2017年9月第2週 株 コメント

9月第2週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170915

9月第2週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用201708915

時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年9月第2週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 19910円 前週末比+635円

9月第2週は北朝鮮の核・ミサイル問題対する悲観論の後退、およびハリケーン・イルマによる被害がそれほど大きなものとはならなかったことによりNY株が上昇。NYダウは過去最高値を更新。アメリカの長期金利も上昇したことから、円安が進行。これらを好感する形で日経平均株価は戻り相場となった。14日木曜日は前場に朝鮮中央通信が日本に対して核による脅しを放送したことから伸び悩み。しかし、15日金曜日は北朝鮮が朝方に日本上空をこえるミサイルを発射したが、瞬間円高になった以外は株価も為替も反応がなかった。結局は週を通して上昇し、日経平均株価は比較的大きめの上昇幅で週を終えることになった。


買い方
(1)海外
現先総合  8274億円の買い越し
現物    4173億円の売り越し
先物  1兆2446億円の買い越し

まずは大手証券(外資系14社、日系大手5社)の先物手口概算を示す。


9月第2週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170915

上記の外資系14社合計の先物手口概算(3種の先物)と先物の投資部門別売買状況の海外(3種の先物)とを比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170915

これから海外と自己について同時に説明するが、自己については後で詳述する。

いつものように海外と外資系の差を修正することによって近づけた。上記には3つの理由をあげている。これらはいくつかの考えられるシナリオの中で相当確度が高いと思われるシナリオである。金額に多少の乖離があっても当たりと呼ぶのならば、当たりの確度は(1)が75%、(2)が99%、(3)が75%である。

ただ、なぜ当たりの可能性が高いかを正確に説明すると非常に長くかつ難解になってしまう。重要でも難解な部分は省略し、比較的簡単な部分だけを説明することにする。

(1)は外資系と自己の現物と先物の売買を見れば、外資系で裁定解消、自己で裁定形成の形になっている。その売買はTOPIXラージ先物を使ったもので、金額は6000億円と算出した。裁定残を海外自己から東京自己に移したという推測をQUICKで見た。私はその可能性は低いと思う。外資系の海外自己に広義の裁定残はある。一番残高が多そうな外資系はパリバである。しかし、9月第2週のパリバのTOPIXラージ先物買いは1000億円未満であり、6000億円は移せない。パリバ以外ではどの外資系でも1社で海外自己に6000億円という裁定残は大きすぎであり、6000億円の裁定残の移動があったとは考えられない。

より可能性が高いのはアービトラージ型のヘッジファンドのポジション解消を外資系の東京自己が受けたというものである。1社で解消売買を受けたとすれば、その会社は売買金額が一番大きいソシエテであると考える。ただ数社に分けて出された可能性もあり、その場合はどこの外資系証券が受けたかはわからない。ヘッジファンドの売買が外資系の東京自己に直接出されずに、外資系の海外自己を通して東京自己に出されたことならありえる。

(2)は日経平均ミニ先物中心限月である12月限の建玉が公表されていないので、12月限に海外の買いが外資系に2000億円前後あったことはほぼ間違いない。

(3)は後で示す日銀ETFを除く自己の買いが2000億円強あるからだ。第2週は日系大手が買った可能性は非常に低いので、外資系の自己が2000億円前後買っているはずである。これも証券会社はどこかはわからないがおそらく複数であり、2000億円に相当する現物かデリバをOTCで売っているはずである。買い向かったのは海外であり、海外はOTCで現物かデリバを2000億円買い越していた。

ちなみに、この週の海外による先物買い越し1兆2446億円というのは、過去第2位という記録的な大きさであった。過去第1位は2014年11月第1週。黒田バズーカ砲第2弾の炸裂直後の週であり、先物だけでも過去最高、現先総合でも過去最高の買い越しを記録した。黒田バズーカ砲第2弾は国内投資家による週間の株式離れが過去最高というすざまじいマイナスの破壊力を発揮したのであった。この時と比較すると、今回の海外による現先合計の買いはかなり少ない。

またこの週の外資系の先物買い越し上位にある証券会社の先物建玉は、大半が9月第1週末時点において買い建玉となっていた。第2週はショートカバーではなく、買い乗せが大半を占めている。アービトラージ解消を除くと海外の買いは日経平均型の先物の買いが一番多い。この週はいろいろな種類の海外が買っていたと思うが、日経平均型先物の買いが中心なので、ヘッジファンドを中心とする投機筋の比率がかなり高かったと思われる。

9月第2週の海外は投機筋を中心に日経平均型の先物を6000億円強買ってきた。別の投機筋は現物売り・TOPIXラージ先物買いというアービトラージの解消売買を6000億円実施した。その他に現物を2000億円買った投資家、OTCで2000億円買った投資家もいた。北朝鮮の核・ミサイルを恐れず、NY株の上昇を見て日本株を急に大量に買ってきた。海外の買いの合計は現先総合で8274億円、OTCも含めると1兆円強の買い越しであった。

