にゴールドマンが日々の売買の合計は買い越し、しかし他社から移管などを受けて売り越しというUBS的な売買手法を大規模に実施したという記憶はない。昨年秋以降、大量に買い上がった数社の大口顧客とは全く別の顧客である。UBS本体運用部がゴールドマンにも建玉を置いたのではとも感じる。ただまだ1回目なので、ゴールドマンももう少し様子を見ないとある程度確度の高いことはわからない。

海外は現物も1529億円の売りである。どんな主体かはわからないが、トランプ政権の先行きを悲観的に捉えて、最近は現物売りを出し続けている投資家がいるようである。

海外の現先合計は3310億円の売りである。その中で、ゴールドマンとUBSの先物売りの合計が4550億円。この2社以外にも現物を中心に売り越した海外顧客は大勢いるのではあるが、第3週の海外の売りは実質的にはゴールドマンとUBSの2社による先物売りであったと考えても差し支えがないと考える。

(2)個人
現先総合  391億円の売り越し
現物現金   31億円の売り越し
信用    157億円の買い越し
先物    517億円の売り越し

下げ相場であったが、順張りの売りとなった。信用の買残がまだ多くないので、スイングトレーダーはまだ余裕がある信用では買い越した。しかし先物は買いが続いていたので、2週連続で売り越しになった。現物現金を買い越している個人は多いはずであるが、基本的には売り一辺倒の高年齢富裕者層の売りが常に存在するので、個人の現物現金は小幅ながら売り越しになった。


(*)自己という特殊な部門
8月第4週は買い主体の(2)になった
現先総合  846億円の買い越し
現物     97億円の買い越し
先物    749億円の買い越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
  793億円の買い

日銀ETF以外の自己
 50億円前後の買い(現先合計)
ディーラーのポジションが少し変化しただけの金額

裁定売買
東証発表の裁定売買
 688億円の裁定解消(現物売り・先物買い)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定解消売買の上位の証券会社
  みずほ550億円、三菱UFJ200億円
 
東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
 1300億円前後の裁定解消売買(現物売り・先物買い)

裁定残は裁定解消売買で688億円減少し、裁定解消以外の売買で1300億円ほど減少している。裁定解消以外の売買で600億円の裁定残が減少したことになる。これを実施した証券会社の中にみずほと三菱UFJが入っている可能性が高い。みずほと三菱UFJ2社の先物の買い金額は合計で1700億円にものぼる。正式な裁定の買いは750億円であり、それ以外に銀行、信託の買いがあるにしても、それだけでは1700億円までは行かない。2社合計で600億円とは言わないが、最大で600億円ほどの裁定以外の現物売り、先物買いがあった可能性が高い。現物と先物を同時に売買したのではなかったため、裁定売買ではなかったが、裁定残は減少したということなのであろう。

(8月第4週合計)
合計すると「投信、自己、事法の買い越しvs海外、個人の売り越し」であった。

8月第3週の日経平均株価は実質的にはUBS本体運用部1社による3700億円の先物売りで下がったと結論づけた。8月第4週は実質的にはゴールドマンの大口顧客とUBS本体運用部による4550億円の先物売りで下がったと結論づける。株価が下がってきたので、ブルベア型投信には買いが入っていた。事法の自社株買いも入った。月曜の安値では日銀ETFも自己を通じて買い支えていた。この結果、8月第4週の日経平均株価は18円安と小幅の下落で週を終えることになった。



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2016年 年間 株 コメント

2016年 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別売買状況2016年

2016年 大手証券 先物売買手口概算
先物手口2016年間

2016年 日経平均株価 日中足チャート
週足株価2016年間ログ用

時系列データ
 投資部門別売買状況 長期時系列表 (日本株)
 株式先物 投資部門別売買状況 累積買越枚数 グラフ
 大手証券 先物建玉残高 枚数推移 グラフ


2016年の日経平均株価は前年末比81円高の19114円で終えた。ただし、TOPIXは少し値下がりのまま年を終えた。

2016年の最大の買い手は自己であった。現先合計で3.8兆円の買い越し。うち現物で2.4兆円の買い越し。先物で1.4兆円の買い越し。

2016年は日銀ETFによる買いが4.6兆円入っている。従って、日銀ETF以外の自己は0.8兆円前後の売り越しであったことになる。一方、2015年は日銀ETF以外の自己は0.6兆円の買い越しであった。2年間では0.2兆円だけの売り越しになる。自己の中にはいろいろと複雑な取引があるが、2年というスパンで見ると売越額又は買越額は大きくはなかったことになる。

