2017年11月第2週 株 コメント

11月第2週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20171110

11月第2週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20171110


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年11月第2週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 22681円 前週末比+142円

11月第2週の為替レートは少しばかりの円高、NYダウも少し下落であった。外部環境としては日本株が上がりやすい環境ではなかった。しかし日本株の上昇は続いた。予想以上によい決算が次々と発表されたため、買いの勢いは強かった。火曜には1996年のバブル崩壊後の高値を更新し、26年ぶりの高値まで上昇した。その後はアメリカの減税法案の進捗状況が不透明になり、上値を抑えることになった。それでも木曜は一時23000円台へと上抜けたが、引けはマイナスになるという高値大波乱の日であった。週間の日経平均株価は9週連続で上昇して週を終えた。


買い方
(1)自己
自己はいつも最後に記載。

買い方
(2)保険
現先総合 431億円の買い越し
現物    70億円の売り越し
先物   501億円の買い越し

先物の踏み、ショートカバーが中心。

買い方
(4)投信
現先総合   11億円の買い越し
現物    747億円の売り越し
先物    758億円の買い越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 538億円の純流出(この中の多くの部分が現物株の売りになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 300億円前後の買い越し

上記のファンドを含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で450億円前後の買い越し。10月第4週、11月第1週はチャラに近かった。それでもある程度のまとまった買いになったのは、今回のラリーが始まる前の8月第5週以来であった。

解約と7本のブルベア型投信以外の投信による売買
現物         210億円前後の売り越し
日経平均ラージ先物  340億円前後の売り越し
TOPIXラージ先物 520億円の買い越し

現先合計では30億円の売り越し。公募、私募投信の通常売買の範囲内。


売り方
(1)信託
現先総合 2340億円の売り越し
現物    118億円の買い越し
先物   2458億円の売り越し

11月第1週の信託先物は買いであり、踏み上げ気味のショートカバーであった。第2週に新規に売り建てるとは驚きである。今回は下記に示しているのだが、この大量売りを受けた証券会社が見えない。野村を中心とする日系大手が自己で買い向かったので、売買が均衡して見えなかったと考える。従って、信託の先物売りの大半は大手1社が野村などを相手にして売った可能性が高い。


売り方
(2)海外
現先総合   909億円の売り越し
現物     671億円の買い越し
先物    1580億円の売り越し

大手証券(外資系14社、日系大手5社)の先物手口概算を示す。


11月第2週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20171110

上記の外資系14社合計の先物手口概算(3種の先物)と先物の投資部門別売買状況の海外(3種の先物)とを比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20171110

いつものように海外と外資系の差を修正することによって近づけた。修正の(1)(2)は毎週ある裁定絡みの修正であり、通常なら多分当たりである。しかし、この週は多分はずれである。11月第2週はミニSQの週である。ドイツは裁定の売りがあるはずだが先物は買いになっており、ソシエテも裁定の買いがあるはずだが先物は売りになっている。ドイツもソシエテもOTCを含めて相当大きなポジションを動かしているはずであるが、外からは全く見えない。だいたいはわかる週が時々あるが、この週は難しすぎて見当すらつかなかった。

先物手口概算を見ると、買い方の第1位はUBSで1850億円の買い。この週の買いも大半がクレディスイスなどの他社で買ってUBS証券へと建玉移管なので、買いの多くはUBS本体運用部であることに間違いはない。プライベート・バンキング部門の主として順張りによる絶対収益追求型運用の継続である。

買い方の第2位はゴールドマンで1500億円の買い。結果としてはUBSと売買方向が同じになるケースの多い会社である。TOPIXラージ先物の買いはインデックス連動を目指す中長期性の資金の買いである可能性が高い。

買い方の第3位はメリルリンチで1400億円の買い。メリルリンチの買いもゴールドマンと同様にインデックス連動を目指す中長期性の資金の買いである可能性が高い。

売り方の第1位はソシエテで1700億円の売り。東京自己、海外自己がSQを利用して大きな玉移動をしている可能性が高いが、内容はわからない。ただ海外投資家による先物の売りは1700億円以上であったと思われる。これはCTAをも含むヘッジファンドなどの投機的資金の手仕舞い売りである可能性が高い。

売り方の第2位はABNアムロクリアリングで1500億円の売り。これもソシエテと同様にCTAをも含むヘッジファンドなどの投機的資金の手仕舞い売りである可能性が高い。

売り方の第3位はJPモルガンで1350億円の売り。先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフの上から9番目がJPモルガンである。昨年年初からTOPIXラージ先物を中心に買いをずっと増やし続けていた。昨年後半はUBS、ゴールドマン、メリルリンチらと共に買い上がっていたのである。それが少し前に売りへと方向転換したようである。これもゴールドマン、メリルリンチらと同じくインデックス連動を目指す中長期性の資金の売買である可能性が高い。このJPモルガンの買いから売りへの方向転換は、最初からすぐに売ることが見えていたソシエテやABNアムロクリアリングなどの投機的資金の売りとは異なる重みがあると感じる。

第2週の海外は現物買いも671億円と少額であった。従来ならUBSとゴールドマンがこれだけ買い越せば海外全体でも買い越しになっていた。しかし、高値大波乱の週であったので、同じ海外でも大きく売り越す会社が増加した。海外全体の現先合計では小幅の売りとなった。それでも株価は上昇であった。

売り方
(7)個人
現先合計   65億円の売り越し
現物現金 2766億円の売り越し
信用   1451億円の買い越し
先物   1250億円の買い越し

第1週は小幅の買い越しであったが、再び小幅であるが売り越しになった。現物現金は高年齢富裕者層中心の株式離れが中心である。スイングトレーダーは信用では攻めの買いを続けている。先物はまだ踏み上げ気味のショートカバーが中心であった。


(*)自己という特殊な部門
11月第2週は買い方の(1)になった
現先総合 3689億円の買い越し
現物   2162億円の買い越し
先物   1527億円の買い越し