買い方
(2)自己
自己はいつも最後に記載

買い方
(3)事法
現先総合  637億円の買い越し
現物    762億円の買い越し
先物    124億円の売り越し

9月13日に日本郵政が1000億円の自社株買いを実施している。政府が売ったのでその他法人が1000億円近い売り越しになっている。この自社株買いを除くと事法は売り越しであったようだ。


売り方
(1)個人
現先総合 6199億円の売り越し
現物現金 3524億円の売り越し
信用    729億円の売り越し
先物   1946億円の売り越し

久々の大幅売り越しであり、最近は買い越しが続いていた信用も含めて売り越し。上がれば売らないと日本株は儲からないという鉄則を守っている。


売り方
(2)投信
現先総合 1654億円の売り越し
現物    478億円の買い越し
先物   2132億円の売り越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 563億円の純流出(この中の多くの部分が現物株の売りになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 1050億円前後の売り越し

上記のファンドを含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で1150億円前後の売り越し。

上記以外の投信による売買
現物        1000億円前後の買い越し
日経平均ラージ先物  600億円前後の売り越し
TOPIXラージ先物 397億円の売り越し

現物買い・先物売りの裁定の形になっている。公募投信の売買も当然あるはずだが、多くは私募投信の売買であり、実際に裁定に近い売買をしていた可能性が高い。

売り方
(3)信託
現先総合 1511億円の売り越し
現物   1044億円の売り越し
先物    467億円の売り越し

クジラの上値の買いは完全になくなった。日本株には戻れば売りという勝利の方程式があり、それを忠実に実行。


(*)自己という特殊な部門
9月第2週は買い方の(2)になった
現先総合 2219億円の買い越し
現物   9785億円の買い越し
先物   7565億円の売り越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 60億円の買い

日銀ETF以外の自己
 2150億円前後の買い(現先合計)
海外のところで書いたが、この買いは外資系から入っているとしか考えられない。そのため、2000億円前後は自己がTOPIXラージ先物を買い、OTCで現物かデリバを売っていると考えた。従って、OTCで現物かデリバを買っているのは海外である。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 837億円の裁定形成(現物買い・先物売り)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定形成売買上位の証券会社
  三菱UFJ900億円、ドイツ600億円、
 裁定解消売買上位の証券会社
  ソシエテ600億円

東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
  3400億円前後の裁定形成売買(現物買い・先物売り)

上記2つの数字の差は2600億円と大きい。ただ、この週は自己の現物買いが多いので実際の裁定形成売買も多かったと考えている。三菱UFJ以下日系大手5社の先物はすべて売り越しである。投信、信託など国内機関投資家の売りを大幅に上回っている。この週は日系大手の東証に報告された狭義、広義の現物買い・先物売りは合計で3400億円前後あるはずである。これに外資系自己の現物買い・先物売りというアービトラージ解消の受け6000億円を加えると、自己の現物買いは9400億円。正確な自己の買いである9785億円に近い金額になる。

(9月第2週合計)
合計すると「海外、自己、事法の買い越しvs個人、投信、信託の売り越し」であった。

この週の買い方は大半が海外であった。自己の買いの大半も海外の買いの代理であり、現先合計にOTCを加えた海外の買い越し金額は1兆円をこえていた。

売り方は個人、投信、信託。どんなにファンダメンタルズが良くとも、高値で上がると必ず大幅な売り越しになる。これが右肩上がりではない相場で勝ち残る勝利の方程式であるからだ。経済学の用語を使うとヒステリシスということになる。

ただし、国内の売りの大半は上値の指し値売りである。一方、海外の買いは買い上がりである。結果として日経平均株価は635円の上昇で週を終えることになった。



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2017年9月第1週 株 コメント

9月第1週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170908

9月第1週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用201708908


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年9月第1週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 19275円 前週末比-417円

9月第1週は、3日日曜日に実施された北朝鮮の核実験が株式市場に下落圧力をもたらした。地政学的リスクの回避のためにNY株は下げた。同時に長期金利も低下したため、円高が進行。これを嫌気して日本の株価は下がり続けた。水曜にアメリカの連邦債務上限問題の3か月先送りが決定されNY株が上昇したため、木曜だけは日本株も上昇。それ以外は下落が続き、久々に大きめの下落で週を終えることになった。

買い方
(1)個人
現先総合 1647億円の買い越し
現物現金  390億円の買い越し
信用    273億円の買い越し
先物    984億円の買い越し

8月第5週の株価の戻りは売り越しであったが、9月第1週になって株価が下がるとすかさず買い越しになった。スイングトレーダーを中心に売りが続いていた先物が一番大幅な買いとなった。高年齢富裕者層の売り切りはあったと思う。しかし株価が下がったところではそれ以外の大半の中短期志向の投資家は買いになり、現物現金、信用ともに買いになった。