なお、2016年の年間では東証発表の実質裁定残(買残-売残)は7.9億株の減少、現物の裁定売買は2.9億株の裁定形成であった。裁定形成売買が入っているにもかかわらず、裁定残は大きく減少。裁定残をETFに替えて日銀に売っているからという説もある。しかし、その動きは夏頃までである。日銀が7月末にETF購入額を年間6兆円に増やした少し後あたりから、裁定形成売買の株数以上に裁定残の株数が増えている。2016年前半は日銀ETFの買いで説明できたが、後半は日銀ETFの買いとは動きが正反対である。理由はよくわからない。裁定残の統計自体がいいかげんで信用のできない統計であることが理由の1つであろう。ただ、自己の先物は年間で1.4兆円の買い越しなので、裁定売買は形成ではなく解消である。2.9億株の裁定形成は間違いであり、7.9億株の裁定解消の方が正確な数字により近かった。

信託は現先合計で2.7兆円の買い越し。うち現物で3.3兆円の買い越し。先物で0.6兆円の売り越し。このうち年間ではなく、1-9月の期間での現物は3.6兆円の買い越し。日銀は資金循環統計で同期間の公的年金の買越額を3.2兆円と推計している。この推計値は少し過大推計であり、実際の買越額はもう少し小さかったと見ているが、それほど実体から大きく離れた数字でもないとも考えている。またトヨタの自社株買いが信託方式で入っており、1-9月で0.7兆円の買い越しになる。すなわち、日銀推計の公的年金とトヨタによる信託方式の自社株買いの2種類の買いの合計が3.9兆円であり、その他もろもろの信託は1-9月に0.3兆円の売り越しであったことになる。2016年の前半は、株価が下落した結果、公的年金を中心に株を大幅に買い越した。しかし、10-12月は、海外主導で株価が大きく上昇したので、信託全体で現物株を0.3兆円売り越していたことになる。

事法は現先合計で2.2兆円の買い越し。大半が自社株買い。

その他法人は0.5兆円の買い越し。従業員持株会が買いの中心。

その他金融は0.3兆円の買い越し。信託や私募投信を通じて株を買っている金融機関はあるが、直接、株を買っている金融機関は大手では思い浮かばない。日銀の資金循環統計では農林水産金融機関、中小企業金融機関等といったところが買い越しになっている。この部門に含まれる大手以外の中小金融機関の小口の買いが積もって0.3兆円の買い越しになったとしか考えられない。

証券会社は0.1兆円の売り越し。東証に会員権を持っていない中小証券の売りである。実際の売りの大半は、中小証券を通じて売買をする個人の売りである。

銀行は0.5兆円の売り越し。取引所内取引では銀行の売り越しは続く。

保険は0.6兆円の売り越し。保険の売り越しは続いている。ただ日銀の資金循環統計を見ると、信託勘定では年の前半は買い越していたと思われる。後半は信託勘定でも売り越しの可能性が高い。

海外は現先合計で2.2兆円の売り越し。うち現物で3.7兆円の売り越し。先物で1.5兆円の買い越し。うち日経平均ラージ先物で0.7兆円の買い越し。日経平均ミニ先物で0.2兆円の買い越し。TOPIXラージ先物で0.7兆円の買い越し。

海外は2016年の株価下落、低迷時すなわち9月以前は大幅な売り越しであった。それが10月以降の株価上昇時には大幅な買い越しになっている。景気敏感で順バリという運用方針は変わっていない。9月以前の売りは現物の割合が高く、10月以降の買いは先物の割合が現物より少しだけ高かった。

9月以前の売りは、従来の下落時よりも現物売りの金額が大きかった。この売りの何割かはオイルマネーの売りであった可能性が高い。売り切りであり、買い戻しはほとんどなかったと思われる。そのため、海外現物は年間でも大幅な売り越しになった。

海外先物は、2016年秋からの上昇局面ではUBS、ゴールドマン、JPモルガン、バークレーズという4社の買いが特に目立った。しかし、年を通して見ると、最も大幅に買い越したのはJPモルガンの1.2兆円の買いであった。JPモルガンは年の後半に買い越しであっただけではなく、前半も買い越しであったため、年を通してなら最大の買い手になった。他の3社は年の前半に大きく売り越していた。UBSはUBS本体運用部の売買が多くを占める。しかし、年間では売り越しであり、日経平均ラージ先物買い・TOPIXラージ先物売りになっている。秋以降のUBSは両先物を買い越しながら、日経平均ラージ先物の買いの比率が高かった。これはUBS本体運用部が日経平均ラージ先物の割合を増やしたのか、全く別の顧客が買ったのか、現時点では区別がつかない。UBS以外の3社は年金などの長期性の資金が中期的観点からTOPIXラージ先物を中心に売買をしていると考える。

ニューエッジは2016年2月にTOPIXラージ先物で0.5兆円前後の超大口買いがあったことが大きい。メリルリンチは10月にTOPIXラージ先物を0.2兆円前後買ったことが一番寄与している。HSBCは12月だけで先物を0.6兆円売り越しており、外資系証券の中では一番異質の売買行動をとっていた。