裁定売買
東証発表の裁定売買
 777億円の裁定形成(現物買い・先物売り)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定形成売買上位の証券会社
  ドイツ1100億円、三菱UFJ200億円

 裁定解消売買上位の証券会社
  ソシエテ600億円

東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
  1500億円前後の裁定解消売買(現物売り・先物買い)

上記2つの数字の差は2300億円と非常に大きい。この週の自己は現物は買い越しである。従って裁定売買は1500億円の裁定解消であったと考える。

先に書いた通り、この週は信託が先物を2458億円売り越している。しかし、日系大手には大きな売りが見えない。野村を中心に日系大手の自己が買い向かったと見ている。そのうち1500億円プラス777億円=2300億円前後は裁定残として保有している現物の売りでカバーした可能性が高い。

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 1494億円の買い

日銀ETF以外の自己
 2200億円の買い(現先合計)

第2週の日銀ETF以外の自己が2200億円の売りになったが、このところ日銀ETF以外の自己は売り越しが多かった。従って、第2週はその分が買い戻しになったと考えるのが自然である。加えてミニSQの週なので、ドイツとソシエテを中心に現物、先物、OTCも含めた玉移動をSQ時に行っている可能性が高い。そのためSQ時に現物の取引所内での売買がたまたま売り越しになった分もあると思われる。SQ精算値は安かったので、売りがあった可能性は高い。ただミニSQの金曜日に東証が公表したドイツとソシエテの裁定売買はほとんど均衡であり、それ以外に動かした金額はわからない。

なお、11月6日に富士通がアドバンテストの株をみずほ証券に売却したとの報道があった。11月14日に提出された大量保有報告書を見ると、みずほ証券はアドバンテストの株を6日に取引所外で520億円購入し、7日に取引初内で20億円売却し、同じく7日に取引所外で140億円売却している。このうち7日の20億円だけが取引所内での自己による売りとして投資部門別売買状況に計上される。20億円だけなら小さな金額である。しかし、今回は報道されたからわかっただけである。報道されないこうした持ち合い解消売買は多数存在しているはずである。分析をする者としては、大変大きな難題であり続けた。OTC売買はさらに増えつつあり、今後ますます難解になるが、可能な範囲内で対処するしかない。


(11月第2週合計)
合計すると「自己、保険の買い越しvs信託、海外の売り越し」であった。

ミニSQの週であったことから、自己は日銀ETFが安値を買った以外はわからないことが多い。保険が買いであるが、個人の先物などと同じ踏み上げ気味の買い戻しであった。

最大の売り手は信託の先物であった。先物を売ったのはおそらく大手1社が中心であるが、かなり大口の金額で売りを出してきたのは驚きである。海外は大口の売りと買いが激突して、合計すれば小幅の売り越しになった。

日経平均株価は142円の上昇であった。しかし、26年ぶりの高値をつける中で大きく乱高下した週でもあった。11月第2週に関しては「自己、保険の買い越しvs信託、海外の売り越し」はそれほど重要ではない。比較的大きく売ったのは信託の先物くらいであり、「自己に含まれる日銀ETF買いvs信託の先物売り」は押さえておいた方がよい。

しかし、より重要な点は海外に代表されるように、同一セクター内部での売り買い激突である。海外であろうが、他の部門であろうが、大きく戻した時点では強弱の相場観が分かれる位置である。実際に売買金額は増え、特に木曜の相場の乱高下は激しかった。参加者全員の相場観が強弱の間で揺れ動き、日経平均株価は少しばかりの上昇で週を終えることになった。



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2017年11月第1週 株 コメント

11月第1週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20171102

11月第1週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20171102

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年11月第1週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 22539円 前週末比+531円

11月第1週の為替レートは少しばかりの円高、NYダウは少し上昇であり、外部環境はあまり良いものではなかった。それでも日経平均株価が上昇し続けた理由は、予想以上のファンダメンタルズの改善があると思われる。特に火曜の引け後に発表されたソニーの営業利益見通しが過去最高となり、水曜は電機株を中心に好決算銘柄が大幅に上昇した。その勢いは木曜も続き、日経平均株価は21年ぶりの高値を更新したまま週を終えた。


買い方
(1)海外
現先総合  1562億円の買い越し
現物     529億円の買い越し
先物    1033億円の買い越し

まずは大手証券(外資系14社、日系大手5社)の先物手口概算を示す。


11月第1週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20171102

上記の外資系14社合計の先物手口概算(3種の先物)と先物の投資部門別売買状況の海外(3種の先物)とを比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20171102

外資系と海外の差が3億円。しかし、いつものように海外と外資系の差を修正した。修正の(1)(2)(3)は毎週ある裁定絡みの修正であり、多分当たりである。すると外資系と海外の差が397億円まで拡大してしまった。外資系と海外の売買が一致するのはまぐれである。差が大きすぎると悩む。しかし、397億円の差というのは一番発生しやすい規模の差である。従って、これ以上の追求はしない。

先物手口概算を見ると、買い方の第1位はUBSで2750億円の買い。この週の買いも大半がクレディスイスなどの他社で売ってUBS証券へと建玉移管なので、買いの多くはUBS本体運用部に違いがないことがわかる。ただ東京自己である可能性が高い裁定解消の先物買いが250億円存在する。これを除くと2500億円の買い。このすべてがUBS本体運用部ではないが、大部分はUBS本体運用部である。

買い方の2番目はABNアムロクリアリング。これはCTAを含むヘッジファンドなどの投機筋の買いであり、最近買いがかなり積み上がっている。遠くない将来売りになる可能性が高い。

買い方の3番目はソシエテ。自己の裁定買いが400億円前後ある。これを除くと800億円前後の買いになる。なお、第1週の裁定売買の大半は現物株の平均単価から計算すると日経平均型である。従って、ソシエテを通した海外の買いはTOPIXラージ先物に入っている。ただ800億円の買いでは、背景はわからない。先物手口分析は、金額が大きくなければ何でもありになり、わからなくなる。