買い方
(2)自己
自己はいつも最後に記載

買い方
(3)事法
現先総合  590億円の買い越し
現物    532億円の買い越し
先物     57億円の買い越し

大部分が自社株買い。小口の買いの集積。


売り方
(1)海外
現先総合 4009億円の売り越し
現物   2949億円の売り越し
先物   1060億円の売り越し

まずは大手証券(外資系14社、日系大手5社)の先物手口概算を示す。


9月第1週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170908

上記の外資系14社合計の先物手口概算(3種の先物)と先物の投資部門別売買状況の海外(3種の先物)とを比較すると下記のようになる。

ブログ外資系と海外の比較20170908

これから海外と自己について同時に説明するが、自己については後で詳述する。

メジャーSQのあった週なので、外資系と海外の売買に差が出るケースが多い。修正前は2687億円もの差があった。上記では4つの理由を仮定して外資系と海外の売買の差を無理矢理37億円まで減らした。この修正は単なる1つのシナリオにすぎない。4つの仮定のうち、上から順に数えて(1)、(2)は当たりの可能性が高く、(3)は当たりの可能性は50%、(4)が当たりとなる可能性は低い。外資系の自己のポジション変化は通常の週でも複雑であり、外から見て当てられるようなものではない。メジャーSQのある週はさらに複雑になる。この全部が当たりとなる可能性が低いシナリオを説明するだけでも長くなるので、これ以上の説明は省略する。

海外は日経平均ラージ先物売り、TOPIXラージ先物買いであるが、パリバが日経平均ラージ先物売り、TOPIXラージ先物買いを大量に実施し、ゴールドマンがその反対の売買をしている。先物だけでも実質的にどちらの種類の先物をどれだけ売買したのかもよくわからない。

ただこの週の海外は先物ではなく、現物中心の売りである。北朝鮮の核実験を嫌気した海外は、ヘッジファンドのような投機家は少なく、もう少し中長期的な観点から売買する年金、投信といった投資家の売りの比率が高かったと思われる。

売り方
(2)信託
現先総合  304億円の売り越し
現物   1074億円の買い越し
先物   1377億円の売り越し

信託は1400億円ほどの現物買い・TOPIXラージ先物売りを実施した投資家がいたように見える。みずほのTOPIXラージ先物が1650億円の売り越しであり、自己の裁定ではないので、顧客の売りである。みずほで1400億円の現物買い・TOPIXラージ先物売りを実施した信託がいる。常識的には、アセットマネジメントOneだと思われる。

1月第2週のブログで説明したが、昨年末から今年の初めにかけてアセットマネジメントOneと思われる投資家が信託勘定で1400億円の現物売り・TOPIXラージ先物買いを実施している。今回の売買はその反対売買である。8か月ほど前に現物買いを先物買いに乗り換え、9月第1週に先物買いを現物買いに戻している。外見上は合う。ただこうした売買をする動機がわからない。SQとその直前のみずほのTOPIXラージ先物売買も変則的であり、見えないところで何かやっていそうなのであるが、その部分も読めない。

このみずほの乗り換え売買を除いても、信託は現先合計で304億円の売りということに変わりはない。まだ信託が買いを入れる位置ではないようだ。


(*)自己という特殊な部門
9月第1週は買い方の(2)になった
現先総合 1091億円の買い越し
現物    120億円の売り越し
先物   1210億円の買い越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 2277億円の買い

日銀ETF以外の自己
 1200億円前後の売り(現先合計)
海外のところで書いたが、この週の先物は外資系が買い越し、海外は売り越しである。理由の1つは外資系の買いの中に自己の買いが隠れているからである。従って1200億円前後の売りは外資系ではなく日系大手の売りである。SMBC日興と野村が先物を大量に売り越しているが、国内機関投資家にはみずほを通じたアセットマネジメントOneと思われる信託部門以外に大きく先物を売り越している部門はない。日興と野村の自己は先物を売って、OTCで現物かデリバを買っている。その買いに対して国内機関投資家がOTCで1200億円前後の売りを出している。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 2064億円の裁定解消(現物売り・先物買い)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定解消売買上位の証券会社
  みずほ2700億円、ソシエテ500億円、三菱UFJ300億円
 裁定形成売買上位の証券会社
  ドイツ1250億円、野村200億円

東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
  400億円前後の裁定解消売買(現物売り・先物買い)

上記2つの数字の差は1700億円。金額としては大きいが、メジャーSQのある週にはしばしば見られる大きさ。


(9月第1週合計)
合計すると「個人、自己、事法の買い越しvs海外、信託の売り越し」であった。

メジャーSQのあった週なので、よくわからない売買がかなり大量に入っていた。それでもパターンとしては下げ相場の標準的パターンであった。海外は北朝鮮の核実験を嫌気して、現物を中心に売ってきた。そして下がった局面では、日銀ETF、個人、事法が下値に買いの指し値を入れていた。