投信は現先合計で2.4兆円の売り越し。うち現物で0.4兆円の売り越し。野村総研によると、日本株型公募投信からの資金純流出額は0.5兆円であった。私募投信が少しだけ買い越していた可能性が高い。

投信は先物で2兆円の売り越し。うち日経平均ラージ先物で1.6兆円の売り越し。TOPIXラージ先物で0.4兆円の売り越し。2016年年間の大口投信による日経平均ラージ先物の売買は下記のようになる。

野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(野村レバETF)」 0.7兆円前後の売り越し。
野村アセット 「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(野村ダブルインバースETF)」0.2兆円前後の売り越し。
大和投信 「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」 0.1兆円前後の売り越し。

上記3種のファンドだけで合計1兆円の売り越し。他の同種のブルベア型ETFも小幅の売り越しであるが、それを加えたとしても1兆円強くらいであろう。残りの0.6兆円弱の日経平均ラージ先物の売り越しとTOPOXラージ先物の0.4兆円売り越しは、公募投信の売りも一部は含まれているとは思う。ただ金額としては私募投信による売り越しの割合が高かったと思われる。

2016年の最大の売り手は個人であった。現先合計で3.3兆円の売り越し。うち現物現金で3.8兆円の売り越し。信用で0.7兆円の買い越し。先物で0.2兆円の売り越し。

東証の数字は発行市場分を含まない。発行市場は買いしかなく、個人の比率が高い。発行市場も含めた売買金額推定値を日証協が2016年1-9月期までの数字を公表している。この間、発行市場を含まない東証統計では個人現物(含む信用)は0.3兆円の買い越しであった。これに対して発行市場も含めた場合、日証協の推計では0.7兆円の買い越し。それでも10-12月期には東証統計での個人の現物(含む信用)の売越額は3.5兆円。10-12月の戻り相場では個人は大量に売り越した。発行市場を含まない東証統計での個人の現物(含む信用)の売越額は年間3.2兆円である。発行市場を含めても年間2.8兆円弱の売り越しであった可能性が高い。

2016年の個人は週レベルで見た場合、52週中46週で逆バリであった。同時に下げ局面では小幅の買い越し、上げ局面では大幅な売り越し。年間で日経平均株価は小幅の上昇であるが、往って来いの相場では大幅な売り越しになっている。バブル崩壊後の個人は発行市場で買った分を取引所で売り越すというのが基本形であり、発行市場をも含めた売越額はそれほど大きな金額ではなかった。しかし、アベノミクス相場が始まってからは、個人の取引所での売越額は発行市場での購入分を大きく上回る金額になっている。デイトレーダーは売買金額は大きいが、買越額はそれほど大きなものではない。一方、高年齢富裕者層は、下げ局面での買いは少なく、上げ局面では大量に売ってくる。アベノミクス相場が始まって以降、個人の株式離れが本格化している。

2016年年間では「自己3.8兆円、信託2.7兆円、事法2.2兆円の買い越しvs個人3.3兆円、投信2.4兆円、海外2.2兆円の売り越し」であった。

個人は大幅な売り越しである。投信も一部に法人が売買する私募投信が含まれているが、過半は個人が中心に売買をする公募投信の売りである。すなわち、個人マネーは投信を含めても大幅な売り越しであった。個人を中心とする国内投資家が株を大量に売り越す中、買い方の多くは日銀と公的年金であった。これだけ国内投資家が株を売り越したのにもかかわらず株価が下がらなかった理由は、完全な官製相場であったことを意味する。公的資金の買いが入っていなければ、株価は大きく下落していたことは間違いない。その場合、負の資産効果で景気後退が発生していた可能性が高い。

日銀ETF買いについては反対意見が多い。自由な株式市場に対する冒涜という人もいる。しかし、日銀ETFの買いは現在のような環境下では必要なのである。これだけ日銀が買い支えながらも、国内投資家の資金は株式市場から続々と逃げ出している。これはバブルとは正反対の逆バブル現象であり、バブル崩壊の継続と言ってもよい。そして株価が戻れば売りという株式市場のヒステリシスの重病が定着してしまっている。その結果、日本の株価は長期で見た場合、諸外国との比較で極端に下がったままの状態が続いている。こうした重要な事実をまず理解する必要がある。

日本の株式市場が陥っている重い病気は、日銀ETF買いという対症療法だけでは治らない。ヒステリシスという恐ろしい病気が定着してしまった以上、その治療をするためには極端な政策を採用しないと治らない。日銀の金融緩和は規模が小さすぎるのである。