第1週の海外は現物買いも少額であった。UBS本体運用部1社が大量買いであり、UBS本体運用部以外の海外は現物先物合計で900億円強の売り越しになる。従って、この週の海外は事実上UBS本体運用部1社の買いであったといっても差し支えがないと思われる。

買い方
(2)投信
現先総合   455億円の買い越し
現物     337億円の売り越し
先物     791億円の買い越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 202億円の純流出(この中の多くの部分が現物株の売りになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 250億円前後の売り越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 100億円前後の買い越し

上記のファンドを含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で100億円前後の売り越し。

解約と7本のブルベア型投信以外の投信による売買
現物         100億円前後の売り越し
日経平均ラージ先物  900億円前後の買い越し
TOPIXラージ先物  18億円の買い越し

現物とTOPIXラージ先物は公募、私募投信の通常売買の範囲内。日経平均ラージ先物だけが大幅な買い越しである。この大半は今まで私募投信が売っていた先物ヘッジ売りの買い戻しである可能性が高い。

買い方
(3)事法
現先総合  445億円の買い越し
現物    400億円の買い越し
先物     46億円の買い越し

11月2日に本田が585億円の自社株買いを実施。これを除くと自社株買いよりも持ち合い解消売りの方が多かった。

買い方
(4)個人
現先総合    5億円の買い越し
現物現金 2588億円の売り越し
信用   1262億円の買い越し
先物   1331億円の買い越し

現物現金の売りは高水準が続く。高年齢富裕者層を中心に持ち株を処分しており、株式市場からの資金流出は続く。今まで売っていたスイングトレーダーは信用を中心に買いに転じた。先物は買い戻しである。その結果、個人は久々に上昇相場でも順張りの買いになった。


売り方
(1)自己
自己はいつも最後に記載。

売り方
(2)信託
現先総合  602億円の売り越し
現物    953億円の売り越し
先物    351億円の買い越し

信託の現物は依然として売りである。株価がこれだけ戻っても、持たざるリスクよりも持つリスクを感じているようだ。先物は損失拡大なので買い戻しになっている。


(*)自己という特殊な部門
11月第1週は売り方の(1)になった
現先総合  924億円の売り越し
現物   2836億円の買い越し
先物   3760億円の売り越し

裁定売買
東証発表の裁定売買
 325億円の裁定解消(現物売り・先物買い)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定解消売買上位の証券会社
  ソシエテ400億円、UBS250億円、野村250億円

 裁定形成売買上位の証券会社
  ドイツ250億円、三菱UFJ200億円

東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
  1000億円前後の裁定解消売買(現物売り・先物買い)

上記2つの数字の差は700億円とやや大きい。加えて、この週の自己は現物買い・先物売りであり、裁定形成売買が大量に入った形になっている。この週に関しては、裁定解消売買は325億円以下である。

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 1466億円の買い

日銀ETF以外の自己
 2400億円の売り(現先合計)

第1週は野村が先物を3150億円売り越している。しかし、先物を大量に売り越している主体は自己以外には存在しない。従って野村の3150億円売りの大半が自己であることは間違いない。ただこの週は自己の現物が2836億円の買いである。常識的に考えれば裁定形成だが、先に書いた通りこの週は野村も含めて裁定解消の週である。従って、3150億円売りの何割かは週前半に日銀がETFを大量に買ったため、新たにETF組成のために現物買い・先物売りを実施したのであろう。しかし、それだけでは野村の先物売りの全部を説明できない。国内投資家が何らかの売りをOTCで1千数百億円レベルで出し、それを野村自己が取引所外で買い、そのカバー売りを先物に出した可能性が高い。

日銀ETF以外の自己は2400億円の売りであるが、その中で一番大きな割合を占めたのは野村自己による1千数百億円の売りであった。

(11月第1週合計)
合計すると「海外、投信の買い越しvs自己、信託の売り越し」であった。

海外の買いは、事実上UBS本体運用部1社の買いであった。投信は私募投信の先物買い戻しの可能性が高い。個人の先物も買い戻しである。つまり、国内投資家が先物を踏み上げられた結果の買い戻しがかなり入った。下げ局面では日銀ETFも買った。

自己の売りの何割かは国内投資家のOTCでの売りを野村自己が買い受け、先物でカバー売りを出した分だと思われる。信託は現物中心に売りが止まらない。

日経平均株価は531円上昇であり、8週連続の上昇である。従来通りの「海外中心の買いvs国内中心の売り」であることには変化はない。しかし、海外の買い越し金額は大きく減少した。それでも株価が大きく上昇した理由は、国内投資家の売りが減り、先物踏み上げの買いも入った結果、国内投資家のネットでの売り越し金額が大きく減少したからである。背景として、好調な企業決算というファンダメンタルズの回復の中で、株価が大きな押し目もなく値上がりを続けたことがある。結果として、UBS本体運用部1社の新規先物買いと国内中心の先物踏み上げ買いだけで日経平均株価はするすると上昇したのであった。



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2017年10月第4週 株 コメント

10月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20171027


10月第4週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20171027

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ

(2017年10月第4週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 22008円 前週末比+551円

10月第4週は為替レートは円安、NYダウは上昇であり、外部環境は良かった。日経平均株価は火曜まで過去最高の16日連騰記録が続いたが、水曜の下げで記録は止まった。これだけ連騰が続いたので、一服はあって当然である。木曜から再度上昇した。決算発表が始まり、企業収益が予想以上に良いという雰囲気になり、特に金曜は大きく上昇した。日経平均株価も21年ぶりの高値で週を終えた。


買い方
(1)海外
現先総合  8567億円の買い越し
現物    6704億円の買い越し
先物    1863億円の買い越し

まずは大手証券(外資系14社、日系大手5社)の先物手口概算を示す。


10月第4週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20171027

上記の外資系14社合計の先物手口概算(3種の先物)と先物の投資部門別売買状況の海外(3種の先物)とを比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20171027