過去に何度も見てきたパターンと同じパターンで、9月第1週の日経平均株価は417円の下落で週を終えることになった。


(追記)
アベノミクス相場開始以降、海外が13.7兆円の買い越し、日銀ETFが13.9兆円の買い越しで、日銀ETFの買いが海外の買いを上回るという異常事態が発生したかのような報道があった。しかし本質的な問題はそこにあるのではない。アベノミクス相場開始以降、国内投資家が27兆円以上も売り越しているという点である。

国内投資家の株式離れは超がつくほど異常としか言いようがない。異常な現象に対して普通の政策で対応すること自体が間違っているのである。このすさまじい国内投資家の株式離れの原因は、日銀の金融緩和があまりにも遅く、あまりにも小規模であったことにある。

現在必要な政策は、日銀が国債の購入金額を減らすのではなく、大幅に増やすことが必要である。市場から国債が本当になくなれば、運用先のない資金の一部は株の購入に回るはずである。国内投資家が株を買い上がるようになれば、株価は上昇する。株価上昇が長く続けば、いずれ必ずバブルに到達する。その時こそETF売却という出口戦略が見えてくるのである。


(参照)
ETFだけではなく国債をも含めた出口戦略を含む政策は下記のブログ記事に書いております(ただし内容は株式投資家向けではなく、金融政策の専門家向けです)。
日銀「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に対する代替案




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2017年8月第5週 株 コメント

8月第5週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170901

8月第5週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170901


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年8月第5週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 19691円 前週末比+239円

8月第5週はNY株がNASDAQを中心に上昇した。為替レートも少しばかり円安が進行した。週初はイエレンFRB議長によるジャクソンホールでのタカ派発言を期待して金曜に円を買った筋が円を投げ、円高が少し進行。株価も小幅安。火曜は北朝鮮が日本上空を通過するミサイルを発射して円高株安。水曜からはNY株の上昇が続き、日本株も上昇に転じた。日経平均株価は6週連続の下げが続いた後、久々に上昇で週を終えることができた。


買い方
(1)海外
現先総合  929億円の買い越し
現物    614億円の売り越し
先物   1542億円の買い越し


まずは大手証券(外資系14社、日系大手5社)の先物手口概算を示す。


8月第5週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170901


上記の外資系14社合計の先物手口概算(3種の先物)と先物の投資部門別売買状況の海外(3種の先物)とを比較すると下記のようになる。


ブログ外資系と海外の比較20170901

これから海外と自己について同時に説明するが、自己については後で詳述する。

東証から発表されているドイツの裁定売買は売り買いともに300億円ずつである。これを日経平均型で裁定解消、TOPIX型で裁定形成と考えた。

ドイツには東証から発表されていない裁定類似の売買もある。8月第3週は850億円の裁定解消売買、8月第4週は700億円の裁定形成売買があったことをその週のブログに記載してある。第5週もTOPIX型で250億円の裁定形成売買があると考えた。第5週のドイツのTOPIXラージ先物の売りはすべて自己と考えたわけである。この週は東証発表の裁定売買は裁定解消である。しかし、投資部門別売買状況の自己を見ると700億円ほどの裁定形成売買があった形である。どこかが裁定類似の形成売買をしていなければならない。日系は野村が中心だと思うがそれだけでは足りない。外資系で裁定売買をよく行い、かつ第5週が裁定形成の形になっているのはドイツだけである。

また、第5週は日銀ETF以外の自己は650億円の売りとなる。説明は省略するが、日系に自己の売りが650億円もある可能性は非常に低い。大半は外資系でのTOPIXラージ先物の売りである。だからゴールドマンを中心に650億円の自己の売りがあったと考えた。イメージとしてはゴールドマンで1000億円売り、他の外資系を合計して350億円の買いという感じである。自己が650億円の先物売りをしている背後には、東京自己に同金額のOTCデリバと思われる買いが存在し、海外が売り向かっている。可能性としては他にも多数考えられるが、ここではエクイティ・スワップを中心とするOTCデリバであったことにする。海外には合計して650億円の売りがOTCデリバで存在する。

海外の現先合計は929億円の買い越し。そこから650億円のOTCデリバの売りを差し引くと、300億円前後の買いまで減少する。実質的な海外の買い越し金額は非常に少額であった。

先物の売り方のトップはUBS。第5週も他社で売ってUBS証券に建玉移管なので、UBS本体運用部の売りである。今年に入って2.1兆円の売り越しであり、年初来でも売り方の断トツのトップである。

売り方の2番目はゴールドマン。第4週は売り方のトップであったが、第5週はTOPIXラージ先物を中心とした1150億円の売りであった。先に書いた通り、ゴールドマンのTOPIXラージ先物売りの背後には650億円~1000億円程度の海外の大口顧客によるOTCデリバを使った売りが存在する。その売りに東京自己が買い向かい、大証先物を使ってヘッジ売りを出した可能性が高いと考えている。従って、UBSとは異なり、第4週に売った顧客とは別の大口顧客の売りである。