この病気を治す方法は、株価を緩やかでよいから右肩上がりの状況をできるだけ長期間維持することしかない。日本以外の国では株価を高値掴みしても、何年か塩漬けにしておけば元に戻る。日本では高値で株を買ってしまうと損をする可能性が非常に高い。損切りのうまい人しか株で儲けることができない。あるいは高値では必ず売り、底値を買うことに徹するしか儲かる方法はない。この20数年間続いた「勝利の方程式」を、株価の長期の右肩上がりを復活させることにより「敗北の方程式」に変えさせる必要がある。

国内投資家の資金をブラックホールのように吸い込む国債という資産がまだ数百兆円規模で日銀の外に残っている。金余りの機関投資家は、金利が非常に低いこの国債の購入に殺到する。そして機関投資家は、この資金運用難こそが日銀の金融緩和の大きな副作用だと主張した。

政府・日銀は、資金の運用先がないと抗議する機関投資家がいた場合、株を売らずに、株を大量に買えと言わなければならなかったのである。これこそが量的緩和のもたらすポートフォリオ・リバランス効果という大変重要な波及ルートでもあった。ところが日本ではあまりにも株価の値下がりが長続きしてきたため、量的緩和がもたらした株式市場に対するポートフォリオ・リバランス効果はプラスではなく、巨大なマイナスが続いたのである。日銀と公的年金以外の国内機関投資家は、アベノミクス相場が開始されてからも株を売り越し続けてきた。もう一つの重要な買い手は、日銀の量的緩和によって資金運用難に陥れることが不可能である海外投資家だけであった。政府・日銀は自分たちが行っている政策がどのようにして効果が発現するのかという一番重要な部分を理解できていなかったのである。

その結果、政府・日銀は資金運用難と主張する機関投資家の意見を聞き入れてしまった。そして機関投資家は株を売り続けた。これは政府・日銀が実施すべき政策とは正反対の政策を採用するという自爆戦略であった。採用すべき政策は、日銀が国債をもっと大量に購入し、機関投資家がしがみつく国債から無理矢理にでもその資金を引き剥がし、株を買わざるをえない状況に追い込まなければならなかったのである。超金余りの機関投資家の資金が継続的に株へと向かい続けるようになれば、株価は右肩上がりが続かざるをえない。そうなってから、ようやく株式市場のヒステリシスは克服され、普通の国へと戻ることができる。そして、この政策を長く続ければ、いずれ必ず株式市場はバブルへと進行して行く。このバブルに近づいた時こそ、日銀はETFを売却し、バブル化を防がなければならない。財政再建にも貢献する。このETF買いの出口戦略こそが大変重要なのである。

日銀は国債もETFも出口戦略なしに大量購入を続けてきた。国債購入の出口戦略がないからこそ9月にはイールドカーブコントロール付き量的・質的緩和というテーパリング色の強い政策に移行せざるをえなかった。日銀「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する代替案というものを提案したのは、出口戦略を明確に示した上で、株式市場をバブル崩壊から救いたかったからである。出口戦略なしに金融緩和を長期間続けることはできない。出口戦略なき日銀ETF買いは、たとえ株価が下がったとしてもいずれはテーパリングに向かわざるをえなくなる。そして株価が上がったとしても、現状では株の主な買い手は海外投資家になる可能性が高い。それでは2015年に実際に起こったように、株価が上昇するほど日本の国富は減少するばかりになる(アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失)。

欧米で研究の進んでいる「物価水準の財政理論」という学説は、ゼロ金利に近い国債の大量発行が株式市場から資金を奪い取り、株価上昇を抑制するという効果が全く考慮されていない。日本では第2次世界大戦終了直後のハイパーインフレ期にも株価上昇率は物価上昇率に遠く及ばず、大半の株主は大損をした。インフレ税は国債や預貯金に課するべきものであり、株にまで課してしまうと経済に対するマイナス効果が非常に大きくなる。日本以外の国で、最近はそのようなマイナス効果は発生していない。「物価水準の財政理論」が日本では全く適用できないとは言わないが、日本経済の異質性が考慮されていない。少なくとも株式市場のヒステリシスの克服をも目指した欧米とは異なる「日本バージョンの物価水準の財政理論」でなければならない。「欧米バージョンの物価水準の財政理論」をそのまま日本に適用してはいけない。

私の日銀「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する代替案という提案がベストの提案であるとは言わない。日銀ETF買いに反対するのは構わない。しかし、代替案なしに反対ばかりで何もしなければ、株価は下落し続け、日本経済もマイナス成長が続いてしまう。この負のスパイラルを容認するわけにはいかない。物価水準の財政理論を安易に採用することもできない。株式市場に深く通じている者であるなら、日本の株式市場を、そして日本経済を救い出すことのできる新しい具体案を競って提案しあうべきである。


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