いつものように海外と外資系の差を修正することによって近づけようとした。修正の(1)(2)(3)は毎週ある裁定絡みの修正であり、多分当たり。(4)はどこかの外資系の自己が日経平均ラージ先物買い・TOPIXラージ先物売りをしてもおかしくないような手口になっている。本当にそういう売買があったならば、それはパリバの東京自己が動いた可能性が一番高い。ただNT間の裁定が本当にあったという証拠はない。(4)が当たりの可能性は高くはない。ただ、先物の銘柄間の差なので当たりはずれの重要性は高くない。付け足しである。

まだ437億円の差が残る。これは自己のところで示すが、海外によるOTCでの売りを外資系の自己が受け、先物にカバー売りを出した金額に近いと考えている。

先物手口概算を見ると、買い方の第1位はUBS、第2位はゴールドマン。ツイッターにも掲載したUBSとゴールドマンのTOPIXラージ先物の売買手口を下記に示す。

GSUBS20171102.png

この週のUBSのTOPIXラージ先物買いの大半はクレディ・スイスなどで買った分をUBS証券へと移管している。このパターンなら買いの大部分の顧客名はUBS本体運用部しかありえない。スイスのプライベートバンキング部門で絶対収益追求型の運用をしていることまではほぼ間違いはないと思う。今後もやや順張り傾向の売買を続ける可能性が高い。つまり、株価が下がったならば売り転換する可能性が高い。

ゴールドマンは顧客名まではわからないが、先物を順張り傾向で売買をする少数の大手顧客がいる可能性が高いと見ている。年金などの中長期性の資金が中心だと思われる。UBSとの比較では売買回転が少し遅い。それでも順張り傾向の売買を続ける可能性が高い。

UBSとゴールドマンのTOPIXラージ先物買いは株価16連騰の最大の立役者である。そしてこの2社は今後も順張り傾向の売買を続ける可能性が高い。株価が下がるとまずUBSが売りになり、さらに下がればゴールドマンも売りになる可能性が高いことは頭に入れておいた方が良いと思う。

第4週の先物買いは上記2社の買いで大半の説明がつく。しかし、海外は先物より現物をより大量に買っている。日本の好調なファンダメンタルズを評価しての買いが多いと思われる。この現物買いの多くが売る時期は、株価が下がった時ではなくファンダメンタルズが悪化し始める時である。ファンダメンタルズが好調である間は、一部は売っても全部を売る可能性は低い。

買い方
(2)信託
現先総合  711億円の買い越し
現物    299億円の売り越し
先物   1011億円の買い越し

信託の現物は売りの位置なのであろう。先物は安く売ってしまった分の買い戻しだと思われる。ただ後で示す通り、OTCで日系大手に1500億円前後の売りが出ている可能性が高い。これは日経の機関投資家の売りであると思われる。従って信託がOTCで最大1500億円売り越しているかもしれない。そこまで考えると、現物先物+OTCでの信託は売り越しである可能性が存在する。


売り方
(1)個人
現先総合 5464億円の売り越し
現物現金 5909億円の売り越し
信用     42億円の売り越し
先物    488億円の買い越し

現物現金の売りは高水準が続く。高年齢富裕者層を中心に持ち株を処分している。売った代金は外国ものの投信か銀行預金に回る割合が多いと考える。スイングトレーダーが売った分はすぐに買いになる。スイングトレーダーは先物は買い戻しだが、踏み上げである。第4週末時点ではまだショートが大量に残っており、現在も買い戻し中だと思われる。

売り方
(2)自己
自己はいつも最後に記載。

売り方
(3)投信
現先総合   583億円の売り越し
現物     778億円の売り越し
先物     195億円の買い越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 719億円の純流出(この中の多くの部分が現物株の売りになる)
この週の投信による現物売りの大半は解約売りで説明できる。

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 50億円前後の売り越し

上記のファンドを含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で2億円前後の買い越し。ほとんど売り買いチャラである。これ以外に日経平均ラージ先物買い、TOPIXラージ先物売りが残るが、金額は小さく、通常の売買の範囲内であろう。


(*)自己という特殊な部門
10月第4週は売り方の(2)になった
現先総合 1828億円の売り越し
現物   1438億円の買い越し
先物   3266億円の売り越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 60億円の買い

日銀ETF以外の自己
 1900億円の売り(現先合計)
第4週に関しては、日銀ETF以外の自己の売りの中で外資系証券で437億円前後、残りの1500億円前後は日系大手である可能性が高い。外資系の437億円は先に示した外資系と海外の差で埋めきれない部分を外資系の東京自己の売りと考えたものである。おそらくOTCで国内投資家が1500億円前後、海外投資家が400億円前後何らかの形で売りを出している。OTCで買い取った証券自己が先物に1900億円前後のカバー売りをしている可能性が高い。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 207億円の裁定形成(現物買い・先物売り)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定形成売買上位の証券会社
  ドイツ500億円、UBS300億円、みずほ150億円
 裁定解消売買上位の証券会社
  ソシエテ750億円

東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
  1300億円前後の裁定形成売買(現物買い・先物売り)

上記2つの数字の差は1100億円と大きい。第5週に関しては1300億円が正解と考える。自己は現物で1438億円買い越しており、その多くは広義、狭義の裁定の買いであると考える。自己の先物に1300億円くらいの裁定の売りがあると考えると、先に示した1900億円くらいのOTC分のカバー売りが自己に残ると計算することができる。売買が無申告の広義裁定は日系大手の裁定形成売買が中心であったと考える。


(10月第4週合計)
合計すると「海外、信託の買い越しvs個人、自己、投信の売り越し」であった。

海外の先物はUBS、ゴールドマンという下がれば売りになる頼りのない主体の買いである。現物についてはファンダメンタルズが悪化しないかぎり売りにらない金額の割合が高いと考える。信託は現先合計では買い越しだが、OTCで自己に売った分を含めると売り越しである可能性が存在する。