先物の買い方のトップはクレディ・スイス。先物建玉証券会社別の上から15番目がクレディ・スイスである。8月9日水曜日に派手に売ってヘッジファンドが売ったと大騒ぎになった。ところがクレディ・スイスは昨年後半から基本的には買い越しが継続中なのである。今年に入ってからは3種の先物合計で7400億円ほど買い越しており、8月第5週の買いにより年初来でも買い方のトップになった。プライベート・バンキング部門の買いとヘッジファンドの買いの2つの部門の買いが多いと思われる。8月第5週についてはどちらの部門の買いかは現時点では区別が付かない。

繰り返すが、海外は現物、先物、OTCデリバを合計すると300億円ほどの買いにしかならない。そして、自己の裁定売買は裁定解消売買が多かったが、自己は現物買い・先物売りであった。誰かが先物を大量に買ったから正式な裁定解消売買を上回る裁定類似の形成売買が入った。海外全体では買い越し金額は小さかったが、クレディ・スイスを中心とする先物買いがこの週の日経平均株価を上昇させた最大の原動力であった。NY株価の上昇を見ながら買いを入れていた可能性が高い。

(2)投信
現先総合 883億円の買い越し
現物   194億円の買い越し
先物   689億円の買い越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 184億円の純流入(この中の多くの部分が現物株の買いになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
  150億円前後の買い越し

この3本を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で250億円前後の買い越し。

上記以外の投信による売買
現物買いの大半は設定で説明できる。先物はブルベア型投信以外に450億円ほどの買いがある。公募、私募を合計した通常の売買の範囲内である。強気になったので先物を使って組入比率を引き上げたと思われる。

(3)自己
自己はいつも最後に記載


売り方

(1)個人
現先総合 1788億円の売り越し
現物現金  985億円の売り越し
信用    124億円の買い越し
先物    927億円の売り越し

株価は少しばかりの上昇であったが逆張りの売りになった。現物現金は高年齢富裕者層の売りがすっと継続。先物は3週連続で売り越しであるが、その前に買い下がりが続いていた。新規売り以外であるならば、第5週についてはスイングトレーダーで利食えた人は少ししかいなかった。ずっと前から買い続けていたなら利食えた人もいる。


(*)自己という特殊な部門
8月第5週は買い主体の(3)になった
現先総合  136億円の買い越し
現物    799億円の買い越し
先物    663億円の売り越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
 793億円の買い

日銀ETF以外の自己
 650億円前後の売り(現先合計)
この650億円の売りはゴールドマンを中心とする外資系の自己が売ったと考えている。

裁定売買
東証発表の裁定売買
 491億円の裁定解消(現物売り・先物買い)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定解消売買の上位の証券会社(正確には新規売り裁定の形成売買)
  みずほ550億円
 
東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
  600億円前後の裁定解消売買(現物売り・先物買い)

上記2つの数字の差は大きくない。どちらにせよ500億円前後の現物売り・先物買いである。自己の現物は799億円買い、先物は663億円の売りであり、700億円前後の裁定形成が入った形。そのため、野村とドイツを中心に裁定類似の形成売買が正式な裁定解消売買以上に入っていると考えた。


(8月第5週合計)
合計すると「海外、投信、自己の買い越しvs個人の売り越し」であった。

海外は現物と先物にOTCデリバを加えると300億円ほどの買いにしかならない。しかし、クレディ・スイスを中心に外資系から海外の先物買いが大量に入り、この買いが裁定類似の現物買いをもたらし、この週の最大の上昇エンジンになった。実質的な金額ベースでは投信の買いが最大であった。火曜の下げ局面では日銀ETFの買いが支えた。

最大の売り方は個人。現物現金を売った高年齢富裕者層にせよ、先物を売ったスイングトレーダーにせよ、戻り局面での指し値売りが中心であったので、株価は下には行かなかった。

結果として、8月第5週の日経平均株価は239円の上昇で週を終えることになった。


8月月間


投資部門別コメント月次20170901


記録にとどめておくべき事項、数字

(1)投信現物
野村総研によると、7月の公募型日本株投信は333億円の資金純流入

(2)投信による日経平均ラージ先物の大口売買

野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 1650億円前後の買い越し
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 450億円前後の買い越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 150億円前後の買い越し

上記を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計では2450億円前後の買い越し

(3)事法部門での自社株買い
KDDIの293億円買いが一番大口

(4)信託部門での自社株買い
トヨタ926億円、野村ホールディングス158億円が大口
上記2社合計で1084億円
上記2社の自社株買いを除く信託の買いは、現先総合で146億円の売りになる。

(5)自己
日銀ETFが6885億円の買い

(6)裁定売買(大部分が自己、一部は海外)
東証発表 裁定解消売買の金額合計
 1381億円(現物売り・先物買い)
東証発表 裁定残株数変化からの裁定解消売買推計値
 3300億円前後(現物売り・先物買い)