投信の現物と個人の現物現金は高年齢富裕者層の売りの比率が高いと思われる。この分については、売った代金の多くは株式市場から逃げていく。

従来通りの海外中心の買いvs国内の大半が売りで株価は551円上昇して引けた。株高による国富の減少は5兆円前後であった。


10月月間

投資部門別コメント月次20171027

記録にとどめておくべき事項、数字

(1)投信現物
野村総研によると10月の公募型日本株投信は2946億円の資金純流出

(2)投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 800億円前後の売り越し
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 400億円前後の売り越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 300億円前後の売り越し

上記を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計では1600億円前後の売り越し

(3)事法部門での自社株買い
NTTの603億円買いが一番大口

(4)自己
日銀ETFが228億円の買い

(5)裁定売買(大部分が自己、一部は海外)
東証発表 裁定形成売買の金額合計
 337億円(現物買い・先物売り)
東証発表 裁定残株数変化からの裁定形成売買推計値
 5000億円前後(現物買い・先物売り)

上記2つの数字の差は非常に大きい。おそらく両者の中間で5000億円に近い方の金額だけ裁定形成売買が入った。

(6)合計
10月月間では

「海外 3兆5771億円の買い越し vs
    個人 1兆8136億円の売り越し
    自己    6113億円の売り越し 
    信託    4323億円の売り越し
    投信    3671億円の売り越し」

で日経平均株価は1652円上昇して10月の4週を終えた。月間の株価値上がりによる国富の減少は15兆円前後であった。

海外の現先合計が月間3兆5771億円の買い越しというのは、2014年11月(黒田バズーカ砲第2弾が入った月の翌月)をこえ、過去最大の買い越し。

10月は日経平均株価が16日連続で上昇という過去最大の連騰記録を作った月であり、日経平均株価は21年ぶりの戻り高値を更新した月であった。

普通は海外投資家が過去最大の買い越しで連騰、高値更新と記録されるであろう。しかし、それ以上に重要な観点は国内投資家の現先合計の売り越しが3兆5771億円という過去最大の金額を記録した月でもあったということである。

前回は黒田バズーカ砲第2弾が入った翌月の2014年11月に国内投資家が過去最大の売り越しを記録した。この時には黒田バズーカ砲第2弾の発表とGPIFによる株式組入比率拡大の正式決定の発表が重なった日であった。そのため、日銀とGPIFが共同で公的株価操縦をしたという全く虚偽の事実があちらこちらで見られた。国内投資家が過去最大の売り越しという認識がないため、事実と正反対の情報が流布したのであった。

正しい事実は、GPIFが運用資産の組入比率の変更を正式発表した直後に黒田バズーカ砲第2弾が放たれたため、海外投資家が過去最大の金額の日本株を現先合計で買い、同時に円安も進行した。GPIFは高値で日本の株式、外国の株式と債券を買わなければならなくなり、日本国民の重要な資産が高値買いを余儀なくされ損失を被ったという事実である。そして、黒田バズーカ砲の威力は国内投資家による過去最大の売り越しを引き起こした。すなわちバズーカ砲の威力は過去最大であるが、方向はプラスではなく、マイナス方向であったという事実である。国内投資家の過去最大の売り越しという観点からの理解がないため、正しい事実が見失われたのである。

10月は、日経平均株価が過去最大の16日連騰という新記録が生まれ、同時に21年ぶりの高値になった。同時に国内投資家による月間の現先合計での売り越しの金額が過去最大になった月であるという観点から理解することが大変重要である。


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2017年10月第3週 株 コメント

10月第3週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20171020

10月第3週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20171020


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年10月第3週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 21458円 前週末比+302円

10月第3週は為替レートが少しばかりの円安の中で、NYダウは過去最高値を更新し続けた。このNY株の上昇と衆議院選挙での自公優勢という報道、好調なファンダメンタルズという良い環境があった。それ以外には特に大きな目新しい材料は出ていない。しかし日経平均株価は57年ぶりの14連騰という中で週を終えた。日経平均株価の水準も21年ぶりの高値であった。


買い方
(1)海外
現先総合  8378億円の買い越し
現物    4452億円の買い越し
先物    3926億円の買い越し

まずは大手証券(外資系14社、日系大手5社)の先物手口概算を示す。


10月第3週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20171020

上記の外資系14社合計の先物手口概算(3種の先物)と先物の投資部門別売買状況の海外(3種の先物)とを比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20171020

いつものように海外と外資系の差を修正することによって近づけようとした。修正の(1)と(2)は毎週ある裁定絡みの修正。しかし、まだ846億円も差が残る。この差を埋めるようなシナリオを何通りか考えたが、1つに決めきれなかった。後で示す日銀ETF以外の自己による現先合計が1000億円近くあり、これが大きい週は他に特別な売買がなければ、差を正しく埋めるのは難しい。

先物手口概算を見ると、買い方の第1位はUBS。第3週のUBSによるTOPIXラージ先物の日次合計は売り越しであり、いつものようにモルガンMUFJなどの他社で買って、建玉移管したものである。これはUBS本体運用部の売りで間違いないことがわかる。ただ、運用戦略はまだわからない。絶対収益追求型が変わることはまずない。ただ昨年以前の基本は順張りの戦略を続けるかどうかを見極めるためにはもう少し時間がかかる。

買い方の2番目はABNアムロクリアリング。先物建玉残高証券会社別枚数推移グラフの一番上がABNアムロクリアリングである。過去のやり方からして、大量に買っても保有期間は長くて3か月である。HFTよりは長く持つが、基本は短期の投機的資金による買いである。

買い方の3番目はゴールドマン。これはインデックス連動を維持するための先物買いである。今年に入ってから売り買いの回転が多少は見られる。それでも基本は中長期性の投資的資金の買いであり、トレンド転換の認識を持つまでは順張りを続けると思われる。

海外の買いの半分強は現物。アベノミクス相場の初期の頃は現物の比率はもっと高かった。当時と比較すると、中長期性の投資的資金の比率は低下している。それでも日経平均ラージ先物を中心とした投機的資金の比率はそれほど高くはない。ゴールドマンに代表されるように持たざるリスクを感じて買っている投資的資金の買いの比率が高いと思われる。