(7)先物手口
 UBS証券1社で9000億円弱の売り。大半がUBS本体運用部の売り。

(8)合計
8月月間では

「自己8598億円の買い越し、投信3491億円の買い越し、事法1964億円の買い越しvs海外1兆4336億円の売り越し」

で日経平均株価は268円下落の19691円で8月の5週間を終えた。

最後に繰り返すと
自己は日銀ETFが6685億円の買い越し
海外はUBS本体運用部が9000億円弱の売り越し



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2017年8月第4週 株 コメント

8月第4週 投資部門別売買状況 現物先物合計 現物 先物
投資部門別コメント週次20170825

8月第4週 大手証券 先物手口概算
ブログ週間先物手口20170825

8月第4週 日経平均株価 日中足チャート
週足株価ブログ用20170825


時系列データ
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次) 
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ



(2017年8月第4週の株式市場の概況)
日経平均株価終値 19453円 前週末比-18円

8月第4週のNY株は小幅高、為替レートは少しばかりの円安であった。前週末のNY株の下落を嫌気して、週初は安く始まった。火曜にアメリカで税制改革進展の期待が出てNY株が急上昇。日本株も水曜の寄り付きは高かった。しかし、昼休み中にトランプ大統領がメキシコの壁建設のために政府機関閉鎖も辞さないとの発言が流れ、円高が進行。株価も後場は安くなった。金曜は週末のジャクソンホールでのイエレンFRB議長の発言に対する思惑で円安が進行し、株価も上昇した。週間の日経平均株価は少しばかりの下落であったが、6週連続の下落となった。


買い方
(1)投信
現先総合 1304億円の買い越し
現物    363億円の買い越し
先物    941億円の買い越し

野村総研による日本株型公募投信の資金流出入
 223億円の純流入(この中の多くの部分が現物株の買いになる)

ブルベア型投信による日経平均ラージ先物の大口売買
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」
 600億円前後の買い越し
野村アセット「NEXT FUNDS」シリーズ
「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」
 250億円前後の買い越し
大和投信
「ダイワ・ブルベア・ファンドⅣ ブル3倍日本株ポートフォリオⅣ」
 100億円前後の買い越し

この3本を含む観察中の大口ブルベア型投信7本の合計で1000億円前後の買い越し。

上記以外の投信による売買
現物         140億円前後の買い越し
日経平均ラージ先物   50億円前後の売り越し
TOPIXラージ先物  24億円の売り越し
合計         170億円前後の売り越し
この程度の売り越しは、公募、私募の両方の投信による通常売買の合計金額の範囲内である。

(2)自己
自己はいつも最後に記載

(3)事法
現先総合  507億円の買い越し
現物    518億円の買い越し
先物     11億円の売り越し

大部分が自社株買い。小口の買いの集積。


売り方
(1)海外
現先総合 3310億円の売り越し
現物   1529億円の売り越し
先物   1781億円の売り越し

先物の投資部門別売買状況の海外と先物手口概算(3種の先物)の外資系14社を比較すると下記のようになる。


ブログ外資系と海外の比較20170825

ドイツの先物は大幅な売り越しであったので、TOPIXラージ先物の売りは日銀ETF設定も考えて、裁定以外の勘定で700億円の現物買い・先物売りを実施したと考えた。通常ならいくつか考えられるシナリオの1つにすぎない。ところが8月第4週はいくつかの考えられるシナリオのほとんどは実現の可能性が低く、消去方を用いると、このシナリオである可能性が一番高くなるために想定した。

8月第4週の先物の売り手の2番手はUBS。大半をモルガンMUFGで売ってUBS証券に建玉移管という売買手法をとっている。この売買手法をとるのはUBS本体運用部しか考えられない。第3週に、運用は一旦終了で今後は別個の新ファンドの売買が始まると書いた。しかし第3週に3700億円売り、第4週に2000億売りとなると、同じファンドか新ファンドか区別が付かない。ただ売買手法は従来と同じである。運用戦略はもう少し見ないとわからない。

UBS以上の売りを出したのはゴールドマンである。売りの大部分をABNアムロクリア、JPモルガンで売ってゴールドマンに建玉移管(またはギブ・アップ)している。外資系の多くは建玉移管とギブ・アップを頻繁に行う。ゴールドマンでも当然多い。しかし過去にゴールドマンが日々の売買の合計は買い越し、しかし他社から移管などを受けて売り越しというUBS的な売買手法を大規模に実施したという記憶はない。昨年秋以降、大量に買い上がった数社の大口顧客とは全く別の顧客である。UBS本体運用部がゴールドマンにも建玉を置いたのではとも感じる。ただまだ1回目なので、ゴールドマンももう少し様子を見ないとある程度確度の高いことはわからない。

海外は現物も1529億円の売りである。どんな主体かはわからないが、トランプ政権の先行きを悲観的に捉えて、最近は現物売りを出し続けている投資家がいるようである。

海外の現先合計は3310億円の売りである。その中で、ゴールドマンとUBSの先物売りの合計が4550億円。この2社以外にも現物を中心に売り越した海外顧客は大勢いるのではあるが、第3週の海外の売りは実質的にはゴールドマンとUBSの2社による先物売りであったと考えても差し支えがないと考える。