買い方
(2)自己
自己はいつも最後に記載。


売り方
(1)個人
現先総合 5458億円の売り越し
現物現金 4885億円の売り越し
信用     70億円の売り越し
先物    502億円の売り越し

相変わらず現物現金の売りは高水準。高年齢富裕者層が持つ、株を保有するリスクは失われていない。高値にある間は株式離れはまだ続きそうである。信用、先物を駆使するスイングトレーダーも売り越しである。

先物建玉残高証券会社別枚数推移グラフの一番下が「その他証券」の先物建玉保有枚数である。「その他証券」の顧客の大半は個人であることから、この建玉は個人の建玉に比較的近い。これを見る限り、個人による日経平均型先物のショートの水準は非常に大きい。相場がどちらに動いても買い戻しにならざるをえない。

売り方
(2)信託
現先総合 2494億円の売り越し
現物    648億円の売り越し
先物   1846億円の売り越し

信託も上がると売りにならざるをえない。みずほと三菱UFJの先物が大幅な売り越しになっている。この2社の先物売りの何割かは広義をも含む裁定であるが、何割かは信託の売りである可能性が高い。野村と大和が買い越しであるのと対照的である。三菱UFJ信託、アセットマネジメントOneの信託部門がヘッジ売りを出していた可能性が高い。第2週は野村証券から信託の大口ヘッジ売りが出たが、大手信託の先物ヘッジ売りが止まらない。

売り方
(3)投信
現先総合  1172億円の売り越し
現物    1073億円の売り越し
先物      99億円の売り越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 1000億円の純流出(この中の多くの部分が現物株の売りになる)
この週の投信の現物売りの大半は解約売りで説明できる。

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 300億円前後の売り越し
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 250億円前後の売り越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 150億円前後の売り越し

上記のファンドを含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で800億円前後の売り越し。

上記以外の投信による売買

日経平均ラージ先物で700億円の買いが入っている。公募、私募投信の通常売買だけかもしれない。ただ手口を見ると野村か大和である。野村アセット、大和投信の私募投信の買いであるかもしれない。ただ、大手3社への集中度という点で私募投信はETFよりもずっと低い。全く別の大口の私募投信が野村と大和に買いを同時に入れた可能性もありうる。


(*)自己という特殊な部門
10月第2週は買い方の(2)になった
現先総合 1034億円の買い越し
現物   3177億円の買い越し
先物   2142億円の売り越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 60億円の買い

日銀ETF以外の自己
 1000億円の買い(現先合計)
日銀以外の自己は、第1週、第2週の合計で5000億円以上売り越していた。従って、第3週が1000億円の買いとなったのは妥当である。ただ自己に大きく動かれると、先に書いた海外や、後で書く裁定の買いまでも読めなくなってしまう。たまに読める形になることがあるが、他に特別な売買がなければ、自己の内部を読むのは困難である。この場合、自己だけではなく自己以外の先物全体の読みも難しくなってしまう。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 1148億円の裁定形成(現物買い・先物売り)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定形成売買上位の証券会社
  みずほ600億円、ドイツ400億円、三菱UFJ350億円
 裁定解消売買上位の証券会社
  ソシエテ250億円

東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
  3300億円前後の裁定形成売買(現物買い・先物売り)

上記2つの数字の差は2200億円と大きい。みずほと三菱UFJには上記以上の裁定形成売買があることは間違いない。実際の裁定形成売買は1148億円を上回るが、3300億円までいくかどうかはわからない。裁定の統計がいい加減である上に、日銀ETF以外の自己の買い1000億円がどういう形で入っているかがわからないので、裁定売買も両者の中間以上であることまでしかわからない。


(10月第3週合計)
合計すると「海外の買い越しvs個人、信託、投信の売り越し」であった。

海外の先物はUBS本体運用部という一番わかりやすい主体が最大の買い手であった。それ以外は投機的資金よりも投資的資金の方が比率は高かったと思う。国内投資家とは異なり、持たざるリスクを回避するために買いを入れるのである。

売り方は上値での上昇局面ではたいていは売り越しになる個人、信託、投信であった。12営業日連続の値上がりは、国内投資家の株式離れが依然として強烈であるということを証明してくれた。結果として週間で日経平均株価は302円上昇した。株高による国富の減少は2.9兆円と経常収支2か月分に等しいくらいの損失で週を終えることになった。


(日経平均株価の上昇による損失拡大について)

海外投資家はバブル崩壊後の1991年から累計で、取引所内を通じて現物株を87兆円も買い越している。これに発行市場での売買をも含めた国際収支ベースで見た場合、海外の買い越し金額は111兆円になる。国内投資家から見れば、海外に株を売ったり、発行して買い取らせたりして、安値で株を111兆円も譲り渡したことになる。海外が買い越した111兆円は今や巨額の利益を上げている。現時点での国内投資家の選択肢は、海外から高値で株を買い戻して巨額の損失を確定させるか、デフレ不況に戻すかしか選択肢がない。

いずれにしても、巨額の損失はほとんど確定しており、これ以上の損失拡大をどうすれば最小限にできるかという部分しか解決策はない問題である。長期にわたって国内投資家に株を大量に売らせ、海外に大量に買わせるという金融政策の誤りが導いた悲劇的な結末である。

現在でも日経平均株価が1000円上昇すると、国富を9.5兆円ずつ失うことになる。株価上昇は対外株式債務の含み損の拡大を意味するからである。これがすぐ上に書いた10月第3週の週間での国富2.9兆円減少の根拠である。2015年4月の時点でアベノミクス相場開始以降の国富の損失は100兆円をこえていた。仮に、日経平均株価が3万円、4万円まで上昇すると、国内投資家の損失と海外投資家の利益はとてつもなく巨額なものとなる。かつてフィンランドで類似の現象が発生したことがある。