(2)個人
現先総合  391億円の売り越し
現物現金   31億円の売り越し
信用    157億円の買い越し
先物    517億円の売り越し

下げ相場であったが、順張りの売りとなった。信用の買残がまだ多くないので、スイングトレーダーはまだ余裕がある信用では買い越した。しかし先物は買いが続いていたので、2週連続で売り越しになった。現物現金を買い越している個人は多いはずであるが、基本的には売り一辺倒の高年齢富裕者層の売りが常に存在するので、個人の現物現金は小幅ながら売り越しになった。


(*)自己という特殊な部門
8月第4週は買い主体の(2)になった
現先総合  846億円の買い越し
現物     97億円の買い越し
先物    749億円の買い越し

日銀ETF
自己に含まれる日銀ETF
  793億円の買い

日銀ETF以外の自己
 50億円前後の買い(現先合計)
ディーラーのポジションが少し変化しただけの金額

裁定売買
東証発表の裁定売買
 688億円の裁定解消(現物売り・先物買い)

裁定売買を実施した主な証券会社
 裁定解消売買の上位の証券会社
  みずほ550億円、三菱UFJ200億円
 
東証発表の裁定残の株数変化から計算した裁定売買の推計値
 1300億円前後の裁定解消売買(現物売り・先物買い)

裁定残は裁定解消売買で688億円減少し、裁定解消以外の売買で1300億円ほど減少している。裁定解消以外の売買で600億円の裁定残が減少したことになる。これを実施した証券会社の中にみずほと三菱UFJが入っている可能性が高い。みずほと三菱UFJ2社の先物の買い金額は合計で1700億円にものぼる。正式な裁定の買いは750億円であり、それ以外に銀行、信託の買いがあるにしても、それだけでは1700億円までは行かない。2社合計で600億円とは言わないが、最大で600億円ほどの裁定以外の現物売り、先物買いがあった可能性が高い。現物と先物を同時に売買したのではなかったため、裁定売買ではなかったが、裁定残は減少したということなのであろう。

(8月第4週合計)
合計すると「投信、自己、事法の買い越しvs海外、個人の売り越し」であった。

8月第3週の日経平均株価は実質的にはUBS本体運用部1社による3700億円の先物売りで下がったと結論づけた。8月第4週は実質的にはゴールドマンの大口顧客とUBS本体運用部による4550億円の先物売りで下がったと結論づける。株価が下がってきたので、ブルベア型投信には買いが入っていた。事法の自社株買いも入った。月曜の安値では日銀ETFも自己を通じて買い支えていた。この結果、8月第4週の日経平均株価は18円安と小幅の下落で週を終えることになった。



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2017年1-3月期 日銀統計 株 コメント

日銀資金循環統計による株式投資部門別売買・保有残高
資金循環統計株コメント201703


(日銀・資金循環統計と東証・投資部門売買状況の比較)
2017年1-3月期の日銀の資金循環統計から、株式投資部門別売買・保有残高の直近分を取り上げ、重要な箇所に色をつけて示した。日銀統計は、東証が公表している投資部門別売買状況という統計ではカバーしていない取引所外取引や株の発行、償却をも含んだ大変貴重な統計である。他方、その推計方法には問題点も数多く存在する。今回も日銀統計の数字をその問題点と合わせて説明することにする。

(ETFによる売買金額の推計方法の変更)
今回から投信と自己の売買の算出方法に大きな変更があった。従来は「資金循環統計の投信の売買」=「東証の投資部門別売買状況における投信の売買」であった。以前、日銀に対して日銀ETFによる買いが投信ではなく、自己に含まれていると伝えた時、それをある程度は認めながらも現体制では算出方法の変更が不可能との理由で変更は行われなかった。それが昨年10-12月期の確報から「資金循環統計の投信の売買=「東証の投資部門別売買状況における投信の売買+投資信託協会のETF設定解約の金額」に変更された。

日銀ETF以外のETFの売り越し買い越し金額を求めたい時、最初に思いつくのが投資信託協会が公表しているETFの設定解約の数字である。ETF関係の売買統計はこれ1種類しか存在しないので、参考にするのは当然であろう。私も何年も前に同じことを考えた。その時の結論は「デタラメすぎて使えない」であった。

投資信託協会は投信による株の売り越し買い越し金額を月次で公表している。これが東証統計による投信の株の売り越し買い越し金額とは大きな乖離がある。東証の数字は全部門の合計がゼロにはならないが、ゼロに比較的近い数字になるので、誤差は大きくない。従って、投資信託協会の投信による株の売り越し買い越し金額がデタラメということになる。ETFの設定解約についても同様にデタラメである可能性が高い。