アベノミクス相場の開始以降、株価が上昇し、株価の時価総額が増えたことによって日本の多くの株式投資家は大儲けした。海外に安く売ってしまったとしても、利益が減っただけであり、別に損をしたわけではない。そうした考え方があることは理解できる。しかし、株価上昇が国富を増やすことはなく、株価上昇は国富の一部門である対外純資産の減少しかもたらさないというのが専門的な考え方=国民経済計算の考え方であることは、ほとんど理解されていない。複雑な経済全体を理解しようとする場合、国民経済計算の考え方が現時点ではベストの考え方なのである。ただ国民経済計算の考え方は完璧ではなく、部分的には欠陥もある。株価上昇についての考え方は、国民経済計算の考え方が絶対に正しいとは言い切れない。

私の考えでは、株価上昇が対外純資産を減らすことは間違いのない真実である。海外に安値で株を売り、高値で買い戻すと、富は必ず海外に流出する。株を安値でカラ売りし、高値で買い戻すことと同じである。これは利益の減少ではなく損失の発生拡大である。しかし、海外との売り越し買い越しがゼロである場合、株価上昇が国富を増やさないという考え方については完全に正しいとは思わない。国民経済計算がなぜそうした考え方を採用しているのかを理解できるので、必然性と欠陥の両方が見える。必然性がある以上、完全に正しくなくても、代替案を出せない。従って、広義国富というような国内投資家が保有する株価上昇をプラスに評価する別の概念を作っても良いという感じはする。

現時点でベストの考え方である国富と対外純資産を使用する国民経済計算の考え方では、株価が上がれば上がるほど日本国民の損失は拡大する。少なくとも対外純資産が減少するという点は間違いのない真実である。この問題の解決策はもうない。今はこれしか言えない。

「もう十分に売った。売るのはやめよう。」


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2017年10月第2週 株 コメント

10月第2週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20171013


10月第2週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20171013



時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年10月第2週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 21155円 前週末比+464円

10月第2週は為替レートは少しばかりの円高。NY株は相変わらず上昇だが、上げ幅は小幅であった。その中で日経平均株価は4日連続で年初来高値を更新し続けた。外部環境以上に日本の株価の値上がり幅が大きかった。その背後には順調なファンダメンタルズ面の回復がある。そして水曜の朝刊に22日の衆議院選挙では自民公明が300議席獲得との報道が出た。水曜以降の株高はこの材料を織り込む展開であったと思う。日経平均株価は約21年ぶりの高値で週を終えた。


買い方
(1)海外
現先総合  7678億円の買い越し
現物    4594億円の買い越し
先物    3084億円の買い越し

まずは大手証券(外資系14社、日系大手5社)の先物手口概算を示す。


10月第2週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20171013

上記の外資系14社合計の先物手口概算(3種の先物)と先物の投資部門別売買状況の海外(3種の先物)とを比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20171013

ここでは海外だけではなく他の部門についても同時に説明する。他の部門については後で再度詳述する。

いつものように海外と外資系の差を修正することによって近づけた。修正の(1)と(2)は毎週ある裁定絡みの修正。(3)は日経平均ミニ先物が限月交代なので必ず発生する乖離の修正。(4)は第1週にゴールドマンで銀行がTOPIXラージ先物を2500億円売ったので、第2週はその買い戻しであることは間違いない。ここまではほぼ当たりである。(5)は日経平均がTOPIXよりも値上がり率が高かったので、外資系の自己が日経平均ラージ先物買い・TOPIXラージ先物売りを実施と仮定してみた。(5)は当たりの可能性は高くない。ただ先物全体ではかなり近い数字になっているため、(4)までだけでも十分である。(5)は付け足しである。

先物手口概算が示すように、買い方のトップはゴールドマンである。その中には銀行によるTOPIXラージ先物の2500億円買いが入っている。それを除く日経平均ラージ先物とTOPIXラージ先物の合計の買いは2550億円になる。このうちTOPIXラージ先物の1400億円ほどの買いは昨年秋から買い続けていた中長期性の資金であり、組入比率の調整に先物を使って実施している可能性が高い。従って同時に現物にも買いを入れている可能性がある。

買い方の2番目はUBSである。この週もUBS証券は売り越しである。モルガンMUFGなどで買った分をUBS証券に建玉移管(より正確にはギブ・アップ)している。これをやる顧客はUBS本体運用部しかありえない。8月第3週以降に振ったショートの買い戻しである。10月第2週の買いでショートはなくなり、買い戻しは完了した。

海外全体を見渡すと、現物の買いが一番多く、次がTOPIXラージ先物、最後が日経平均型の先物である。主力は中長期志向の投資の買いであり、一部に投機が含まれている。9月第2週に株価が上昇し始めた頃は、先物主導であり、特に日経平均型先物の新規買いの比率が高かった。当初は投機筋の買い仕掛けから始まり、その後は10月第2週のような中長期志向の投資家が主導する買いに変わりつつある。

買い方
(2)銀行
現先総合  2474億円の買い越し
現物      91億円の売り越し
先物    2566億円の買い越し

第1週にゴールドマンで銀行の売りが2500億円ほどあった。第2週の12日、13日にはJNETでゴールドマン買い・野村売りのクロスが合計で3000億円ほどあった。このクロスが損切り撤退であったようだ。2500億円というのは金額が大きい。銀行の短期の回転売買は数百億円レベルなら頻繁に見られる。


売り方
(1)個人
現先総合 3316億円の売り越し
現物現金 3467億円の売り越し
信用      8億円の売り越し
先物    159億円の買い越し

現物現金は高年齢富裕者層中心の売り。先物は買い戻し。個人が大部分を占めるその他証券(一番下のグラフ)にはまだ大きなショートが残っており先物の買い戻しは続く。

売り方
(2)信託
現先総合 2961億円の売り越し
現物    441億円の売り越し
先物   2520億円の売り越し

野村とゴールドマンはJNETでTOPIXラージ先物のクロスを行っているが、13日金曜日の野村売り・ゴールドマン買い1600億円のクロスが信託売り・銀行買いであったと思われる。それ以外に日経平均ラージ先物にも売りが出ている。第1週の小幅買い越しに驚いたが、第2週のドテン大幅売り越しも驚きである。

売り方
(3)自己
自己はいつも最後に記載。

売り方
(4)投信
現先総合 909億円の売り越し
現物   288億円の売り越し
先物   621億円の売り越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 630億円の純流出(この中の多くの部分が現物株の売りになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 300億円前後の売り越し

上記のファンドを含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で300億円前後の売り越し。

上記以外の投信による売買
現物           340億円前後の買い越し
TOPIXラージ先物   267億円前後の売り越し

また裁定形成の形になった。現物70億円買いは公募・私募の通常の投信買いの合計であろう。現物270億円買い・TOPIXラージ先物270億円売りは私募のロング・ショート型の投信売買であると推測する。


(*)自己という特殊な部門
10月第2週は売り方の(3)になった
現先総合 2076億円の売り越し
現物    563億円の買い越し
先物   2639億円の売り越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 48億円の買い

日銀ETF以外の自己
 2100億円前後の売り(現先合計)

また大きな自己の売りが残った。常に難解であるが、第2週に関しては現物の売りが2000億円近くあることまでは掴めた。理由は長くなるので省略する。2100億円の多くの部分は自己が現物の取引所外取引で買った分を取引所内取引で売っている。現物は手口が発表されないので、どの投資家が売った分を自己が買い取って売ったかは全くわからない。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 277億円の裁定解消(現物売り・先物買い)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定解消売買上位の証券会社
  野村400億円、ソシエテ300億円
 裁定形成売買上位の証券会社
  ドイツ400億円、三菱UFJ200億円

東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
  2800億円前後の裁定形成売買(現物買い・先物売り)

上記2つの数字の差は3100億円と非常に大きい。実際に入った金額は2800億円の裁定形成と考える。そのうち1400億円は12日にJNETで振られた1400億円のゴールドマン買い・野村売りである。銀行がゴールドマンで買い戻しにきた分に対して野村の自己が売り向かい、1400億円を現物でカバーして裁定の形を作り、残高だけを東証に報告した。翌13日の分は自己は使わずに信託という売り手を探し出した。それ以外にも日系大手には先物売りが多く、これは裁定残とだけ報告されている可能性が高い。


(10月第2週合計)
合計すると「海外、銀行の買い越しvs個人、信託、自己、投信の売り越し」であった。

銀行は第2週に売った投機的ヘッジの買い戻しである。買い方の大半はやはり海外であった。少し前の投機家中心から投資家中心へと客層も変化しつつある。個人、信託、投信といった国内勢の主力は売り越しであった。ただ売りは上値の指し値売りが中心であった。

高値の上昇局面では常にと言って良いほどよく見られる典型的なパターンであった。結果として日経平均株価は464円高の21155円で週を終えることになった。


(日経平均株価の上昇による損失拡大について)

海外投資家はバブル崩壊後の1991年から累計で、取引所内を通じて現物株を86兆円も買い越している。これに発行市場での売買をも含めた国際収支ベースで見た場合、海外の買い越し金額は111兆円になる。国内投資家から見れば、海外に株を売ったり、発行して買い取らせたりして、安値で株を111兆円も譲り渡したことになる。海外が買い越した111兆円は今や巨額の利益を上げている。現時点での国内投資家の選択肢は、海外から高値で株を買い戻して巨額の損失を確定させるか、デフレ不況に戻すかしか選択肢がない。

いずれにしても、巨額の損失はほとんど確定しており、これ以上の損失拡大をどうすれば最小限にできるかという部分しか解決策のない問題である。過去の長期にわたる金融政策の誤りが導いた悲劇的な結末である。

現在でも日経平均株価が1000円上昇すると、国富と対外純資産をそれぞれ9.5兆円ずつ失うことになる。株価上昇は対外株式債務の含み損拡大を意味するからである。2015年4月の時点でアベノミクス相場開始以降の国富と対外純資産の損失は100兆円を超えていた。仮に、日経平均株価が3万円、4万円まで上昇すると、国内投資家の損失と海外投資家の利益はとてつもなく巨額なものとなる。かつてフィンランドで類似の現象が発生したことがある。

アベノミクス相場の開始以降、株価が上昇し、株価の時価総額が増えたことによって日本の多くの株式投資家は大儲けした。海外に安く売ってしまったとしても、利益が減っただけであり、別に損をしたわけではない。そうした考え方があることは理解できる。しかし、株価上昇が国富を増やすことはない、株価上昇は対外純資産の減少しかもたらさないというのが専門的な考え方=国民経済計算の考え方であることは、ほとんど理解されていない。複雑な経済全体を理解しようとする場合、国民経済計算の考え方が現時点ではベストの考え方なのである。ただ国民経済計算の考え方は完璧ではなく、部分的には欠陥もある。株価上昇についての考え方は、国民経済計算の考え方が絶対に正しいとは言い切れない。

私の考えでは、株価上昇が対外純資産を減らすことは間違いのない真実であると考える。海外に安値で株を売り、高値で買い戻すと、富は必ず海外に流出する。株を安値でカラ売りし、高値で買い戻すことと同じである。これは利益の減少ではなく損失の発生拡大である。しかし、海外との売り越し買い越しがゼロである場合、株価上昇が国富を増やさないという考え方については違和感がある。国民経済計算がなぜそうした考え方を採用しているのかを理解できるので、必然性と欠陥の両方が見える。必然性がある以上、完全な代替案はない。従って、広義国富というような国内投資家が保有する株価上昇をプラスに評価する別の概念を作っても良いという感じはする。

現時点でベストの考え方である国富と対外純資産を使用する国民経済計算の考え方では、株価が上がれば上がるほど日本国民の損失は拡大する。少なくとも対外純資産が減少するという点は間違いのない真実である。この問題の解決策はもうない。今はこれしか言えない。

「もう十分に売った。売るのはやめよう。」


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