ただ私のように投資信託協会と東証の株式売買動向を比較したり、毎週ETFの売買をウォッチしていたらデタラメであるというのがすぐにわかる。しかし、こうした特殊な作業をしない大半の人たちにはデタラメさなど見えない。同時にデタラメの可能性が高いという証拠を示すことはできるが、100%デタラメと証明できる証拠は示せない。

今回の投資信託協会の数字を元にした日銀統計の数字によると、日銀ETF以外のETFは昨年10-12月期に1兆円の売り、今年1-3月期に1.4兆円の買いになる。日銀ETFによる買いは昨年10-12月期に1兆4511億円、今年1-3月期に1兆6351億円である。今年1-3月期の日銀ETF以外のETFによる1.4兆円の買いは日銀ETFの買いを少し下回るだけであり、毎週投資部門別売買状況を見ていればありえない数字なのである。

私としては、従来通りに日銀以外に現物を売買するETFの設定解約の合計はゼロという仮定で進めたい。これも間違った推計方法であるが、投資信託協会の統計数字を使う日銀統計よりは多少はベターであると考える。従って、投信の買いは日銀ETF以外のETFが1兆4031億円買って合計で2兆3797億円の買いという日銀統計の数字は否定する。東証統計+日銀ETFの合計値である9765億円をよりマシな数字として提示する。同様に全ETFの買いに等しい金額が証券会社(東証統計の自己)から差し引かれている。日銀統計の証券会社9000億円の売りは間違いで、証券会社-日銀ETF以外のETFの売り(=マイナス1兆4031億円)に等しい5031億円の買いをより正確性の高い数字として提示する。

(家計)
いつも指摘している家計(=個人)の数字を修正したい。日銀統計の家計による買い推計は精度が低く、日証協が算出している「東証統計+公募、売り出し等による購入金額」を推計した値の方が精度が高い。家計は日銀統計の484億円の買いから日証協の数字に等しい3771億円の買いに修正する。

(国内銀行)
今回も国内銀行とそのすぐ下にある農林水産金融機関の数字を修正したい。農林系は売りと買いが交互であるが、株の評価損益に近い調整勘定がTOPIXと連動していない。銀行の連動率も少し低い。農林系は全くのデタラメ、銀行は実態との乖離が大きいことを示す。2017年1-3月期の数字はどちらも信用できない。農林系はデタラメの続きすぎで、信頼できそうな数字が全くない。銀行は1-3月期の4694億円の売りは信用できないが、東証統計の銀行が1647億円の売りであるので、取引所外取引を含めた売りの数字は両者の中間である3000億円前後の売りが一つの目安だと考える。

(年金計)
薄赤色の年金基金は1552億円の売り、公的年金は3466億円の売りである。このうち、公的年金の売り金額は間違いである。7月7日にGPIFと3共済の決算が発表されたが、1500億円前後の買いであった。日銀は今回の速報ではこの決算を見ていないので、確報で修正がある。また、この期間の東証統計の信託の売りが4109億円である。これを考えると年金基金の売りの1552億円は少なすぎであり、倍の3000億円以上はあった可能性が高い。

(保険)
保険は2793億円の売り。東証の保険は1512億円の売りだが、取引所外取引での売りがおそらくあり、この分を加えなければならない。日銀統計の数字が東証統計よりベターな数字として受け入れることにする。

(非金融法人企業)
非金融法人企業は179億円の売り。これに相当する東証の事法とその他法人の合計は3824億円の買い。ただ東証の数字には自社株買いの多くは含まれているが、自社株消却の金額が含まれていない。自社株消却の数字は全くわからないので、日銀の数字がある程度は正確性の高い数字であると信用するしかない。

(海外投資家)
海外は日銀統計では1兆1728億円の売り。東証統計では1兆2386億円の売り。これは発行等や取引所外取引の分をも含めて直接報告を受けている日銀統計の数字が東証統計よりも正確性が高い数字である。

(売買の合計)
以上のことを頭に入れておく必要がある。その上で日銀の資金循環統計に基づく2017年1-3月期における投資部門別売買状況は「投信2兆3797億円(修正後9765億円)の買い越し、家計(個人)484億円(修正後3771億円)の買い越しvs海外1兆1728億円の売り越し、証券会社(=自己)9000億円の売り越し(修正後5031億円の買い越し)」であった。日経平均株価は205円下落して18909円で終えた。この期の投信買いの実体は日銀ETFであるので「日銀ETF買い越しvs海外売り越し」で小幅に下落した期であった。


参照 日銀資金循環統計 株式部門の長期時系列をグラフ化
 日銀 資金循環統計に基づく投資部門別売買状況と保有残高グラフ

参照 株式売買関連の統計は他にもあります
 投資部門別売買状況 現物と先物の時系列表
 投資部門別売買状況 長期時系列グラフ(月次)
 投資部門別売買状況 先物累積買越枚数 グラフ
 先物建玉残高 証券会社別枚数推移 グラフ
 株式分布状況調査 年度末と時系列グラフ


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